MARIKA

-Blue rose and Eternal vow-

 

  Act. Ⅰ 海上レストラン 21

 

 

 

サンジはレウリアの手を借りる事なく、よろりと立ち上がった

 

「……案外、大した事…ねェ…な、その串団子……。総隊長ってのは…その程度かよ。クリーク海賊団ってのは…名ばかりの、集団だな…」

 

「!」

 

ピクリと微かに、ギンが反応した

そして、ぺろりと舌を舐めるとニヤリと笑みを浮かべたのだった

その笑みは、まるで “鬼人”そのものの様で、一瞬レウリアは息を飲んだ

 

先程のギンとはまるで別人の様だった

あの“ギン”と、この“ギン”は、似ても似つかない

 

これが、本当のギンさんなの……?

 

東の海(イーストブルー)、最強を誇るクリーク海賊艦隊 戦闘総隊長 “冷血非道の鬼人” ギン

 

きっと、最初からこの“ギン”を見ていれば、こんな戸惑いも感じる事もなかっただろう

だが、サンジの作った食事に涙を流しながら食べる”ギン”や、必死にサンジを逃がそうとしている“ギン”を見た後だと、どうしても困惑してしまう

 

それは、サンジも同じなのだろう

ギンと対峙するサンジからも、何か戸惑いの様な物を感じる

 

いや、それだけではない

先程から、ギンの攻撃は不自然な所が多々あった

 

はたから見る分には、かなり非道な事をしている様にも見える

だが、近くで見ていれば分かる

ギンから“殺気”という物を感じない

 

クリークに、サンジを自分の手で葬ると言っておきながら、サンジに対しての殺気がまるっきり感じられないのだ

手を抜いている――――とは違う

 

それとはもっと別の――――……

 

瞬間、よろりとサンジがよろめいた

 

「……………サンジさんっ」

 

レウリアが、慌ててサンジを支える

サンジは、「………っ」と、痛みを堪える様に、わき腹を押さえた

 

鉄板男の攻撃もあるし、ギンのあの鉄球もダイレクトにヒットしていた

もう、骨に異常をきたしていてもおかしくない

立っているのも辛いのだ

 

だが、その瞳は戦意を失っていない

真っ直ぐにギンを見据えたままだった

 

けれど――――……

 

レウリアが、ぐっと息を飲み一歩前へ出ようとした

瞬間、ぐいっとサンジにその腕を掴まれる

 

「………っ、サンジさん、放し――――」

 

「駄目です、リアさん」

 

そう言って、サンジがぐっとレウリアを自分の後ろへと押しやる

この身体でまだ戦うといのか

 

「でも――――」

 

「とにかく駄目です。リアさんはそこで見ていてください」

 

「―――――っ」

 

手出ししないで下さいと釘を指された様なものだ

ここまで言われて、手を出す訳にはいかない

レウリアは、ぐっと拳を握りしめた

 

自分はなんて無力なのだろう

手を貸す事すら、叶わない

 

レウリアの苦しそうな表情を見た瞬間、サンジがふっと微かに笑みを浮かべた

 

「そんな顔しないで下さいよ。思わず抱きしめたくなるじゃないですか」

 

ははっと、冗談めかして言うサンジにレウリアはぎゅっと今にも泣きそうな顔になりながら

 

「それなら、勝って……。勝ったら…特別よ」

 

レウリアのまさかの言葉に、サンジが一瞬 大きくその瞳を見開く

そして、ふっと笑みを浮かべると

 

「なら、何が何でも勝たないといけませんね」

 

そう言って、ギンを見据えた

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ」

 

その時だった、まったくルフィが空気を読まずに、クリークが高みの見物をしているのを発見して声を洩らした

 

「なーに、あいつ余所見してんだ?ははーん、よし!今のうちにあいつぶっ飛ばそう!」

 

ぽんっと名案が浮かんだとばかりに、ルフィは手を叩くと、折れたマストを一直線にクリークめがけて走り出した

 

ふと、クリークが自分に向かってくるルフィに気付き、くっと喉の奥で笑う

 

「………そう、力むな」

そう言って、ぽんっと何かを海へ投げた

瞬間―――

 

 

 

 

ドパ―――――ン!!

