櫻姫抄乱
 ~散りゆく華の如く~

 

 四章 虚実の馨り 20

 

 

さくらは、複雑な面持ちで茶室へ続く廊下を歩いていた

行きなれた道だというのに、そこに風間がいると思うだけで酷く緊張する

 

千景……

 

今でも思い出す

二条城でのあの言葉

 

 

 

 

   『お前など、もう 要らぬ』

 

 

 

 

さくらの前に突き付けられた、“拒絶”の言葉

最も恐れていた言葉

 

風間にだけは言われたくなかった言葉――――

 

そう思った瞬間、口元に自虐じみた笑みが浮かぶ

 

何をいつまでも――――

 

もう、あれは過去の事だ

過ぎ去った、“終わった”事

いつまでも、引きずっていてはいけない

 

忘れなくては―――

 

頭ではそう理解している

だが、心は―――

 

ぐっと、胸元を抑える

心臓の音が、いつになく煩く感じる

 

私は………

 

ゆっくりと……

ただ、ゆっくりと足を進める

 

顔を上げれば、そこには見慣れた風景

行き慣れた廊下

 

そう―――あの、角を、曲がった先に―――……

 

早く着いて欲しい様な、着いて欲しくない様な 不思議な感覚だった

 

ワタシ、は……

 

 

 

    どくん…っ

 

 

 

と、心の蔵がひときわ大きく鳴った

 

目の前にあるのは、見知った景色

見覚えのある、部屋

 

そして、その部屋の奥にいるのは―――……

 

ち、かげ……

 

風間…千景

 

「……………っ」

 

さくらは、息を飲んだ

言葉を失う

 

窓際で、腕を組んだまま窓の外を眺める風間の姿は、さくらが知っている風間そのものだった

あの時、二条城で別れる前の風間千景そのもの―――……

風間との想い出が、走馬灯の様の頭の中を駆け巡る

 

一緒…だわ………

 

一緒だった

ずっと、見てきた風間と一緒だった

すれ違う前の風間と一緒

 

「……………」

 

さくらは、また ぎゅっと胸元を掴んだ

心臓が、早鐘の様に煩く鳴り響く

 

どうしよう……

 

以前と一緒の風間が、酷く嬉しく感じる

 

その時だった

ふいに、窓の外を見ていた風間が、ふとこちらを見た

 

その仕草があまりにも自然で、思わずどきっとする

 

そして、風間の唇がゆっくりと音を紡いだ

 

 

 

 

 

    「さくら」

 

 

 

 

「……………っ」

 

名を呼ばれ、さくらは息を飲んだ

 

何度も何度も呼ばれた事がある筈の名なのに

何故か、初めて名を呼ばれた様な不思議な感覚に囚われる

 

部屋の前で硬直したままのさくらを不思議に思ったのか

風間が、訝しげに眉を寄せた

 

「……何を突っ立っている?さっさと、中に入って茶を点てたらどうなんだ?」

 

「え……?」

 

一瞬、何を言われたのか分からず、さくらがその真紅の瞳を瞬かせた

 

「“え?”ではない。お前は、何の為のここに来たのだ?茶室は茶を点てる為の場所であろう」

 

呆れた様にそういう風間の言葉で、ようやく言われる意味を理解した

さくらは、少し困惑しつつも室の中を見渡した

 

中央の炉には、シュンシュンと音を立てる湯の入った釜

その傍には、茶入に茶碗や茶筅など茶器一式

 

茶の湯の道具が一式、綺麗に並べて置いてあった

それも、さくらが愛用していた道具だった

 

お茶を点てろって事…よね? でも―――……

 

ちらりと風間を見る

風間は、相変わらず窓際に立って 腕を組んだまま外を眺めていた

 

「えっと……、千景は茶の湯は苦手なのだと思っていたのだけれど……?」

 

「ああ、嫌いだな」

 

きっぱりと、風間がそう言い切る

答えは、予想通りだった

 

では、何故……?

