鈍感な恋愛10のお題

 

 07:片手で本を読む、その仕種が。

(マギ:『CRYSTAL GATE』より:練 紅炎)

 

 

 

ふとした瞬間に気付く

 

練 紅炎

彼はよく書を読んでいた

それも、主に歴史書を好んでいた

 

その中には古代語と呼ばれるトラン語も含まれており

それは、よく迷宮の中にも使われていた言語でもあった

 

トラン語は高等教育として王室ではよく教育されている言語でもあるが

スラスラと読めたり話せたりするものはそう多くはない

 

紅炎はそんな中の一人だった

 

暇な時間、空いた時間は基本的に書を読んで過ごす

それは、多忙な彼の唯一のゆとりの時間だった

 

だから、時折思う

そんな彼の貴重な時間に自分がいていいのか…と

 

エリスティアはそんな事を思いながら、紅炎の邪魔をしない様に大人しくしていた

 

片肘を付き、片手で頁を捲る姿はとても様になっていて、思わず見とれてしまう

あまりにもその姿が格好良く感じ、じっと見過ぎたのかもしれない

ふと、紅炎が頁を捲る手を止めてこちらを見た

 

「あ……」

 

紅炎の美しい柘榴色の瞳と目が合い、声が洩れる

 

「ご、ごめんなさい」

 

思わず謝って視線を反らす

何故、謝るのか自分でも分からないが、謝らずにいられなかった

 

すると、カタン…と音がした

はっとして顔を上げると、いつの間にか紅炎が間近に迫っていた

 

「……………っ」

 

思わず、飲んでいた茶を置き椅子の上で後退さってしまう

すると、紅炎はエリスティアの横に座ると、彼女の腰に手を回してきた

 

「あ、あの、炎っ」

 

突然の行為に、思わずエリスティアが声を上げる

すると、紅炎はくっと笑みを浮かべ

 

「なんだ、構って欲しかったのだろう?」

 

「ち、違っ……」

 

慌てて否定の言葉を発しようとした瞬間、その唇はあっという間に紅炎に奪われてしまった

 

「ん……っ、あ……」

 

突然の口付けに、エリスティアの肩がぴくんっと反応する

それで気分を良くしたのか、紅炎はぐいっと更にエリスティアの腰を掻き抱いた

 

「エリス――――……」

 

甘く、とろける様な声音で名を呼ばれ

エリスティアが「あ…」とまた声を洩らした

 

瞬間、口付けが深くなる

 

「………っ、あ…え、ん……待っ……」

 

「待って」と言おうとするが、声にする前に視界がぐらりと揺れた

 

どさ……という音と共に、気が付けば椅子の上に押し倒される形となっていた

それでも、紅炎からの熱い口付けは止まなかった

更に深く口付られる

 

「エリス――――このまま俺の物になるか…?」

 

囁く様にそう問われ、エリスティアがぴくんっと肩を揺らす

否定の言葉を発しようと、口を開いた瞬間だった

 

その言葉を塞ぐように口付けが更に深くなった

 

「ん……やっ……」

 

耐えられなくなったのか、エリスティアがぎゅっと紅炎の衣を握り締める

それが合図だったかのように、紅炎からの口付けが止んだ

 

「あ、はぁ………」

 

やっと口付から解放され、エリスティアがなんとか息を吸いこむ

不意に、こつんと額に額を当てられた

 

「え、ん……?」

 

不思議に思い、そちらを見る

紅炎の美しい柘榴石の瞳と目が合った

 

すると紅炎は、少しだけ目を細め

 

「そんなに俺の物になるのが嫌か?」

 

「………そういう、問題では……」

 

何と答えて良いのか分からず、エリスティアが言葉を濁した

はっきりし否定しなかったエリスティアに、気分をよくしたのか

 

「仕方ない、今回はこれで許してやろう…」

 

そう言って、紅炎が一度だけその額に口付けを落とした

その行為に、エリスティアが「もう…」と言いながら額を押さえる

 

ふっ…と紅炎は微かに笑みを浮かべ

 

「俺をここまでじらす女はお前が初めてだぞ…、エリス」

 

紅炎のその言葉に、エリスティアは申し訳なさそうに顔を顰め

 

「そ、そんな事言われても……」

 

そう言って、やはり言葉を濁らせた

それが可愛く見えて、許してしまうのは

やはり、紅炎がエリスティアに甘いからなのか

 

そんな事を思いながら、紅炎はエリスティアの髪を撫でた

 

愛しい 愛しい 彼女の願いだ

叶えない訳にはいかない…だろう?

 

だが、どうしても気になる事があった

だから―――――……

 

「エリス――――お前は、俺の事をどう思っているのだ?」

 

「え……っ」

 

瞬間、エリスティアの顔が強張る

が、かぁっ…と次第に頬が朱に染まって行くのが分かった

 

「そ、それは――――……」

 

「それは?」

 

エリスティアは、もごもごと口籠りながら

 

「その……さっき、本を読んでいたでしょう……?」

 

「ん…? そうだな」

 

「えっと…その、上手く言えないのだけれど……か、片手で頁を捲る姿は、その――――……」

 

「その?」

 

かぁ…と、エリスティアは更に頬を赤く染め恥ずかしそうに

 

「す、素敵だな…って………」

 

しどろもどろになりながらそう言うエリスティアに

紅炎が一度だけ驚いた様にその柘榴石の瞳を瞬かせたが

 

次の瞬間、嬉しそうに微笑んだのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あわわわわ~~~

収拾付かないかと思った~~~(^◇^;)

 

なんとか、片手で本を読む仕草ネタに繋げましたww

もー無理やりwww

 

2015/08/05