MARIKA

-Blue rose and Eternal vow-

 

  Act. Ⅰ 海上レストラン 12

 

 

 

「せっかくメシやったのに、レストラン襲うなんて…お前みてェな恩知らずは、おれがぶっ飛ばしてやる!!」

 

と、マストに捕まったまま言うルフィだが…

恰好が恰好なだけに、いまいち締まらない

 

「ルフィ、せめてそこから降りてから言った方がいいわよ」

 

いつの間に傍に来たのか、レウリアがはぁ…と呆れにも似た溜息を付きながらそうぼやいた

だが、ルフィはむぅ~~と頬を膨らませたまま

 

「んな事言ったてよー足場殆どねェじゃん」

 

「……まぁ、確かに……」

 

ルフィの言うとおりだ

ガレオン船の切れ端が浮いているだけで、“悪魔の実の能力者”のルフィには少々難しいかもしれない

うっかり、足を滑らせて――――とかをリアルにやりそうでコワイ

 

それを知ってるからは、クリークは面白そうに笑い出した

 

「ハッハッハッハッハ!!わざわざ足場の少ねェ海上で戦うのか!!“悪魔の実の能力者”は”海“に弱いって事ぐらい割れてんだぜ?カナヅチ小僧!!」

 

そう厭味ったらしく言うが、ルフィにはまったく効果は無かったようだ

 

にかっと笑って

 

「そのかわり、おれはのびる!!」

 

だが、やはりそれすらクリークにはどうでもよさ気な事だったらしく、ハッと鼻で笑う

 

「だから、なんだってんだ。おめェもだぜ、翔風」

 

いきなり指名され、レウリアがそのアイスブルーの瞳を瞬かせた

 

「お前だって”悪魔の実の能力者“だろうが。いいのか?そんな不安定な所に立っててもよ」

 

そう言って脅しのつもりなのか、にやりとその口元に笑みを浮かべると火器銃口が入っているであろうウーツ鋼の肩当てを摩った

威嚇のつもりだろうか……

だが、当のレウリアはルフィ同様まったく意を介ない感じに

 

「別に、問題ないわ」

 

とだけ答えた

 

その時だった

後方のバラティエの方からゴォンという何かの機械音が聴こえてきた

何かと思って振り返ると、バラティエの周りの海が振動している

 

「何……?」

 

何が起ころうとしているのだろうか……

 

ゴウン……

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

 

と音がどんどん大きくなっていく

 

「何だァ?」

 

ルフィも面白そうにそちらの方を見た

瞬間、海中から巨大な何かが浮上してきたのだ

 

「うわああああ」

 

「何だァ!!!?」

 

海に投げ出されていた、クリーク海賊団はもろに被害を被る形となり、慌てて逃げ出す

 

それでも、ゴゴゴゴゴゴという音はどんどん大きくなり―――――

 

「海の中から―――――」

 

ギギギギギギギ

とう音と共に海中から大きな足場が現れたのだ

その足場は、バラティエの囲む様に現れた

 

まさに、“ヒレ”である

 

「凄い……」

 

流石のレウリアも、これは想像していなかった

まさか、海上レストランにこんな仕掛けがあるなどと誰が思っただろうか

 

ルフィなどは大興奮で

 

 

「うわ―――――!!!おもしれ―――――――――!!!!!」

 

 

と、おおはしゃぎだ

サンジが一歩ヒレへと躍り出る

 

「存分に戦ってやろうじゃねェか、海賊ども」

 

そのサンジへ続く様にコック達も巨大なフォークやナイフの武器を持ちヒレへと進みだす

 

「なる程……店内を傷つけねェ為の戦場か…船を貰い受けるおれ達にとっても好都合だ。ますます欲しくなったぜ、あの船が!」

 

その時だった

 

「てめェらに渡すか!この店を!!なめんじゃねェ!!」

 

「おれ達は戦うコックさんなんだ!!」

 

と、何処からともなくバティとカルネの声が聴こえてきた

瞬間――――

 

