MARIKA
-Blue rose and Eternal vow-
◆ Act. Ⅱ アーロンパーク 27
「ほぅ、今のを食らって生きているとはな・・・・・・」
レウリアは、その声にはっと息を呑んだ
そこに現れたのは、あのクロオビとか言うエイの魚人だった
「・・・・・・・・・っ」
よりにもよって、こいつが・・・・・・!
『主、お下がりください・・・・・・っ!』
ウンディーアローズが警戒してレウリアを守る様に間に入る
だが、クロオビはそんなウンディーアローズ一瞥だけすると
「魚人・・・・・・? いや、違うな・・・・なんだ、それは」
「え・・・・・・?」
「それに、何故貴様は海中で息をしている!?」
一瞬、レウリアにはクロオビが何を言っているのか分からなかった
が・・・・・・
ウンディーアローズを見て納得する
おそらく“精霊”という概念すらないのだろう
確かに、“精霊”を実物として見たことがある者は少ないだろう
だが、“偉大なる航路”から来たくせに、“精霊”の存在を知らないなんて・・・・・・
無知もいい所ね
だが、レウリアにはそんな事は関係なかった
「ウンディーアローズ!」
レウリアがそう叫んだ瞬間、ウンディーアローズがさっと手を前に突き出した
刹那、海中の中なのに、津波の様な激しい激流がクロオビを襲った
しかし、クロオビはすぅ・・・・・・と息を吸ったかと思うと
「――――――――っ!!!!」
キイイイイイン と、まるでイルカの周波数の様な高音を放ってきた
『く、う・・・・・・っ』
びりびりっと肌にくるその“音”にウンディーアローズが顔を顰める
「ウンディーアローズ?!」
クロオビの放った高周波が海水の中一面に広がって振動しているのが分かる
音の聞こえないレウリアですら肌で感じる程だ
おそらく、精霊にはダイレクトに響いているのだろう
『あ、るじ・・・・・』
苦し気に、ウンディーアローズがレウリアを見た
どう動くにしてもまずあのクロオビの放つ高周波を遮断しなければならない
高周波は低周波と違い屈折しない
故に、弾き返す事は不可能に近い
ならば――――・・・・・・
レウリアは、素早く首に巻いていたチョーカーの赤い石を引きちぎると
それを、クロオビめがけて投げた
「ネフェルティ!!」
レウリアがそう叫ぶと、その赤い石が加速する
小さいが故に、浮力の影響をあまり受けないのだ
だが、クロオビはそれを見て鼻で笑った
「ふん、そんな小石が当たった程度で、大したことも――――」
「――――結果見てから言うのね!!」
レウリアがそう叫んだかと思うと、赤い石から無数の小さな炎の精霊が現れた
そして、その身体を炎と化した精霊達が、クロオビのエラから体内に侵入してきたのだ
「なにっ・・・・・・!?」
瞬間、レウリアが叫んだ
「炎の精霊・アシラ! 焼き尽くせ!!!」
「なっ、ぐ・・・・・・ぁあああああああああ!!!!」
レウリアが叫ぶと同時に、クロオビの体内に侵入したアシラ達が、燃え上がった
クロオビの身体という身体から、焼ける匂いと煙が立ち込める
まさかの反撃に、クロオビの表情が怒りの形相に変わる
目は充血し、その牙がレウリアに向けられた
「き、さま・・・・・・ァァァァァァァ!!!!!」
刹那、クロオビが猛スピードでレウリアめがけて突っ込んできた
「・・・・・・・・・っ!」
『主・・・・・・っ!』
ウンディーアローズがすかさずレウリアの前に来るが――――・・・・・・
レウリアは、素早くウンディーアローズに力を合わせると、防御壁を三十にして張る
しかし――――・・・・・・
ぱん! ぱん! ぱん!
という音と共に、防御壁を壊しながらクロオビが迫ってくる
なんって、早さと力なのっ!!
レウリアは更に防御壁を張ろうとするが――――・・・・・・
「――――終わりだ!! 小娘!!!」
間近に迫ったクロオビがレウリアに向かってその拳を振り上げた
「―――――っ」
ガキイイイイン!!!
という音と共に、幅を狭め、硬度重視で張った結界がなんとか直撃を防ぐが――――・・・・・・
レウリアの身体はその圧力に耐えられなかったのか、後方へそのまま吹き飛んだ
――――っ、まずい! 結界に当たる!!
