深紅の冠 ~無幻碧環~

 

◆ 内緒のILY

 

 

―――2007年・夏

都立呪術高等専門学校・東京校

 

 

その年の夏は、昨年頻発した災害の影響もあったのだろう。蛆のように呪霊が湧いていた。一般の呪術師は勿論のこと、呪術高専生である、五条悟や夏油傑・神妻昴などもうんざりする程駆り出されていた。

それも単独任務が多く、必然的に3人で行動する事が少なくなっていた。そんなある日――。

 

「あ~凛花欠乏症だああああ」

 

昴がだら~と机に突っ伏しながら、ぼやいていた。そんな彼を見て、「またか」と夏油が溜息を付く。どうやらここ最近の忙しさで、最愛の妹の凛花に会えてないらしい。暇さえあれば「凛花に会いたい」「凛花に会いたい」と叫んでいる。そんな昴の横で、夏油はまた溜息を零すと、

 

「いつもの様に、写真でも送ってもらったらどうなんだい?」

 

そう提案するが、昴が「やだ!! 生凛花に会いたい!!」と駄々をこね始めた。こうなったら、もう手が付けられないのだ。流石に困った夏油が五条に助けを求める様に横の席を見たが――何故か、五条もぐったりしていた。

 

「悟?」

 

夏油がそう声を掛けると、五条が「あ~?」と五条が振り返った。その目の下には薄っすらくまがあり、目もすわっている。それを見た夏油は少しだけ驚いたように、目を瞬かせた。

 

「何日寝てないんだい?」

 

「……3日」

 

「3日のもかい?」

 

「ああ……まじ、忙し過ぎんだろ……癒しが欲しい……」

 

そう言って、ぱたっと机に突っ伏した。流石に任務のし過ぎではと思わざるを得ない。これは夜蛾学長に進言すべきか? と、思っていたその時だった。

 

「ちょっと~。神妻~お客さーん」

 

突然、がらっと教室の扉が開いたかと思うと、家入硝子が入ってきた。

 

「客?」

 

呪術高専内で? と、3人が首を傾げる。後輩の七海建人か、灰原雄だろうか? それとも、今年入学した伊地知潔高? などと思っていると――すっと、家入に「ほら」と、背中を押されて入って来たのは――。

 

「凛花……?」

 

最初に反応したのは、昴ではなく五条だった。そう、そこには彼女の通う鳳皇女学院の制服を着た、凛花がいたのだ。凛花は、五条に気付くと慌てて頭を下げた。すると、五条ががたっと立ち上がり、たたっと駆け寄ってくる。

 

「凛花、どうしたんだよ。ここで逢うなんて――」

 

「珍しい」と、そこまで言い掛けた時だった。家入がばっさりと、

 

「五条じゃなくて、神妻に用があって来たんだってば、彼女は。で? 神妻は?」

 

「昴? あー昴ならそこでくたばってんぞ?」

 

言われてそちらを見ると、昴は「凛花ぁ~」と何やらぶつぶつとぼやきながら、死人のような目で凛花の写真を眺めている。本人がここにいるのに、その事にすら気付いていない。あの妹バカの昴が。よほどの、重症らしい。

すると、家入が「行ったげれば?」と声を掛けてきた。凛花は五条と家入を見た後、

 

「え、ですが……」

 

と、少し戸惑ったように、教室に足を踏み入れるのを躊躇っていた。他校の教室に足を踏み入れるのだ、それも仕方がない反応なのかもしれない。そう思った家入は、五条の方を見ると。

 

「じゃあ、五条。後宜しく」

 

「は!?」

 

突然家入に話を振られ、五条が素っ頓狂な声を上げる。だが、家入にはお見通しなのか……。

 

「なによ、“癒し”のお届けだよ?」

 

そう言うなり、とん……っと凛花の背中を押した。瞬間――。

 

「え……、あ……っ」

 

凛花の身体がぐらっと五条のいる方に倒れ掛かってしまったのだ。五条が慌てて手を伸ばす。そして、そのまま凛花をその腕で抱き留めた。

 

「おい、硝子……っ!」

 

「じゃね~」

 

と、凛花を抱き寄せる五条を見て、にやりと笑みを浮かべると、家入はそのまま去って行ってしまった。だが、五条はそれどこではなかった。まさかの凛花の体温を直に感じ、顔が知らず赤くなる。それは、凛花も同じだったようで、顔を真っ赤にして固まっていた。

