櫻姫抄乱
 ~散りゆく華の如く~

 

 四章 虚実の馨り 23

 

 

そこには、土方が居た

ずっと、ずっと会いたかった土方だった

 

「…………っ、土方さ……」

 

堪えた涙が、また溢れそうになる

思わず、その胸に抱きつきたい衝動に駆られるが、はっと我に返ると、そのままぐっとその場に押し留まった

 

堪える様に、自身の胸の前でぎゅっと手を握り締める

 

駄目よ…

そんな事をしたら、きっと土方さんに迷惑が掛かる……

 

そう思うと、素直になれなかった

 

押し黙ったさくらを見て、土方が小さく息を吐いた

そのまま、持っていた手燭を置くと、その場に腰を下ろした

 

「おい、さくら」

 

瞬間、ぴくりとさくらの肩が揺れた

だが、さくらは土方の方に顔を向ける事が出来なかった

 

本当なら、土方の顔を見たい

その腕に飛び込んで、安心したい

 

でも、そんな事出来る筈が無かった

土方に迷惑が掛かるのが分かっているのに、出来ようか

 

さくらに、そんな勇気はなかった

 

それに……

 

きっと、今、土方の顔を見たら泣いてしまう

そしたら、また土方を困らせてしまう

 

そんなのは、嫌だった

ただでさえ、この屯所に置いてもらっているだけでも迷惑を掛けているのに

 

しかも、今回の件

 

土方には、初めに注意されていたのに

それを破って行ったのは自分だ

それで、この結果

 

おそらく、土方がここに居るという事は、原田に聞いたのだろう

だからといって、原田を責める事など出来ない

彼は彼なりに考えて、行動してくれたのだ

あの場に原田が居なければ、さくらはあのまま風間の元から逃げられなかった

 

結局、自分の我儘のせいで原田にも、土方にも迷惑を掛けて…

 

これ以上、迷惑を掛けたら追い出されるかもしれない

 

もう、“ここ”に居させて貰えないかもしれない

また“居場所”を失うのかもしれない

 

そう思うと、怖くて動けなかった

 

「おい、さくら。こっちを向け」

 

土方の低い声が室に響いた

だが、さくらは反する様に小さく首を振った

 

見る事など出来ない

見たら、きっと抑えられない

 

「さくら!」

 

再度、今度は少し強めに名を呼ばれた

それでも、さくらは首を振るばかりだった

 

微かに、土方の表情が険しくなる

 

「おい! なんで、顔を背けたままなんだ」

 

土方の問いに、さくらはただただ首を振るばかりだった

 

その行動に苛付いたのか、土方の眉間に皺がよる

瞬間

 

「いいから、こっちを向きやがれ!!」

 

そう叫ぶのと同時に、さくらの肩をぐいっと引っ張った

突然に肩を引っ張られ、さくらはびくりと肩を震わせた

 

「あ………」

 

気が付いた時には、土方の綺麗な菫色の瞳が目の前にあった

 

「ったく、手間掛けさせやがって……」

 

土方が小さく息を吐きながら、そう洩らした

だが、さくらにはそんな事どうでもよかった

 

土方が目の前にいる

ずっとずっと求めていた土方が、今、目の前に―――

 

そう思った瞬間

さくらの真紅の瞳から、ぽろぽろと大粒の涙が零れだした

 

ぎょっとしたのは土方だった

まさか、顔を向かせただけで泣かれるとは露とも思わず、一瞬にして動揺が走る

 

「お、おい…っ」

 

思わず、さくらの肩を掴んでいた手が緩んだ

さくらは、空いていた手で顔を覆うと、サッと視線を反らした

 

「………っ、すみません……っ。ごめんなさい……っ」

 

こんな泣いている顔など見せたくなかった

でも、涙が止まらない

止めなければと思うのに、次から次へと溢れ出てくる

 

土方が、少し困った様に息を洩らした

 

「悪い、痛かったか?」

 

あ………

 

瞬間、はっとして さくらは慌てて顔を上げた

 

「違っ……!違うのです……っ!!これは、これは土方さんのせいではありませんっ!!」

 

「さくら?」

 

「私が……っ、私がおかしいのです!!」

 

さくらは大きく首を振りながら、吐き出す様に叫んだ

尋常ではないさくらの様子に、土方が慌てた様に身を乗り出す

 

「おい、落ち着け」

 

そう言って、嗜める様にさくらの腕を掴んだ瞬間、はっとした

掴んだその細い腕は、微かに震えていた

 

「さくら…お前……っ」

 

土方が息を飲んで、さくらを見ると

さくらは、その小さな手をぎゅっと握りしめた

 

「私…変なのです……」

 

何度も夢で見た

あの日、風間に「要らない」と言われた夜を

さくらを拒絶する様な 冷たい、冷たい赤い瞳

 