と、思ってしまう

 

今まで一度として、風間から茶を所望された頃などなかった

それを、何故今になって言い出すのか……

 

困惑気味のさくらを見て、風間がふーと大きく溜息を付いた

 

「嫌いな俺が、わざわざお前の点てた茶を飲んでやろうと言っているのだ。光栄に思うのだな。分かったら、さっさとしろ」

 

風間は相変わらずの傍若無人な口調でそう言うと、顎でしゃくる様に催促した

その態度が、あまりにも普段通り過ぎて

さくらは一度だけその真紅の瞳を瞬かせた後、くすりと笑ってしまった

 

「……分かったわ」

 

そう答えると、すっと茶室へ足を踏み入れた

 

あれほど躊躇っていたのに、不思議と自然に足が進む

そのままゆっくりと、茶釜の前に座ると風間を見た

 

「千景」

 

一言、区切ってから言葉を重ねる

 

「千景も座って?いくらなんでも、立ったままでは行儀が悪いわ」

 

一瞬、風間が顔を顰める

が、次の瞬間、小さく息を吐くと、そのままさくらの前に腰を下ろした

 

さくらが少し安堵する様に、表情を柔らかくさせた

 

目の前に座る風間は、目を伏せたままじっと茶が出されるのを待っていた

腕も組んでいるし、足も組み、正座している訳でもない

決して、行儀がいい訳ではない

むしろ、悪い

 

が、そんないつも通りの風間の仕草が不思議とさくらに安心感をもたらした

 

ゆっくりとした仕草で、さくらが茶器に手を伸ばす

そのまま、ひとつひとつ丁寧な動作で茶を点て始めた

 

ひとつ また、ひとつと手を動かすにつれて、不思議と心が落ち着いて行く

馴染みのある、“茶を点てる“という行為が、さくらの緊張を徐々にほぐしていった

 

ひと茶碗分用意すると、さくらはそれをスッと流れる様な仕草で風間の前に置いた

 

「どうぞ」

 

さくらがそう声を掛けると、風間がゆっくりと伏せていた目を開けた

真っ直ぐな赤い瞳が、さくらを見た後、そのまま目の前の茶に注がれた

 

風間はその茶碗を取ると、そのまま一気に飲み干した

そして、一言

 

「まずい」

 

相変わらずの風間の反応に、さくらが思わずくすりと笑みを浮かべる

 

「千景は、いつもそればかりね」

 

さくらがくすくすと笑いながらそう言うと、風間はふんっと鼻を鳴らした

 

「ふん、まずい物をまずいと言って何が悪い」

 

自分の点てた茶を否定されているというのに、不思議と嫌な感じはしなかった

それは、相手が風間だからだろうか……

 

ふと、あの時 西本願寺の屯所に来た風間の言葉が脳裏を過ぎる

 

『八雲 道雪の事を知りたければ、俺の元へ来い』

 

今なら、聞けるかしら……

 

さくらは、ごくりと息を飲み 風間を見た

 

「あの、ね、ちか―――……」

 

そう言い掛けた時だった

不意に、風間の赤い瞳がさくらの方に向けられた

一瞬、何かと思いさくらがその真紅の瞳を瞬かせる

が、それとは相反する様に風間の表情が徐々に顰められた

 

「千景?」

 

風間の表情の意とする理由が分からず、さくらが首を傾げた

すると、風間はあからさまに大きな溜息を洩らした

 

「最悪だな」

 

「え……?」

 

突然放たれた“最悪”の二文字に、さくらがますます首を傾げる

そんなさくらを見て、風間が益々顔を顰めた

 

「顔色が最悪だと言ったのだ。なんだ、その血の気の失せた様な蒼白な顔は。見るに堪えぬ」

 

そう言って、また深く溜息を付いた

 

「かお、いろ……?」

 

一瞬、何を言われたのか分からず、さくらが自身の顔にすっと手を伸ばした

 

今朝、鏡を見た時はよく分からなかったが…

そんなに、悪いのだろうか……?