 

「あ、あーえっと、だ、大丈夫、か?」

 

「は、はい……」

 

そう訊ねると、凛花が真っ赤な顔でこくこくと頷く。あ~こういう時、どうすればいいんだ!!? と、五条が混乱しながら、助けを求める様に夏油の方を見た。それに気付いた夏油が小さく息を吐くと、こちらにやってきた。

 

「えっと、凛花ちゃん? 昴に用があって来たんだろう? なにかあったのかな?」

 

夏油がそう訊ねると、凛花が「あ……」と声を漏らし、鞄の中から一通の手紙を取り出した。

 

「その、これをお兄様にお渡ししたくて……」

 

その手紙には、神妻の家紋の印が押されていた。どうやら、実家からの連絡らしい。普通にメールや電話でないところ見ると、何かの重要な案件なのだろう。しかも、家人ではなく、凛花に直接持ってこさせていることが気になった。

 

「わざわざ、君が?」

 

夏油がそう訊ねると、凛花もその辺の事情はよく知らないのか、少しだけ首を傾げた。

 

「あ、お父様が……。私が行った方がお兄様の為になるから――と」

 

「ああ……」

 

どうやら、凛花や昴の父である神妻の当主は、昴の現状をよく理解しているようだった。確かに、今の昴のやる気を出させるには、凛花は絶好の餌だろう。まぁ……。と、そこまで考えて五条の方を見る。それだけでも無い気がするが……。などと思いつつ、夏油は「そう」と答えて、

 

「ところで、悟」

 

「んあ?」

 

「いつまで、凛花ちゃんを抱き締めてるんだい?」

 

「……っ」

 

そう――凛花は五条に抱き留められたままだったのだ。夏油の突っ込みに、2人が顔を真っ赤にして慌てて離れる。

 

「こ、これは……っ、不可抗力で――!」

 

「はいはい。凛花ちゃん、大丈夫?」

 

「え……っ。あ、は、はい……」

 

そう言った凛花だが、その顔は今まで見た中で一番赤かった。何だか反応が2人共とても初々しい。などと思いつつ、夏油が昴の方を見た。が、これだけ騒いでいるのに今だ昴はあっちの世界から戻っていなかった。かなりの重症である。夏油は少し考えた後、

 

「悟。とりあえず、昴はまだ覚醒しそうにないから、今は凛花ちゃんを涼しいところに連れて行ってあげたらどうかな? 手紙は昴が覚醒したら私が渡しておくよ」

 

そう言って、五条の方にアイコンタクトを送る。どうやら、五条の回復を最優先にする事にしたらしい。だが、夏油のそんな思惑には気付いていない五条は、単に気を遣ってくれたのかと思い、ぱっと表情を明るくさせると、

 

「悪い、傑。行こうぜ、凛花」

 

「え? あ、は、はい……」

 

そう言って、凛花の肩を抱くと、そのまま2人で教室を後にしたのだった。残った夏油は、凛花から受け取った手紙と今だ呆けている昴を見て、苦笑いを浮かべながら。

 

「昴。すまないね」

 

と、言ったのだった。

 

 

 

 

*** ***

 

 

 

 

「ここは?」

 

五条が連れてきてくれたのは、風通しの良い境内の一角だった。建物と日差しの向きから、丁度神社の段差の部分が影になっている。五条はそこに座ると、ぽんぽんっと隣りを叩いた。凛花は少し躊躇いつつも、ハンカチを取り出すと、そこに敷きその上に座った。

さぁ……と、涼しい風が吹き、彼女の髪が揺れた。その様子をぼんやりと見とれる様に五条が見ていると、ふと、凛花の深紅の瞳と目が合った。

 

「えっと、五条さん……?」

 

「はっ……。あ、ああ、いや、ここは高専の端の方にある神社で、俺の知る限り多分一番涼しいかなって……。つか、何でオマエが家の使いっぱしりみたいな事してるんだ?」

 

「え?」

 

そう問われて、凛花がきょとんとその瞳を瞬かせた。それから、少しだけ頬を赤らめて、

 

「その……お父様に言われたのもありますが……。わ、私が行けば、ご、五条さんに逢える、かな……って思って……」

 

「は?」

 

