言葉の題

 

 23:思い出の温度 / 失われた過去 

(CZ:『End of the World』より:神賀 旭)

 

 

End of the World

      -Endless Snow-

 

 

 

【-Episode 4-】

 

 

 

「梓………」

 

ふいに、名前を呼ばれ 梓がティーカップに紅茶を注ぐ手を止める

振り返ると、いつの間に来たのか…旭の姿があった

 

だが、なんだかいつもと様子が変だ

 

顔は笑っているように見えるが、無理しているのが見て取れる

梓は、持っていたティーカップを置くと、旭に近づいた

 

「旭…?」

 

そっと名を呼び、その頬に触れる

頬は冷たかった

 

いや、頬だけではない

手も身体も全部が冷たかった

まるで、何時間も冷たい雨に打たれていたような…そんな感じだった

 

梓は そっと旭の背に手を回すと部屋の中へと促した

だが、旭がそれを躊躇うように小さく首を振った

 

まるで、何かに怯えているようだ

一体、何があったのか……

 

「大丈夫だから…入って? このままでは、身体を壊してしまうわ」

 

そう言って、梓がもう一度部屋の中へと促す

今度は、観念したのか…旭は梓の言葉に従うように、部屋の中に入ってきた

そのまま、ソファーへと座らせる

 

梓は、ぱたぱたと淹れかけていた紅茶に温かいミルクをいれると、旭に差し出した

 

「旭、はい。 飲んで?」

 

そう言って、ティーカップを渡す

だが、旭はティーカップを受け取るだけで、飲もうとはしなかった

 

「旭……飲まないと、身体が温まらないわ」

 

そう言って、飲むように促すが…

やはり、ティーカップに口をつけようとはしなかった

 

「旭………」

 

このままではいけない

本当に、何があったというのだ

 

「旭……お願いよ…」

 

飲んで―――……と、言おうとした時だった

突然、手が伸びてきたかとおもうと、きつく抱きしめられた

 

驚いたのは、他ならぬ梓だ

突然の抱擁に、梓が困惑の色を示す

 

「ちょっ…あき、ら…痛っ―――…んんっ」

 

痛い―――……と、言おうとした瞬間、突然 唇を塞がれた

あまりにも、急な口づけに梓が困惑の色を示す

 

「あき――…んっ、ぁ………っ」

 

名前を呼びたくとも呼べない

口を開くだけで、そこから更に深く口付けられる

その口づけは、どんどん激しくなり

角度を変え、何度も何度も重ねられた

 

「梓……っ、梓――――……」

 

幾度も名を呼ばれる

まるで、梓の全てを求めるかのように―――………

 

だが、梓はそれどころではなかった

息さえままならなくなり、徐々に苦しくなってくる

 

「あき、ら………まっ……ぁっ」

 

゛待って゛と言おうにも、言葉にすらならない

息が出来ない

苦しい

 

あまりにも、激しい口付けに耐えられなくなり、梓がどん!っと、旭の肩を叩く

それで、はっとしたのか…旭が「あ……」と声を洩らした

 

やっと、激しい口付けから開放され 梓が 大きく息を吸った

 

それを見て、旭が「ごめん……」と、小さな声で呟いて、梓の肩に顔を埋めた

 

やはり、変だ

様子が、明らかにおかしい旭を見て、責める気にはなれなかった

 

梓は、そっと旭を抱きしめると

 

「どうしたの……?」

 

優しく、そう尋ねる

 

瞬間、旭の肩がぴくんっ と、震えた

それから、少し躊躇うように口を開きかけるが、また閉じた

その行為を何度か繰り返した後、ぽつりと旭が言葉を発した

 

「夢を……………」

 

「夢?」

 

そう尋ねると、旭が小さく頷いた

それから、ぎゅっと梓を抱きしめると、少し怯えたように

 

「梓………、梓は俺の前から急にいなくならないよね……?」

 

唐突なその問に、梓が一度だけそのライラックの瞳を瞬かせる

 

「旭………?」

 

「梓は、ずっと俺の傍にいてくれるんだよね……?」

 

まるで、幼子の様にそう尋ねてくる旭に、梓はそっと囁く様に

 

「貴方が必要としてくれる限りは、ずっと傍にいるわ……」

 

そう言って、ゆっくりと旭の背を撫でた

 

梓のその言葉に、旭が小さく「……ありがとう」と言うのだった―――――………

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

夢を―――見た

 

9年前、撫子が自分の前からいなくなってしまった時の夢を――――

 

正確には、いなくなったわけではない

生きてはいた

だが、実際は昏睡状態で――――

生きているのか、死んでいるのかすら、不確かな状態だった

 

怖かった

撫子をこのまま失うのかと思った時……

とても、怖かった

 

そして、彼女は二度と目を覚ましてはくれなかった

 

もし、梓もそうなったら………?

それも、自らの手で彼女の゛生゛を止めるのだとしたら………

 

考えただけでも、恐ろしい

 

でも、この手に残る

彼女の首に手を掛けた感触も

頬をつたう涙も

 

終わりを告げる゛鐘゛の音が鳴る音も

 

ずっと、頭から離れない―――――

 

 

ずっと…………

ずっと―――――……………

 

わかっていることだ

そう、全てはこの゛世界゛の゛崩壊゛を止めるため

 

俺は…………

 

俺は、自らの手で………

 

 

 

 

          梓を手に掛けなければならないんだ―――――……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらは、パソ子が壊れている時に書いた品でーす

スマホで打ったからな~文字数がよくわかりません(+・`ω・´)キリッ

短いかも・…しれん!! が、許してくださいね(∀`*)ゞエヘッ

 

と言うわけで…ちょっとずつ進んでますwww

 

2017/10/14