※こちらは、本編の内容を多く含みます

 完全ネタバレですので、閲覧の際はご注意ください

※「+」をクリックする事で詳細が見れます

 

 

◇ 任務:壱 「????」

発生日:天正7年7月    場所:丹波

政府からの入電:微弱な干渉を察知   難易度:Eランク(正確な難易度:特Aランク

 

部隊編成(政府の指示より)

部隊長:打刀・山姥切国広

以下:太刀・鶴丸国永、燭台切光忠、三日月宗近、打刀・へし切長谷部、短刀・薬研藤四郎

 

歴史的概要

織田信長配下の明智光秀が天正3年に丹波平定を命じられる

天正3年11月

まず最初に丹波氷上群黒井城・赤井直正を攻めるが

翌年1月、八上城の波多野秀治の裏切りに合うが――――

実の所、この二人は手を最初から結んでいた これにより、丹波攻略は失敗に終わる

その後、光秀は石山本願と天王山の戦い・雑賀攻め・信貴山城の戦いと各地で戦う

 

信貴山城の戦いが終わった、天正5年10月 光秀は再び、丹波攻略にとりかかる

まず、丹波東南部にある内藤氏の亀山城・八木城を奪取し、亀山城を丹波攻略の足掛かりとして整備

その後、船坂城・籾井城を攻めると同時に、内藤氏の旧家臣団を積極的に採用していた

 

天正7年3月 光秀は現状を打破すべく、亀山城より出陣

大軍をを持って、乾坤一擲の大攻勢に転じる

5月 八上城の支城・氷上城攻略

6月 八上城 陥落させ、城主・波多野秀治兄弟を捕縛

7月 軍を反転させ、宇津城・弓木城を攻略する

8月 黒井城の赤井忠家が降伏(この時点で、赤井直正は既に病死)

10月 丹波平定

 

<それ以外の出来事>

◆ 天正6年10月 光秀の三女・玉子(洗礼名:ガラシャ)が、細川忠興が小竜寺城で結婚

※これは、信長の構想に基づく命令による婚姻であった

◆ 天正7年6月 光秀は自身の母親・お牧を人質として八上城に預け、

秀治ら三兄弟の身の安全を保証したうえで降伏させた

だが、波多野三兄弟を安土に連行したところ、光秀の助命という意向は完全に無視される

結果、信長は秀治ら三兄弟の磔刑を命じ安土城下で刑を執行

それを知った波多野氏の家臣は、ただちに人質だった光秀の母を殺害した

※これは、光秀の兵粮攻めで籠城していた兵卒は完全に疲弊していた為、八上城の落城は目前だった

故に、母親であるお牧を人質に出す必要性はなかったと言われている

 

 

本丸《竜胆》対応概要

沙紀が本丸に着任後、最初に政府より宛がわれた「初任務」

※本来であれば、本丸着任の前に、”華号”の授与式が行われる

しかし、政府上層部に根付く”三老”の指示により、その事は伏せられたまま本丸へと異動となった

 

◆ ”華号”とは:”審神者”就任と同時に、その”本丸”と”審神者”に与えられる”号”=名前であり、

”華号”を与えられて、初めて”審神者”は”審神者”としての力を行使することが出来る様になる

沙紀に授与される予定の”華号”は”竜胆”と決まっていた

 

だが、沙紀の場合、”華号”の授与式は未だ行われていない

その上での、「初任務」となる

※つまり、”審神者”としての力は未だ発現されていない

”鍛刀”や、時間遡行軍との戦闘で見せた力はなど全て沙紀の持つ、”神凪”の力であると推測される

 

「任務」は難易度によってランク分けしてあり、対応する”審神者”も、”見合ったランク”の者が担当する

しかし、実はこの「初任務」は異例の「特Aランク」の「任務」だった

しかも、この事は沙紀達には伏せられており、あくまでも、「初任務」に見あったランク(Eランク)のモノとして通達が来た

 

