MARIKA

-Blue rose and Eternal vow-

 

  Act. Ⅱ アーロンパーク 17

 

 

 

『海賊相手に泥棒!!?』

 

『そうよ!! この時代の海賊の多さを逆手に取ってやるの!! ザマーミロよね!』

 

『ちょっ…身体中傷だらけじゃない!!』

 

『え…? ああ、うん。 ちょっとドジっちゃってね。 ……でも見て、これで100万ベリー!!』

 

『そんな事より、早く傷の手当てを―――――!!』

 

『平気! そんなの平気よ!! それより――――……』

 

『“ここ”なら誰にも見つからない! この宝箱に少しずつお金を溜めていって…いっぱいになった頃には一億ベリーよ!!』

 

『――――………』

 

『………はは…先は無いや…』

 

一億ベリー……

長かったけど、残り後7百万ベリー……

 

今の私なら、後1回で稼ぐ事が出来る…っ

後…たった1回の航海で全てが終わる―――……

 

全てが還ってくる…

全てが報われる……!!

 

ココヤシ村の皆も、私も、アーロンから解放されるんだ………!!

 

そしたら…そしたら私やっと

心の底から笑えそうな気がするよ……ベルメールさんっ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…ざわざわ

 

「?」

 

ルフィが散歩しながら辿り着いた先は、とある村だった

だが、村人はルフィに構う所か何かざわついていた

不思議に思い、騒ぎの方を見ると―――……

 

カラカラカラ…

 

帽子に付けてある風車がカラカラと風に吹かれて音を立てている

傷…といっても、昔の傷の様だが、全身に傷のある駐在とその後ろにはねずみの様な海兵とその部下が連れたって歩いていた

 

「……………!!」

 

それを見た瞬間、ルフィは驚いた様に大きく目を見開いた

それはそうだろう

曲りにも、ルフィは海賊 相手は海軍

見つかっていいことはない

 

が………

 

ざわざわと、村人たちが動揺している

この村に…

いや、この“島”に“海軍“がいる事に

 

だが、ルフィはそれどころでは無かった

隠れるどころか、ガン見していた

 

「………海軍がナミに何の用で?」

 

駐在の言葉に、ねずみの様な海兵はにやりと笑みを浮かべ

 

「チチチ……君は、ただ黙って案内をすればいい」

 

そう言って、そのままルフィには目もくれず、海兵たちが通り過ぎていく

だが、ルフィは“それ”を見たまま、ごくりと息を飲んだ

そして、何故か目をキラキラさせて

 

「……なんで、あのおっさん。 頭に風車さしてんだ……? イカスぅ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      ◆      ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んん―――――――」

 

ナミは外に出ると大きく背伸びをした

すぅっと息を吸い、吐く

 

空は青く、絶好の航海日和だ

 

「さてと…最後のひと盗み、行くとしますか!!」

 

そう言って、目の前のみかん畑を見る

ベルメールの育てた ベルメールの生きた証とも呼べる大切なみかん畑

 

「……………」

 

心の中で、ベルメール頭を下げる

と、その時だった

麓の方から、ザッザとこの村には似つかわしくない一団がやって来た

 

「!」

 

“MARINE”と書かれた帽子に、特有の制服

それは紛れもなく、“海兵”だった

そして、その一団の中にはココヤシ村の駐在のゲンゾウの姿もあった

 

「……………」

 

おかしな話だ

この島には海兵は近づかない

いや、“近づけない“

このアーロンの支配下になっているこの島には、海兵は近づく事すら叶わない筈

なのに――――……

 

 

ナミの中で嫌な予感が膨れ上がっていく

 

 

すると、その中で一番偉そうなねずみの様な男が「チチチ…」と笑みを浮かべて

 

「私は、海軍第16支部・大佐ネズミだ。 君かね? ナミとか言う“犯罪者”は」

 

「………犯罪者? ……そうね、海賊だから大犯罪者よ。 ただし、私はアーロン一味の幹部。 大佐程ともなれば良く分かると思うけど…? 私に手を出せば、アーロンが黙っちゃいないわよ。 ――――それでも、何か用?」

