MARIKA

-Blue rose and Eternal vow-

 

  Act. Ⅰ 海上レストラン 23

 

 

 

 

「ちょっとぉ~アタシのクリークちゃん誘惑してるのは誰?」

 

それは、突然だった

何処からともなく謎のドスのきいた男の声が聴こえてきたのだ

 

レウリアとサンジがハッとして、崩れたガレオン船の先を見る

 

瞬間、ふわり…と、ここまで噎せ返る程の薔薇の香水の匂いが漂ってきた

そして、コツリ…とヒールの音がしたかと思うと、そこから人影が現れたのだ

 

流れる様な金髪の巻き毛

真っ赤なルージュを塗った形の良い唇が微笑む

 

そこには、サンジも目をハートマークにしそうなほどの美女が立っていた

 

その美女は、コツコツと10センチはありそうなヒールを鳴らしながら中央に躍り出てくる

そして、そこに倒れているクリークを見るなり、睫毛がビシバシの瞳を瞬かせた

 

「まぁ!クリークちゃん!」

 

と、さも驚いたかの様に声を上げると、クリークに駆け寄った

そして、覗き込むと辺りを見回した

 

瞬間、運悪くレウリアと目が合った

 

あ…

嫌な予感…

 

と、レウリアが思ったのは言うまでもない

 

案の定、美女は仁王立ちになるとビシイッとレウリアを指さした

 

「アンタね! 私のクリークちゃんを誘惑したのは!!!」

 

「違います」

 

「嘘おっしゃい!アンタしかいないじゃない!!」

 

と、レウリアの即答は却下された

その時だった、海賊の1人が叫んだ

 

「違います!権蔵さん!!首領(ドン)をやったのは――――――!!!」

 

ごん……?

 

レウリアが自分の耳を疑う前に、美女のドスのきいた怒声が響いた

 

 

 

 

 

 

「誰が権蔵だ、ごるぁ!!!ジェシーだっつってんだろうがぁ!!!」

 

 

 

 

 

「す、すみません!ジェシーさん」

 

完全に掠れた男声である

 

「んもぅ!め!」

 

びしぃ!と、権蔵…改めジェシーがその海賊の額を弾いた

瞬間―――――

 

ゴスゥ!!と、物凄い音と共に、その海賊が吹っ飛ぶ

 

 

「「「なっ………!!」」」

 

 

驚いたのはコック達だった

ジェシーはただ額を弾いただけなのに、海賊が吹き飛んだのだ

コック達だけじゃない、レウリアもサンジもぎょっとして息を飲んだ

 

 

なんという怪力なのだろうか

 

 

あんなもの食らったら、ひとたまりもない

だが、当のジェシーは「あ、ネイルが」とか言いながら爪のチェックをしている

 

何なの……あの人……

 

レウリアは、額から汗がにじみ出るのを感じながら息を飲んだ

単なる、ふざけた男女じゃない

それは、間違いなかった

 

ジェシーは、金髪の巻き毛をふわりとなびかせると、突然くるりとこちらを見た

そして、コツコツと歩き始めたかと思うと、そのまま物凄い速さでマストを伝ってバラティエ側にやってきた

 

皆、何が起きているのか分からず動けなかった

そうこうしている内にジェシーはコツン…とヒレに降り立った

 

そして、辺りを見回すとレウリアを見つけるなり、突然攻撃してきたのだ

 

「………っ!?」

 

ぎょっとして、レウリアが咄嗟に横に避ける

すると、ドゴォォォ!!と、凄まじい音を立てバラティエの壁がぶち抜かれたのだ

 

「あら?避けたの?」

 

何故避けると言わんばかりにジェシーがくるりと振り返った

避けて当然である

あんな怪力食らったら、レウリアの細い身体など一瞬にして風穴が空いてしまう

 

「……何のつもりなの?」

 

攻撃される理由が無い

いや、理由が無いはおかしい

もしこの男女がクリーク一味ならば、レウリアは敵である

だが、レウリアだけを敵視される理由が分からない

 

しかし、ジェシーはさも当然の様に

 

「決まってるじゃない! アタシのクリークちゃん誘惑しておいて、しらばっくれる気!? この顔だけ女!!」

 