全ては”三老”の思惑だった

小野瀬は”三老”に抗議したが、受け入れてもらえず 梨の礫状態だった

その時、たまたま政府機関を訪れていた、国で5人しかいない「特SSランク」の”審神者”である ”睡蓮の本丸”の審神者が

冗談で「大包平を貸す」という言葉を、冗談で済まさずワザととぼけた振りして大包平を”睡蓮の審神者”から、引き離すと

そのまま、沙紀の本丸に転送した

あくまでも、「助っ人」という名目で

 

また、「政府の入電」の内容をみて不審に思った鶴丸は、即座に小野瀬に連絡をしている

その間に、小野瀬が送った大包平が 沙紀の”本丸”に転送されてくる

何者かの”侵入”を結界が察知した為、沙紀達が転送装置に向かうと――――そこには大包平がいた

そして、何も知らされていない沙紀達には、大包平が何故ここにいるのかも分からなかった

その為、大包平が不快に思い帰ろうとした所――――何故か、転送装置が”ある地点”にロックされており

それに巻き込まれて、大包平・一期一振・沙紀の三人だけがどこかへ飛ばされてしまう

 

事実を知った鶴丸は、すぐさま全員に「出陣用意」をする様に伝達すると、政府本部へ1人乗り込んだ

後に、鶴丸の機転と対応により、部隊を3つに再編成後、2部隊を「予想で出た地点」に送る

 

 

各部隊の動向:審神者・大包平・一期一振

辿り着いたのは、見知らぬ森の中だった

だが、大包平が時間遡行軍の気配を察知、すぐさま向かうと・・・・・・幼い少女が襲われていた

少女を助けると、彼女は「兄」とはぐれたのだと言う

少女の兄を保護すると同時に、周りの時間遡行軍を一掃する

兄の名は「十五郎」、少女(妹)の名は「玉子」

彼らこそ、後の「明智光慶(明智光秀の長男)」と、「ガラシャ(明智光秀の三女)」だった

十五郎の是非という言葉に断りきれず、沙紀達は明智光秀の居城・亀山城に行くことになる

が――――大包平があることに気付く

それは、「本当の歴史」では十五郎が弟で、玉子が姉でなくてはならない

つまり―――――「この時代は既に歴史が変わっている」と

 

「歴史が改変された世界」――――それは、政府上層部しか知らない「放棄された世界」だった

厳重に、封印された空間の筈が、そこへ沙紀達は落とされたのだ

それは、明らかに「意図的に」操作された事だった

年号は、同じ「天正7年7月」

本来の歴史であれば、「玉子(ガラシャ)」は既に細川忠興に嫁いでいなければならない

つまり、この「放棄された世界」には、「細川ガラシャ」が存在していないのである

 

大包平は、まずは「本丸」と連絡する事、そして、この空間から脱出する事を第一優先にするべきだと言う

このまま空間を閉じられたら、「ここ」から出られなくなるからだ

そんな時、明智光秀が礼と称して、面会を求めてくる

沙紀達は、なんとか先延ばしにしようと試みたが、少ししか時間を稼げなかった

 

仕方なく、明智光秀と面会する

そして、そこで光秀にある「頼み事」をされる それは―――――・・・・・・

沙紀に「玉子」の代わりに「明智の姫」として、細川忠興に嫁いでほしいというものだった

 

そんな折、自分のせいで皆が今の状況になってしまった事を知ってしまった沙紀

沙紀は泣きながら謝るが、誰も彼女を責めたりはしなかった

その優しさが、余計に沙紀を苦しめる事となる

そして、翌朝――――事態は一変する

 

沙紀が1人宛がわれた部屋で目を覚ますと、侍女達がやってきて

何故か皆が沙紀の事を「姫様」と呼ぶのだ

不審に思った沙紀は、慌てて部屋を飛び出そうととするが――――そこへ見知らぬ青年が現れた

そして、沙紀に向かって「姫」と彼も言うのだ

不安に思った沙紀は直ぐさま部屋を飛び出す

しかし、城は巨大な迷宮になていて、どこをどう走っていいのか分からない状態になっていた

 

