MARIKA

-Blue rose and Eternal vow-

 

  Act. Ⅱ アーロンパーク 4

 

 

 

―――――アーロンパーク

「もう一度聞く、貴様一体何をしにここに来た?」

 

アーロンが、一等低い声でそう言いながらゾロを見た

だが、ゾロは怯える所か威嚇する様に、アーロンをギロリと睨みつけ

 

「だから、女を探してるつってんだろ!!!半魚野郎!!」

 

その言葉に、アーロンがくっと喉の奥で笑った

「ホゥ…下等な人間が言ってくれるな…一度は許すが、半魚ってのは二度と口にするな!!おれたち魚人は海での呼吸能力を身に付けた“人間の進化系”。魚の能力分てめェらより上等な存在なのよ…!!」

 

アーロンは、誇らしげしそう言うとゾロを見下したの様に

 

「その証に、天性に人間を越える数々の能力を持つ。“万物の霊長”は魚人だと、その頭に叩き込んでおけ!!人間が魚人に逆らうってのは、“自然の摂理“に逆らうも同然だ!!」

 

アーロンが胸をトンッと叩いて、親指を下にした時だった

後ろの方から、コツコツ…と足音が聴こえてきたかと思うと――――……

 

「そのバカみたいな説は聞き飽きたわ、アーロン」

 

「!!?なっ……」

 

そこに現れたのは、ゾロが探す女――――ナミだったのだ

 

「…そう、怖い顔すんな!ナミ。お前は、人間でも特別さ!我らがアーロン一味の誇る有能な“測量士”だ。実に、正確ないい海図を作ってくれる!!」

 

アーロンの言葉に、ナミはフンッと鼻を鳴らし

 

「あんた達とは、脳みその出来が違うの。当然よ!!」

 

ゾロは信じられないものを見る様な目でナミを見た

 

「おい、ナミ!測量士ってどういう事だ!?何で、お前がコイツ等と仲良くやってんだ…・・!!」

 

これではまるで――――……

ゾロのその言葉に、アーロンがナミの方を見た

 

「何だ、おめェの知り合いか?」

 

アーロンのその言葉に、ナミはフンッと鼻を鳴らすとゾロにゆっくりと近づいた

 

「バカ言わないでっ、ただの獲物よ。今回は、こいつらからたっぷりお宝を巻き上げさせてもらったの」

 

「…………!?」

 

そう言ってナミはゾロに近づくと、そのままゾロの前に目線を合わせる様に姿勢を落とした

 

「騙されたとも知らないでのこのこ追って来るなんて……信じられないバカね」

 

瞬間、ゾロの表情が険しくなる

 

「……これが、テメエの本性か!?あれだけ、海賊を憎んでいたのに…」

 

その言葉に、ナミがにやりと笑みを浮かべる

 

「……そうよ、驚いた?全て芝居だったの。これを見れば分かるでしょ?」

 

そう言って、ナミは右肩のそれをゾロに見せる様に差し出した

 

「…そ、そいつは……!?」

 

そこには、アーロンの一味である証の入れ墨が掘られていたのだ

あのアーロン海賊旗に描かれている模様と同じ模様が――――……

 

「私はまぎれもない海賊。アーロン一味の幹部よ」

 

ここまで、ゾロはナミの言葉を半分以上も信じていなかった

恐らく、この女の虚言か何かだと思っていた

だが――――

 

この入れ墨と、海賊旗のマーク

それは紛れも無く、ナミがアーロン一味であるという証なのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      ◆      ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

船の上の食事はいたって平和だった

サンジが気を利かせて追加で骨付き肉を焼いてくれたおかげである

 

ルフィは、満足気に骨付き肉にしゃぶり付き、ヨサクはモヤシを頬張りながら、肉にもあり付けた喜びで嬉しそうに食べていた

サンジはワインに舌を包みながら優雅に、食事をしている

 

そして、我らがレウリアはというと――――

すっかり、食事を済ませてしまって、何だか嬉しそうに例のカードを眺めながら微笑んでいた
と、その時ルフィの手がヨサクの取り皿のホタテに伸びてきた

すかさず、ヨサクがルフィの手を掴んで口をもしゃもしゃさせながら首を振る

そして、これ(ホタテ)とルフィを指さして、違う違うと手を振った

 