 

確かに、最近はあの発作の頻度は多い

それに、ずっと飲まずに我慢している

 

良い方とは思えないけれど、最悪と言われる程悪いとは―――

 

そう考えている時だった

ふいに、風間がゆらりと立ち上がった

 

「どうやら、お前は やはり俺がいないと満足に体調管理ひとつ出来ぬらしい」

 

そう言うと、そのままさくらの傍までやって来た

そして、その場にしゃがむとスッと手を差し出す

 

「…………?」

 

目の前に差し出された手の意味が理解出来ず、さくらが首を傾げる

すると、また盛大な溜息が聴こえてきた

 

「ちっ、手間の掛かる奴だ」

 

風間はそうぼやくと、 差し出していた手をさくらの方へそのままの伸ばしてきた

 

一瞬、何かされるのかと思い、さくらがびくっと肩を震わす

が、その手はさくらの顔に触れる前に下に下がった

そして、そのまま風間の手が するりとさくらの着物の衿元から中に入ってくる

 

「あ……っ」

 

ぴくりっ…とさくらが身体を震わせた

 

だが、風間は表情ひとつ変えずに、するっとそこから“何か”を抜き取った

 

さくらが、はっとしてそれを見る

そこには、懐に収めていた筈のさくらの懐刀があった

 

風間は一言も発する事無く、器用に片手で鞘を抜き取る

 

「あ……、待………っ!」

 

さくらが止める間もなく、風間はそのまま自身の腕にシュッと刃を滑らせた

 

別段、驚く事ではなかった

今までも、風間はそうやってさくらの懐刀を使う時に、さくらの同意など確認した事など無いのだから

だが、今は―――……

 

じわり…と、刃を立てた先から赤い血が流れ出てくる

瞬間、どくんっと さくらの中で何かが鳴った

 

「あっ……」

 

瞬く間に、さくらの中を癒えない渇きが襲った

焼ける様な、喉の渇き

襲いくる眩暈

それを求める、貪欲なもう一人の己

 

満たされぬ気持ちが、苛立たしいほど高まっていく

 

何かが……

それを求める己が

早く、早くと神経を逆なでる

 

一気に洪水の様に押し寄せてきた“欲”が、それを更に加速させていった

どっと、身体中の熱という熱が溢れ出てくる

頭にもやが掛かった様に、くらくらして視界が定まらない

 

「――――ぅ……っ」

 

余りにも酷い渇望に、その場に座っていられなくなる

瞬間、ぐらり……と、身体が揺れた

 

倒れる―――

 

そう思って、襲い来るであろう衝撃に耐えようとした

が、予想していた衝撃は何故か来なかった

 

「あ……」

 

それは、直ぐに分かった

 

気が付くと、さくらは風間の腕の中にいたのだ

どうやら、倒れる前に風間に支えられたらしい

 

懐かしい……ずっと求めていた腕の中、だ

 

「ち…、かげ……」

 

さくらが、懇願する様にそう呟きながら風間を見た

 

自分でも何故そんな事をしたのか分からない

でも、それ以外出来なかった

 

すると、その反応に快くしたのか

風間は、満足気に口元に笑みを浮かべた

 

「ふっ…そうだ。そういう反応を待っていたのだ」

 

そう言って風間は目を細めると、優しげにさくらの髪を撫でた

それが、不思議と心地よい

 

だが、今のさくらにはそんな事どうでもよかった

 

目の前に流れ落ちる、鮮明な“赤”

ただ、その一点だけに意識が集中する

 

それが、欲しくて欲しくて堪らなかった

 

「そう急くな」

 

風間がそう言って、赤が流れるそれをさくらの前に差し出した

 

「…………っ」

 

さくらが、一瞬ピクッと反応する

ごくり…と、喉が鳴った

その“赤”から、目が逸らせなかった

 

ポタ…ポタ……と、流れ落ちる“それ”が、さくらの中の“何か”を貪欲に掻き立てる

 

“飲めばいい―――……”

 

“何か”が、心の中でそう囁く

 

“そうすれば、この渇きは癒える―――”

 

分かっている

 

この渇ききった喉も、醜い欲も、“これ”を飲めば楽になれる

 

―――分かっている

そんな事、十分理解している

 

 

 

けれど

 

 

 

「…………っ」

 

さくらは、小さくかぶりを振った

 

駄目……

もう、私には千景の血を飲む資格はない―――

 