逃げても、逃げても追ってくる青年のせいか

身体がどんどん動かなくなっていく沙紀――――・・・・・・

そんな沙紀に、青年の魔の手が伸びていた

 

一方――――・・・・・・

大包平と、一期一振は目を覚ますと何故か、地下牢に閉じ込められていた

そして、そこへ昨夜面会した「明智光秀」が姿を現す

明智は「沙紀殿は、明智の姫になる事を承諾された」と言うのだ

信じられない、二人が光秀を問い詰めようとすると

後ろに控えていた兵が大包平と一期一振に槍を向けた そして――――・・・・・・

光秀の手には刀の「大包平」と「一期一振」があった

そして――――牢に捕らえている大包平と一期一振を兵に「始末しと」と命じたのだ

しかし、大包平と一期一振がそんな雑魚兵にやられる筈もなく

明智がその場から去ったと同時に反旗を翻した

あっという間に、兵たちの武器を奪いその場を制圧すると、そのまま地上へと出た

しかし――――そこで待ち受けていたのは迷宮化した城だった

 

その頃沙紀は迷宮化している城の中を、自ら「細川忠興」だという青年から逃げていた

だが、そんな時地下から上がって来た明智と鉢合わせする

沙紀は明智に助けを求めようとするが――――明智の手には、ある筈のない「大包平」と「一期一振」があった

「明智様・・・・・・? その刀をどこで・・・・・・」と、というと、明智は薄く笑みを浮かべ

「これかい? これは、少し邪魔だった羽虫を始末しただけだよ」と答えた

愕然とする沙紀

しかし、事態はそれだけでは済まなかった 明智の瞳が怪しく赤く光っていたのだ

そして彼は、あろうことか沙紀を追っている「忠興」と名乗るし青年に

「ああ、どうだろう細川殿。 このまま姫を今宵は傍に置いては――――きっと、心地よいと思うよ」と提案する

瞬間、「朝」だった世界が一瞬にして「夜」に変わる

一体何が起きているのか・・・・・・

沙紀には、先ほどから「ありえない」事ばかりで、頭が追い付かなかった

だが、そんな沙紀の気持ちなど無視して「忠興」と名乗る青年が沙紀をそのまま抱きかかえると、そのまま傍にあった寝所に連れ込まれてしまう

「ご安心ください。 最初は痛いだけで――――すぐに気持ちよくなりますよ」

そう「忠興」と名乗る青年は沙紀に語りかけながらその手を、沙紀の身体へと伸ばしてきた

声も痺れせいか出せない沙紀は、必死に心の中で鶴丸を呼ぶ

しかし、「忠興」には関係ないとばかりに、沙紀の頬に顔を寄せると,舌で這う様に彼女の頬を舐めた

なんとか抵抗の意を示すが、青年が触れる箇所から痛みが全身にどんどん広がっていく

まるで“毒”が身体に徐々に浸透していくようで―――――

「ああ・・・・・・やっと、貴女を僕のものにできるなんて――――・・・・・・」

そう言いながら、うっとりと顔を恍惚に見入った様に顔を歪ませた

「姫・・・・・・この瞬間を待っていました」

知らず、泣きたくないのに涙が溢れ出てきた

悔しくて、悲しくて、辛くて―――――申し訳なくて・・・・・・

だが、そんな涙を流す沙紀を、青年が愛おしそうに触れてくる

「貴女の全てが、僕の物になれば――――」

口唇が、触れるか触れないかの距離で彼が囁く

「貴女は僕を、愛してくださいますか?」 ―――――と

 