赤い結い紐をくれて、「印」だと言った

 

「あんな風に言われて……」

 

拒否するさくらを、抱こうした

さくらが一人でいる時、いつも見つけて傍にいてくれた

 

「あんな扱いを受けているのに……」

 

無理矢理、口付けを何度も何度もされた

どんなに叫んでも、止めてはくれなかった

 

 

それなのに――――

 

 

「それでも……っ、それでも、あの人を―――千景を信じたいと思う自分がいるのです……っ」

 

こんな気持ち、気付きたくなかった

でも、気付いてしまった

 

どんなに、裏切られようとも

どんなに、酷い扱いを受けようとも

 

風間を信じたいと思う、自分が心の中にいる

 

その気持ちは、どんなに抗っても消えてはくれない

それは、ずっと昔からさくらの中にあって

小さな光となって、さくらの中に存在していた

 

もしかしたら…

という、気持ちが捨てられない

 

そんな可能性など、無いと分かりきっているのに……

その少しの“希望”がどうしても消えない

 

一瞬、横にいる土方が息を飲むのが分かった

呆れられているのかもしれない

 

でも、そうだとしても、どうしようもないのだ

 

「忘れられたら……どんなに楽か……」

 

忘れたい―――と、思う

思うが、忘れる事が出来ない

 

事実、一番辛かった時に傍にいてくれたのは、風間だった

風間だけだった

 

だから、あの人の役に立ちたかった

あの人に、必要とされたかった

 

たった一言

その一言 それだけが欲しかった

 

 

でも――――

 

 

ぎゅっとさくらは腕を掻き抱いた

泣きたくもないのに、涙が溢れてくる

 

「………忘れられない……忘れる事が出来ないのです………っ」

 

どんなに願っても、消えてくれない

どんな言葉を浴びせられても、どんな扱いを受けても

その微かな“希望”が捨てられない

 

苦しい……

この身が引き裂かれてしまいそうだ

このまま奈落の底へと落ちてしまうのではないかと 錯覚する程に

 

「自分でも、どうかしていると思います…。でも…、それでも私は――――っ」

 

「―――――もういい!」

 

その時だった

不意に、土方の手が伸びてきたかと思うと、そのまま抱きすくめられた

 

「…………っ!」

 

土方の突然の行動に驚いたのは、さくらだ

まさかの土方の行動に、一瞬戸惑いの色を見せる

 

「土方さ……っ」

 

「分かったから、もう何も言うな」

 

さくらが言葉を発する事も許さず

土方はそう言うと、ぐっと更にさくらを抱きしめる手に力を入れた

 

だが、さくらは小さくかぶりを振ると、泣き叫ぶ様に

 

「駄目……っ、駄目です!! 私…私、土方さんにこんな風にしてもらう資格なんて――――っ」

 

必死になって押し戻そうとするが、土方の腕はびくともしなかった

それでも、さくらはなおも抵抗した

 

「お願い……っ、お願いします……っ!! お願いですから……どうか―――」

 

「放して下さい」という言葉は音にならなかった

言えなかった

 

それとは反する様に更に強く抱きしめらる

呼吸をするのさえも、忘れそうになる

 

「さくら、分かったから」

 

「……………っ」

 

囁かれた土方の声が、耳の奥底まで響く

このまま、すべてを預けて楽になってしまいたいぐらいに

 

あの夜と一緒だ

「ここに居ろ」と言ってくれたあの夜と同じ

 

言葉では否定の言葉を発しているのに、心はこのままでいたいと願っている

この人の 土方の腕の中にずっといたい――――と

 

どうかしている

 

心の何処かでは、風間を信じたいと願う己が居るのに

こうして、土方の腕の中にずっといたいと願う己も居る

 

願う事は、ただ一つ

 

でも、その願いが叶う事はきっとない

それは、自分でもよく分かっている

 

「……私、土方さんの言い付けを守らなかったのですよ…」

 

「そうみてぇだな」

 

土方には、最初に風間の話に乗るなと言われていた

それなのに、薩摩藩邸に勝手に行ったのはさくらだ

 

「……こんな目にあっても、千景を信じたいと思っているのですよ……」

 

「ああ…そうらしいな」

 

嫌う事も、疑う事も出来ず 中途半端なまま

自分で自分が、どう思っているのか…それすら分からない

 

ぐっと、土方の衣を持つ手に力が入る

 

「それならどうして……」

 

じわりと浮かんだ涙が、雫となって流れ落ちた

 

「どうしてそんなに優しくして下さるのですか………っ」

 

風間を忘れられないさくらには、土方に優しくされる資格など無いに等しいのに

それなのに、土方は 関係ないという風に接してくれる

それが、酷く苦しい

 