五条の頬が赤くなったのと、そのサングラスがずれたのはほぼ同時だった。凛花の顔が更に赤くなっていく。彼女は恥ずかしさを振り払うように首を振ると、今言った事を誤魔化すかのように慌てて視線を逸らした。

 

「あ、その……っ! さ、最近、お忙しそうで……あまり、逢えてなかったので……だから、えっと……」

 

言葉が上手く纏まらない。自分は何を言っているのだろうか。そう思うと、ますます恥ずかしさで顔が上げられなくなっていった。そんな凛花を見て、五条がごくりと息を呑んだ。

 

え? 俺に、逢う為……? 昴の為じゃなく? まじで!? そう思うと、嬉しさが込み上げてきて、彼女が堪らなく可愛く見えた。顔を真っ赤にして、俯く彼女を見ていると、自然と手が動いてしまう。そっと、彼女の頬に触れると、ぴくりと凛花の肩が跳ねたのが分かった。だが、拒否する様子は見られなかった。そのまま指先で優しく触れると、凛花の赤い頬に赤みが増していくのが分かる。五条の指の動きに合わせて、ゆっくりと顔を上げる彼女の深紅の瞳に自分が映り込んでいるのが見えた。

 

ああ……可愛い過ぎんだろ……。

 

そう思わずにはいられなかった。

 

「凛花――」

 

彼女の名前を甘く呼ぶと、凛花が応える様に、じっと五条を見つめ返してきた。その顔は朱に染まったままで――鼻先が触れ合う距離までくると、凛花の瞳がゆっくりと閉じられる。五条は、自然と吸い込まれる様に彼女の唇に自身の唇を重ねた。その柔らかさに頭の奥がじんっと痺れるような感覚がする。

 

暫くして、やっとお互い離れると、どちらからともなく見つめ合った。

 

「五条さ……んっ……」

 

凛花が、五条の名を口にしようとしたが、それを遮るように今度は、深く口付けた。そっとそのまま彼女の身体を抱き締める。すると、凛花も五条の身体に腕を回してきた。それを了承の合図と取ると、五条は彼女の唇に吸い付いた。

柔らかな唇の感触を味わいつつ、何度も角度を変えて口付ける。唇が離れた瞬間から舌を差し入れると、びっくりした様に凛花が目を見開いたのが分かったが、それも一瞬の事。すぐに彼女も五条に応え始めた。互いの舌が絡み合う音が境内に響いた。

 

暫くして唇を離すと、2人の間に銀糸が伝った。それを見た凛花が恥ずかしそうに視線を逸らす。その仕草が堪らなく愛らしくて、五条の中で何かが弾けるような音が聞こえた気がした。

 

「あ、ご、五条さ……ぁ……っ」

 

そうして、気付けば五条が凛花のその白い首筋に舌を這わせていた。瞬間、ぴくっと彼女の肩が震える。ばさ……と、凛花の着ていたカーディガンを肩から落とし、その下のブラウスの裾から手を入れる。そのまま下着の上から彼女の膨らみに触れた。

 

「ぁ……っ、ん……」

 

ぴくっと彼女が反応を見せる。そして、潤んだ瞳で五条を見つめてきた。それが余計に五条を煽り、深く口付けると同時に服の下から入れた手を下着の下に忍ばせた。その先端部分を指先できゅっと摘まむと、彼女に声にならない声とともに大きく身体が跳ねたのが分かった。

そのまま指の腹で押し潰したり、爪を立てたりする度に彼女の口から熱い吐息が漏れ、徐々に甘い嬌声へと変わっていったのだ。

 

どのくらいそうしていたのだろうか。気が付けば、彼女は完全に蕩けきったような表情で五条を見上げていた。その深紅の瞳が潤んでいて……。

 

「凛花、可愛すぎ……」

 

思わず零れた五条のその言葉に、凛花がかぁっと顔を赤くして視線を逸らそうとした。だが、その顎を手で押さえて、そのまま強引にキスをした。舌で歯列をなぞり口腔内を愛撫する。そして、ゆっくりと唇を離すと、彼女の口から熱い吐息が漏れた。潤んだ瞳が五条を見上げている。

 

堪らなかった。彼女が愛おし過ぎて、愛らしくて、可愛くて――欲しくなる。

 

五条は彼女のスカートをたくし上げると、下着の上からその部分に触れた。

 

