君に花を贈る10のお題

 

◆ 02:にこやかに花束を抱く。 

(ワンピ:『MARIKA』より:白ひげ海賊団(エース)) 

 

 

「ふふふ~~~ん」

 

エースが花屋を覗いている

それも、凄く機嫌良さそうに

 

それを見ながら、一緒に街に上陸したマルコとサッチは溜息を付いた

 

「あいつ、また花屋覗いてやがる」

 

「エースが上陸する度に花屋を覗くのはいつもの事じゃねェかよい」

 

サッチの言葉に、マルコはくっくっくと笑みを浮かべながらそう答えた

そうなのだ

 

白ひげ海賊団 2番隊隊長ともあろうエースは何故か、上陸する度に必ずと言っていい程花屋を覗く

 

それは、今に始まった事ではなく

どうやら、白ひげ海賊団に入る前に組んでいたというスペード海賊団の時代かららしい

 

最初はもう不思議で不思議でならなかった

そんなに花が好きか!?

と、思ったほどだ

 

だが、どうやらそうではならしい

ある日、エースが言っていた

 

「蒼い花ってどこかにねェのかな…」

 

 

最初、その話を聞いた時マルコもサッチもげらげらと笑いとばしたものだから、大喧嘩になりオヤジである白ひげに止められたほどだ

 

だが、事情を聞けばどうやら、「蒼い花束」を渡すと約束した大切な女がいるという

その話を聞いた時、マルコもサッチも笑ってしまってすまなかったと謝ったほどだ

 

エースにとって、「蒼い花」は約束の証なのだった

 

だが、普通に考えて「蒼い花」は存在しない

 

「奇跡」や「神の祝福」とも呼ばれる「蒼い花」は品種改良でも難しいと言われているのだ

その花を何故贈ると約束したのか・・・・・・

 

普通に考えれば「不可能」に近かった

それでも、エースはどうしても「蒼い花」を彼女に贈りたいのだと言っていた

 

約束だと

大切な、“約束”なのだと言っていた

 

エースは言っていた

 

「世界は広い!“偉大なる航路(グランドライン)”にいけば蒼い花だってあるかもしれない!」

 

 

実際、蒼っぽい花はいくつか見つけた

だが、どれもエースの求める「蒼い花」では無かった様だった

 

「マルコ! サッチ!」

 

すると、赤い花の花束を抱えたエースが翔って来た

それを見たマルコとサッチはお互いに顔を見合わせた

 

「エース? どうしたんだそれ」

 

サッチの問いに、エースは一言

 

「なんか、知らねェけど貰った」

 

「いや、貰ったって……」

 

どうやら、花屋を凝視していたら花好きと思われたらしく

その花屋自慢の花を花束にしてくれたのだという

 

「どうするんだよ、それ」

 

海賊に花束

なんとも似合わない組み合わせだ

 

「おれのイメージとか言ってたぞ?」

 

「あー成程・・・・・・」

 

それで納得いった

確かに、エースのイメージなら赤かオレンジだろう

この花束はぴったりだ

 

それなら、何故その“彼女”には「蒼い花」と約束したのだろうか

 

「なぁ、エース」

 

「なんだ?」

 

「なんつったっけ…お前の女」

 

マルコの言葉に、パッとエースが少しだけ頬を赤らめた

そして慌てた様に

 

「ば、馬鹿野郎! まだ、おれのって訳じゃぁ――――」

 

「あーはいはい」

 

ご馳走様という風に、サッチとマルコが手を振る

 

「名前だよ名前」

 

「……リアだよ。レウリア! 忘れんじゃねェよ」

 

「あーそのリア嬢? 美人なのかよい?」

 

会った事のない人の女の名前まで覚えていられるか!

と思うと同時に、エースがここまで入れ込む女がどの程度なのか興味もあった

 

すると、エースは自慢げに

 

「美人だぜー! 村で一番だったな! こう銀髪でさ~ちょっと気が強くてーでも、可愛い所もあってよー」

 

放っておくと、このまま永遠とそのレウリアの のろけ話を聞かされそうだ

失敗したと思うと同時に、ある事に気が付いた

 

「銀髪・・・・・・? 珍しいな」

 

この世界で、“銀”の色を身体に持つ者は珍しい

それは、“精霊”に愛される為の絶対条件の一つだからだ

故に、“精霊”と交信出来るものは限られてくる

 

それぐらい、“銀”の色は希少色なのだ

 

すると、エースは自分の事の様に嬉しそうに

 

「リアは、“精霊操士”だからな。あいつの髪は本当にキラキラしてて綺麗なんだ」

 

そう言って、遠くを眺めた

 

そんな彼女に「蒼い花」を贈ると約束した

だから、それを絶対に捜して

いつか、渡すのだとエースは言った

そして、その時こそ自分の気持ちを伝えるのだと―――――

 

きっと、エースにとって「蒼い花」は自分へのケジメなのだ

海賊である自分に対してのケジメ

そして、エースの出自に対するケジメ

 

だから、安易に見つかる色では駄目だったのだ

故に、エースは「蒼い花」を探すのだ

 

 

      

     ――――――彼女に、レウリアに想いを告げる為に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エース…の話って、初めてじゃね?

だって、本編エースまだ出てないしww

 

サッチがまだ生きてた頃の話ですなー

マルコの話し方がなんか分からんww

 

2014/02/15