それと同時に、死んでしまいたいくらい嬉しい

苦しい気持ちと、嬉しい気持ち

 

相反する気持ちで心が壊れそうだ

瞬間、微かに土方が笑った

 

「馬鹿が、勘違いするな。俺は別に優しくしてんじゃねぇよ」

 

「え……?」

 

「お前が……」

 

不意に途切れた言葉にさくらがゆっくりと顔を上げると、土方の綺麗な菫色の瞳と合った

土方の手がそっとさくらの頬に触れる

菫色の瞳が、切なそうに揺れる

 

「お前が、そんな顔するから――――……」

 

「……………っ」

 

どくん…と心臓が一際大きく鳴っ

 

不意に触れられた手が優しくて、頬が熱を帯びる

 

「あ、の………」

 

上手く言の葉に乗せる事が出来ない

 

「さくら……」

 

名を呼ばれ

ゆっくりとした動作で、頬に触れていた長い指先にさくらの漆黒の髪が絡め取られる

 

「今、俺はお前にどうしてやればいい?」

 

「え………」

 

今…、土方さんに………?

 

「………………」

 

“願う事は、ただ一つ”

でも、その願いが叶う事は―――――

 

「………いいの…ですか………?」

 

願っても、いいのですか………?

 

さくらの真紅の瞳に、じわりと涙が浮かんでくる

願ってもいいのだろうか……

 

叶わないと思っていた

叶う事は無いと思っていた

 

それを、願ってもいいの―――――?

 

瞬間、土方がくすりと笑みを浮かべた

 

「馬鹿。いいって言ってるだろう?」

 

するりと、さくらの髪に絡まっていた指が解ける

そして、そのままさくらの首筋に触れる

 

「ほら、言ってみろ」

 

「…………っ」

 

触れられた箇所から、じんじんと熱を帯びていく

 

 

“願う事は、ただ一つ”

 

 

「で…した、ら…………」

 

この願いは、叶う事はないと――――………

ぎゅっと、土方の衣を掴んでいた手に力が篭る

 

「傍、に……」

 

願っても………

 

 

「貴方の、傍に――――

 

 

願っても、いいの―――――………?

 

 

「土方さんのお傍に いさせて下さい………っ」

 

 

その言葉に驚いたのは、他ならぬ土方だった

が、次の瞬間 優しげな笑みを浮かべると、そのままふわりとさくらを抱き寄せた

 

「あ………」

 

さくらが言葉を発する間もなく、そのまま抱きすくめられる

 

「馬鹿野郎、そんなのでいいのか?」

 

土方の言葉に、さくらが小さく頷く

 

「多くは望みません。ただ、お傍にいたいのです―――……」

 

多くは望まない

 

想って欲しいとか

見て欲しいとか

 

望まない

 

ただ、傍に

この人の、役に立てさえすれば それで十分―――

 

すると、土方が小さく息を吐いた後、さくらを抱きしめる手に力を籠めた

 

「分かった……」

 

そう言って、さくらの頭を優しく撫でる

 

「俺の側にいてくれ…さくら」

 

「……………っ、は…い……っ」

 

ああ…死んでしまいそうだ

土方さんあなたの側にいてもいいなんて

 

これは、夢なのではないかとさえ錯覚する

でも、夢ではない

 

本当の本当に、傍にいさせてもらえる

それだけで、心が満たされる

 

「風間の事は――――」

 

不意に、土方が呟いた

さくらが、少しだけ顔を上げる

 

さくらを抱きしめる手に、力が篭ると

 

「風間の事は、いつか俺が忘れさせてやるから―――だから、安心しろ」

 

「……………っ」

 

どうして―――

どうして、この人はこんなにも私が欲しい言葉をくれるのだろう―――……

 

「は、い……」

 

さくらが小さく頷く

 

嬉し

嬉し過ぎて、どうにかなってしまいそうだ

 

さくらは、土方の胸に顔を埋めたまま 小さく「ありがとうございます」と呟いた

その時だった、ふと何処からか血の匂いがした

 

「……土方さん?何処か怪我を……?」

 

微かさが、これは間違いなく血の匂いだ

だが、さくらは何処も怪我などしていない

 

すると、土方が何かを思い出した様に片手を見た

 

「ああ、悪い。さっき、ちょっと切っちまっただけだ」

 

そう言って、右手の人差し指の傷を見た

そこには、小さな切り傷があった

 

微かだが、じわりと血がにじみ出ている

 

 

瞬間

 

 

 

 

 

 

   どくん

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――っ」

 

さくらの心臓が大きく跳ねた

 

 

   血ガ……

 

 

「あ………」

 

どんどん、頭が熱くなってくる

喉の奥がカラカラになり、焼ける様に熱を帯びる

 

「ああ………っ」

 

 

   血ガ……

 

 

 

突如、さくらの身体に急激な飢餓感が走った

喉を抑え、その場にうずくまる

 

「さくら!?」

 

驚いたのは、土方だった

突然苦しみだして倒れたさくらを、土方が慌てて支える

 

 

「あ……ああ……っ、ああああ!!!」

 

喉が焼ける

頭が痛い

視界が揺れる

 

      血ガ……

 

駄目……っ!