 

 

 

 

 

「うわああ!!」

 

海の中で何かが爆発して、水しぶきで目の前が真っ白になる

それに驚いていたその瞬間――――

 

クリークの、ウーツ鋼の肩当てがガコンと外れると、中かから銃口が現れた

と、思った瞬間そこからな鉛玉が放たれたのだ

それが、視界を遮られたルフィの胸元にヒットする

が、ビヨーンと遠くへと伸びるだけだった

と思われたが――――

 

 

「うわああああ!!!!」

 

 

放たれたスピードに身体が押し寄せられ、そのままぐいーんと後ろへと押しやられた

気が付くと、ルフィは元いた位置へ押し戻されていた

 

 

「はーっはっはっはっはっはっは!!」

 

 

耳に付くぐらい、クリークの嫌な高笑いが辺り一帯に響いた

まるで、遊ぶようなその行動にルフィの中の何かが ぶちっと切れる

 

ダンッと、大事な麦わら帽子をヒレに置くと

 

「この野郎!!お前、戦う気あんのか!!?」

 

ルフィの言葉に、クリークは、ふんっと鼻息を荒くすると

 

「戦う気?そんなもん、必要あるか。いるのは”殺す手段“それだけだ。それが人間の”武力“というものだ。覚えておけ、サルめ!」

 

「なにぉ~~~~~!!?サルはなめると引っ掻くぞ!!!」

 

そう言って、ルフィがぐいっと口に手を当てていーっと歯を見せる

その時だった

 

 

 

「サンジさんっ!!!」

 

 

 

レウリアの声が辺り一帯に響いた

と同時に、海賊達の「うおおおおおお!やっちまえ、ギンさーん!!!」という声も聴こえてくる

 

ルフィがハッとして、サンジ達の方を見た

 

そこで見たのは。腹部を押さえながら血を吐き咳き込むサンジと、そのサンジを見下す様に見据えるギンの姿だった

 

「がは……げほ、げほ……う、あ……」

 

サンジは今にも飛びそうな意識を何とか保つので精一杯だった

ミシミシと身体中が軋んでいる

骨という骨が砕けているんじゃないかという程の、激痛がサンジの身体を襲う

 

そんなサンジを、ギンは見下ろしたままペッと少しだけ付いた血を吐き捨てた

その持っている鉄球には、ドロリとしたサンジ血がべったりとくっついていた

 

「やっほー!もう、あいつの骨ズタボロだぜぇ!!」

 

「やっちまえ-!!」

 

海賊達の声が、嫌な位耳に付く

 

ふと、後方に下がっているレウリアが視界に入った

レウリアは、今にも泣きそうな顔で口元に手を当てっていた

それでも、目を逸らさない

じっと、こちらを見ている

 

レウリアには勝つと約束した

したが――――……

 

まいった……コイツ、マジ強ェ………!!

 

まだ、盾男のダメージが無ければマシだったのかもしれない

だが、今そんな事を言ってもどうしようもない

 

「………は、はは、好き放題…やって、くれるじゃねェか……この、ザコ野郎………」

 

何とか、そう吠えるので精一杯だった

 

「くそぉ!サンジだって、あの盾男のダメージさえなきゃ……!!」

 

「あいつ、もう、あの鉄球10発はくらってるぞ……!!」

 

周りの野次が煩い

傷に響く

 

ああ…うるせェ野郎どもだ………

 

コック達が、自分を心配しているのも分かる

分かるが、今は余計なお世話だった

 

ゆっくりと、ギンが血の付いた鉄球を再びぐるん ぐるんと回し始めた

ルフィも言葉を失った様に、2人の様子を見ていた

その時だった、どんどん早くなる鉄球に合せるようにギンがすぅっと息を吸った

 

「――――とどめを刺す、もう足掻くな」

 

瞬間、あの鉄球が物凄い速さで横凪にサンジに襲い掛かって来た

サンジは何かにハッと気付き、そのまま横へ避ける

 

ブンッ!という風を切る音が辺り一帯に響いた

が、サンジはぎりっと奥歯を噛み締める

 

「なんだ……!!?そりゃぁ、同情かよ……!!―――――フザけんな!!!!

