◆ 四章 虚実の馨り 18
「あーでも、安心したー!」
千姫が、「んー」と背伸びしながら言う
「安心?」
「うん。さくらちゃんが、ちゃんと恋してくれて!」
「え……?」
こい………
鯉……?
恋……?
”恋”
「え……?」
……………
……………………
…………………………
「ええ………っ!?」
さくらが、驚愕の声を上げる
恋って…恋って………っ
かぁっと、頬が熱くなるのが分かった
さくらが、慌てて首を振る
「あ、あの……っ!わ、私、恋…なんて……っ、その…してないと…思う、し。せ、千の勘違いよ…」
その言葉に、千姫が目を瞬かせるが、次の瞬間吹き出した
「な~に、言ってるのよ!あれだけ惚気ておいて、今更とぼける気?」
「べ、別に…とぼけてなんて……」
いないのだが……
「そ、それに、惚気なんかじゃ……っ」
「あーはいはい、違うのねー。で?そのさくらさんは、どうして恋じゃないって思うの?」
「え……?」
そう問われて、少し悩む
さくらは、視線を千姫から下に移した後、小さな声で
「その…違う、し……」
「何が?」
「……千景の時と…」
千姫が、首を傾げた
「……もしかして、風間の時と感じ方が違うから、恋じゃないって思ってる?」
「……………」
さくらは、小さくこくりと頷いた
「……その、千景と居る時は、安心するというか…ほっとする感じがしたの。 けれど、土方さんと居る時は、緊張するし、凄くどきどきする……」
触れられると、鼓動が早くなり、熱が走って頭が混乱する
風間の時と、全然違う
「だから、土方さんに恋をしている訳ではない」と言おうとした時
隣で千姫が腕を組んで「うーん」と唸った
「それは―――違うんじゃないかな? というか、むしろ逆?」
「逆?」
「そ、逆。つまり、風間に感じていたのが恋じゃなくて。 土方さんに感じているのが恋って事」
「え……?」
さくらが、驚いた様に目を瞬きさせた
「で、でも……」
「さくらちゃんは、確かに風間の事は好意的に見ていたのかもしれない。 でも、それは異性として見ていたんじゃなくて、そうねぇ~刷り込みみたいな感じかな? 雛が親鳥に好意を寄せる感じ」
「す、刷り込み……?」
「うん、そうだよ! だって、風間家に引き取られてずっと辛い思いをしていた時、声を掛けてくれたのが風間なんでしょ? そんな環境で、優しくされたら誰だってその人に懐いちゃうよ。 確かに、安心感はあるかもしれない。 でもね、勘違いしないで?それは、異性として“好き”なのとは違うのよ?」
「……………」
「異性として誰かを“好き”になるって、もっと沢山の感情があると思う。 その人の、少しの言葉や態度に一喜一憂したり、それこそどきどきしたり緊張したり。 そういうのを全部まとめて“恋”って言うんじゃないかな? 土方さんに感じている感情は、そういうものじゃない?」
「……それは…」
当たっている―――と、思った
当たっているだけに、言い返せない
土方の言葉や態度に、嬉しくなったり悲しくなったり
一緒に居れば、緊張するし、どきどきする
まるで、自分の身体ではない様におかしくなる
触れられると、そこから熱を帯びていく様で――—
その気持ちを、忘れられない
「ちなみに、私と一緒に居るとどう?」
突然、千姫が不思議な問いをしてきた
千と居ると……?
さくらは、少し考えた後、にこりと笑って
「……ほっとすると思う。それに、凄く楽しい」
その言葉を聞くと、千姫が嬉しそうに微笑んだ
「ありがとう、私もよ」
だが、この質問が何の関係があるのだろうか……?
