MARIKA
-Blue rose and Eternal vow-
◆ Act. Ⅱ アーロンパーク 23
「“たこはちブラック――――オン・ザ・ロック!! ダブル!!!”」
そう叫びながら、2つ目の瓦礫をルフィめがけて投げ飛ばした
「ルフィ!!!!」
レウリアの声と、瓦礫がルフィの真上に落ちるのは同時だった
ルフィが瓦礫の下敷きになった
誰しもがそう思った
が――――・・・・・・
その瓦礫にピシ、ピシピシ・・・と亀裂が入ると―――――・・・・・・
ガコオ・・・・・・ン!! という音と共に、破片がパラパラと落ちた
いつの間に、移動したのか・・・・・・
そこには、サンジが長い足で瓦礫を粉々に砕いていた
ルフィを庇う様に――――
サンジはふーと紫煙をふかすと
「まいったね、ど――――も・・・・・・おれは、とんでもねェ アホの船長に付いて来ちまったらしい」
と、半分呆れにも似た溜息を洩らすとゾロとレウリアもそれに同意する様に
「同感だ・・・・・」
「まぁ、何となく分かってはいた事だけれどもね・・・・・・」
と、ぼやいた
が、その後ろで難を逃れたルフィが
「おおお!! いいぞ、サンジ!!」
と、喜々としてはしゃぎまくっていた
ウソップはウソップで驚いたかのように
「あいつ、すげェ!!!」
と、口を顎が外れているのではないかと言うぐらい、大きく開けていた
そんな周りの反応をものともせず、サンジはふっと微かにその口元に笑みを浮かべると
「――――だが、まァ。 レディを傷付ける様なクソ一味より、百倍はいいか」
サンジのその言葉に、クロオビが顔を顰めた
「レディだと・・・・・・? ふん」
そうぼやくと、呆れたように鼻で笑った
「あんな女一人の為に、乗り込んでくるとはな・・・・・・、つくづく笑わせてくれる連中だ」
クロオビのその言葉に、サンジがぴくりっと反応する
「あんな女・・・・・・? てめェ、わかっちゃいねェようだな」
サンジが紫煙を吐きながらタバコを持った手でクロオビを指さし
「あの場には、おれの愛しきリアさんもいたにもかかわらず、あんなクソみてェな攻撃してきやがって・・・・・・万が一リアさんの身にかすり傷ひとつでもつけていたら、今頃貴様ら全員熱い鍋で煮込んでスープのダシにしてやってた所だぜ」
「リア・・・・・・?」
聞き慣れない名前にクロオビが顔を顰めた
が、直ぐに後ろにいたレウリアの事だと気づいたのだろう
「ああ・・・・・・」
と、面白いものでも見たかのように
「あの海軍の女の事か。 なんだ、あの海軍の女もお前らの回し者か・・・・・・ふん、どうりでな」
「あ? 何が言いてェ?」
「いや、なに、あの女・・・・・・ああ、そうか、あの女“翔風”だったな。 なるほど、どうりで金に煩いわけだ。 ふん! ナミも“翔風”も、厄介な女とはまさにこの事だな」
「・・・・・・・・・」
その言葉に、レウリアは特に反応を示さなかった
しかし、サンジは違った
クロオビを睨み付けると
「おい、魚野郎。 もう一度 リアさんや、ナミさんを侮辱してみな。 バターの乗ったフライパンでムニエルにしてやるよ!」
「・・・・・・少しは、人間にしちゃぁやるようだが、海賊が騎士道を振りかざすなど、生ぬるい」
「ふん、おれの騎士道が生ぬるいかどうか試してみろよ。 これでもおれは半生を無敵の海賊に育てられたんだ」
そう言って、紫煙を吐く
だが、クロオビはそんなサンジに、呆れた様に息吐くとぼきぼきと腕を鳴らしながら
「貴様は、“魚人”という種族の本当のレベルを知らんようだな」
「はっ・・・・・・おもしれェ、その“レベル”がどう違うか見せてみろよ、サカナマン」
一触即発
そう思えた真後ろでは――――・・・・・・
「んぎぎぎぎ・・・・・・っ」
「まだまだ、ぜんぜんとれねェ」
「ま、だか、よ・・・・・・っ!!」
「なーんか、伸びるだけで抜ける気がしねェよ」
「お前! やる気あんのか!!? 足抜く気あんのかよ!!」
と、ウソップが石畳にめり込んでいるルフィの足を抜く為に、奮闘していた
引っ張って、引っ張って 引っ張りまくるが・・・・・・
抜けるどころか、伸びるだけである・・・・・・ゴム人間な故に
「ねぇ、ウソップさん、遊んでいる場合じゃあ・・・・・・」
「遊んでねェよ!!!!」
レウリアがそう言うと、ウソップがすかさずそう突っ込んだ
「リアも、手伝え!!! お前、こいつのねーちゃんだろうが!!!」
ウソップがレウリアにそう訴えるが、当の本人は嫌そうに顔を顰めながら