 

そう叫ぶな否や、サンジはそのままギンの後方から蹴りをぶちかました

 

「ええっ!!?ギ……ギンさん!!?」

 

驚いたのは、海賊達だ

まさか、あの状態からギンが攻撃を食らうなど、誰が思っただろうか

 

ギンが、脳天への攻撃にドサッと床に倒れ込む

サンジは、そのまま着地する―――――その瞬間

 

「……………あっ……!!!」

 

ミシミシミシという音と共に、身体中の骨が悲鳴を上げる様に軋みだした

 

 

 

「いやぁぁぁ!!」

 

 

 

レウリアの声が木霊する

 

そのまま、サンジが身体中を押さえながら倒れ込んだ

全身が、悲鳴を上げている

骨という骨が、バラバラになりそうだ

 

もう、自分の攻撃の衝撃にも耐えられないのだ

視界に映るレウリアの顔すら上手く捕えられない

 

リア……さん………

 

勝つと約束したのに……

身体が思う様に動かない

 

少し動いただけで、全身が悲鳴を上げる

嫌な汗が、額から流れ落ちてきた

 

くっそ………

 

その時だった、ゆらりと背後の気配が動いた

悲鳴を上げる身体を、何とかそちらへ向かせるが―――目の前に、大きな手が伸びてきたかと思うと、そのまま床に押し倒された

動こうにも身体も動かない

それ以前に、がっちり首元を押さえられ身動きすら取れない

 

サンジはギリッと奥歯を噛みしめながら自分に乗っている男を睨みつけた

その男――――ギンの表情は見えない

 

ただ、捕まれた首元はがっちりと押さえつけられている

 

「ひゃっほーう!流石、ギンさん!!」

 

「あの野郎、話になんねェよ!!」

 

はっはっはっはっは と海賊達の笑い声が木霊する

 

「くっ…………」

 

言葉を発する事もままならない

レウリアもルフィも言葉を失った様にその様子を見ていた

いや、2人だけではない

パティやカルネ、コック達も誰しもが言葉を失っていた

 

レウリアは、今にも飛び出して行きたいのをぐっと堪える様に、拳を握りしめる

 

サンジさん……勝ってくれるのではなかったの………っ

 

サンジの勝ちを信じていない訳ではない

けれど……

 

その時だった

 

ポタ…… ポタポタ……

 

不意に、サンジの横に何かが落ちた

 

「…………?」

 

サンジが不思議に思い、ギンを見る

その瞬間、サンジは信じられない物を見た様に大きくその瞳を見開いた

 

ギンが――――

 

ギンが大粒の涙を流して泣いていたのだ

 

「……せん……っ、おれ、…は……、首領(ドン)…クリーク………っ」

 

ボロボロと涙を流しながら、ギンがサンジを見る

その瞳からは、悲しみの涙しか流れていなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

「おれに、は……おれにはできません!!!首領(ドン)・クリーク!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

サンジが驚いた様に目を見開く

サンジだけではない、レウリアやルフィも驚いた様にその瞳を見開かせた

 

「ギンさん……?」

 

瞬間、クリークの眉間に皺が寄る

それでも、ギンは大粒の涙を流しながら

 

「おれには……この人を、殺せません………っ!!!」

 

ぴきりとクリークの眉間に怒りの筋が現れる

 

「何だと……!?てめェ!!!」

 

「だって、おれ……おれは………っ」

 

あの時の光景が蘇る

 

『四の五の言ってねぇで、さっさと食いやがれ。おれにとっちゃあ、腹空かしてる奴は誰でも客なんだよ』

 

そう言って、一銭にもならないギンに飯を出してくれた

最高に美味かった

あんなに、美味い飯食べたのは初めてだった

 

『クソうめぇだろ』

 

そう言って、笑い掛けてくれ

そんな人、今まで一人もいなかった

 

タダ飯を食わせてくれた自分のせいで怒られるんだろうと思った

だが皿とコップを海へと投げ捨てると、ニッと笑みを浮かべて

 

『怒られる理由と、証拠がねェ』

 