さくらが首を傾げていると、千姫が口を開いた
「つまり、今の私達の間にあるのは友達としての“好き”。 それで、風間に感じていたのが――そうね、一番近いのは…家族としての“好き”かな? で、土方さんに感じているのが、異性としての“好き”。 どう?」
「……家族…」
さくらが、繰り返す様に呟いた
「うん。 まぁ、実際はもっと違うだろうけど、一番近いのはそれかな。 だって、幼い頃から、ずっと一緒に育った…は、違うかもしれないけど、居た訳だし。 そう思っても、おかしくないでしょ? むしろ、そう考える方が、納得いく」
「……………」
さくらは、呆気に取られた様に千姫の顔を見ながら、その真紅の瞳を瞬きさせた
「どうしたの?」
「え?あ、その……“好き”にも色々ある事に…少し驚いてしまって…」
「そうだよ?いっぱいあるよ。このお団子が好きとか、あの色が好きとか。でも、まぁ、大きく分けると二つかな?異性として“好き”なのか、そうじゃないのか」
「そう…なの……?」
「後は…そうね、両方とか。人としても異性としても惚れてる、みたいな?さくらちゃんの場合は――どっちかというと、これかな?」
人としても、異性としても―――
「……………」
異性としては置いておいて、人として土方が素晴らしい人なのは分かる
多分、惹かれているのだろう
でも―――
「……駄目、なのよ…」
千姫の言う事は正しいのかもしれない
もしかしたら、人としてだけではなく、男の人としても惹かれているのかもしれない
ううん、きっとそうなのだろう
けれど
「……たとえ、どんなに惹かれたとしても…私じゃ駄目なの」
神妙な面持ちでそう呟くさくらを見て、千姫が首を傾げた
「どうして?鬼だから?」
さくらが、小さく首を振る
鬼だとか、人だとか
きっと、土方はそんな事気にしない
「そういう意味ではなくて…私では、どんなに足掻いても土方さんの一番にはなれないのよ」
さくらが、寂しそうに微笑んだ
「あの人にとっての一番は、新選組で、近藤さんなの。 それは、見ていれば分かるわ。 鬼副長なんて呼ばれているけれど、本当は凄く優しい人なの。 その優しい人が、鬼なんて呼ばれる程、自分や隊を律しているのは、すべては新選組の――ひいては近藤さんの為。 私の入り込む余地なんて全然ないのよ」
「さくらちゃん……」
「だからね、あの人の傍に――ううん、お役に立てるだけで……それだけで、私は嬉しいの。 それ以上は求めるつもりはないし、願ったりなんてしないわ」
想って欲しいとか
触れて欲しいとか
思ってはいけない 求めてはいけない
「もし、本当に千の言う通りなのだとしても、私はこの気持ちをあの人に伝えるつもりはないし、ずっと心の奥に仕舞っておくつもり」
「……辛いよ?」
千姫の言葉に、さくらはにこっと微笑んだ
「そう…ね、辛いかもしれない。でも――それで、あの人の傍に居られるのなら、私は迷わずその道を選ぶわ」
言えば、きっと困らせてしまう
そんな迷惑掛けたくない
すると、千姫がはーと溜息を洩らした
「そっか…、まぁ、そこまで言い切られちゃぁ、これ以上は無理強いは出来ないなー」
「ごめんね?心配してくれたのに……」
さくらが謝ると、千姫は何でもない事の様に手を振った
「いいよいいよー気にしてない。まぁ、一歩前進出来たみたいだし?それで、満足かな」
「千……」
千姫が、ちょっと気まずそうに笑みを作る
「最初はね、ちょっと心配だったんだ。 ほら、新選組の評判って京じゃ散々じゃない? そんな所に居て、大丈夫かな?って。 まぁ、風間の元に居るのもどうかと思ってたけど。 でも、土方さんや、他にもいい人居るみたいだしね」
「え?他……?」
さくらが尋ねると、千姫は少し離れた場所にいる原田の方を目で指し示す
原田は、相変わらず柱にもたれ掛って、周囲に目を配らせていた
「……本当は、貴女に会わせてもらえないんじゃないかって思ってたんだけど。 貴女と知り合いだって言ったら、あの人 が“あいつ、最近、落ち込んでるみたいだから、少し気持ちが 明るくなる様な楽しい話をしてやってくれ”って」
「……そうなの…?」
という事は、原田はさくらが落ち込んでいるのに気付いて
そんなさくらを元気付ける為に、千姫に会わせてくれたのだろうか
そんな気遣いに、胸の中がじんわりと温かくなるのを感じた
が、その反面、申し訳ない気持ちにもなる
気を遣わせてしまったのね……
「あ、これは内緒にするって約束してたんだった」
千姫が、悪びれた様子もなくペロッと舌を出した
「でも、驚いたわー」
「え?驚いたって……?」
「うん。だって、元々さくらちゃんには用があって話をさせてもらうつもりだったのに、先に言われちゃったんだもの。まさか、そうくるとは思わなかったから……あ!」
千姫が、何かに気付いた様に声を上げた
「いっけなーい、忘れてた!元々、例の件の話をしようと思って、さくらちゃんを呼んでもらったのよ。ついつい、話が楽しくて本題忘れる所だったわ」
「あ……」
例の件という事は、以前千姫に頼んだ件の事だろう
「……話…という事は、何か分かったの?」
さくらがそう尋ねると、千姫は少しだけ声を下げ
「大きい声じゃ言えないんだけど…どうやら、さくらちゃんの読み通りみたい」
「え…?じゃぁ……」
「土佐が仲立ちして、同盟を結ぼうと思ってたみたい。薩摩と長州」
「え……っ!?」
同盟?