「失礼な事言わないでよ!!!」

 

何故かは分からないが、無性に腹が立った

が、ジェシーはお構いなしに

 

「いい事!!この世でクリークちゃんを這いつくばらせていいのはアタシだけ! 恋人であるアタシだけなのよ!!!」

 

 

 

 

 

 

「……………はい?」

 

 

 

 

何を言っているのだろうか、この男女は

 

「それなのに……クリークちゃんをあんな目にしておいて~~~!!!!覚悟おし!!」

 

そう叫ぶと突然ジェシーは何処からともなく鎖鎌を取り出したかと思うと、ブンッと振り回し始めた

そして、そのまま思いっきりレウリアめがけて撃ち放ったのだ

 

「ネフェルティ!!」

 

レウリアがそう叫ぶや否や、突然風が彼女の周りを吹きはじめた

瞬間、バシィ!という音と共に鎖鎌が弾かれる

 

それを見た、ジェシーはきぃぃぃ!!と歯を食いしばった

 

「そんな妖しい技使って、一体今まで何人手籠めにしてきたのよ!!!」

 

「失礼ね!!!してないわよ!!!」

 

「嘘おっしゃい!! そうやってその隣のイケメン君も籠絡したんでしょう!! 貴方!騙されちゃ駄目よ!! その女は顔だけ女なのよ!!」

 

 

 

は………?

 

一瞬、誰の事?と首を傾げたくなる

が、隣のサンジがさも当然の様に胸をドンッと叩く

 

「リアさんは顔だけじゃねェ!! 心も身体も美しいんだ!! テメーと一緒にすんな! この、権蔵!!」

 

「ね!リアさん」と、サンジに訴えられるが

何故か、素直に頷けない

 

が……

わなわなと、ジェシーが震えだす

 

 

 

「権蔵っじゃねェつってんだろうがぁ~~~~~~!!!」

 

 

 

ゴゥ!と、凄まじい怒りのオーラが辺り一帯に広がっていく

 

「らぁ!!」

 

瞬間、ジェシーの放った鎖鎌が猛スピードでレウリアめがけて突っ込んできた

 

「な………」

 

「リアさん!」

 

レウリアが避ける寸前、サンジがぐいっとレウリアの手を引っ張った

 

瞬間、ぐいっと床に突っ伏される

 

 

 

ガガガガガガガガ!!!!

 

それと同時に、前上で物凄い音が響き渡った

ぎょっとして上を見ると、先程までレウリアやサンジのいた場所が左から右へ真っ二つに切り裂かれていたのだ

 

あのまま横に避けていたら危なかった

 

だが、サンジが助けたのが気に入らなかったのか、ジェシーは「ちっ」と舌打ちをすると、ジャラリと鎖鎌を振り回し始めた

 

「そうやって…アタシのクリークちゃんも誘惑したのよね…アンタ、本当に顔がいいってだけで全て上手くいくと思ったら大間違いなのよ!!」

 

一体、この男女はなんなのだ

レウリアは、はぁ…と溜息を洩らすと前に流れてきたプラチナブロンドの髪を後ろへ払った

 

「何を勘違いしているのか知らないけれど、勝手な推測で物を言わないでくれないかしら? 私は、クリークなんて――――」

 

「あら、あんな魅力的な男性がどうでもいっていうの?

 

「………………」

 

 

瞬間、レウリアが押し黙る

ぎょっとしたのはサンジだ

 

「え!?リアさん!!?まさか……っ」

 

いつものレウリアなら即答している筈である

だが、あのジェシーにクリークに魅力がないかと問われた瞬間、押し黙ったのだ

 

 

まさか、リアさん…あのクリークってやつが好み――――!!?