 

ナミが無表情のままそう尋ねると、ネズミはやれやれという風に頭を振り

 

「チチチ…何を言っているのかよくわからんなぁ? ……海賊? そんな情報は私の所には届いていない」

 

と、とぼける様にそう言うと、ニヤリとその口元に笑みを浮かべ

 

「安心したまえ、君には手は出さんよ! …ただ、君が“泥棒”であるという知らせを受けてね」

 

「!?」

 

「調べによると、海賊相手に盗んだものをこの“みかん畑”に隠しているようだな…?」

 

「………なっ!!?」

 

な、んで…すって……!?

 

「まァ、相手は海賊なんだ、君を強く咎めるつもりはない。 ――――しかし、泥棒は泥棒だ」

 

自分で自分の顔がどんどん青ざめていくのが分かった

それはナミだけでは無かった

一緒に来たゲンゾウも、青ざめていた

 

 

だが、ネズミはそれらに見向きもせず

 

「―――よって、お前が盗んだ金品は、たった今! 全て! 我々政府が預かり受ける!!」

 

 

 

 

「…なっ…………!!?」

 

 

 

 

「さァ! 盗品を統べて差し出せ!!! 没収だ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『どうした、お嬢ちゃん。……そんなにあの村を返して欲しいか? んー?』

 

『……………』

 

『………だったらどうだ? おれと“契約”しねェか?』

 

『………けいやく?』

 

『そうよ。 一億ベリー耳を揃えてここに持って来い。 そうすりゃぁ、村を解放し、お前も“自由”にしてやる』

 

『………ほんとう?』

 

『本当さ。 おれは金の上での約束は死んでも破らねェ男なんだ。 何年掛かっても構わねぇ…約束は守る』

 

『……………』

 

 

 

 

 

絶対、一億ベリー貯めてみせる!!

ベルメールさん、私やるよ! どんなに時間が掛かっても―――――――……

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………」

 

「……チチチ。 どうした? 聴こえなかったのかな? 海賊から奪った盗品は全て政府が預かり受ける事になっている」

 

「……………」

 

ここで動揺してはいけない

本能的にナミなそう思った

 

だがおかしい話だ

ここに隠してある事は、ノジコ以外は知らない筈……

かと言って、ノジコが言う訳がない

そうなると、考えられる可能性は――――……

 

ナミの脳裏の一人の男が浮かんだ

紫色の肌にノコギリザメの様なギザギザの鼻の男の姿が――――……

 

 

ナミは小さくかぶりを振った

 

違う

そんな筈はない

あの男は言った「金の上での約束は死んでも守る」―――――と

 

 

で、も…………

 

 

嫌な予感が頭から離れない

 

その時だった

ネズミはニヤリと笑い

 

 

「盗品を探せ!!!」

 

 

その号令を合図に後ろの海兵たちが動きだす

 

 

「―――――っ、待って!!」

 

 

ナミが思わず叫ぶが、海兵たちは止まらなかった

 

「…………っ!! 勝手に――――――」

 

反射的に背中に隠し持っていた三つ折りの こん棒を抜き出すと、

 

 

 

 

「――――立ち入らないで!!!」

 

 

 

そう叫ぶな否や、そのまま家に入ろうとした海兵をこん棒で殴り倒した

怒りが込み上げてくる

こいつらは、あの村を通ってきた筈

 

 

 

なのに……なのに………っ!!