『何してるの?ギンさん。折角サンジさんが行けって言っているんだから、早く言った方がいいわよ。じゃないと、その内オーナーさんの右足が飛んでくるかも』

 

あの翔風もそう言って、笑ってくれた

 

初めてだった

 

「……あんなに人の優しくされたのは、おれは…生まれて初めてだから……っ!!だから、おれにはこの人は殺せません……っ!!!」

 

翔風が悲しんでいる

この人を傷つけられて悲しんでいる

 

この人も、苦しんでいる

 

『いつでも、来いよ』

 

そう言って笑い掛けてくれた人が、自分のせいで苦しんでいる

 

「分かってます…おれは、別にあんたを裏切るつもりはねェ……、今までやって来た事を間違ってるとも思わねェ。あんたの強さを尊敬もしてるし、感謝もしてる。……腕っぷしを見込んで、総隊長を張らしてくれた事は最高に嬉しかった…っ! だから、あんたの言う事には従うし、これからもそのつもりだ……! けど…だけど……っ、この人だけは、殺せねェんだ……っ!!」

 

「……………」

 

誰しもが、言葉を失った

サンジもルフィもレウリアも、何も発する事が出来なかった

 

そう、クリーク以外は

 

首領(ドン)・クリーク……あわよくば、この船を…このレストランを見逃すわけにはいかねェだろうか……」

 

ビキリッ

 

何かが、切れる音がした

 

「てめェ!!! 命令に逆らう事では飽き足らず、このおれに意見するとはどういうイカレ様だ!!」

 

クリークの怒声が辺り一帯に響き渡った

 

「がっかりさせてくれるじゃねェか……。おれはそういった“義”や”情“だとかが最も嫌いなのだと、常日頃から言ってた筈だぜ…」

 

そう言いながら、ウーツ鋼の肩当を外すと前に構えた

 

 

 

「――――どいてろ、野郎ども」

 

 

 

ギィっという音と共に、ドクロマークの口が開く

それを見たギンが必死になって叫んだ

 

首領(ドン)!!それは……!!」

 

それを見た、他の海賊達も今度こそ真っ青になって叫んだ

 

「うわあああ!!え…MH5!!」

 

「最悪の、毒ガス兵器だァ!!!」

 

驚いたのは、海賊達だけじゃない

サンジもルフィもレウリアもぎょっとしてそちらを見た

 

「何……っ!?」

 

「毒ガスですって……っ!!?」

 

あの様子から察するに、今度こそ本物だ

 

「マスクだー!!」

 

「マスクを付けろー!」

 

「おれ達もやられるぞー!!!」

 

そう言って慌てて海賊達が、ガスマスクを着け始める

それは間違いなく、今度こそ本物のMH5である事を指示していた

 

「何て武器を使うんだ!!」

 

「てめェ、きたねェぞ!!そんなもん使ったどうなるか分かってんのかァ!!」

 

コック達の言葉に、クリークはくっと喉の奥で笑った

 

「どいつもこいつも、下らねェこと言ってんじゃねェ!これは、“戦い”なんだ」

 

そう言って、にやりとその口元に笑みを浮かべる

 

「勝利だけが目的なんだ。ダマし撃ち、卑怯、結構な事じゃねェか!勝てば官軍!!どんな手段を取ろうが、要は結果だ!!毒ガスを使おうが、なんだろうが、勝てばいいのさ!―――それが、“強さ”だ」

 

その言葉に、ギリッとルフィが奥歯を噛み締める

サンジも、クリークを睨みつけると

 

「何て奴だ……っ」

 

ギンが、クリークの言葉にごくりと息を飲んだ

震える手で、胸元に仕舞っていたガスマスクに手を伸ばす

 

その時だった

 

 

「そのガスマスクを捨てろォ!!!」

 

 

クリークの怒声が響いた

びくりと、ギンの肩が揺れる

 

だが、クリークは、ギンを見下す様に睨みつけると

 

 

 

「てめェは、もうおれの一味じゃねェよ。――――死ね」

 

 

 

 

「―――――っ!!」

 

ギンの瞳が大きく見開かれた

 