レウリアの後ろには、ゲンゾウとルフィを隠している結界が張ってある
硬度は上げていない結界なので、当たればそのまま壊してしまうだろう
そうすれば、ゲンゾウの存在をクロオビに知られてしまう
「ウンディーアローズ!!」
レウリアはそう叫びながら、ウンディーアローズの力を使った硬度型結界を自分の後へ五枚張った
だが・・・・・・
クロオビからの攻撃はすさまじく
硬度を上げているにもかかわらずその結界をぶち破っていってしまう
「―――――くっ・・・・!」
ばりん! ばりん!と、次々と壊れていく
だが、結界を破壊するたびに徐々に減速がかかり
なんとか、ゲンゾウを隠している結界の一歩手前でそれは止まった
後一枚足りなかったら、間違いなく結界をぶち破っていただろう
とはいっても・・・・・・
多分、後ろの結界はもってあと数分
数分の間に、このクロオビを倒すか、陸に上げるかしなければならない
それに、断絶結界の準備もまだできていない
レウリアの息を吐くと、キッとクロオビを睨みつけた
なんとか、時間を・・・・・・
その時だった、ふとウンディーアローズが語りかけてきた
『主、主は、この海域が全て沈むのはお望みではないと、仰っていましたよね?』
「・・・・・・? 何をする気なの?」
レウリアがそう尋ねると、ウンディーアローズはにっこりと微笑み
『あのお魚さんと、わたくしの力の属性が似すぎていて、決定打は厳しいですわ。 しかも、ここはわたくしのテリトリーですのに、ああも簡単に動かれるなんて屈辱でなりません』
「・・・・・・まぁ、相手は魚人だもの」
海中がテリトリーなのは、向こうも同じだ
かといって反属性の“炎系”は、先ほどの様に直ならまだしも、普通に使うには、火力が落ちてしまう
逆に、雷属性だと放電すれば効くが、それではこちらにも被害が出る
レウリアが最も得意とする風属性は、浮力でその速度が落ちてしまう
考えるのよ・・・・・・
何の属性が一番いのか――――
なんの―――――
「あ・・・・・・」
レウリアが、何かを思いついた様にウンディーアローズを見た
彼女は何と言ったか・・・・・・
“主は、この海域が全て沈むのはお望みではないと、仰っていましたよね?”
そうよ、どうして思いつかなかったのか
「ウンディーアローズ! ネフェルティ!!」
レウリアの声に2体の精霊が反応する
『思いつきまして? 主』
ウンディーアローズが、ふふっと笑いながらそう囁いた
「そうね――――ちょっと厄介だし、後処理が面倒くさそうだけれど・・・・」
これならば時間は稼げる!!
その時だった
クロオビが苛立った風に、自身の手をぼきぼきと鳴らして
「なにをごちゃごちゃと言っている、こないのならこちらから行くぞ!!」
そう言うが早いか、一気に猛スピードで襲い掛かって来た
「・・・・・・・・っ」
迷っている時間はない!!
「ウンディーアローズ!!」
『――――お任せを!』
ウンディーアローズが、そう返事をしたかと思うと
周囲の海水が一気にウンディーアローズに集まって来た
それとほぼ同時に、レウリアがネフェルティに頼んで出してもらった2冊の本を銀のナイフで海底に突き刺す
そして、そのナイフで指を切ると海底に巨大な血紋を描いていった
瞬間――――
血紋がまばゆい程の光を放ったかと思うと、巨大な八芒星が海中に現出した
「来たれ! 地の精霊・ノルディウム!! 力の精霊・グラビティーア!!」
レウリアの詠唱と共に、2体の精霊が姿を現す
しかし、それを見たクロオビは、ふんっと鼻を鳴らすと
「何をしているのかは知らんが、無駄な事だ!!!」
刹那、浮力の影響を一切受けないクロオビの拳が、レウリアめがけて放たれた
が――――・・・・・・
「――――ノルディウム」
レウリアが、ぽつりと小さく呟いた刹那、彼女とクロオビに前に巨大な土壁が現れた
「無駄だ!!!」
どおおおん!! っと、クロオビがその土壁を砕こうと拳で殴りつけた
普通の土壁程度ならば、即座に崩れていただろう
しかし
その土壁はびくともしなかった
だが、その程度でクロオビが引き下がる訳もなく
「こんなもの・・・・・・っ!」
そう言うなり、ひゅんっと上に向かって飛びあがった
乗り越えようというのだろうが―――――・・・・・・
「させなわ、ノルディウム」
レウリアがもう一度、その名を口にした瞬間――――・・・・・・
土壁が、どん! どん! どん! と、クロオビを囲む様に出現した
四方を土壁に囲まれて、クロオビが更に速度を上げた
こうなれば、上にしかいけない