“要らぬ”と、言われたのだ

拒絶され、必要ないと言われ―――私は“逃げた“

 

それなのに、今更、どんな顔して千景の血を飲めというの

そう思うも、身体は正直だった

 

欲しくて欲しくて堪らないと訴える様に、喉が焼ける様に熱く、呼吸さえ出来ない

全身に力が入らず、意識が遠くに追いやられそうだ

 

 

 

 

『欲しい』と―――……

 

 

 

 

    駄目……

 

 

 

 

ささやく

 

 

 

    駄目………っ

 

 

 

さくらは、何とか言うことの利かない身体を震わせ、ぎゅっと風間の着物の袂を握った

 

―――それが、意思表示だという様に

 

「……お、ねが……い………っ、その腕を…さ、げて―――……っ」

 

渇望する“それ”から、必死に目を逸らし、何とか声を絞り出す

 

今すぐ、目の前から消して―――

 

そう伝えたいのに、上手く言の葉に乗せられない

だが、さくらの言わんとする事が分かったのか、風間があからさまに顔を顰めた

 

「なに?」

 

先程の、優しげな声とは違う

その声音には、苛立ちが含まれていた

 

それでも、さくらは必死に言葉を連ねた

 

「おね、がい……よ……。ち、かげ……っ、そ、れを―――……」

 

「―――つまり、貴様はもう俺の血は口にしたくないという事か?」

 

底冷えする様な低い声に、さくらがはっとして顔を上げる

風間の冷徹なまでの赤い瞳と、目が合った

 

あ―――……

 

「違っ……」

 

「違う」と言い掛けた瞬間、突如身体をぐいっと乱暴に引っ張られた

 

「ちか……っ!!」

 

そのままダンッと床に押し付けられる

瞬間、ぐらりとまた視界が揺れた

 

「あ……ぅ……っ」

 

部屋中に充満する甘い血の匂いに、頭がくらくらする

喉が、更に渇きを訴えてくる

 

「違うだと?」

 

風間の低い声が室内に響いた

 

何とか目を開けると、目の前にある風間の赤い瞳とまた目が合った

さくらが、息を飲む

その瞳は、怒りとも悲しみとも取れる色をしていた

 

「ち、かげ……?」

 

「……何が、違うだと?」

 

 

千景……?

 

 

いつもの風間とは違う“何か”を感じる

これは、何……?

 

「あ、の――――……、……っ!」

 

言い掛けた言葉は、風間の手によって遮られた

不意に、血の流れる手が間近に迫る

 

「―――はっ、笑わせるな。この状況下で、貴様が血を飲まぬのが何よりの証拠ではないか。 つまりは、さくら、お前は俺の血などもう飲みたくないのだろう!?」

 

 

違う

そうじゃない

 

 

「そんなつもりは―――……っ」

 

「言葉ではいくらでも言えよう!結局、貴様はあの男以外からは、もう飲みたくないのだろう!!?」

 

「え……?」

 

一瞬、何を言われているのか分からなかった

 

「ち、かげ……?何の話を―――あ…っ」

 

ぴくりっ…と、さくらが身体を震わせた

いつの間にか、風間の血の付いた手がさくらの細い首にあった

 

「あ、あの……ちか―――っ」

 

また、ぴくりっ…と、さくらが身体を震わす

もう一方の手が、さくらの着物の衿元からするりと中へ侵入していた

風間の大きな手が、直に肌に触れてくる

 

「あ……っ」

 

さくらが、小さく声を洩らすのと、羞恥で頬を染めるのは同時だった

 

「あ、あの……や、めっ……っ」

 

「止めて」と言い掛けて、また言葉が詰まる

柔肌に触れる風間の手が、動いたのだ

 

びくりと、さくらが肩を震わせた

 

「あ……んっ、ち、かげ……っ………ぁ…っ」

 

さくらが、恥ずかしそうに頬を更に赤く染めた

それを見た風間が、にやりと口元に笑みを浮かべる

 

「ほぅ……良い声で、啼けるじゃないか」

 

そして、すっと血の付いた手で、さくらの唇に触れた

目を細めると、呟く様に

 