「………!!首領(ドン)、ギンさんまで殺す気だっ!!」

 

海賊達がどよめいた

 

「バカな……!!いくら何でもそこまでは……っ、ギンさんは首領(ドン)の右腕だぞ!?」

 

「そうさ、これまでギンさん程 首領(ドン)に忠実に働いてきた男はいねェんだから!」

 

あの時もそうだった

 

偉大なる航路(グランドライン)“から逃げ出したばかりの一味を狙ってきたフルボディの海軍船から首領(ドン)に扮して1人で囮になってくれたのも、ギンだった

 

ギンは常に、首領(ドン)・クリークの為に命張って戦ってきたのだ

命令遂行の為に、“鬼人”の様に

その男を、首領(ドン)が殺す訳がない………!

 

 

誰もがそう思った

だが、クリークはさも当然の様に

 

 

 

 

「マスクを捨てろ!!!」

 

 

 

 

「……………」

 

ギンが息を飲んで、じっとガスマスクを見る

 

その時だった

 

「毒ガスなんか、撃たせるかァ!!!」

 

ルフィが、クリークめがけて駆け出した

だが、クリークはそれを鼻で笑うと

 

「チョロチョロすんな、カナヅチ小僧!」

 

それだけ言うと、ガンッと傍にあったマストとへし折った

マストを伝って走っていたルフィは、慌ててブレーキを掛ける

その拍子に、すっ転んでしまった

 

だが、それをクリークはにやりと笑みを浮かべると同時にガコンッと向けていた肩当ての両サイドを解放した

瞬間、無数の槍がルフィ目がけて襲ってきた

 

 

「うわああああああああ!!!」

 

ルフィが慌てて、逃げ惑う

が、一本の槍がルフィの足にブスッと突き刺さった

 

「うわあっ!!」

 

凄まじい激痛と共に、ルフィは転げる様にヒレにしがみ付いた

あっという間に、元いた位置に戻されてしまった

 

「くっそ……っ」

 

ルフィは、ギリッと奥歯を噛み締めると

 

「ギン! あんな弱虫のいう事聞く事ねェぞ!! 今おれが、ぶっ飛ばしてやるから!!!」

 

 

「…………っ!」

 

 

ギンの瞳が大きく見開かれた

 

「貴様!首領(ドン)・クリークを愚弄するな…っ!!」

 

「!?」

 

まさかの、ギンからの反論に驚いたのは他ならぬサンジとルフィだった

 

「お前なんかに、勝てやしねェ…あの人は、最強の男なんだ」

 

ギンの言葉に、サンジが思わずギンの腕を掴む

 

「てめェ…目を覚ませ!!あの男は、お前を殺そうとしてんだぞ!!?」

 

サンジの言葉に、ギンが微かに息を吐いた

 

「当然だ、妙な情に流されたおれは、自分の役割をまっとう出来なかったんだからな―――これは…これは、当然の報いなんだ!

 

「ギンさん、駄目!!」

 

レウリアが溜まらず叫ぶ

だが、ギンには届かなかった

 

ギンは持っていたガスマスクをブンッとそのまま海へと投げ捨てた

 

「何で…何でだ……っ!」

 

サンジにも、レウリアにもギンがそこまでする理由が分からなかった

確かに、クリークのカリスマ性は驚くぐらい凄まじかった

それでも、自分に死ねと言っている男に、そこまでの忠義を働く理由が理解出来ない

 

死んだらお終いなのよ……!!

 

死んだら、何もかも終わりだ

なのに、ギンは“死”を選ぼうとしている――――クリークへの忠義の為に

 

どうしてそこまで……っ!!

 

クリークは、ギンのその行動に満足した様ににやりと笑みを浮かべた

 

 

「フン!意地を見せたか……だが、もう遅い!そのコックと共に死ね!」

 

スゥッと、クリークの纏う空気が一変する

そして――――……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「猛毒ガス弾!!“M・H・5”」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

史上最悪の武器が放たれたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サンジVSギン終了ですな

そろそろ、ルフィが活躍する頃ですねー

 

しかし、ギンは良い奴だな…(ホロリ)

それに比べて、クリーク最悪やなww

 

2013/08/21