キィ ガシャン

という音と共に、バラティエの先端にあたる魚の頭部部分が突然動き出した

 

「出動―――!!!バラティエ海戦兵器!!『サバガシラ1号』!!!」

 

「死にたくねェ奴ァ、はだしで逃げ出しな!!!」

 

ゴオ……ン ガコン

 

という音が聴こえたかと思うと、口の中から3口の砲弾が姿を現した

ちなみに、操縦は人力である

クリークは、呆れた様に

「……なんだ、ありゃぁ…」

とぼやくが、ルフィは真逆で 目をキラッキラさせながら

 

 

 

「かっこいい―――――っ!!ほしい―――――――っ!!」

 

 

 

と、大喜びだ

レウリアは、唖然としたままルフィの言動に溜息を付いていた

 

サバガシラ1号はギコギコ足漕ぎの音を立てながら、ぐるりと旋回するとその砲弾の照準をクリーク達にピタッと合わせた

 

 

「撃て―――――――!!!」

 

 

ドォォン!!

ドォォォォン!!

 

という、けたたましい音と共に砲弾から砲撃が発射される

そのままサバガシラ1号は前進すると、再び砲弾を撃ち放った

 

ドォォォンという音と共に、バラバラのガレオン船が揺れる

 

「パティ!カルネ!いいぞー!やっちまぇ!!!」

 

コック達の声援に気分を良くしたのか、パティが自慢げに高笑いをしだした

 

「ぎゃっはっはっはっは!!」

 

「おい、パティ!!よそ見してんじゃねェ!!ヤツを狙うぞ!!」

 

それを、カルネが一喝しながら、サバガシラ1号は更に前進した

 

「おおう!!」

 

パティはそう答えると、漕ぐ速さを更に加速させた

 

「クリーク、覚悟しろぉ!!!」

 

「海上レストラン、“バラティエ”の誇る、海戦兵器の威力を見ろ!!!」

 

そう叫ぶや否や、サバガシラ1号から真正面のクリークめがけて弾が放たれた

 

直撃

 

 

誰もがそう思った

だが―――――――

 

 

クリークは、右手をかざしただけだった

それだけで、あのウーツ鋼の籠手がそれを塞いでしまったのだ

 

なんという素材の強度なのだろうか

あの砲撃を受けても傷一つ入っていない

 

 

それどころか――――

 

 

不意に、サバガシラ1号がガコンという音と共に、前進しなくなった

ぎょっとしたのは、パティ達の方だ

 

「な、何だ!?なんかぶつかったか!?」

 

「んなっ!!?動かねェ!!!」

 

パティもカルネも必死に漕ぐが、サバガシラ1号はびくともしない

それもその筈だ

クリークが片手一本でサバガシラ1号の砲弾を押さえつけてしまっているからだ

 

「コックさん!そのまま撃って!!!」

 

瞬間、レウリアが叫んだ

 

「お? おうよ!!」

 

意味も分からず、パティが再度砲撃をする

 

ドンドンドンという音が辺り一帯に木霊した

 

流石のクリークも、この至近距離で無傷はないだろう

誰しもがそう思った

 

だが………

 

爆炎が消えた中に立つのは、やはり傷一つないクリークだった

 

「嘘でしょう……」

 

流石のレウリアも、これは予想していなかった

一体、どれだけの強度なのか あの鎧は

 

ピキリ…と、クリークの眉間に皺が寄る

眼は充血し、怒りで今にも切れそうなのは明白だ

 

「おれは、“首領ドン・クリーク” 世界を制する男だ……!!!」

 

「それはおれだっての!!」

 

クリークの言葉にカッチーンときたルフィは、負けじと言い返す

が、誰も聴いていない

 

クリークは、その怒りをぶつけるかのように

 

「てめェらの遊びに、付き合ってるヒマはねェ!!!ぬあああああああああああ!!!!!」

 

瞬間、砲弾の先を持っていたクリークがサバガシラ1号を持ち上げたのだ

 

それに驚いたのは、パティとカルネ達だった

 

「え?あ!?ええ!?」

 

