色彩の題 

 

◆ 02:白雪の花 / 降り注ぐ冷たい雪は 

 (刀剣乱舞 『華ノ嘔戀』より 鶴丸国永)

 

 

その日は、とても真っ白な“雪”が降っていた

 

この“竜胆の本丸”は、不思議な空間にあった

四季や、時間は現実の時間に合わせてあるのか――――現実と変わらない

しかし、“変わる”ものもあった

 

その一つが“雪”だ

この“竜胆の本丸”の特に強い結界の張られている場所は1年中 はらはらと雪が降っている

それと同時に、“桜”がずっと咲き乱れているのだ

 

“雪”と“桜”

相反する二つが重なり合う不思議な空間――――・・・・・・

 

最初は幻想的で摩訶不思議な空間だと思った

だが、それも少しずつ慣れてきてしまったのか・・・・・・

いつの間にか“当たり前”になりつつあった

 

しかし――――・・・・・・

 

はぁ・・・・と、沙紀は両の手に息を吹きかけた

今は、現実は「冬」だ

 

だからだろうか・・・・・・

いつも気温を感じないのに今日はずっと寒く感じる

 

今日の仕事は全て終わらせたし・・・・・・

少しだけ・・・・・・

 

そう思って、ゆっくりと縁側に出て目を閉じる

頬を撫でる冷たい風が、酷く心地よく思えた

 

そのまま、うとうとと眠りの淵へと落ちていったのだった―――――・・・・・・

 

 

 

 

 

 

*** ***

 

 

 

 

 

 

 

「ん?」

 

その日、鶴丸は内番だった

畑仕事は、やってみると戦闘の力を付ける事も出来る

よく考えられているものだと、最初は感心したものだ

 

ただ、普段の衣も「白一色」の鶴丸はどうしても汚れが目立つので

内番の後は、着替えるのが習慣になっていた

 

着替え終わって、廊下をふらふら歩いていた時だった

ふと、縁側の所で沙紀が眠っているのが見えた

 

「沙紀?」

 

外は雪が降っているというのに

沙紀は薄着のまま縁側で眠っていた

 

それを見た鶴丸は小さく息を吐くと

 

「ったく・・・・・・風邪でも引いたらどうする気だ?」

 

そう言いながら、そっと起こさないように沙紀に近づいた

直ぐそばまで来たが、起きる気配はない

 

鶴丸は半ばあきらめたかのように、沙紀の隣に座った

風よけ程度にはなるだろう

 

それから、羽織っていた着物を沙紀に掛けてやる

 

「ん・・・・・・」

 

沙紀が微かに動いた

一瞬、起こしてしまったか? と思ったが・・・・・・

その様子はなかった

 

だが、なんか見ていてそのうち横の壁に頭でもぶつけそうだったので

ぐいっと、沙紀の肩を抱くと自分の方に寄せた

 

直ぐそばにある沙紀の仕草が可愛くて、つい手を出したくなる

 

「沙紀・・・・・・」

 

少しだけなら、いいよな?

 

そう自分に言い聞かせると、鶴丸はそっと沙紀のその唇に口付けを落とした

一瞬、触れるだけの口付け――――・・・・・・

 

だが、沙紀は起きる気配はなかった

鶴丸の肩に寄り掛かる様に眠る沙紀を見て

鶴丸はまた小さく溜息付いた

 

「・・・・・・っとに、人の気も知らねぇで」

 

そう言った鶴丸は微かに、その頬が赤くなっていた

 

外は、白い雪がまるで花の様に はらはらと降っていた

 

 

 

そして――――・・・・・・

そんな日に縁側にいた二人が仲良く風邪を引いたのは言うまでもなく・・・・・・

 

それを見つけた、燭台切にこっぴどく怒られたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目指せ!! 今年中にリク全消化!!

とりま、一気に書いちゃいます

今日はこの後、刀ミュの「東京心覚」観まーすwww

 

 

 

2022.12.10