言葉の題

 

 37:君に捧げる / この花束を 

(マギ:『CRYSTAL GATE』より:シンドバッド)

 

 

その日、シンドバッドは柄にもなく緊張していたのかもしれない

まさか、自分がこの程度で緊張するなど思った事なかったからだ

だが、今日は特別な日

緊張しない筈がない

 

ごくりと息を飲み 鏡を見る

 

いつも通り

自然体で行くぞ!

 

そう息を吐き、頷く

 

そして、シンドバッドはそれを持つと部屋を出た

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

王宮の廊下を歩き、目的の人物を探す

この時間ならば、恐らく1人で居る筈だ

 

そう思いながら中央の中庭に差し掛かった時、目的の人物を発見した

 

いた エリスティアだ

 

エリスティアは中庭の花の様子を見ながら歩いていた

周りを見ると、誰もいない

一人の様だった

 

絶好のチャンス到来!

 

シンドバッドは小さく頷くと、そのまま中庭に足を踏み入れた

そして―――――

 

「エリス」

 

愛しい彼女の名を呼ぶ

その言葉に反応する様に、エリスティアが振りかえった

そして、そのアクアマリンの瞳にシンドバッドを捕えると、嬉しそうに微笑んだ

 

「シン、どうかしたの?」

 

可愛らしく小首を傾げてそう尋ねてくる

シンドバッドはそれを背に隠すと、ゆっくりとエリスティアに近づいた

 

「シン……?」

 

いつもと違うシンドバッドの反応に、エリスティアが首を傾げる

だが、シンドバッドは気にせずにそのままエリスティアの前まで来た

 

「エリス――――俺は、お前を世界で一番大事だと思っている」

 

突然の告白に、エリスティアがそのアクアマリンの瞳を瞬かせる

 

「えっと…あの……?」

 

いまいち、シンドバッドの言う意図が読めなかったのか…

 

「お前を世界で一番愛していると言っているんだ」

 

「…………!」

 

流石のエリスティアもそれは理解出来たのか

次第に頬が高揚していくのが分かったのか、慌てて顔を押さえた

 

「な、なによ突然……そんな事言うなんて……」

 

恥ずかしいのか

エリスティアが真っ赤な顔を隠す様に、俯いていしまう

 

頬を赤らめたエリスティアは一層美しく見えた

そんなエリスティアが、愛しくてたまらない

 

「エリス―――――」

 

不意に手を伸ばすと、そのままエリスティアの腰を抱き寄せた

 

「あ……」

 

突然の抱擁に、エリスティアが動揺の色を示す

有無を言わさず、彼女の美しいストロベリー・ブロンドの髪に口付けを落とす

そして、そのまま瞼・頬・唇へとキスの雨を降らせていく

 

突然の行為に、流石のエリスティアも困惑した様に身体をよじった

 

「ちょっ…ちょっとシン、待っ……あ、ん…」

 

そのまま唇を奪われエリスティアがぴくりと肩を震わせた

 

「エリス――――」

 

甘く名を呼ばれ、エリスティアの抵抗しようとする力が徐々に奪われていく

どれくらいそうしていただろうか…

やっと解放されたエリスティアが叫んだのは言うまでもない

 

「もう! 突然なんなの!? シン、貴方は―――――「お前にプレゼントだ」

 

そう叫んでいた矢先、突然シンドバッドがエリスティアの前に、何かを差し出した

 

「え……」

 

突然目の前に差し出されたそれを見て、エリスティアはそのアクアマリンの瞳を見開いた

それは、真っ白な薔薇の花束だった

 

「え? な、んで……??」

 

急に贈られた花束に、エリスティアは困惑の色を示す

すると、シンドバッドはさも当然の様に

 

「今日はお前の誕生日だろう?」

 

「!?」

 

まさかの言葉に、エリスティアは目を見開いた

 

「え……シン…覚えていてくれていたの……?」

 

2人で決めた誕生日

生まれた日が分からないエリスティアの誕生日が無いのは俺が困る!

と、シンドバッドが決めてくれた日

そう―――それはバアルの迷宮でシンドバッドと初めて逢った日でもあった

 

エリスティアの言葉に、シンドバッドが微笑む

 

「当然だろう? 最愛のお前の誕生日。 忘れる筈ないじゃないか」

 

「シン……」

 

じん…と感動した様に、エリスティアが涙ぐむ

その時だった、花束の中に何か箱が入っている事に気付く

 

不思議に思い、その箱を取り出す

すると、シンドバッドは満足気に微笑むと

 

「開けてみろ」

 

「え? え、ええ……」

 

言われてその箱を開けるとそこには――――

 

「これ……」

 

濃い海の色の石のはめられたブレスレットが入っていた

エリスティアがシンドバッドを見る

 

シンドバッドはそっとそのブレスレットを箱から出すとそのまま、エリスティアの左手首にはめる

 

「似合ってる。 お前の瞳の色だ」

 

「シン……」

 

エリスティアがそのブレスレットに触れる

シンドバッドからの贈り物―――――

 

「ありがとう シン――――」

 

その時のエリスティアの笑顔は、今までに見た事ない位嬉しそうだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢主の誕生日の日にちは謎です

なので、バアルでシンドバッドと会った日と言う事にしておりまっす!

 

てか、マギのキャラは誕生日不明だよねぇ~~~~サディークにも載ってないしー( ̄ー ̄)

 

2015/08/05