瞬間、視界がぐにゃっと崩れたかと思うと、一等低い声が部屋の中に響いた

突然伸びてきた刀の刃が青年の頬をかすめる それは――――沙紀が焦れて焦れて止まなかった鶴丸国永

そのひとだった――――・・・・・・

鶴丸は沙紀と「忠興」の間に割って入ると、「忠興」を蹴り飛ばした

沙紀が声を出せないぐらい「忠興」の「毒」に侵されている事に気付くと、鶴丸は持っていた「解毒剤」を沙紀に口移しで飲ます

そして「忠興」の方を見て「貴様の正体は分かってんだ――――さっさと、その姿を現したほうが身のためぜ」と言い放つと

「忠興」と思われた青年の姿がどんどん変わっていき――――巨大な土蜘蛛の姿に変わったのだ

だが、しょせん土蜘蛛 鶴丸の敵ではなかった

鶴丸はその土蜘蛛を激闘の末 ぶった切ると、そのままとどめを刺した

 

鶴丸は、沙紀を抱き上げるとすぐこの時空から脱出しようとするが、沙紀が慌てて止めた

何故ならばまだ大包平と一期一振が何処にいるのか分からないからだ

そして、試しに廊下を見るが相変わらず迷宮化した城のままだった

つまりあの土蜘蛛はこの時空間の「ボス」ではないのだ

こんのすけにMAPをださせるが、時間経過と共にMAPもどんどん変化していってる様だった

 

こんのすけの調べる限り、この迷宮のボスは「明智光秀」だと判明する

しかし、その「明智」が人間かどうかは、分からないという

もし、ボスが「明智光秀」だった場合、倒すと同時にこの時空間は崩壊する恐れがあった

なので、その前に大包平と一期一振と合流しなければならなかった

 

同時刻――――大包平と、一期一振が、迷宮内をさまよいつつ、襲ってきた土蜘蛛を斬り捨てて進んでいた

本体を呼び戻せは楽なのだが、それすなわち「明智」に自分たちの生存を知らせる事となる

その為に、兵が使っていな「ナマクラの刀」で対応していたが―――――

ふいに、土蜘蛛の動きが鈍くなった

瞬間、大包平が鶴丸の気配を感じる――――そう、鶴丸がこの時空間に来た証だった

「おそらく、沙紀の元に直接降りた可能性が高い。 この気配を辿れば―――――」その先に、沙紀がいる!

 