 

 

      血ガ………欲シイ……ッ

 

 

 

駄目よ……・っ!!

 

土方が傍にいる

なのに、衝動を抑えられない

 

さくらは、何とか残っている微かな理性で 土方を押し退けようとした

だが、腕に入らない

 

見られたくないのに

土方にだけは、見られたくないのに……っ!

 

「み…ない、で………」

 

頭が割れる様に痛い

耳の奥に音が響く

 

 

血が……欲しくて欲しくて堪らない

 

 

いつもの供血衝動の比とは違う

もっと、酷い

酷くて、欲望が掻き立てられる

 

「おい、さくら!?」

 

土方がさくらに触れた瞬間、ぎょっとした

さくらの体温が急激な早さで下がっていっていたからだ

 

尋常ではないさくらの異変に、土方が山崎を呼ぼうとした

瞬間、さくらは慌てて土方の袖を掴んだ

 

「や、めて……さ、い……っ、人を……よ、ばない……で……っ」

 

必死になって止めようとするが、土方が怒った様に怒鳴った

 

「馬鹿野郎!!こんな状態で何言ってやがる!!」

 

「だ、め……っ、ひじか…さ……っ、ああっ……!!」

 

尚を抵抗しようとするさくらが、突如豹変した

瞬間、土方の菫色の瞳が大きく見開かれる

 

そこにいたのは さくらではなかった

 

彼女の長く艶やかだった、漆黒の髪が徐々に白銀の髪に変わっていく

真紅の瞳は、金色に変わり

元々白かった肌が、一層白くなっていく

 

 

「お前……」

 

 

土方は言葉を失った様に、そこいる“それ”に目を奪われた

 

そこにいたのは、美しい白銀の“鬼”

 

何度も見かけた

風間の傍にいた、美しい美しい鬼

 

見る者全てを魅了する様な 美しい生き物だった

 

それが、微かに妖艶に微笑むと、ゆらりと真っ白な手が土方に向けられた

が、瞬間、苦悩に満ちた顔に変わると、もう一方の手がそれを抑えた

 

「に、げて……土方さ………」

 

その声は、さくらだった

と、同時にぐらりとそれが倒れだす

 

「さくら!!」

 

瞬間、はっとして土方は、慌てて手を伸ばした」

どさり という音と共にさくらが土方に腕の中に倒れ込む

 

「おい、さくら!?しっかりしろ……っ!!」

 

土方が叫ぶと、さくらが微かに瞳を開けた

真紅ではない、金色の瞳が微かに揺れた

 

 

「だ、め……。そ、れを……ちか……けない、で……」

 

 

「何?」

 

さくらの言っている意味が分からない

何を近づけるなって……?

 

瞬間、さくらの側にある自身の右手に気付いた

その指先から微かに血が出ている

 

「まさか………」

 

そう考えれば、さくらの豹変も頷ける

ここ最近、体調が悪そうだったのも

顔色がよくなかったのも

 

 

すべて、これが原因だったのだ

 

 

それに、羅刹には供血衝動があった

鬼にあっても不思議ではない

 

「ちっ……」

 

土方が意を決して、傷口に歯を立てようとした時だった

さくらが、最後の力を振り絞って、止めようと手を伸ばした

 

「やめ……て、くださ……」

 

そこまで言い掛けた瞬間、ぐらりとその手が零れ落ちた

 

「さくら……?」

 

土方がさくらの異変に気付き、その身体をゆすった

 

反応は無い

 

それ所か、彼女の身体から物凄い速さで体温が失われていく

顔が蒼白に変わり、色という色が失われていく

身体に力はなく、瞳は閉じられたまま

 

 

「さくら……?おい、さくら!!?」

 

呼べども、返事は無い

 

 

  ぱたり…と、さくらの左手が床に零れ落ちた

 

 

 

 

 

    「さくらっ!? さくら―――――――――っ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あらあら、何だか急展開???

 

な、程はいきませんけど……あんな事言ってますよww的な(笑)

 

しかーし

私が、そんな簡単に幸せにする筈が無い!!

のは、良くお分かりですよねー?

ええ……創作にはドSですからww

 

何やら、発生したようです

ようやく、無駄に発作+我慢させてきた苦労が報われるってもんですよ♪

あ、別に死んでませんから!

生きてるよ!生きてる!!

まま、供血関係の事は、いずれ…な

ちゃんと、理由あるんで

 

2012/08/28