鈍感な恋愛10のお題
◆ 10:道は迷わせるためにあるのだ
(ワンピ:『MARIKA』より:エース)
白ひげ海賊団
巨大な海賊船、モビー・ディック号を操る
船長は四皇の一人、エドワード・ニューゲート 通称:白ひげ
大海賊時代の頂点に君臨する「世界最強の海賊」であり
かつて、海賊王 ゴール・D・ロジャーと唯一互角に渡り合った
“ひとつなぎの大秘宝”に一番近いと言われている男だ
その伝説的・怪物的な雷名は世界中に轟いていた
仲間を「家族」として何よりも大切に想い、船員のことを「息子」と呼ぶのだ
その息子たちの内
白ひげ海賊団1番隊隊長の名は、マルコ
パイナップルのような髪型をした細身の男で、胸に第2の白ひげ海賊団のマークを入れている
実力・人格ともに申し分ない白ひげ海賊団の事実上のNo.2である
異名は「不死鳥のマルコ」
そして――――…
白ひげ海賊団2番隊隊長の名は、ポートガス・D・エース
オレンジ色のテンガロンハットを被り、上半身裸にハーフパンツ・赤い首飾りを身に着けている
異名は「火拳のエース」
それは、そんなある日のエースに起きた出来事
****
エースの日課
それは、立ち寄った港町で花屋を巡る事だった
マルコやサッチ曰はく、「またか…」と言われているが、エースにとっては大事な事だった
幼馴染の彼女――――レウリアにあの日、再会の折には「蒼い花」を贈ると約束したのだ
何故、「蒼い花」なのかと皆は問う
それもそうだろう
「蒼」色は花の中では「奇跡の色」とされ「ある筈のない色」だからだ
でも、エースは信じていた
“偉大なる航路”にはきっとある――――と
鬼の子である、自分を愛してくれる彼女の為
そして、エース自身の為に「蒼い花」と決めているのだ
今日も今日とて、エースは初めて立ち寄った街で花屋めぐりをしていた
が……
「ここはどこだ?」
奥の方まで入り過ぎたのか…迷った
右を見ても、左を見ても同じに見える
オレンジ色のテンガロンハットを押さえながら、「う~ん」と唸る
これはいわゆる「迷子」という奴だろうか…
いやいや
と、エースは首を振った
「俺は立派な大人だぜ? 迷子だからって大人しく待ってるとか性に合わねェよ」
そう言って、道端の棒きれを見つけると、十字路の中央に置いた
そして、パッと手を離す
パタンッと…右側に棒が倒れた
「よし、右だな!」
そう言って、ずんずんと右側の路地に入っていく
少し歩いて行くと、間違ったか? と思い始めてきた
港に行くどころか、どんどん裏路地に入ってきている気がする
柄の悪そうな男達が、そこらにうろうろしているし
娼婦まがいの女もいる
「むー」
エースは腕を組むと、難しい顔で固まった
いっその事人に聞くか?
とも思うが、聞けそうな人物はこの辺りには居なさそうだ
どうしたものかと考えあぐねている時だった
「止めて下さい!!」
突如、助けを呼ぶ女の声が響いた
そちらの方を見ると、花売りの少女が柄の悪そうな男達に絡まれていた
「………………」
エースは、溜息を洩らすとオレンジ色のテンガロンハットを押さえて
「ったく…どこにもでああいうのはいやがるんだなァ」
とぼやいた瞬間――――
「リア! 今日と言う今日は一緒に来てもらうぜ!」
「は、離して下さい!!」
“リア”と言う声が聴こえてきた
え!? と思った瞬間、思わず手が出た
突然殴られた男の連れはぎょっとしてそちらを見るが、もう誰もいない
と思ったら――――
「嬢ちゃんが“リア”か…?」
「え…は、はい」
突然現れたエースに、少女がこくこくと頷く
「てめぇー!!!!」
男が殴り掛かってくる
「あ、危ないです!!」
リアという少女が叫ぶが――――エースは振り向く事すらせず、裏拳をかました
「んがぁ!!」
突然、顔をなぐられ男が「いてぇぇぇぇ」と顔を押さえる
「なんだよォ…一瞬焦っちまったじゃねェか」
はぁーと、エースが溜息を洩らした
だが、リアにはエースが溜息を洩らす理由が分からず、首を傾げている
「あの……」
「ん、あ、ああ、人違いだった。 知り合いと名前が似てたからよ、あいつが襲われてるのかと思って思わずてぇだしちまった」
悪いなと、エースがにかっと笑う
が、その後ろで男達が怒りマックスで立っていた
だが、エースは見向きもせずリアいう少女に話し掛けた
「なぁ、蒼い花って知らないか?」
「え、あの、今は…それ所では……」
「こっのオ!!!」
わっと二人が掛かりで男達が襲ってきた
瞬間、エースがはぁ…と溜息を洩らし……
「じゃぁ、おれは行くよ」
そう言って、二カッと笑うと突然立ち上がった
「がぁ!」っと男の顎にエースの頭がヒットし1人倒れる
「あ、そだ。 港ってどっちだ?」
「え、あの…あっち―――ですけど……」
「そっか、ありがとな!」
そう言って、右手を上げた瞬間――――「ぎゃぁ!」と、もう一人の目にその右手がヒットした
「お、覚えてろー!!!」
と男二人が去って行く
その様子を見る事もなく、エースはタンッと跳躍すると横の建物の屋根に飛び移った
「あ、あの! ありがとうございました!!」
突然、リアという少女がそう叫び
エースはお礼を言われる意味が分からず首を捻るが、二カッと笑って手を振った
そして、屋根をつたって港へと向かったのだった
***
「遅い!!」
やっと港へ帰って来たエースを迎えたのはサッチのその一言だった
エースは、「悪い悪い」といいつつ、何やら嬉しそうだった
「なんか、良い事でもあったのかよい?」
マルコがそう言うと、エースは「リアに会ったんだ!」
と言って、モビー・ディック号に乗り込んでいった
思わずマルコとサッチが顔を見合わせる
「リアって……」
「レウリア嬢? エースの彼女の」
ここで?
と2人は首を捻ったのは言うまでもない
エース迷子になるww
迷子も楽しい…かなぁ?
2015/08/05