 

 

 

「……どうして……!? これが“今”海軍のするべき仕事なの!!? もっとやんなきゃいけない事が他にあるんじゃないの!?」

 

 

ナミの言葉に、ネズミがそ知らぬふりで顔に笑みを浮かべる

それが余計に癪に障った

 

 

ナミは構わずズカズカとネズミに向かい

 

 

「アーロン一味は、人を殺して、町だって潰してる!! 知ってるでしょ!!?」

 

 

「……………」

 

 

「今も奴はこの島を支配し、命を踏みにじってる!! その大問題を無視して”泥棒“1人から盗品を巻き上げる…それが政府の意向なの!!?」

 

だが、ナミの言葉はネズミにはどうでもいい言葉だった

ふんっと、笑みを浮かべると

 

「チチチチ…!! 罪人が偉そうな口を叩くな、小娘…!! 構わん、捜索を続けろ!!」

 

許せない

 

 

「……島中の人達は、何年もあんた達“海軍”の“助け”を待ってるのに!!」

 

 

許せない

 

「よくもそんな人達を素通りして、ここへ来れたわね!!!」

 

 

許せない!!

 

 

その時だった

海兵の一人が

 

 

「大佐、このみかん畑が怪しいです」

 

「掘り起こせ!」

 

 

 

「…………!!!!」

 

 

 

―――――許せない!!

 

 

 

「汚い手で……」

 

ギリッと、こん棒を持つ手に力が籠る

 

 

 

 

「汚い手で……ベルメールさんのみかん畑に触るなぁ!!!!」

 

 

 

 

そのまま一気に、海兵を殴り倒す

みかん畑を掘り起こそうとしている海兵たちを、次々となぎ倒していく

 

『ノジコ――――! ナミ―――――!』

 

『ほーら、おっきいのが出来た!!』

 

 

ベルメールさん……

ベルメールさん…………っ!!!

 

 

 

「私のお金は、お前達なんかに渡さない!! あのお金は…あのお金は―――――」

 

 

 

 

 

 

 

「―――――この()の金は、このココヤシ村を救うための金だ!! それでも貴様らに金を奪う権利があるのか!!? 海軍!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………!!?」

 

 

 

え―――――……!?

 

 

一瞬にして、思考が止まる

今、ゲンゾウは何と言ったか……

 

 

 

“このココヤシ村を救うための金だ!!”

 

 

 

彼は確かにそう言った

 

そんな筈ない

この事実は、契約を持ちかけたアーロンと、あの時話したノジコしか知らない筈だ

村の人には誰一人話してなどいない…なの、に………

 

 

「……………? ゲンさん…なんで、そのこと………」

 

「……知っていたよ、ナミ……」

 

「!」

 

「あの時、お前の行動がどうしても信じられず、我々はノジコを問い詰めたのだ…」

 

「……………!!」

 

「あの時から、村中の皆が知っている。 村を救うために、お前がアーロン一味に身を置いて来た事を…だが、我々は知らぬ振りをしてきた。 お前が、アーロンから逃げ出したいと思った時、私達の“期待”がお前の足を引っ張ってしまうからだ」

 

「…そ、んな………」

 

じゃぁ…じゃぁ、ずっとみんな………

 

村を通るたびに、閉められるドア

誰一人、言葉を交わす事のなくなった村人

 

 

それも、それも全て…

わたし、の、た、め………?

 

 

 

ぐっと、こん棒を持つ手に力が籠る

 

 

私の………

 

 

「君達は一体、何の話をしているんだね? 要するに、村中が泥棒だから皆捕まえてくれと、そう言ってるのかね?」

 

 

ネズミがニヤリと笑ってそう言った時だった

 

 

 

「あたし達は、1人1人が生きる為に戦ってるって言ってるんだよ!! あんたら政府の人間が頼りにならないからじゃないか!」

 

 

ハッとして声のした方を見ると――――……

そこに居たのは

 

 

「……ノジコ」

 

それは、ノジコだった

ノジコはツカツカとネズミを睨みつけながら向かってくると

 

 

「村を救ってくれる気がないんなら、さっさとここから消えな!! ぐずぐずしてると、あんたの船もアーロンに狙われるよ!!」

 

 

――――今までの海軍の船はことごとくアーロンに沈められてきた

そう――――ことごとく だ

 

 

だが―――――……

 

 

ネズミは面白い事を聞いた様に「チチチ」と笑みを浮かべると

 

 

「…………ほォ、アーロン氏に? それはどうかなァ……チチチチ…」

 

 

「…………え…」

 

 

今ネズミは何と言ったか

 

また、脳裏のあの男の顔が浮かぶ

高々に笑う――――あの男の顔が

 

 

ま、さか……

 

 

嫌な考えが浮かぶ

まさかと思う

 

だって、「金の上の約束は死んでも守る」と言っていた筈なのに……

そう――――「金の上の約束」は

 

 

だ、が……

 

もし、奴の目の前に一億ベリーが出せなくなったら……?