「なんちゅー怪力だ!!!」

 

そのままサバガシラ1号は海上から空中へ持ち上げられると――――

 

 

 

「ああああああああああ!!!!」

 

 

 

一気に、投げ飛ばされた

よりにもよってバラティエの方へ

 

「うわあああああ!!!」

 

「こっちに来るぞ――――――!!!」

 

驚いたのはコック達だ

まさか、自分達の仲間が(投げ飛ばされたとはいえ)店に突っ込んでくるなどと誰は想像しただろうか

 

その時だった

サンジはにやりとその口元に微かに笑みを浮かべると、ぐっと足をヒレに押し付けた

瞬間、空高く飛び上がったのだ

 

「なぁ……!?」

 

「ええ!?」

 

お揃いたのはルフィとレウリアだけじゃない

海賊達やクリークもだった

 

微かに、ゼフの口元に笑みが浮かぶ

 

サンジはそのまま空中で半回転すると、店に向かって落ちてくるサバガシラ1号をその左足で蹴ったのだ

 

ガゴン!!

 

という大きな音と供に、サバガシラ1号が落ちていく方向を変える

 

「サンジ!!」

 

コック達の歓喜の声とはうらはらに、クリークはぎょっとしてそれを見ていた

 

「足、だと!?」

 

それは、誰かを彷彿させる“蹴り”だった

 

サンジがそのままヒレへ着地する後ろで、サバガシラ1号がヒレの端に落下した

 

「………………」

 

「………………」

 

ルフィもレウリアも、まさかの現象に言葉を失っていた

 

なんて、脚力なの……

 

普通では考えられない程の力だった

 

あの巨大なサバガシラ1号を意図も簡単に蹴り飛ばしたのだ

常人ではあり得ない

 

だが、サンジはそれを軽々とやってのけたのだ

 

「あの足技……」

 

それを過去やってのけたのは、“赫足のゼフ”とよばれたこのバラティエのオーナー・ゼフだけだ

 

「でた、サンジの蹴り!」

 

コック達が、喜びの声を上げる

 

「やるなぁ―――――っ!」

 

ルフィも嬉しそうにそう歓喜の声を洩らした

やるとかそういう問題じゃないわよ……

 

よほど強い脚力をもたなければ、あのような事不可能だ

それを可能にしたのが――――

 

レウリアがゼフを見る

 

オーナー・ゼフ

 

とその時だった

 

突然、ボロボロになったサバガシラ1号の下からバティとカルネが飛び出してきた

 

「このヤロー!サンジィ!!!」

 

「てめェ、味方を潰す気かァ!!!」

 

だが、そんなご立腹のパティとカルネにサンジが一言

 

「…………」

 

「ああ」

 

どきっぱり言い切った

それに切れたのは他でもないパティとカルネだった

 

「ああじゃねェよ、イカれ煮込み!!!」

 

「強大な2つの戦力を失うとこだったんだぞ!アホスパゲッティ!!!」

 

文句の言い方のセンスが、いまいち理解出来ない

 

と、その時だった

 

「漫才やってるヒマはねェんじゃないかい?コックさん達よぉ!」

 

いつの間にか、クリーク海賊団の連中がヒレに上がって来ていたのだ

 

キッとパティとカルネが海賊達を睨みつけた

 

「やっちまぇー!!!」

 

コックの1人がそう叫ぶや否や、海賊達めがけて攻撃しだした

それに続く様に、他のコック達も反撃に出る

が―――――

 

次々に殴り飛ばされ、皆ボロボロになっていた

それを見たサンジの表情が険しくなる

 

だが、海賊達はにやりと笑みを浮かべ

 

「何が強大な力だ。武器を持とうがコックはコック。戦いが専門のおれ達とはレベルが違うんだ!てめェらは、大人しく陸の厨房で料理でも作ってな!」

 

あっさりやられたコック達に、パティとカルネが叫んだ

 

「お前ら!なに簡単に敗けてやがんだ!!」

 

「それでも、戦うコックさんかァ!!!」

 