「そうだな―――このまま俺の物にするか。そうすれば、お前の性格からして、もう二度とあの男の元に帰れまい。そうであろう?さくら―――」

 

そう言って、くっと喉の奥で笑う

 

血の匂いで頭がくらくらした

身体に力が入らない

意識が朦朧とする

風間が何を言っているのかさえ、よく分からなかった

 

ふわりと、風間の顔がさくらの首元に近付いた

不意に、麝香の香りが辺りを漂う

 

 

違う……

 

 

あの人の香りじゃ……ない

 

脳裏をよぎる

漆黒の髪に、菫色の瞳の―――

 

そう思った瞬間、急激に意識が覚醒す

が、一瞬遅かった

風間の唇が、さくらの細い首に触れた

 

「っ……」

 

さくらが、ぴくりっと肩を震わせた

が、瞬時に今置かれている状況を理解する

 

慌てて抵抗する様に、風間の身体を押しやろうと手を伸ばす

が、それは直ぐに風間により遮られた

 

「あ、あ……っ! ま、待って……、千景……っ! 駄目……っ!!」

 

何とか、抗おうと手を動かし声を荒げる

だが、それは風間にとってさほど意味はなさなかった

 

さくらの小さな抵抗に、くっと口元に笑みを浮かべる

 

「俺の物になれば、お前の父に会わせてやるぞ?お前は、その為に来たのであろう……さくら」

 

「え………?」

 

今、風間は何と言ったか……

 

“父に会わせる……?”

 

「……………」

 

頭が混乱する

 

「どう、いう……意味なの……?」

 

思考が追いつかない

 

「どうとは?言葉の通りだが?」

 

おかしい……

 

「え……だ、って……それじゃあ、まるで―――……」

 

直接関わった事のない風間が容易に会わせられる程、近くにいる

それはつまり―――……

 

「お前の考えている通りだと言ったらどうする?」

 

 

 

 

―――道雪は薩摩に組している様ではないか―――

 

 

 

 

 

自分の導き出した答えが信じられなくて、さくらはとっさに口元を手で覆った

 

え……?

待って……っ

それだと、お父様が薩摩と手を組んだという事……?

 

で、でも……っ

今、薩摩は微妙な立場で…

表向きは佐幕派でも、実は討幕派で……

お父様が薩摩に手を貸すという事は、それは八雲家の総意で―――

 

「嘘よ……」

 

口から出た言葉はそれだった

 

「嘘よ……っ!」

 

さくらが、吐き出す様にそう叫ぶ

だが、風間は表情一つ変えずに、そのままさくらの耳の後ろを舐めた

 

「………あっ」

 

ぴくんっと、さくらが肩を震わす

 

「……鬼は約束は守る。嘘は言わぬ」

 

そうだ

風間はどんな時も、嘘は言わなかった

彼が口にするのは、真実だけ―――

 

だとしても、これは―――……っ!

 

「だっ…て……っ!八雲家は……一度として―――……っ」

 

「そうだ。八雲の鬼は過去一度として人には手を貸さなかった。かの関ヶ原の折も中立を保った。だが、変わったのだ―――道雪の手によりな」

 

変わっ、た……?

お父様の手で………?

 

風間の唇が、耳から首へ――

そのまま、いつの間にか露わになったさくらの白い肩へと移動する

 

「今では、道雪の意は八雲の総意。八雲の鬼は、いずれ幕府を――あの男の居る新選組を潰すのだ」

 

「……………」

 

そ、んな……

 

お父様が……

 

 

 

 

 

 

幕府の…新選組の“敵”――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ~~

土方さんのひの字も出てきませんでしたなー(笑)

うん、まぁ、意図的に言わせてないので仕方ないww

ええ…あえて、ちーには「土方」と言わせてないですw

 

ワザと、濁し中なの

この後の、展開の為にな

 

ちなみに、ちーの無理矢理血を飲ませようとする行為

これは、この先の某箇所(土方さんの絡みよv)の伏線…というか、予告?

なんですよーほほほほほ

まぁ、その前に散々発作起きてるしねー

極めつけのトドメにちーですv

 

2012/01/07