薩摩と長州が……?
「で、でも、待って。薩摩は一応まだ佐幕派じゃぁ…」
長州は尊攘派で、佐幕とは敵対している
普通に考えたら、同盟などあり得ない
「うん、“一応”ね。表向きはそうだけど、裏じゃ長州と繋がってた。そうじゃなかった?」
「それは……」
確かに、以前は長州の浪士を薩摩が庇っていた
藩邸に逃げ込んできた浪士を、何度も見た事ある
だが
「でもね、禁門の一件で薩摩と長州は凄く険悪な仲だったのよ?」
その二藩が、今更簡単に手を取り合うとは思えない
だが、風間が千鶴に言っていた事を思い出す
『鋼道はこちら側にいる。お前の父は幕府を見限った』
あの時の、“こちら側”とは薩摩であり、尊攘派―――なのだとしたら
もう、既に薩摩の上層部は倒幕に傾いている……?
「そこを、仲立ちしたのが土佐の坂本龍馬って人みたい」
「坂本…龍馬……?」
…………?
何かが引っかかる
「待って…。その名前…どこかで………」
聞いた様な気がする
だが、よく思いだせない
「んー結構色んな事してる人だから、聞いた事ぐらいあるかも。 あ、確か、幕臣の勝海舟って人が江戸へ召喚された時、弟子だった坂本さんを薩摩の家老の小松帯刀さんに託したとかなんとか聞いた事ある。 いつだったかなー? 禁門の後だから…十月ぐらいだったかな?」
「……小松様に…?」
禁門の後という事は、さくらはまだ薩摩藩邸に居た頃だ
「そういえば……一時期、凄く藩邸内が騒がしかったかも…」
あの時だろうか?
「でもね、この同盟は失敗したみたいよ」
「え?そうなの……?」
「うん。最初はね長州の桂って人が難色を示していたみたいなんだけど、その坂本さんの説得で一応了承してた感じだったの。 で、いざ長州で同盟って時に、会う約束をしていた筈の薩摩の西郷って人が現れなかったみたい」
「西郷様が……?約 束を反故にする様な人には見えなかったけれど…」
「実際は何か理由があったのかもしれないよ? まぁ、それで、益々長州は薩摩に反感持っちゃって…結局、同盟は結ばれなかったって訳」
「そう……」
ほっとした様に、さくらは息を吐いた
もし、薩摩と長州の同盟が結ばれていた場合、大変な事になる
恐らく、世論は一気に倒幕派へ傾くだろう
新選組は、京都守護職会津藩預の組織
つまり、佐幕派だ
禁門と長州征伐で痛手を受けた長州が、何をしてくるか分からない
そこへ薩摩が加われば……
ごくりと息を飲んだ
間違いなく 一気に、事態が動く
「安心するのは早いよ。この話には、まだ続きがあるの」
「続き?」
「うん。坂本って人は、まだ諦めてないみたいで、色々と動いてるみたいなの。だから、もしかしたら、今度こそ!っていう、可能性も無きにしも非ずって感じ」
「………千」
「分かってる。この件については、もう少し調べてみるから、ちょっとだけ時間ちょうだい」
「……ごめんね、何だか色々と手間掛けさせて…」
すると、千姫は何でもない事の様に首を振った
「ううん、大丈夫!こういうのは得意だから、任せて!」
「あんまり、無理はしないで。お願いだから、危なくなったら直ぐに手を引いてね」
さくらの言葉に、千姫がどんと胸を叩く
「大丈夫だって! 私には頼りになる護衛がいるし。 ちゃんと、危険だと思ったら深追いはしないから、安心して」
「……君菊さん…よね?元気?」
「うん、元気元気。今も、その辺に居るんじゃないかな?」
千姫の口調に、思わず笑みが零れる
ふと、千姫が何かを思いだした様に声を洩らした
「あ、一つ気になってた事があるんだけど……」
「何?」
ちらっと原田の方を見やり
「ほら、あの人が言ってた“落ち込んでる”って、何かあったの?」
「あ……」
千姫が何の事を指しているか分かり、はっとする
正直、言うべきか言わざるべきか迷う
きっと、言えば反対される
「………………」
さくらが迷っていると、千姫が覗き込んできた
「言いづらい事?」
さくらは一度だけ千姫を見た後、小さく息を吐いた