「ん・・・・・・、そういう労働は、私の管轄外と言うか――――」
「労働言うな!!!」
「それに、墨まみれのルフィに触ったら、私も汚れちゃうでしょう? だから、ちょっと遠慮したいのよね」
「・・・・・・お前、ほんっっと自由人だな!!」
「褒めてくれて、ありがとう」
「褒めてねェ!!!!」
などと、訳の分からないやり取りを見て、ハチがむむむっと顔顰めた
「んあ? 何を遊んでやがるんだァ? あいつらは、このアーロパークで!!」
そう言いながら、傍にあった巨大な瓦礫をその6本の手で掴む
それを見たウソップが慌ててルフィを抱えたまま
「いぎゃああああああああああ!!!!!」
と、叫びながら猛ダッシュして逃げた
「リア! リア! 助けろおおおおおおお!!!!」
「え!?」
いきなり名指し指定されて、レウリアが小さく溜息を洩らす
そして
「・・・・・・もう、仕方ないわね。 ネフェルティ」
そう彼女がいつも連れている風の精霊を呼ぶと、シャララン・・・・・という音と共に、ネフェルティが姿を現した
そして、ふっとネフェルティがウソップに向かって風を吹きかける様な仕草をした途端――――・・・・・・
「お、おお? おおおお!? おおおおあああああああ!!!!」
ウソップの速度がいきなり加速したものだから、足が追い付かす宙を走り出す
「な、なんだぁ~!? 奇妙な技を使って逃げるきかァ!?」
ハチが逃げるウソップを捕まえようと瓦礫を投げ飛ばそうとした時だった
不意に、ハチの喉元に鞘に入ったままの刀が突き付けられた
「おい、タコ」
「んぁ!?」
突然、下から呼び止められてハチがそちらを見る
すると、そこにはゾロがいた
ゾロは鞘の刀を突き付けたまま
「あいつら、今 忙しいんだ。 お前の相手はおれがしてやるよ」
「ニュ!! ロロノア・ゾロ!!! そうだ、忘れてた!!! ――――よくも、おれをダマしたな!!!」
そう叫ぶな否や、ハチが持っていた瓦礫をゾロめがけて振り下ろした
「・・・・・・っと!!」
ゾロが、素早くその場から後方へと飛ぶ
「そうだ!! また思い出したぞ!!! てめェは、おれの同胞をいっぱい斬りやがったんだ!!!」
「あ? そんな古い話、興味ねェな。 お前が、おれをどんな因縁で殺したがってようが関係ねェ。 ・・・・・・もう、状況は変わってんだよ」
そう言って、ゾロがにやりと笑みを浮かべる
そして、その刀に手を掛けて
「お前らが、おれ達を殺してェんじゃねェ!! おれ達が、お前らを殺してェんだ!!!」
「うぬぬぬぬ~~~~~」
ハチがぎりぎりっと歯を食いしばる様に唸った
それを見たウソップは「ふ~」と息を吐きながら
「よ、よーしゾロ、そのタコはお前に譲るぜ。 ナイス」
と、ぐっと親指を立てた時だった
よりにもよってルフィを掴んでいる方の手で
瞬間、ゴムが引き戻されるようにルフィがぎゅい~~~~~~んと、引き戻されていく
「ああああああ!! しまったっ!! ルフィィィィィィ!!!!!」
「ちょっ・・・・・・!! 馬鹿!! 何やって―――――」
流石のレウリアもこれには慌てた
が、時すでに遅く・・・・・・
丁度、運悪くその直線上立っていたチュウに鐘が反射で戻った様なルフィが思いっきり激突した
「ぐあ・・・・・・・・っ!!!!!」
その衝撃はルフィのゴムゴム系の技の様に凄まじかったようで、チュウが思いっきり後方へと吹き飛ぶ
ルフィはと言うと・・・・・・
びょーん、びょーんと元の位置に戻ってしまった
呑気に、「ああ、戻っちまった」などとぼやいているが・・・・・・
ウソップは最早それ所ではなかった
チュウが怒りの形相でぎろりとウソップを睨んでいた
「てめェ・・・・・・」
「・・・・・・失敬」
「やっぱり、てめェは・・・・・・おれに殺されてェようだな!!!!」
「うああああああああああああああ!!!!!」
チュウが追いかけだしたので、ウソップが超人の様な猛スピードでその場から逃げ出した
泣きながら・・・・・・
ヨサクとジョニーや、ココヤシ村の人たちの間を叫びながらすっ飛ばして走り去る
「ちょっ・・・・・・!!」
「ウソップの兄貴!!」
ヨサクとジョニーが止めるのも聞かずに脱兎のごとく走って行ってしまった
それを見ていたココヤシ村の人たちが首を傾げながら
「あいつは・・・・・・ゲンさんを助けてくれたやつじゃ・・・・・・」
「彼も同じ海賊なのか・・・・・・?」
などど、唖然としてぼやいていると
そこへ、チュウがやってきた
武器を手に持つ村人達を見ると、その目を鋭くさせて
