深紅の冠 ~無幻碧環~ 幕間

 

◆ プレゼント?(バレンタイン:2024)

 

 

――2月14日・バレンタインデー。

 

「はい、虎杖君。こっちは釘崎さんね」

 

そう言って、凛花が2人にラッピングされたチョコレートを渡す。

それを見た2人が「おおお!」と、声を上げた。

 

虎杖には、質より量で大量のクッキーチョコを。

釘崎には、量より質で、某有名チョコブランドのチョコレートを渡した。

それを見た瞬間、釘崎が目をきらきらさせて大喜びしていた。

 

向こうで喜びの舞を踊っている2人を見て、伏黒が唖然としている。

最早、突っ込みしようがないのだろう。

 

すると、凛花は伏黒の方を見て、

 

「恵君には、こっちね」

 

そう言って、凛花が伏黒に渡したのは、別の紙袋に入ったものだった。

それを見て伏黒がぱっと、少しだけ顔を赤らめた。

 

「あ、ありがとうございます。凄く嬉しいです、凛花さん」

 

まさか、虎杖や釘崎とは別の物を貰えるとは思わなかったのだろう。

凛花の予想外のプレゼントに、伏黒が少し照れた様に顔を綻ばせた。

 

と、その時だった。

 

「で、僕の分は?」

 

突然、背後から聞こえた声に、凛花がびくっとする。

恐る恐る振り返ると、そこには満面の笑みを浮かべた、五条がいた。

 

「えっと……」

 

まさかの、五条の登場に凛花が思わず後退りそうになるが――そのまま伸びてきた五条の手に、捕まってしまう。

 

「あの……離していただきたく……」

 

凛花がそう訴えるが、五条はにっこりと微笑んだまま、

 

「凛花ちゃん、僕には?」

 

「え……あの……それは……」

 

言い辛そうに凛花が視線を逸らすと、五条が満面の笑みで、後ろからそっと凛花の顎にそっと手を添えると、自分の方へ向かせる。

そして、そのまま耳元で囁く様に、

 

「まさか、僕のが無いとか……言わないよね?」

 

「……っ、さと、る、さ……」

 

「それとも――」

 

不意に、五条が凛花の顎をそのままぐいっと引き寄せたかと思うと――。

 

「代わりに、凛花を貰おうかな」

 

そのままその唇を奪ったのだ。

 

「……っ、さと……ぁ……っ」

 

まさかの、突然の五条からの口付けに、凛花がぴくんっと肩を震わせた。

驚いたのは、周りにいた虎杖達だった。

 

2人の関係は知ってはいたが、目の前で口付けを繰り広げられるとは思わず……。

思わず、口をあんぐり開けて凝視してしまう。

 

伏黒はと言うと、不愉快そうに眉を寄せていたのは言うまでもなく……。

だが、そんな伏黒を煽る様に五条は凛花を更に抱き寄せて、深く口付けた。

 

「ん……っ、ま、待っ……、皆が、み、て……っ」

 

凛花が、必死に抵抗しようとするが、身体に力が入らないのか、ぎゅっと堪らず五条の上着を掴んだ。

すると、気分を良くした五条は更に凛花の腰を掻き抱くと、そのままぐっと彼女の顔を更に引き寄せ――。

 

「ほら、凛花。もっと口開けて」

 

「え……?」

 

意味が分からず、凛花がその深紅の瞳を開けて五条を見つめると、次の瞬間、五条の舌が凛花の口内に侵入してきたのだ。

その感触に、凛花が驚いたのは言うまでもなく……。

 

「んっ……、ふ、ぁ……っ、さと、る、さ……っ。ぁ……ンっ」

 

思わず抵抗しようと凛花が藻掻こうとするが、そんな抵抗など物ともせず、ぬるりとした感触が自分の舌を搦め捕るとそのまま吸い上げられた。

ちゅっと音を立てて吸われたかと思うと、そのまま舌を舐められて……。

 

最後に甘噛みされると、まるで電流が走った様な感覚に身体がぞくっと震えたのが分かった。

そんな凛花の反応に気を良くしたのか、そのまま五条の舌は凛花の口内を蹂躙する様に動き回り、歯列をなぞって上顎を舐め上げれば、更に凛花の身体に震えが走る。

 

最初は抵抗していたものの、段々と抵抗する力も失ってしまったのか、がくっと力が抜けるのが分かった。

そんな凛花を見てくすりと笑うと、名残惜しそうに唇が離れる。

どちらとも分からない銀糸がつう……っと伸びて切れた。

 

そして次の瞬間――凛花は力の入らない身体を五条に預けてしまう事となってしまったのだ。

 

「ご馳走様」

 

にやりと不敵な笑みを見せると、五条のその一言に、虎杖達は はっと我に返った。

 

「ちょっ、五条先生! 何してんすかっ!?」

 

「いくら何でも……度が過ぎるんじゃ……」

 

若干引きながら、そう口々に声を上げるが、当の五条と言えば、そんな2人を楽しそうに見下ろしていた。

そんな五条を真っ赤な顔で凛花が睨み返すと――。

 

「も、もう! 悟さんの馬鹿―――!!!」

 

凛花がそう叫びながら、五条を押し退けようとする。

だが、力の入らない手で押されても全く意味はなく、逆に五条にぎゅっと抱き締められる羽目になってしまった。

 

そして――。

 

「今夜、待ってるから」

 

そう、そのまま耳元で囁かれた言葉に、凛花がぴくっと反応したのが分かり……。

同時に、五条の口角が上がったのだった。

 

こうして、2月14日のバレンタインデーは、五条の暴走によって幕を閉じたのであった。

そして、この日1日――伏黒の機嫌が超絶悪かったのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2日遅れ~~~汗

最近、送れるのがデフォになってるww

いかんww

 

2024.02.16