「……この間ね、屯所に千景が来たの。それで……お父様の事を知りたければ、自分の元へ来いって…」
「え!?」
「あの場には、土方さんや他の幹部の方も居たし、大事にはならなかったのだけれど…。でも、私は千景の言葉が気になって………」
「まさかとは思うけど……」
千姫の表情がみるみる険しくなっていく
「行く気じゃないでしょうね!?」
「……………」
さくらは困った様に、苦笑いを浮かべた
「………正直ね、迷ってるの。私、お父様が今どうしているかとか…全然知らないのよ…」
「何言ってるのよ!それぐらい、私が調べてきてあげる!!」
だが、さくらは小さく首を振った
「千には、色々迷惑掛けているし、これ以上は頼めないわ。だから……」
「じゃぁ、土方さんに相談したら?新選組って監察方とかあるんでしょ?」
やっぱり、さくらは首を振った
「そんな、私用で監察方の方々に頼む訳にはいかないわ。それに、土方さんに言ったら絶対止められるだろうし……そもそも、許可なんてもらえないわ」
土方が許す筈がない
間違いなく、止められる
それぐらい、さくらにだって分かった
すると、千姫が物凄い剣幕で怒鳴った
「まさか…黙って一人で行く気!?そんなの、罠に決まってるじゃない!!」
「でも…他に方法は―――」
「………分かった」
不意に、千姫が立ち上がった
「千…?」
「私も、一緒に行く!!」
「え……っ!?」
さくらは、慌てて立ち上がった
「ま、待って。駄目よ、千。千まで危ない目にあわす訳にはいかないわ」
「何言ってるのよ!さくらちゃんが、危ない目にあうっていうのに、黙って見過ごせる訳ないでしょう!?とにかく、私も行くから!」
「千!」
「よし、善は急げね。行きましょう!待ってなさいよー風間!」
そのままお代を縁台に置くと、千姫がずんずんと歩き出す
さくらは、慌てて追いかけた
「待って、千!駄目よ!せ…」
「あ!!」
突然、千姫が大声を上げた
いきなり止まった千姫の背にぶつかりそうになり、さくらも慌てて止まる
「良い事思いついたわ!」
千姫がぱんっと手を叩いて、くるっと後ろを振り返った
「ね、原田さんに付いて来てもらわない?」
「ええ!?」
さくらが、思わず驚きの声を上げる
そんなさくらに千姫は、うんうんと頷きながら
「女の子二人じゃ心細いじゃない。それに、丁度今は私達しか居ないんだし。原田さんには黙っててもらえばいいじゃない。ね?どうかな?」
「む、無理よ…。反対するに決まってるわ」
あの場には、原田も居た
風間の危険さも知っている
頷いてくれる筈がない
「そんなの言ってみなきゃ分からないじゃない。あ、ほら、原田さん来たよ」
言われてそちらの方を見ると、原田がこちらに向かって歩いて来ていた
おそらく、自分達が立ち上がった事で話が終わったと思ったのだろう
「どうした?話は、もう終わったのか?」
「あ…えっと……」
さくらが、困った様に視線を泳がせる
瞬間、どんっと千姫に肘で横をつつかれた
「…………?」
原田が、不思議そうに首を傾げている
さくらは、ちらっと原田を見た後、千姫を見て、また原田を見た
そして、最後には視線を下に向けた
「あ、あの……原田さん…」
「ん?どうした?」
「そ、その……今から行きたい所があるのですけれど…」
「行きたい所?何処にだ?」
さくらが、もう一度千姫を見る
千姫は、こくりと頷いた
「さ…薩摩藩邸に…」
ピクリと原田の眉が動いた
その表情が厳しいものへと変わっていく
「さくら…。まさかとは思うが…、あの時の風間の言葉を真に受けてるんじゃないだろうな?」
「………………」
さくらは答えられなかった
頭上で、大きな溜息が聞こえた
「お前な、罠だって思うのが普通だろうが…それを―――」
「し、知っているのは、本当…だと、思います。 ち、千景は…そういう嘘は言いませんから…」
さくらのその言葉に、また盛大な溜息が聞こえてきた
「仮にそうだとしても―――」