「ぁ……っ、ご、ごじょう、さ……ン……っ」

 

そこは既にしっとりと濡れていて、彼女が感じてくれているのが分かった。そのまま、指の腹で押し潰すと、凛花がびくびくっと身体を跳ねさせた。そして、切なげな声を漏らす。それがもっと聞きたくて、彼女のブラウスの中にも手を滑り込ませた。直接肌に触れると、彼女の体温が直に伝わってきて心地良い。そのままゆっくりと胸の先端部分を指先で刺激すると、また彼女の口から甘い声が漏れる。

それに気を良くした五条の手が次第に大胆に動き始めた。スカートの下から手を入れ、彼女の足を開くと、下着の隙間から指を忍ばせた。先程よりは幾分か湿り気を帯びたその部分に触れると、凛花がびくっと身体を震わせた。

 

「は、ぁ……っ、ン……ぁ……っ」

 

そのままゆっくりと指を差し入れると、彼女の口から甘い悲鳴が漏れた。そして、そのまま指の本数を増やしていくと、中が徐々に解れてくるのが分かる。心地よかった。彼女の中が。

 

やばいかも……。と、五条は思った。

想像以上に彼女の中は気持ちがよく、ずっと触れていたくなる。すると、凛花が頬を上気させたまま五条の腕を掴んだ。それに気付き、ゆっくりと顔を上げると、蕩けきった表情の凛花と目が合う。そして、徐に彼女は五条の耳に唇を寄せると、小さく囁いた。

 

「……ごじょう、さ……やしく、して……くだ……さい……」

 

瞬間、五条の視界がぐらっと傾いた。理性が飛びそうになるのを必死に堪え、自身の熱を逃がすように息を吐くと、一度身体を離し彼女を見下ろす。すると、凛花が甘える様にもう一度五条にしがみ付いてきたのだ。そして――。

 

「……好き……。すき、です……」

 

その瞬間だった。

ぷつん……と五条の中で何かが切れる音がしたかと思うと、気付けば彼女と身体を反転させていたのだ。その細い腰を掴むと一気に彼女の中に自身を埋め込んだのだ。

 

「ああ……っ!」

 

瞬間、彼女の身体が弓なりにしなり、五条にしがみつくように背中に腕を回してきた。その刺激で一気に吐精感に襲われるが、何とか堪える。そして、そのままゆっくりと腰を動かし始めると、凛花の口からは甘い嬌声が止めどなく漏れ始めた。

 

「……ぁ、あ、ああ……っは、ぁ……ゃ、ぁあ……は、ン……っ」

 

それがまた堪らなく愛しくて……。

何度も激しく腰を打ち付けると、彼女はその度にびくびくっと身体を跳ねさせた。そして、五条の熱を離すまいとするように締め付けてくるのだ。それがまた堪らなく気持ちいい。

彼女は本当に五条を煽るのが上手いと思った。この行為も、五条の熱に感じている彼女の表情も。全部が五条の好みだった。すると、段々と射精感が込み上げてくるのが分かる。それに伴い腰の動く速度も無意識に早くなった気がした。それは凛花も同じようで、彼女の中はどんどん熱くなり、五条の熱を締め付けて来るのが分かった。

 

「凛花……っ、俺も、オマエが……っ」

 

息が上がり、上手く言葉が出ない。それでも何とか気持ちを伝えたいと思ったのだが……。そんな五条の様子を感じ取ったのか、凛花がにこっと微笑む。そして、そっとその腕を五条の首に巻き付けたかと思うと――唇が触れるだけの口付けをしてきたのだった。

その瞬間、危うく達しそうになったのは言うまでもない。それでも、彼女に伝えたいと思った。だから――。

 

「好きだ……、オマエを愛してる……っ」

 

そう告げ、最奥まで自身を埋め込むと、そこで限界が来たのだった。どくんっと彼女の中で精が放たれる感覚がして、身体が震えた。達したのはほぼ同時で、凛花も五条を離すまいとするように身体を抱き寄せたのだ。そんな彼女の身体をぎゅっと抱き締める。

 

「は……っ、凛花……」

 

自然と彼女を抱き締める腕に力が籠った。彼女を離したくない。もっと触れていたい――。そう思うと、もう止められなかった。そのまま何度も啄むように彼女の唇にキスをする。凛花の唇はとても柔らかくて、甘くて……。