そう言われるも、コック達はぐいっと傷を拭いながら

 

「いや…こいつら強えェ…。マジで、今まで戦ってきた相手とは違う!!」

 

その言葉に、海賊達がにやりと笑った

 

「その辺の海賊達と一緒にするんじゃねェ!!おれ達は、“東の海イーストブルー”の覇者 クリーク海賊団だぜ!!!」

 

その時、クリークが高らかに叫んだ

 

「宣言してやれ!!その船は、もう“首領ドン・クリーク”海賊団のものになったとな!!」

 

その言葉に、サンジはくっと喉の奥で笑った

 

「勘違いするな。貴様らは、一歩も店にはいれないぜ」

 

「その通りだぜ……」

 

不意に、サンジの後ろからパティとカルネが現れた

 

「コックになって十数年……訪ねた店は三百軒!!乱闘起こしてクビになっちゃぁ荒れる毎日!」

 

「めぐりにめぐって行き着いたのがこの店よ!!乱闘すんのも、料理すんのも好き放題だ!!」

 

「こんないい店、他にねェんだ!!」

 

そう言って、2人は武器を構える

 

その真ん中に立っていたサンジは、一度だけ紫煙を吐き

 

「だ、そうだ。分かったか、クリーク」

 

そう言って、その眼光をクリークへと向けた

クリークは、無言のままそれを見ていた

 

「料理に掛けた毎日は壮絶な戦いだった……それに比べれば、今日の奴ら何てへでもねェ!!」

 

「その通りだ!」

 

「戦え!!」

 

コック達が、パティ達に励まされてもう一度立ち上がっていく

 

「オーナーを守れ―――――!!!」

 

「店を守れ――――――!!」

 

そう叫ぶと、パティとカルネは一気に海賊達の中に突っ込んでいった

コック達も、うおおおおおお!!と声を張り上げて2人に続く

 

その時だった

 

「何をやっているんだが、君達は……」

 

ふぅ…と溜息を洩らす声が何処からか聞こえたと思うと――――

 

「うおおおおお!!!!」

 

いきなり海から現れた変な鉄板男がパティを何かで吹き飛ばしたのだ

ぎょっとしたのは、傍で戦っていたカルネだった

 

「何し――――!!」

 

そこまで言い掛けたが、また何かでカルネまでもが吹き飛ばされる

 

驚いたのは、サンジ達だった

パティもカルネもバラティエでは強い方だった

その2人が、何か礫のようなものだけで吹き飛ばされたのだ

 

 

「まったく……仕方ないねェ…君達は」

 

 

そう言いながら、その鉄板男が海からザパンッと上がってくる

 

流石のルフィもそれを見て「かっこいい」とは思わなかったらしく…

 

「何だ、あいつ?」

 

と、至極まともな反応をかえしていた

 

「鉄板人間……?」

 

レウリアも、唖然とその鉄板男を眺めていた

鉄板男は、そんな事もつゆ知らず自分に酔った様に高らかに笑い出した

 

「ハァ――――――ッハッハッハッハ!!てっぺき!!よって無敵!!クリーク海賊団、鉄壁の盾男・パールさんとはおれの事よ」

 

「パールさん!!」

 

鉄板男改め、盾男・パールを見て、海賊達が歓喜の声を上げた

 

「また、変なのが現れたみたいなんだけれど……パールって……?誰?」

 

生憎とレウリアの記憶には残っていなかったようだ(つまり、除外人)

 

「パティ!カルネ!!大丈夫か!?」

 

ゼフがそう呼びかけるも、2人は立てずにいた

そのゼフの声に、パールがにやりと笑みを浮かべた

 

「大丈夫じゃねェ~~~~よ?この、おれの殺人パンチ “パール プレゼント”を食らっちまったんだからよォ!!」

 

そう言って、パールは両手の盾をパーンッと鳴らした

 

どうやら、やはりまた変なのが現れた様である

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここの回、コメント書き忘れてるwwww

誰か、突っ込んでえええええええwwww

 

2013/06/01