一方、沙紀達は土蜘蛛を倒したのもつかの間。「明智」が放ったと思われる地蔵行平の襲撃にあっていた

だが、その地蔵の瞳には色は無く、鶴丸曰はく「無理やり別の力で顕現させられている」のだという

その為、沙紀に地蔵の顕現を遮断しろと言う

それはつまり、「刀解」ではなく「顕現を解く」=「刀に戻す」という事だった

その為には、「力の根源」を先に見つけないといけない

沙紀は、鶴丸が押さえつけている地蔵に近づくと、それを辿った それは「黒い霊力」だった

沙紀は根源を見付けると、祓詞で一気に地蔵からその「黒い霊力」をはじき出した

そのまま地蔵苦しみながら「刀」の姿に戻る

ほっとしたのもつかの間

突然、辺り一帯の時空がぐにゃりと歪むと、ばりばりばり! と言う音と共に、何かが時空の壁を捻じ曲げようとする気配が起こった

時間遡行軍が“時空の穴”から出現したのだ

それも、1体や2体と言うレベルではなかった 何十体~何百体と言う時間遡行軍が開きっぱなしの穴から降りてくる

直ぐに、鶴丸が応戦に入るが、数が多すぎた

一瞬の隙を付いて、時間遡行軍の1体が沙紀めがけて襲い掛かってくる

鶴丸が叫ぶんが、間に合わない

防御壁を展開する余裕すらなかった

斬られる―――――そう思った時だった

突然、

目の前まで迫っていた時間遡行軍の大太刀が、そのぼろぼろの刀を振り上げた姿で固まっていた

そして、そのまま赤い瘴気を放って消えていったのだ

何が起きたのか、沙紀にはわからなかった

ただ、その場所には「見覚えのある」太刀が一振刺さっていた それは――――

「――――主、待たせた」

ふわりと、桜が舞うかの様にその場に三日月宗近が現れた

そして、唖然とする沙紀に三日月はある物を渡す

それは、先の場所で秀吉から譲り受けた「鬼丸国綱」だった

そして――――

「こやつと、どう使うかはお主が決めよ」とだけ、告げて鶴丸が戦っている方へと向かっていった

残された沙紀の手には「鬼丸国綱」があった

それはつまり、顕現させるか否かと言う事だった

だが、懸念があった

この場で「鬼丸国綱」がここにあるのは史実ではない

それをこのまま顕現させてよいものか・・・・・・

でも――――・・・・・・鶴丸を、皆を助けたい その一心で顕現させる道を選ぶ

現れたのは、白銀に近い短髪に、血を思わせる赤い切れ長の瞳をした男だった

そして、左目に眼帯をしており、その部分からは鬼のような角が一本生えている

鶴丸はすかさず、沙紀の元へ行くと鬼丸に三日月の加勢を頼む

そして、沙紀にあの上空に開きっぱなしの“時空の穴”を閉じる様に言うのだった

その為に、サポートする――――と

 

―――――一方、丹波・亀山城:迷宮廊下内

土蜘蛛が消えたと思ったら、今度は時間遡行軍が現れた

流石に奴ら相手に、「ナマクラの刀」では応戦が難しく 大包平と一期一振は苦戦を強いられていた

その時だった

突然、空間に亀裂が入ったかと思うと、桜が一気にざああああっと舞った

警戒する大包平だったが――――

そこから現れたのは、三日月と行動を共にしている筈の、燭台切光忠と大倶利伽羅だった

 

 

 

各部隊の動向:山姥切国広・薬研藤四郎・髭切・膝丸

部隊長:山姥切国広 以下:薬研藤四郎・髭切・膝丸で編成された

送り先は「天正7年7月 丹波」

 

丹波の町中に到着早々、時間遡行軍の無差別にも見える大軍の襲撃に合う

この時、髭切、膝丸に住人の避難、薬研と山姥切国広だけが残って対応するが・・・・・・

突然、時間遡行軍がある一点に攻撃を集中しだす

そこにいたのは、若い女が1人と、彼女を庇うようにする年配の女性1人だった

すぐさま、山姥切国広が時間遡行軍と彼女達の間に入る

山姥切国広は、薬研に2人の保護と避難を託し、ひとりその場に残った

 

薬研が、避難を終わらせた髭切と膝丸と合流後、町に戻ると――――

時間遡行軍の姿はなく、山姥切国広が血だらけで倒れていたのだった

 

山姥切国広は意識が朦朧とする中、何とか一命を取り留めてはいたが、かなりの深手だった

薬研が応急処置はするが、一刻も早く「本丸」へ帰って「手当」しなければならな程だったが

戻っても、沙紀がいなくてはそれは叶わない

それに、それを提案しても山姥切国広が従うとは思えなかった

 

時間遡行軍は何故、山姥切国広にとどめを刺さなかったのか――――

そして、奴らが狙っていた女たちは何者なのか―――――

 

そんな時、あの時助けた女の1人が話しかけてくる

山姥切国広に礼を言いに来たというのだが、もう1人の「お嬢様」と呼ばれていた女は緊張のせいか中々言葉を発せなかった

そんな時、見兼ねたもう1人の若い女が現れて、自分の名を「市」、後ろで緊張している女を「玉子」だと名乗った

そして、山姥切国広を休ませるために自分達が今世話になっている場所で養生されては如何かと、提案してきたのだった

 

翌朝、山姥切国広は気が付くと見知らぬ場所にいた

辺りを見合わせど薬研達もいない

重い身体を起こそうとした時、遣戸を開けに来た1人の侍女が山姥切国広に気付く

山姥切国広がここが何処かとというと、侍女は「小竜寺城」だと言った

それは、細川忠興の城だった

 

「小竜寺城」の薬師に「三カ月は絶対安静」と言い渡されるが、即却下する山姥切国広

心配した市が「無理はしない方がいい」というが、そういう問題ではなかった

そこで薬研が、市に山姥切国広と話があるので――――と人払いを頼む

山姥切国広・薬研・髭切・膝丸の四人だけが部屋に残ったのを確認すると、薬研はとんでもない事を言い出した

山姥切国広に「ここの城主の奥方(玉子)の気を引いて欲しい」というのだ

すべては、山姥切国広に惚れた玉子と、山姥切国広を休ませて自分達3人で調べられる所まで調べる為だった

そして、時間遡行軍に狙われているでろう「玉子」を守る為でもあった

 