だが、それでいい―――――狙いは、それなのだから
「ウンディーアローズ!」
レウリアがタイミングを狙ったかのように、ウンディーアローズの名を呼んだ
すると、待っていましたと言わんばかりに、ウンディーアローズがふふっと笑いながら
『さぁ、お魚さん! わたくしの集めた“波”をお受け取りになって!!』
そう言うなり、四方を囲んでいる土壁の中に、大量の海水を津波の様に押し込んだ
どん!! っと、波の力が一気に襲い掛かる
だが、クロオビは魚人だ、一瞬に足止めにしかならない
だが――――それでいい
レウリアは続けざまに、
「グラビティーア! ネフェルティ!!」
そう叫んだ瞬間――――それは起きた
今までそよ風程度にしか感じなかった波に圧力がかかったのだ
それも、物凄い速さで
「な、にぃ!?」
上がろうとしていたクロオビと相反する様に、その波はどんどんクロオビを下へと押していった
「人間、風情がァ・・・・・・っ!!!」
クロオビが拳に力を込めたかと思うと、思いっきり自分を押してくる波に向かって放った
押し返せる―――――
そう思っただろう
だが・・・・・・
グラビティーアの放った重力の重みに、ネフェルティの速度が加わり、そしてノルディウムの土壁が取り囲み、トドメにウンディーアローズが最大出力で海底へと沈めに掛かったのだ
流石の魚人とはいえ、それは予想していなかったのか――――
そのままクロオビがプールの海底を更に突き破り、轟音を放ちながらその最下層まで落ちていった
普通の人間ならば、即死レベルの攻撃だ
しかし、相手人よりもはるかに頑丈な上に、海をテリトリーとする魚人
多分、もって数分
それ以上はきっと、もたないだろう――――・・・・・・
だが、それだけあれば十分だった
今のうちに――――・・・・・・
今のうちに、断絶結界を完成させなければ・・・・・・!
**** ****
―――― 一方、アーロンパーク
「重みだァ? そうか、なるほど・・・・・・お前の剣は重いのか。 だがな、こう見えてもおれの剣は1本300㎏はあるぜ!? お前ら人間の剣よりも重量感はたっぷりこってりあるんだ、コノヤロー!!!」
ハチの言葉に、ゾロが呆れたように
「・・・・・・バカには返す言葉もねェよ・・・」
息が上がる
頭がくらくらしてくる
だが、ここで引き下がるわけにはいかない
そんなゾロを知ってか知らでか、ハチは刀を爪のように6本の先を合わせると
「“六刀流”・・・・・・!!! 『タコツボの構え』!!!」
そして、そのまま
「いくぞォ!! 必殺! “新・春”―――――」
6本の刀を合わせた刃をゾロめがけて放った
「――――っ!」
ゾロが素早く、手に持っていたヨサクとジョニーの剣をクロスさせて受ける
ガキイイイン!!!という音と共に、ハチの攻撃がゾロに止めた――――様に見えた
が・・・・・・
まるで“それ”を狙っていたかのように、ハチがにやりと笑みを浮かべた瞬間――――
「――――“蛸・開げ”!!」
そう言うな否や、ハチがパアアアンっと、爪のようにしていた刀を大きく弾くように開いた
「!!?」
それによって、ゾロの剣が弾かれて身体の全面を見せる形になってしまう
「しまっ・・・・・・」
だが、それを見逃すハチではなかった
否、それこそハチの狙いだった
「“体壊っ”!!!!」
ゾロの巻いている包帯の箇所めがけて全体重を掛けて思いっきり頭突きしてきたのだ
「ぐ、あ・・・・・・っ!!!」
ミシミシ・・・・・・っと、ゾロが傷口をもろに攻撃され、支えきれずにそのまま上空へ吹き飛ぶ
「きたねェ! あの野郎、モロに傷口を!!!」
「このままじゃ――――」
ヨサクとジョニーが叫ぶ
だが、ハチの攻撃はそれだけでは収まらなかった
素早く、着地点へ向かい刀を構えると
「生きて着地はさせねェぞ!!! ――――‟六刀流”奥義!!!!」
6本の刀をぐるぐると上空に向かって回転し始めた
にやりと、アーロンが笑う
「“六刀の円舞曲”!!!!」
「ああっ!!」
「―――――兄貴が・・・・・・兄貴が死んじまう!!!!!」
本当は昨日の時点で書き上がってたのですが・・・・・・
寝落ちしてました・・・・・・💦
最近の、睡眠サイクル時間がおかしい!!
夜中の2時半起床が多いかな~?
なので、こんな時間にwww
余談:クロオビは倒してませんよ~?
まだ、奴にはサンジの相手をしてもらわないとですんで~笑
所で、ハチのわざ「フリガナ」いります??
「新春・凧あげ大会」言ってますけどwww
2022.11.25