だが、ルフィは肉を食いながら一向に手を離そうとしなかった

今度はヨサクはこれ(ホタテ)と自分を指さし、頷く

そして、これ(ホタテ)とルフィを指さし、首を振った

更に何度も何度も、これ(ホタテ)とルフィを指さし、手を振る

 

しかし、ルフィにはまったく通じておらず――――

 

「何言ってんだ?こいつ」

 

その時だった、モヤシに喉を詰まらせたヨサクが「むむ~~」とバタバタした瞬間――――

ひょい ぱく

 

「あ……」

 

あっさり、ルフィに1つ取られた

ヨサクがガーンとショックの顔をする

 

流石に、カードを眺めてにやにやしていたレウリアもそれに気付き――――

 

「ルフィ、それヨサクさんのだから、食べちゃ駄目だって」

 

と、一言添えてみたが――――

ひょい ぱく

 

「あ……」

 

また、1つホタテがルフィの口の中に入って行った

ヨサクが「むー!!」と抗議の声を洩らす

 

が、ルフィには通じず

 

「手を離せよ」

 

ときた

 

それを見たレウリアが呆れた様に

「ヨサクさん、とりあえず口の中の物早く食べてから抗議した方がいいわよ」

 

言われてヨサクが、もぐもぐごっくんと急いでモヤシを飲みこむと

 

「それは、あっしのだって言ってるのにー!!!」

と、抗議したものの、ルフィは負けじと

 

「なんだと!誰が決めたそんな事~~~」

 

「あっしが、自分であっしの取り皿に取ったんだから、あっしのに決まってんでしょうがぁ!!!」

 

すると、ルフィがあっさり納得したのか

 

「なんだ、そうなのか。そうならそうと早く言えよ~」

 

そう言って、骨付き肉をしゃぶりながらにししと笑った

だが、二人の攻防はまだ続き

 

「せっかく、最後の楽しみに取っておいたのに―――!!」

 

「そんなに怒るなよ、これやるから」

 

と、差し出したのは肉のなくなった骨の部分で――――

 

「そんなの食えるわけないでしょうが!!」

 

と、ヨサクが怒鳴ったのは言うまでもない

 

その様子をくすくすと笑いながら見ていたレウリアだったが、

突然、ネフェルティが必死に何かを訴えてきた

 

「え?」

 

そこでようやくネフェルティの訴えに気付き、瞬間、顔が険しくなる

その時だった

う“――――――――

 

何処からともなく、不気味な鳴き声が聴こえてきた

 

なに……?

 

一瞬、聴き間違えかとも思う

だが、ネフェルティが尋常でないくらいくるくるとレウリアの周りを回った

 

その時だった

 

う“―――――――

 

まただ

また聞こえた

 

「リアさん」

 

サンジも気付いたらしく、レウリアの方を見てくる

レウリアはそれに頷くと耳を澄ませた

 

う“―――――――

 

間違いない

何かが鳴いて――――――

 

「どうせなら食えるモンを下さいよー!」

 

「贅沢言うなよ~~」

 

「贅沢じゃないっす!!」

 

そうとは気付かないルフィ達は、まだ醜い攻防を繰り広げており

 

「ちょっと、静かに――――」

 

「これもーらい!」

 

「あ!おれの肉!!」

 

「ちょっと!だから、静かに……」

 

「いいじゃないですかーちょっとくらい!」

 

「駄目だ、おれんだ!!」

 

「……………ぴき(怒)」

 

 

 

 

 

「うるさい!!!!」

 

 

 

 

 

ガンッ ゴンッ

 

見事に、ルフィとヨサクにレウリアの鉄拳制裁が下った

 

「なんだよ、リア~、急に殴る事……」

 

「しっ!」

 

レウリアが、しっ!と人差し指を口に当てた

それで、ルフィもヨサクもようやく気付いたのか、辺りを見渡す

 

 

 

う“――――――――

 

 

 

サンジが船の下を見ながら

 

「何か居るぜ?」

 

言われて、レウリアもサンジの横から船の下をみた

 

「………確かに、いるわね……」

 

その鳴き声は明らかに船の下から聴こえてきた

 

「でかいな……」

 

「大きいわね……」

 

その影はどんどん海上に近づいてきはじめた

 

後ろでヨサクが「え?」「ええ!?」とわたわたしだす

 

「リアさん、下がってた方がいいです」

 