玉子と二人部屋に取り残された山姥切国広は何を話していいのかさっぱりわからなかった

すると、玉子はある事を呟く

「あの・・・、“沙紀様”というのは・・・・・・国広様の恋人様・・・で、しょう、か?」

その言葉に、一瞬言葉を詰まらせてしまう山姥切国広

まさかそこで沙紀の名が出るとは思わず、反応が取れなかったのだ

そんな山姥切国広を見て、玉子はしょんぼりと肩を落とし

そんな風に山姥切国広に思われている沙紀が羨ましいと呟いた――――そう、まるで自分は違うとでもいう様に

なんとなく、その言い方に違和感を感じ取り、山姥切国広が首を傾げる

すると玉子は寂し気に「祝言の日まで、忠興とは一度も会ってないし、文のやちとりもなかったのだ」と言う

「―――――それなのに、愛されているなんて・・・思えますか・・・・・・?」

そう玉子は寂しそうに呟いた

 

一方、山姥切国広以外の三振は小竜寺城・城下で聞き込みをしていた

そして、集合場所で落ち合った時、薬研は「気になる噂が――――」と言いかけるが、素早く「薬研藤四郎」を構えた

まいたと思ったが、どうやら、ここまで着いて来たらしい影に向かって叫ぶ

すると、おずおずと見知らぬ小さな女の子が出てきた

事情を聞こうにもすっかり薬研におびえてしまった少女は、口を開いてくれなかった

見かねた髭切が「送るついでに何か聞いてみる」と言って一旦その子を送って行ったのだった

髭切達が向かったほうを見る 何事もなければいいが――――と、願いつつ

 

その事、小竜城では、山姥切国広が玉子に「忠興」に対しての提案をしていた

だが、どの提案も玉子には難しかったらしく・・・・・・

良い返事はもらえなかった

そこで、山姥切国広は「それなら、細川殿への文を書いて箱に仕舞っておけ」と言った

意味が分からなかった玉子が首を傾げる

「いつ渡せるか、いつ会えるかわからないなら、その時の想いを文にしたためて、箱に仕舞って大事にしておくといい。 いつか細川殿へ渡せるときがあるかもしれないだろう? ・・・・・・そういうのは無理か?」

そう提案する

すると、玉子は男相手に手紙をしたためたことがない事を証し、山姥切国広にとんでもない事を言い出した

「国広様さえよろしければ、あの、れ・・・・・・練習相手になってもらえませんか!?」と

 

 

 

各部隊の動向:三日月宗近・燭台切光忠・大倶利伽羅

部隊長:三日月宗近 以下:燭台切光忠・大倶利伽羅で編成された

送り先は「天正7年7月 京」

 

降り立つと、三日月は1人森の中にいた

周りに誰もいない事を確認すると、「機械は苦手だ」といいつつも、

手慣れた手つきで「自分の端末」で位置情報、それと時間軸などを算出していく

沙紀の位置を探そうとした所、燭台切と大倶利伽羅が三日月を発見

三日月は、何も知らぬ風にさっとパネルを閉じ、「自分の端末」を隠した

 

燭台切が「ここは何処か分かるか」と、三日月に尋ねる

三日月は「京の都へ続く道」だと答え、三人で森から抜け都で聞き込みをするが――――

三日月がふと「誰かに視られてる」と言葉を発した

それは、政府お抱えの情報隠密部隊”暗部”だった

交戦に入るかと思いきや、”暗部”は直ぐにその気配を断った

 

そこで、三日月は人気のいない場所に戻ると、鶴丸に連絡を入れ―――確信めいた様に

「―――ここには主はおらぬ。 ――――が、主の気配を感じる」

と、呟いたのだった

その言葉が意味するのも――――それは、同一の時間軸上に沙紀がいるという事だった

 

