CRYSTAL GATE

  -The Goddess of Light-

 

 

 第一夜 創世の魔法使い 22

 

 

 

「さぁ!冒険の続きをしようよ。ゴールを目指そう!」

 

そう言って、アラジンがアリババに手を伸ばす

アリババは笑みを浮かべると

 

「ああ!」

 

そう頷いて、しっかりとアラジンの手を取った

 

瞬間――――

 

3人の足元に無数の赤い魔法陣が現れた

その魔方陣は部屋中に散らばると、祭壇へ向かってどんどん現れていった

 

そして、祭壇から光の柱が立ったかと思うと、その周りに炎の柱が無数に立ち上った

炎の柱は宝物庫を埋め尽くさんばかりにあふれかえってく

 

 

その時だった

 

 

 

 

  『誰だ?王になるのは……?』

 

 

 

 

何処からともなく地を穿つ様な声が響いた

瞬間、炎の祭壇の中心に巨大な青いジンが現れたのだ

 

突然の出現に、誰もが言葉を失った

ジンは、ジャミルを見て「違う」と答えた

 

『……黒の器…。だが、他人に作られた贋作じゃ』

 

そして、今度はモルジアナを見て、やはり「違う」と答えた

 

『小娘か…?……違うな、縛られた小さな器…だが、強い生命力を感じるのう…』

 

ふと、アラジンとエリスティアを見た瞬間、ジンはその表情を初めて変えたのだ

 

『―――ん?これは――――……』

 

その時だった、視界に入ったアリババを見た瞬間だった

 

『お主は……?』

 

じっと、品定めする様にじっと観察する

そして、フンッと何故か鼻で笑ったのだ

 

「なっ…何だよ今のはぁ!!」

 

たまらずアリババが抗議するが、ジンは気にも留めず

 

『ピィピィしゃべるな、聞こえんわ……』

 

それだけ言うと、ジンはしゅるしゅると小さくなった

といっても、まだまだエリスティア達よりも数倍大きい

 

そして、ジンはそのままアラジンとエリスティアの前まで来ると頭を垂れたのだ

 

『これはこれはマギよ。そして、ルシ』

 

「え……? 僕の事?」

 

アラジンがきょとんっとしまま、その目を瞬かせる

だが、エリスティアには通じるのか、ぺこりと頭を下げる

 

「お久しぶり…と、申し上げるべきなのかしら……」

 

ええ!?

 

まさかのエリスティアの反応に、アリババがぎょっとする

アラジンやエリスティアに頭を下げた事にも驚いたのに、まさかエリスティアが知り合いの様に話しだしたのだ

それは驚くだろう

 

エリスティアの言葉に、ジンは微かに笑みを浮かべて

 

『貴女様に直接はお会いした事は御座いませんが、貴女様の()はよく存じておりますぞ』

 

「そう―――みたいね。私も貴方の事は知っている気がするわ」

 

知り合い!? 知り合いなのか!?

っていうか、マギとかルシとか何の事だよ!!

 

アリババには、二人の会話はまったく理解出来なかった

 

『それでルシよ…これは一体……』

 

そう言いながら、アラジンを見る

だが、エリスティアは小さく首を振った

 

「分からないわ。今回は、イレギュラーが多すぎて――――……」

 

その時だった、突然アラジンの笛が光りだしたかと思うと、“ウーゴくん”がその姿を現したのだ

それを見た瞬間、ジンが驚いた様に目を見開いた

 

『あっ…貴方様は…!!?』

 

すると“ウーゴくん”はストップの構えをした後、何やら腕を振ったり、腰を振ったり 身振り手振りで何かを表現しだした

 

はっきり言って、何を言いたいのか全く分からない

しかし、ジンには通じるらしく、フムフムと頷いている

 

「何を、話してるんだろう……?」

 

「……通じてるのか…????」

 

「さぁ……」

 

流石のエリスティアにも、これは分からなかった

だが、ジンには全て通じたらしく

 

『ふむ…大体の事情は分かり申した』

 

そう言って頷くと、すっとアリババを見た

そして――――……

 

