言葉の題

 

 67:その腕に抱きしめて / 告白 

(マギ:『CRYSTAL GATE』より:シンドバッド) ※R-15

 

 

 

「………」

 

「………ン」

 

まどろみの中、誰かの声が聴こえてきた

とても、優し気で安心できる声――――――

 

「…………シン…」

 

ああ、この声は……

シンドバッドがゆっくりと重い瞼を開ける

そこには、愛しい彼女の姿があった

 

ストロベリー・ブロンドの髪に美しいアクアマリンの瞳が自分を映していた

 

「エリス……」

 

愛しい彼女の名を呼ぶ

すると、エリスティアは少し困ったように

 

「シン、疲れているのでしょう? もう、今日の仕事はいいから、休んで」

 

言われてシンドバッドは、執務中にうたたねをしていた事に気づいた

膨大な書類に判を押すという単調な作業に、うっかり眠くなってしまったようだった

 

エリスティアを見ると、残りの書類の整理をしていた

そんなエリスティアを見ていたら、ふと悪戯心が沸いてきた

 

シンドバッドは、ゆっくりと立ち上がると彼女に気づかれない様にそっと近づいた

エリスティアはそんなシンドバッドには気づく様子もなく書類に没頭している

 

このシンドリア王国の為に尽くす彼女も愛おしく感じる

 

「エリス……」

 

愛しい彼女の名を呼び、シンドバッドはそっと彼女の背後から抱きしめた

 

「きゃっ……」

 

急に背後から抱きしめられ、エリスティが驚いたような声を上げる

それがシンドバッドだとわかり、抗議の声を上げてきた

 

「ちょ、ちょっとシンっ、いきなり何を―――――――んっ」

 

不意に言葉を遮るかの様に、シンドバッドの唇が彼女のそれを塞いだ

突然の口づけに、エリスティアが困惑した様に、身体を強張らせる

 

だが、シンドバッドは構うことなく、抱きしめる手に力を込めた

 

「エリス―――――……」

 

愛しい愛しい彼女の名を呼ぶ

 

「あ……ん、ま、って…シン………」

 

どんどん深くなっていく口づけに、エリスティアが流石に何かに気づいたように身体を捩った

そんな彼女の姿すら、愛おしく感じる

 

「だめ、よ……んっ、こんな、とこ……で……」

 

言葉では駄目だと言っているのに、彼女の身体は正直だった

シンドバッドが彼女の纏っている蒼いドレスの合間からするりと手を忍ばせる

そして、彼女のそのふくよかな胸に触れた

 

「あ……ん………」

 

ぴくんっと、彼女が肩を震わす

だが、流石のエリスティアもこれには黙っていなかった

 

「だめ……だめよ、シン……」

 

「どうしてだ?」

 

くすりと、悪戯が成功した様な子供の様にシンドバッドが尋ねてくる

すると、エリスティアは かぁ…と、その頬を桜色に染めて

 

「だ、だって……誰か来たら―――……あ、んん」

 

彼女の口から、甘い声が洩れる

それに気分をよくしたのか、シンドバッドは更に彼女の胸の奥深くに手を潜り込ませる

流石に焦ったエリスティアがシンドバッドの手を掴んだ

 

むぅ…と、頬を膨らませて

 

「駄目だって、言っているのに……もぅ」

 

すると、シンドバッドはくすっと笑みを浮かべ

 

「馬鹿だなぁ…エリス。 そんな可愛く駄目だしされても逆効果だぞ?」

 

そう言って、またエリスティアに口づけする

 

「あ………」

 

エリスティアの可愛らしい唇から零れる甘い吐息に酔いそうになる

 

「シン………」

 

エリスティアが、潤んだ瞳でこちらを見た

シンドバッドはその瞳の意味をしっていた

自分を欲している瞳だと

 

あれだけ口では駄目だと駄目だと言っていたのに、彼女の身体はとても正直だった

くすっと、シンドバッドはその口もとに笑みを浮かべると

そっと、エリスティアの耳元で囁くように

 

「…一緒に部屋に戻るか?」

 

その言葉が何を意味するのか、分からないほどエリスティアも子供ではない

少し困惑した様にそのアクアマリンの視線を少し逸らすと、小さく頷いた

 

それを「了承」と取ったシンドバッドは何の躊躇いもなくエリスティアを抱き上げた

 