なんだか、その影の大きさが尋常では無かった

下手したらクジラか、何かかもしれないレベルの大きさだったのだ

 

だが、レウリアはサンジが庇おうとする中、気にした様子もなく

 

「ネフェルティがずっと騒いでるのよ……気になるわ」

 

「ですが……」

 

「大丈夫、危なくなったら下がるから」

 

そう言って、二人してじっと船の下を見た

 

すると、その影はどんどん浮上してきて――――――……

 

「クジラ?」

 

「いや…なんか、もっと大きな―――――」

 

ザパアアアアアアア

 

 

 

「ウモ―――――――――!!!!」

 

 

 

大きな水しぶきと鳴き声と共に巨大な何かが姿を現したのだ

 

「うわああああああああ~~~~~~!怪獣だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

ヨサクが半泣きになりながら叫んだ

 

クジラ所の大きさではない

現れたのはもっともっと大きな巨大な生物だったのだ

 

「な……」

 

「うそ………」

 

流石に、サンジとレウリアも驚いた様に声を洩らした

ただ、ルフィだけが平然としたまま

 

「なんだこいつ?」

 

とか言っている

 

「牛だ――――っ!!でけ―――――っ!!」

 

「牛が泳ぐか?フツーカバだろ」

 

とサンジも、紫煙を吐きながらぼやいた

 

「いや、牛もカバも海は泳がないわよ……」

 

すかさず、突っ込むレウリアだかヨサクはそれ所では無かった

 

「こんなのがなんで、この”東の海(イーストブルー)“に!!?考えられねェ!!こりゃ、”偉大なる航路(グランドライン)“の生物ッスよ!!」

 

言われて、ぽんっとレウリアが手を叩いた

 

「ああ…巨大な海王類の一種ね」

 

「海王類?ですか……?」

 

サンジが初めて聞く言葉に首を傾げる

レウリアは、少し考え

 

「えっとね…“偉大なる航路(グランドライン)”には海王類が住んでるのよ…それも巨大な。たとえば、これとか」

 

と、目の前の牛だか、カバだか分からい未知の生物を指さした

 

「なんでそんなものがここに……」

 

「さぁ…“凪の帯(カームベルト)”から迷い出てしまったのかしら…あそこ、巨大海王類の巣だし……」

 

その時だった、その牛だかカバだか分からない生物がくんくんと鼻を船に上の料理に寄せてきた

だが、巨大すぎて船全体を見てるようにしか見えない

 

ルフィは首を傾げながら

 

「なんだ?なにやってんだ、こいつ」

 

その時、ヨサクがはっと海王類の視線と船の上の料理に気付いて

 

「狙いは、メシだ!!!」

 

「何!?」

 

「早く渡して下さい!船をひっくり返されちまう!!!」

 

最もな、正論だった

普通ならこの場で料理を渡すべきだっただろう

だが、しかし

 

 

 

 

 

 

「ゴムゴムの(ピストル)!!!!!」

 

 

 

 

 

バコオオオン!!!!!

 

突然、ルフィが海王類を思いっきりぶん殴った

そのまま、海王類がザパァァァァンと海に沈んでいく

ぎょっとしたのは、他の3人だ

 

「ちょっ、ちょっとルフィ!?一体、何して――――――」

 

「おれのメシに手ェ出すな!!!」

 

ええ――――――

 

と、レウリアが思ったのは言うまでもない

反対にヨサクなど感動した様に

 

「やった!!すげェ!!ルフィの兄貴!!!」

 

と、おおおおおお!と歓喜の声を上げている

が―――――

 

 

 

 

「モ”ォオオオオオ!!!!!!」

 

 

 

怒り狂った様に、牛(もう牛でいい)がザバアアンと叫びながら襲い掛かって来た

 

「うわっ!怒りを買ったみてェッス!!」

 

「もう一発か!!」

 

ルフィが、また腕を振る回しながら構えを取る

 

「ちょっと、止めなさ――――」

 

と、その時だった

 

「バカ野郎!!!」

 

瞬間、サンジの蹴りがルフィを蹴り飛ばした

 

「腹空かしてる奴を、むやみにブッ飛ばすんじゃねェ!!」

 

そして、メインディッシュともよべる骨付き肉の皿を取ると

 

「きっとこいつは、怪我でもして自分でエサ取れねェんだ、なァ…そうだろう?」

 

キラアアンとさわやか~にそう牛に語りかけた

 

「なんて、愛だ……」

 

ヨサクが感動に打ちひしがれていた時だった

 

「さァ、食え。遠慮はいらねェぞ?」

 

そう言って、サンジが牛の前に皿を差し出す

が――――――

 

牛は少々戸惑いつつも、おもいっきり口を開けた

瞬間

 

 

 

 

 

「死ねコラァ!!!!!」

 

 

 

 

バゴオオン!!