「駄目……ですよね…」
「当たり前だ。 そんな危険な場所に、みすみす行かせられるか」
「そう――ですよね……」
さくらが、うな垂れる様に視線を落とした
さくらのその反応に、原田が困った様に顔を顰めた
「あのな、俺だってお前の願いなら叶えてやりてぇけどよ…。 場所が場所なだけにな――……」
「あ、あの!」
不意に、千姫が口を挟んだ
「わ、私が、勧めたんです! さくらちゃん、凄く気になるみたいで…! 私も、一緒に行きますし 。彼女、土方さんにはどうしても言えないって言うから、なら原田さんに相談したらどうかって…。 も、勿論、私達二人で行こうっていうんじゃないんです。 原田さんにも同行して頂けると、凄く助かるんですけど…っ。 ……許可して頂けませんか?」
その言葉に、原田が苦い顔をする
「頼ってもらえるのは嬉しいけどよ、そういう聞き方は卑怯じゃなか?」
「卑怯なのは百も承知です。それで、同行して頂けるんでしたら、こちらとしては願ったり叶ったりですから」
「ふー」と原田が、大きく息を吐いた
「だが、俺は新選組の組長だぜ?中には入れねぇだろう」
「それなら、大丈夫です。私も、それなりに顔が利きますから。それに、さくらちゃんも居ますし、ね?」
千姫に促されて、さくらが頷く
「藩邸の者には知り合いも居ますし…、多分、大丈夫かと」
さくらと千姫が顔を見合わせる
そして、二人して原田に頭を下げた
「「お願いします」」
女の子二人に頭を下げられて、原田が困った様に頭をかいた
それから、盛大な溜息を付いて
「ったく、しょーがねぇなぁ…」
さくらと千姫がぱっと顔を上げる
「え? あ、あの……」
「女にそんな風に頭下げられて、断れる訳ねぇだろ。 ったく、お前ら俺の扱いよく分かってるぜ。これが、計算だったらとんだ曲者だな」
原田が、困った様に頭をかくのとは裏腹に、千姫が嬉しそうにさくらの手を取った
「やったー!良かったね、さくらちゃん!やっぱり、頼んでみるもんだよ!」
「え…ええ…」
それから、さくらは原田の方を見て、またぺこりと頭を下げた
「あの、ありがとうございます」
原田が困った様に、苦笑いを浮かべる
「いいって。いいから頭上げろ」
言われて、さくらがゆっくり頭を上げた
原田が観念した様に、笑みを浮かべて
「ただし、約束しろ。もし、少しでも危険を感じたら、絶対俺を呼べ。そして、引き返す事。いいな?これが守れねぇ様なら、この話はなしだ」
「わ、分かりました…」
さくらが頷くと、原田が「よし」と答えた
あ……
さくらが、ある事を思いだしてその動きを止めた
「あ、あの…!原田さん」
「ん?」
「そ、その……今回の件。土方さんには内緒にして頂けますか?」
その言葉に、原田が訝しげに眉を寄せた
「土方さん?」
「はい…。駄目…でしょうか?」
ただでさえ、色々抱えているのに
こんな事で、余計な心配など掛けたくない
原田は、少し考えた後
「分かった。言わねぇよ」
そう言って、ぐしゃっとさくらの頭を撫でた
「あ、あの、原田さん。あまりそうされると髪が崩れてしまいます」
「ん?おお、悪い悪い」
さくらの困惑気味な声に、原田がぱっと手を放す
「じゃ、敵陣の中に行くか」
原田の掛け声に、さくらと千姫が頷いた
やっと終わった……ガールズトーク( ;・∀・)
あー無駄に、長かったわ……
しかし、夢主は頑固ですね
頑なに、認めたがりません
うん、いいのいいの
予定通りだからww
や…でも、これ大丈夫??
変に、恋愛脳とかになってない?(それは嫌)
そこが、心配だよー
んで、例の件
まぁ、予想通りだと思うんですけど……薩長同盟ね
現段階では、まだ締結されてませんよー
初回の、失敗の時期です
あれ、締結するの年明けてからだから!
薄桜鬼だと、完全スルーネタなんですけどねーほほほ
という訳で、次回
薩摩藩邸へGOです
土方さんの出番は……あるかな?
微妙~
あ、名前ぐらいは出ると思うよ!
2011/05/04