「あ………あの…っ」

 

流石に、それは予想していなかったのか……

突然、抱き上げられて、エリスティアが困惑の色を示す

 

だが、シンドバッドはさも当然の様に

 

「歩くの辛いだろう?」

 

「う……そ、それは………」

 

正直なところ、シンドバッドからの熱い口づけに、耐えられなくて、うまく歩ける自信がないのは事実だった

しかし、それとこれは別である

 

「シン、下ろして……だ、誰かに見られでもしたら……」

 

困る…と、エリスティアが言おうとした時だった

するっと、シンドバッドの手がエリスティアの足を撫でた

 

「あ…んんっ……」

 

びくっと、思わず反応してしまう

すると、シンドバッドはすべて見越したかの様に、くすっと笑みを浮かべ

 

「こんなに敏感になっているのに、歩けないだろう。 それに……」

 

そっと、シンドバッドがエリスティアの耳元で囁く様に

 

「こんな表情のお前を誰かに見られでもして、うっかり手を出されても困るからな」

 

「~~~~~~~~っ」

 

正倫なだけに、言い返せない

そんなに、自分は顔に出ているのだろうかと思うとなんだか恥ずかしくなり、シンドバッドをまともに見られない

 

「ほら、俺の肩に顔を埋めていたらいい」

 

もうここまできたら、それに従うしか道はなかった

エリスティアがシンドバッドの首におずおずと手を回し、顔を埋める

 

シンドバッドはくすっと笑みを浮かべた時だった

 

「シン、失礼しますよ」

 

不意に、執務室の扉をノックする音が聴こえたかと思うと、ジャーファルが入ってきた

ぎょっとしたのは、エリスティアだ

今のこんな状態の姿を誰かに見られるなんて…耐えられなかった

 

ぎゅっと、反射的にシンドバッドの首に回した手に力がこもる

それに気づいたシンドバッドは、くすっと笑みを浮かべ

 

「すまんな、ジャーファル。 追加の書類だろ? 机の上に置いておいてくれ」

 

そう、何でもない事の様に言い放つ

 

ジャーファルは「はぁ…」と答えながら、ちらりとシンドバッドにしがみ付いているエリスティアを見た

 

「エリス、具合でも悪いのですか?」

 

何気なくそう聞いてくる

すると、シンドバッドがエリスティアの髪を撫でながら

 

「ん? ああ……少し疲れが出ただけだ、少し休めばよくなる」

 

「はぁ……では、侍医の手配を――――」

 

そう言って、今にも呼んできそうに部屋を出ようとする

流石に呼ばれるとまずい

侍医にかかれば、疲れじゃないことなど一発でばれてしまう

 

「ジャーファル、そこまではしなくと――――」

 

「―――いい」という前に、ジャーファルがこちらを見た

そして、はぁ…と、ため息を洩らし

 

「シン…エリスの身体の事も少しは考えてあげてくださいよ?」

 

と、突然言われた

ジャーファルを見ると、呆れたような目でこちらを見ている

どうやら、すべてお見通しのうえでああ言ったようだった

 

「うーむ、これは一本取られたかな?」

 

などと、シンドバッドが冗談めかして言うと、ジャーファルは更に大きな溜息を洩らし

 

「お戻りの時間はお決まりで?」

 

「わからん!」

 

ジャーファルの問いに、きっぱりとそう言い返す、シンドバッドもシンドバッドだが…

ジャーファルに至っては、予想の範疇だったらしく…

また、大きな溜息を洩らすと

 

「………はぁ、わかりました。 この後のスケジュール調整はしておきます」

 

そう言って、確認する様にスケジュールの記したメモを見る

そして、最後に一言

 

「くれぐれも、エリスの身体に無理をさせないようにしてくださいよ? というか、さっさと世継ぎ作ってくだされば、楽なんですけどね」

 

などと言い出した、始末である

すると、シンドバッドは顔を真っ赤にしているであろうエリスティアの頭を撫でて

 

「ああ、楽しみにしててくれ」

 

と、答えたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

子作りを何故か、要望されるの図www

なぜ、こうなったwwww

 

ジャーファルには、なにもかもお見通しですね~~~(・∀・)ニヤニヤ

 

続きは、玖ノ題の 05:Ich liebe dich immer und ewig.

に続きまーす

 

(※こちらは、リクでした)

 

2020/04/11