 

と、サンジの猛烈な蹴りが牛に向かって炸裂した

 

「えええええ!!!!ちょっと、サンジさん!!!」

 

流石のレウリアも、これには黙っていなかった

 

「何してるのよ!!」

 

「あんた、何やってるスか!!!愛は!!?」

 

レウリアとヨサクの抗議に、サンジはしれっとしたまま

 

「あのヤロー、今、おれごと食おうとしやがった!!」

 

今度こそ牛は本気になって怒りだした

 

 

「モ”オオオオオオオオオオオオ!!!!!!!」

 

 

大きな雄叫びを上げて、この船に襲い掛かってくる

それを見たレウリアは、はぁ…と溜息を付きながら、「まったくもう、何やってるのよ…」とぼやきつつ、牛の前に躍り出た

 

「牛さん、ごめんね?お腹空いてるんでしょう?はい、投げてあげるから食べて」

 

そう言ってレウリアがぽいっと牛に向かって料理の入った皿を投げた

すると、牛は目をキラキラさせてその骨付き肉にぱくううとかぶり付いた

 

「美味しい?」

 

レウリアの言葉に、牛が涙しながら頷く

 

「ほら、手ずからあげようとするからああなるのよ。最初からこうすれば良かったんだわ」

 

「流石、リアさん!素敵だvvv」

 

と、サンジが目をハートにして感動に打ちひしがれていた時だった

ポロッとレウリアの手から例のカードが落ちた

牛はまたエサかと思いあーとそれを食べようとした瞬間―――――

 

 

 

 

「ネフェルティ!!!」

 

 

 

 

ゴウ!!!

 

 

レウリアが叫んだ瞬間、突風と鎌鼬が同時に牛に襲い掛かって来た

 

「グモオオオオオオオオオ!!!!!!」

 

嵐に巻き込まれた様に牛がぐるぐると回転し出し、身体に鎌鼬の傷が無数に出来ていく

と同時に、ザパアアアアンと海に沈んでいった

 

「ちょっ、リアの姐さん!なにしてるんっすかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

「だってあの子、このカードまで食べようとしたんだもの!当然よ!!」

 

と、もっともらしくいうが……

 

「あんたが落としたからでしょう!!!」

 

ヨサクの意見が最もだった

 

 

「モ“ォオオオオオオ!!!!!!」

 

 

今度ばかりは、牛は激怒した

思いっきり怒り狂った様に一気に船に襲い掛かって来たのだ

 

「来たァ!!!船、沈める気でやすよ!!!」

 

「よーし、おれが……」

 

ルフィが構えた時だった

 

「どいてろ、トドメさしてやる」

 

サンジが一歩前に躍り出ると

ダンッ ダンッ 船の上まで一気に昇りつめ

 

そのまま牛の前に飛び出すと―――――

 

 

 

 

 

首肉(コリエ)シュート!!!!!」

 

 

 

 

 

ズドオオオオン!!!!!

 

思いっきり、牛の首を蹴り上げたのだ

 

「おお――――――っ」

 

ルフィとヨサクが、歓喜の声?を上げる

 

「カバが……」

 

サンジがそうぼやくのと、のけ反った牛がそのまま海へバシャアアアンと泡を吹いて気絶して浮くのは同時だった

 

そんな、牛をよそ目に

 

「さ―――メシだメシだ」

 

そう言って足をパンパンとさせながら席に付くルフィに

 

「いい運動になった」

 

とワインを飲みだすサンジ

 

「ちょっと可哀想だけれど、当然の報いよね」

 

と席に付くレウリアを見てヨサクは一言

 

 

 

「ムチャクチャだ、この人達…」

 

 

 

と言ったのは言うまでもない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モーム氏に対して、なんと可哀想な仕打ちwww

3人とも、酷いww

 

2013/01/15