そしたら、奴は納得するだろうか……?

 

 

その時だった

ネズミが決定付ける一言を放った

 

 

 

「まだ見つからんのか!!? 米粒を探しているわけじゃないんだぞ!? 一億ベリー(・・・・・)だ!! 見付からねェ筈あるまい!!」

 

 

「!?」

 

 

「な………」

 

 

“一億ベリー”と言った

この男は、今、確かに“一億ベリー”と―――――

 

 

 

「おい、貴様!! 何故、金額を知っている!!!」

 

 

 

その言葉に、ゲンゾウが食って掛かる

すると、ネズミはとぼけた様に

 

 

「ん? ああ…まぁ、一億……それぐらいありそうな気がしたんだ。 チチチチ……」

 

 

ゲンゾウとノジコがわなわなと震えだす

そう、全ては――――……

 

 

 

 

 

“シャーハハハハハハハハ”

 

 

 

 

高々に笑う、あの男の声が響く

ギリッと、こん棒を持つ手に力が籠る

 

 

やっぱり………

 

 

 

 

「やっぱり……アーロンがあんた達をここへ!!?」

 

 

 

 

怒りが収まらない

声が震える

 

アーロン………っ

 

 

すると、ネズミはニヤリと笑みを浮かべ

 

 

「さァね……私達は政府の人間として、泥棒に対する当然の“処置”をとっているだけだ」

 

「………!!? 何という、腐った奴らだ!!!」

 

「海軍が海賊の手下に成り下がるなんて!!!」

 

 

怒りが収まらない

沸騰する

 

 

アーロン……っ!!

 

 

その時だった

 

 

「ありました!!!」

 

 

みかん畑の奥から、捜索していた海兵の声が辺り一帯に響いた

すると、ネズミはいそいそとそちらに向かい、大きな木筒の箱を開けた

 

 

「おおお…!!」

 

思わず、歓喜の声を上げる

中には金貨や札束、その他宝飾など、箱一杯に収まっていた

ネズミは嬉しそうにその札束を握り締める

 

「小娘がよくこれだけも集めたものだ…!」

 

すると、海兵の一人がそれを見て

 

「血がにじんでボロボロですな」

 

「構わん! ……金は金だ!! チチチ」

 

じゃらじゃらと、金貨を手のひらから零してネズミが笑みを浮かべる

その時だった

 

 

 

 

 

「………るな」

 

 

ナミがゆらりと“そちら”の方を見る

 

 

 

「……わるな」

 

そのまま、“そちら”の方に、歩きはじめる

 

 

 

 

「……わるな……さわるな………」

 

 

「……ナミ?」

 

異変を感じて、慌ててノジコとゲンゾウがナミに駆け寄る

だが、ナミは止まらなかった

 

 

 

 

「さわるな……さわるな……さわるなァ!!!!!

 

 

 

 

ネズミがニヤリと笑みを浮かべて、ポケットから一丁の拳銃を取り出して構える

 

 

 

 

「うああああああああああ!!!!!!!」

 

 

 

「ナミ――――――!!!」

 

 

今にもネズミに襲い掛かりそうなナミをゲンゾウとノジコが止めに入る

 

 

 

瞬間―――――………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……ドォン!!!