 

そうして、暫くしてやっと唇を離してやると、彼女は蕩けきった表情でこちらを見上げてきた。その瞳が五条を映す度に愛しさが込み上げてくる。そして、自然とまた口付けたくなって――何度も唇を重ねた。それは段々と深いものへと変わり、気が付けばまた互いを求め合うように舌を絡め合っていた。

 

凛花とのキスが心地良い。何度も何度も角度を変えながら、ひたすら唇を重ね合わせた。最初は戸惑っていた彼女も、今ではすっかり受け入れてくれているようで、五条の背中に手を回しきゅっと抱きついてくるのが分かった。それが余計に嬉しくて。

もっと彼女と繋がっていたい。もっと彼女を感じていたい――。そんな欲求に突き動かされるように、また彼女の唇を奪った。すると、彼女もそれに応えてくれるかのように舌を絡ませてくるものだから堪らない気持ちになる。

 

ああ……やばいなこれ……と頭の片隅で思ったものの、もう止められそうになかった。そのまままた腰を打ち付け始めると、その刺激で彼女が小さく喘ぐのが分かった。それがまた堪らない。五条はそのまま凛花を石段に押し倒すと、彼女の膝裏に手を掛けて、持ち上げた。一瞬、凛花が驚いたように、びくっと身体を震わすが、五条は構わずそのまま腰を動かしたのだ。

 

「ぁ、ああ……っ、は、ぁ……っ、だ、めぇ……っ、動かな……っ、ああ……っ!」

 

先程よりも深く、彼女の中に自身が入っていくのが分かる。そして、その刺激でまた吐精感が込み上げてくるのが分かったが……まだ終わりたくなかった。もっと彼女と繋がっていたいとそう思ったのだ。だから、ぐっと堪えて彼女の中で動く速度を早めた。その度に凛花の口から甘い声が漏れる。それがとても可愛くて、愛しくて堪らなかった。

 

そうして暫くして、再び五条にも限界が来るのを感じた。それは凛花の中も同じようで――彼女はぎゅっと耐える様に五条の首に手を回してきたのだ。

 

「凛花……っ、優しく出来なくて、ごめんな……」

 

そう告げると、彼女の唇に口付けた。すると、彼女もそれに応えるように舌を絡めてくるものだから堪らない気持ちになる。そのまま激しく腰を打ち付けると、一気に吐精感に襲われた。

だが――まだ足りないと思った。だから、ぐっと堪えると、また彼女の中を突き上げる。その度に彼女は甘い声を上げながら五条にしがみついてきた。それが堪らなくて……。

 

何度も彼女を揺さぶり続けた後、漸く五条も達したのだった。どくんどくんと脈打つ感覚を感じながら、ゆっくりと自身を引き抜くと、どろっと白濁したものが流れ出て来るのが見えて、ごくりと喉を鳴らした。そして――彼女の身体を抱き起こすと、再びキスをした。

 

彼女と視線が絡まると、自然と笑みが零れて来て。もう一度強く抱き締めると、その耳元で囁くように、

 

「凛花……、すげー好き」

 

と囁いた。すると、彼女がかぁ……っと顔を赤らめた後、嬉しそうに微笑んで、五条を見上げてきた。それがまた可愛くて堪らない。だからもう一度、彼女の唇を塞いだのだった。

 

 

 

 

*** ***

 

 

 

 

「ああああ~~~~!! 凛花ああああああ~~~!!」

 

頃合いを見て教室に戻ると、いつの間にか覚醒したのか昴が、凛花を見て抱き着いてきた。

 

「お兄ちゃんは……お兄ちゃんは、ずっとお前に会いたくてえええええ~~~!!」

 

と、涙まで流している。そんな昴を見て五条が少しむっとしたのは言うまでもなく、それを見た凛花が、苦笑いを浮かべながら、しっと人差指を唇に当てたのだった。その様子を見ていた家入が、ぷっと小さく吹き出す。どうやら彼女にはお見通しのようだった。

 

「つか、昴。オマエ、兄貴だからって凛花にべたべたし過ぎだっての……」

 

と、五条がぶつくさ文句を言っていたのは、気付いていない昴には内緒である。それを見て、夏油も「まぁ、まぁ」と、珍しく五条を宥めていたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2025.08.08