ここで、問題が起こる

場所がここは、「京」であり、沙紀のいる場所は「丹波」であるという事だった

転送装置を使えば一瞬で移動は可能だ

しかし、同一の時間軸上の「丹波」にうまく跳躍出来るか、確信がなかった

何故ならば、沙紀のいる時間軸は「放棄された世界」だからだ

しかも、このことは三日月しか知らぬ情報であり、燭台切や大倶利伽羅には教えていなかった

三日月の持つ「自分の端末」の事も、”暗部”の事も、全て「秘密」なのだ

 

そこで、三日月の取った行動は―――――

京の都で今の時期行われている「祇園祭」に溶け込む事だった

そして、数日後・・・・・・ついに三日月の待ち人が現れた

それは羽柴秀吉――――のちの太閤殿下だった

そう――――三日月は、秀吉がここで休憩するであろうことを知っていたのだ

三日月は上手く、秀吉と接点を持つことに成功する

そして、彼から「本阿弥家」に預ける筈だった二振の内一振「鬼丸国綱」を譲り受けたのだった

 

その後、三日月は人気の少ない羅城門にて燭台切や大倶利伽羅と合流する

そして、秀吉から譲り受けた刀を見せた

三日月からその経緯をきいて、歴史を変えてしまった事になるのではないだろうかと危惧する燭台切だが

三日月は、笑いながら「ここは“放棄された世界”の為、正規の歴史からは既に外れている場所」なので問題ないという

そして、不審に思った大倶利伽羅とあわや喧嘩になりかけるが、三日月はそれをあっさりかわすと

「詳しくは、全てが此度の任務が終わったら話そう。 今は先を急ぐ」とだけ告げると、時空転移装置を発動させた

今なら鶴丸が主軸になっている為、正確に「丹波」へと降り立てるからだ

その言葉を最後に、三振の姿がその場から消えたのだった

 

 

各部隊の動向:本丸

本丸守護:へし切長谷部 (鶴丸国永) 

 

沙紀達が消えてから鶴丸は即行動に移し、政府内部に侵入

小野瀬より、”華号”の一部力を持つ「簡易転送装置」を人数分用意させると、すぐさま反転して本丸へと戻る

2時間後――――各部隊を仮編成すると、割り出した「天正7年7月 丹波」と「天正7年7月 京」へと、自身を媒体に送り出す

だが、簡易装置と、本丸の転送装置があるといえど、”審神者”でもない鶴丸が行うには負荷が大きすぎた

なんとか、各部隊の着地点を確認するも、その場で気を失ってしまう

 

鶴丸が目を覚ますと、すっかり見慣れた天井が視界に入った

起き上がろうとするが、身体中が軋むような痛みに襲われそのままどさっとその場に崩れ落ちる

それは、転送装置の負荷を背負った為の「後遺症」だった

それでも、行かなければならない――――そう身体に言い聞かせるように部屋をおぼつかない足で出ようとしたが

やってきた、長谷部とこんのすけに見つかってしまう

こんのすけは、「今、動かれては駄目ですよ、鶴丸殿。 下手したら本体(刀)と魂が分離してしまいます」と言って、鶴丸を制した

そう―――――本体から魂が分離する・・・・・・それはつまり、存在がなくなるということだ

誰にも言わなかった事だ 言えば止められただろう

だが、それでは困るのだ

何を犠牲にしても、沙紀のいる可能性ある時代へ飛んでもらわねばならなかったのだから

だから、言わなかった

時間が惜しかった

 

鶴丸は、長谷部に支えになってもらいながら「鍛刀部屋」に向かうと、

その場「鍛刀部屋」のシステムを応用して、まっさらな刀身に自身のこの「後遺症」=「穢れ」を移す儀式を行う

それは、“厄祓い”の儀式と呼ばれるもので、”審神者”が”手入れ”で祓うのと同じシステムだった

政府に長い間、身を置いていた為に否応なしに身に付いたものだった

すっかり、身体が軽くなった鶴丸は、すぐさま沙紀を探しに行こうとするが―――長谷部に、止められ 出陣は明日の朝となった

 