 

 

 

 

 

 

 

「―――――っ、ナ…ミ………」

 

拳銃が発砲する音と共に、ノジコがぐらりと倒れた

 

ナミがはっとして、瞬間的にノジコに駆け寄る

 

 

 

 

 

「ノジコ!! ノジコォ――――――!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「風車かぁ……」

 

ルフィは道端の木に寄り掛かってあの時の駐在の帽子にあった風車を思い出していた

 

「めっちゃカッコよかったなァ…」

 

それから何かピンと来たのか…ニッと笑って

 

「あ! 良い技考えた~!!」

 

その時だった

 

「ドクター! ドクタァ――――!!!」

 

誰かが、医者を呼ぶ声が聴こえた

何事かと思い、ルフィがそちらを見ると…何だか人だかりが出来ていた

 

すると、慌ててドクターらしき人がその人だかりに駆け寄る

 

「どうした、ゲンさん!!」

 

「ノジコが撃たれた」

 

「なっ…! 誰がやった!!?」

 

「……海軍だっ」

 

そんな会話が飛び交っている中に居たのは――――

「あ~~~」

 

そこには、ナミの姿があった

ナミは無言だった

 

「海軍!?」

 

ドクターの声に、ゲンゾウが頷く

 

「アーロンは、海軍と組んでいた」

 

「なに…!?」

 

「奴は、8年前からナミを欺き、約束を守る気などなかったんだ…!」

 

ざわりと、村人たちがざわつく

 

「なんだと…!?」

 

「それじゃぁ……」

 

「あの野郎……!!! おれ達のナッちゃんを!!」

 

怒りが収まらない

怒りで今にも爆発しそうだ……

 

 

震える手を何とか堪えて、ナミはゆっくりとノジコを置くと立ち上がった

と、その時だった

 

 

「よォ、ナミ! どうした? なんか手伝うか?」

 

 

と、今一番聴きたくない声が聴こえてきた

 

 

能天気な……

事情も知らない……

 

 

 

怒りが爆発する

 

 

 

 

「…………まだここにいたの!!!?」

 

瞬間、ナミはルフィの首根っこを掴んで叫んでいた

 

 

 

「あんたには関係ないっ!! さっさと島から出て行って!!!」

 

 

 

違う

本当はルフィには関係ない

怒鳴るなんてお門違いだ

でも、でも、怒りが収まらない

 

 

「…………っ、…………っ、…………っ」

 

 

ブンッとナミはルフィを投げ飛ばすと、そのまま駆け出した

 

「ナミ!!? どこへ―――――!!!」

 

ドクターの制止も聞かず

ナミはある場所に向かって駆け出した

 

 

アーロン……!!

アーロン………!!!

 

 

アーロン……………っ!!!!

 

 

『そんなに村を返して欲しいか、お嬢ちゃん』

『よォし! 一億ベリー耳揃えてここへ持って来い。 そうすりゃぁ、村を解放しお前も“自由”にしてやる。 本当さ!!』

『何年か掛かっても構わねェ おれァ金の上での約束は守る!』

 

 

 

 

 

 

 

―――アーロン……………っ!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チチチチ…笑いが止まらんとは、まさのこのことだな」

 

そう言って、ネズミはじゃらじゃらと血まみれの金貨を広げて眺めた

 

この3割が“自分の”懐に入るのだ

これが笑わずにいられようか

 

「しかし、まぁ、あんないたいけな小娘が自由を信じてコツコツコツコツ8年も…バカみてェによく集めたもんだぜ!! チチチチチ……!!」

 

そう言って、血まみれの札束をニヤニヤしながら数えていた時だった

 

「そうなのよね…よくご存じで」

 

「ん~? ああ、そりゃァな…アーロン氏がそう言って―――……って、誰だ!!?」

 

突然の女の声にぎょっとして、ネズミが顔を上げると

そこに居たのは――――……

 

流れる様なプラチナ・ブロンドの髪

何もかもを見通す様なアイスブルー瞳

それは――――……

 

 

 

 

「リ……リリリリ、リディ・レウリア!!?」

 

 

 

 

 

そう、そこに居たのは……

 

元海軍大佐 “翔風”と謳われた海軍きっての強者—————リディ・レウリアだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

久しぶりにワンピです

そろそろ、進めないとね~と思ってwww

 

最後の最後でまさかの夢主登場

さて、ネズミの命運はいかにwww

 

2017/03/16