 

まさかのどんでん返しにサンジが青くなる

その時だった、レウリアがクリークを見た

そして憂いを帯びた溜息を洩らす

 

 

「……確かに…魅力的だと思ったのよ……」

 

 

 

 

 

 

「「「「えええええええええ~~~~!!!?」」」」

 

 

 

 

ぽつりと呟いたレウリアの言葉に、サンジだけでなく他のコック達も叫んだ

 

「リアさん!!?何言ってるんですかァ!!!」

 

サンジが必死になってレウリアを止めようとする

だが、レウリアがまた憂いを帯びた溜息を洩らした

その反応に、ジェシーが「そうでしょう、そうでしょう」と頷く

 

「リアさん!!」

 

サンジの必死の呼び掛けに、レウリアがぽつりと呟いた

 

「1700万………」

 

「は?」

 

今、レウリアは何と言った???

1700万???

 

「サンジさん、1700万ベリーなのよ………」

 

「えっと…何がですか?」

 

素で、聞き返してしまった

すると、レウリアはくるっと振り返り

 

「だから、1700万ベリーなの!! クリークの賞金額!!」

 

賞金額……??

 

皆が首を傾げる中、レウリアはふぅ…と溜息を洩らし

 

「1700万程度じゃ大した額じゃないけれど、足しになるし…魅力的よね…

 

魅力なのは、賞金額ですか!!!

 

と、皆が突っ込んだのは言うまでもない

だが、ジェシーには聴こえていなかったらしく、ふふふ…と得意気に笑みを浮かべると

 

「どう? 分かった? クリークちゃんの魅力。 でも、アンタには譲らないわ! クリークちゃんは、アタシの物なんだから!!!」

 

「え? いりません。 興味ないもの」

 

ズバッと、レウリアが言い切った

その言葉に、ガンッとショックを受けた様にジェシーが口をあんぐり開ける

 

「だ、だだだだだって!アンタも今魅力的って――――」

 

「確かに魅力的よ…クリークに掛けられた賞金額は東の海(イーストブルー)じゃお目に掛かれない金額だもの。でもね、そんなもの倒してしまえば貰えるし、クリークも追い払えるし、一石二鳥ね」

 

そう言ってにっこりと悪魔の様に微笑むレウリアに、コック達がゾッとしたのは言うまでもない

 

「第一、 エース以外の男には興味ないから、私」

 

その言葉に、今度はサンジがガンッとショックを受けた様に驚愕の顔をする

 

「そんな、リアさん……っ!おれの事は遊びだったんですかァ!!?」

 

「いや、誤解を招く言い方はしないで」

 

きっぱり、レウリアが言い切る

だが、ジェシーの反応は違った

 

「エース……?」

 

ぴくりと眉を動かすと、「ああ…」と何かを思い出したかのように笑みを浮かべた

 

「エースって、火拳の事?なぁに?アンタ、火拳の事好きなの?それはお気の毒様」

 

ふんっと鼻を鳴らすを、その真っ赤な唇をにやりとさせた

その反応に、レウリアがぴくりと反応する

 

「貴方、エースの何を知っているって言うの?」

 

「何って?決まってるじゃない、もう火拳は死んでるかもしれないって事よ」

 

「………どういう事」

 

レウリアの声が一等低くなる

だが、ジェシーはお構いなしに

 

「だって、あんな事になったんだもの。火拳も馬鹿だから、放っておけばいいのに―――死んでてもおかしくないわね

 

 

ぷつん……

 

レウリアの中で何かが切れる音が聴こえた

 

「……いで」

 

「リアさん?」

 

尋常でないレウリアの様子に、サンジがハッとする

ゼフは何も言わずに、ただじっと見ていた

 

「……ふざけないで」

 

ざわりと、レウリアの纏う空気が変わった

 

「エースが死んだ?……馬鹿な話も大概にしないさいよ」

 

瞬間、ビュオオオオオオオと凄まじい風がレウリアの周りを吹き荒れ始めた

 

 

「それ以上……」

 

コツリ…と、ヒールの音が響いた

レウリアの持っていた風の鞭がバチィン!!と、音を立ててる

瞬間————”そこ”が、音を立てて破壊される

 

ゆっくりと、レウリアのアイスブルーの瞳が光った

 

 

    「————エースを侮辱するのは許さないわ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

な…なんとか、話をエースの話へ無理矢理持っていきましたww

無茶振りもいい所だなww

 

そして、その間伸びたままのクリークさん…

彼は一体、いつ起きるのでしょうかww(笑) ※次回起きます 

 

2013/10/01