出陣する合間に、鶴丸は送り出した二部隊の確認をしていた

だが、未だ連絡はなかった

ふと、庭先に何かを感じそちらを見やるが――――その時、三日月の部隊から通信が入る

しかし、鶴丸はあえてそれを中断して、「侵入」してきた彼らを迎え撃つ――――それは、政府お抱えの情報隠密部隊”暗部”だった

鶴丸が動けいないと思って、やってきたのだった

だが、鶴丸は“厄祓い”の儀式ですでに回復しており、”暗部”を制するにに時間は掛からなかった

騒ぎを聞きつけてやって来た長谷部に”暗部”を託すと、鶴丸は三日月からの通信を受信した

だが、通信の最中に妨害が入る

干渉してきたのは、”暗部”の身体を依り代に「侵入」してきた”三老”だった

鶴丸は、そうだと知りながら躊躇うことなく、”暗部”の身体を刺した

瞬間、”三老”の気配が”暗部”の身体から消える

そして、笑いながら消えていったのだった

 

この”暗部”達は”三老”に捨て駒にされたのだ

行き場も帰る場所もない状態の”暗部”を鶴丸はこの本丸で匿うと言い出した―――ただし、最終決定権は沙紀に委ねるとして

それと同時に、沙紀の場所を割り出した

「―——――天正7年7月の“京”ではなく“丹波”。 それも、“隔離された天正7年7月の丹波”」 だと

それを説明する為に、長谷部と”暗部”をあえて「鍛刀部屋」へと連れて行った

そして、”暗部”の連中に「契約の紋」の話をさせる

それは、万が一敵の手に落ちた場合 その命を絶つこと―――そして、その「契約の紋」は”三老”と直結しており、ひと言唱えるだけで、

彼らの意思とは無関係に心の臓は炎と化し我が身を燃やし尽くすのだと言う

 

長谷部は絶句したが、鶴丸は知っていた

知っていて、あえて話させたのだ――――”視ている”であろう”三老”を誘き出すために

案の定、”三老”が「鍛刀部屋」に姿を現す

だが、全て鶴丸が計算して行った事だった

刀如きに、誘き出されたとも思わない”三老”は、鶴丸を「刀解」させようとするのと同時に、”暗部”を「契約の紋」で灰にしようとする

しかし、全て鶴丸の思惑通りだった

”三老”の放った”呪”を反転させて、”三老”に返したのだ その為に「この場所=鍛刀部屋」を選んだのだ

”三老”は予想外の反撃に、深手を負う そして、恨めし言葉を残して”本丸”から「完全に」撤退したのだった

 

”三老”が「完全に」去った後、鶴丸は笙達にある”血の盟約”を解くために、術式を彼らに施し

”三老”の掛けた”血の盟約”を解呪した そして、彼らに”自由”と言う名の道を示すのだった

ただ、長谷部には疑問が残った

鶴丸は色々と”知り過ぎている”気がしてならなかった

本来であれば、”刀剣男士”が知りえない事も知っている

その疑問を投げかけるが、鶴丸は「政府に7年もいたから」だとしか教えてくれなかった

 

翌朝

鶴丸は出陣の為に、準備をしている時だった

‟暗部”の三人が現れて「ここに置いて欲しい」と言い出す

鶴丸は「自由」にしろと彼らに言った そして彼らが出した答えが「これ」だったのだ

しかし、鶴丸はそれを断る 何故ならば、自分自身が「沙紀」を「主」として仕える身だからだ

そして、鶴丸は逆に彼らに条件を出した「沙紀が認めるならば」と言い

「鶴丸」に仕えるのではなく、「沙紀」に仕えるのだと―――――・・・・・・

 

その後、長谷部に後を任せると

鶴丸はこんのすけを連れて出陣する

沙紀のいる「放棄された世界の天正7年7月・丹波」へと――――・・・・・・

 

 

 

戻る