「お前ら・・・・・・ココヤシ村の連中・・・・・・。 あん? 武器を持ってる所をみると、これは“反乱”と判断してもいいってことだよな? てめェら、全員・・・・・・」
そう言って、村人たちを見た瞬間――――
「“火炎星”!!!!」
何処からともなく、炎の玉が飛んできて チュウの顔にヒットした
「うわっ、あっつつつつ!!!」
チュウが、後方へ吹き飛びながら 燃える顔を押さえてのたうち回る
その時だった
遙か先の方から――――
「お前の相手は!! おれだろうがァ!!!」
パチンコを構えたウソップがそう叫んでいた
それを見た、チュウがわなわなと震えながら
「てめェ・・・・・・そんなに、死にたきゃ今すぐ消してやらァ!!!!」
「うぎゃあああああああ!!!!!!」
「待て、コラァ、鼻ァ!!!!」
また、ウソップは言うだけ言って脱兎のごとく逃げだした
それを、チュウが追いかけていく
残されたココヤシ村の人たちは、やはり唖然としたまま
「あ・・・・・・あの若者は、一体・・・・・・」
「勇んだり、逃げたり・・・・・・、不思議な事ばかりする男じゃ・・・・・・」
「こんな奴らが、何故 海賊を・・・・・・?」
まぁ、もっともな意見である
見ていたレウリアも、激しく同意見だった
その時だった
不意に、アーロンが立ち上がった
「どいつもこいつも、どけ。 じれったくて見てられねェ」
そう言って、大股でこちらに近づいてくる
それで何かを感じたのか、クロオビがアーロンに忠告する様に
「アーロンさん、あんたはここで暴れねェでくれって言っただろう」
そう諫めようとするが――――
アーロンは何でもない事の様に
「暴れやしねェさ。 だが、ちょっとな “面白いゲーム”を思いついたんだ」
「ゲーム?」
ハチがきょとんとして、首を捻る
が・・・・・・
レウリアは何かに気付いたかの様に、みるみる顔色が変わっていく
まさか・・・・・
だが、サンジとゾロは“それ”に気付いていないのか
アーロンが一歩一歩近づいてくるのを、黙って睨んでいた
すると、ルフィが「あ」と声を洩らし――――
「お前はおれが――――!!!」
そう言って、ぐい~んと腕を引く
それを見た、レウリアが慌てて叫んだ
「駄目よ! ルフィ!! アーロンの目的は―――――」
「ブッ飛ばす!!!!」
そう叫ぶなり、ルフィの拳がアーロンめがけて放たれた
が――――・・・・・・
アーロンは意図も容易くそれ避けると、その腕を掴んだ
「ルフィ!!!」
間に合わないっ!!
アーロンが、ルフィの腕を掴んでにやりと笑みを浮かべる
「てめェら、本気でおれ達に勝てるとでも・・・・・・?」
駄目・・・・・・っ!
「だったら、どうした」
「思ってるよ、バーーーカ!! 手ェ離せ!!」
「何か、言いたそうだぜ?」
サンジと、ルフィと、ゾロがそれぞれそう言うが・・・・・・
レウリアはそれどころではなかった
「ネフェルティ!!!」
レウリアがそう叫ぶのと、アーロンがルフィの足元の石畳を掴んで、持ち上げるのは同時だった
「悪魔の実の能力者はカナヅチだ! まァ、この状態なら能力者じゃなくても沈むがな!! シャーハハハハハハハ!!!」
それで気づいたのが、サンジとゾロの顔色が変わる
「まさか・・・・・・!」
「海へ!!?」
迷っている暇も、選んでいる暇もない!!!
レウリアが、持っていた銀のナイフで腕を切るとその血で“召喚”の血紋を描く
「――――来たれ!“雷”!!!!」
そう叫んだ刹那
晴れていた空が瞬く間に雷雲に変わる
「なんだァ?」
ハチが空を見上げた瞬間―――――
ドオオオン!!!
ガラガラガラガシャーーーン!!
激しいい雷がアーロンめがけて降り注いだ
「アーロンさん!!!!」
クロオビが叫ぶ
それと同時に、ルフィが腕を引くと
「くっ・・・・・・、ゴムゴムの――――“銃”っ!!!!」
思いっきり、アーロンの顔面目掛けて打ち込んだ
しかし――――
「痛ェえ!!!!」
叫んだのはルフィだった
アーロンがルフィの腕を避けずにそのままサメの歯で噛んだのだ
「バカが」
アーロンがにやりと笑うと、そのまま――――
「だめえええええええ」
「シャーハッハッハッハッハッハ!!!」
レウリアとアーロンの声が重なった
そして、ルフィはアーロンの手により真っ逆さまに
海の中へ落とされたのだった――――・・・・・・・・・・
はぁ~~~やっと、本格的にバトルに入れますなwww
地味に、過去回想長かったからな~~~笑
2022.10.12