 

『我が名はアモン。礼節と厳格から作られし炎のジンです。この迷宮の主として迷宮攻略(ダンジョンクリア)を認めます』

 

 

迷宮攻略(ダンジョンクリア)

 

 

その言葉を聴いた瞬間、アリババとアラジンが嬉しそうに歓喜の声を上げた

 

特に、アリババの喜びようは異常で「クリアか―――!!」と叫ぶと、お宝めがけて駆け出した

 

そんなアリババを嬉しそうに眺めた後、アラジンはアモンに向かって手を振った

 

「やぁ!アモンくん…僕は、アラジン。はじめまして…だよね?」

 

アラジンの言葉に、アモンは「はい」と答えた

 

『…しかし、私は貴方を知っています”マギ“よ』

 

「……………」

 

また出てきた言葉だ

“マギ”

それは、一体なんなのか

 

「あの、待ってアモン。アラジンは本当にマギなの?」

 

エリスティアの問いに、アモンは静かに頷いた

 

『はい、ルシよ。貴女様がルシであるのと同じく、この方もマギであります』

 

「そう……なの……」

 

ジンがこういうのだ

きっと、それは事実なのだろう

 

 

そうなると、“4人目のマギ”と言う事になる

 

 

あり得ないわ……

 

過去一度も“4人目”などは現れなかった

あの時でさえ、”マギ“は3人だったというのに――――……

 

「アモン、貴方は知っているわよね。いつの世界にも”マギ”は3人だった。もしアラジンが”マギ“ならば――――」

 

そこまで言い掛けてエリスティアはハッとした

ここでそれを言えば、認めた事になる

そんな事ある筈が―――………

 

『………ルシよ』

 

静に、アモンが呟いた

 

『貴女様が危惧しておられるのは、貴女様の主の事でしょう? ご安心なされよ、”マギ“は貴女様の主に害をなすものではありません』

 

「え――――」

 

エリスティアがハッとした様に顔を上げた

その時だった

 

「ねぇ、アモンくん。エリスおねえさん。“マギ”ってなんだい?」

 

「……………」

 

エリスティアが、困った様にアモンと“ウーゴくん”を見る

アモンと“ウーゴくん”は顔を見合わせると、頷き合った

 

『“マギ”とは、王の選定者。いつの世も、王は魔法使いが選ぶもの…。人が群れれば正しく束ねる王が要る。王となるべき者がおる…。その者を捜し、見抜き、導き、鍛えられる賢者を…我らが偉大なる大王はこの世界に使わされたのです』

 

そう言って、アモンは大きく手を広げた

 

『愛しきソロモンの移し身よ。それが、貴方様なのですよ』

 

「………………」

 

アラジンは言葉を失った様に、アモンと”ウーゴくん“そして、エリスティアを見た

 

「……じゃぁ、エリスおねえさんのルシってなんだい? マギとは違うのかい?」

 

『それは――――……』

 

アモンがその問いに、言葉を濁らせた

ちらりち、エリスティアを見る

 

と、その時だった

 

「なぁなぁ! クリアって事は、ぜ~~んぶ持ってっていいんだよな!?な!」

 

アリババが両腕に入りきらない程の宝を思いっきり持ったまま、目をキラキラさせて訴えてくる

そのアリババにアモンがフンッと鼻を鳴らした


『好きにせい』

 

「うっひょ~~~~!!」

 

アリババが嬉しそうにお宝抱えて走り出す

それを見たアモンは、ふぅ…と溜息を洩らした

 

『ハァ…何故、あんな小僧にしたのですか?』

 

「?何の事だい?」

 

アラジンには、アモンの問い意味が分からなかった

 

「それよりも、ねぇ……教えてよ…。移し身ってどういうことだい?僕って一体…何者なの?」

 

『それは……』

 

アモンが言葉に詰まらせた時だった

 

 

「待って!まさか、この気配――――」

 

 

突然、エリスティアが何かに気付いたかの様にハッと上の方を見た

 

瞬間

 

 

 

 

 ドオ―――――ン

 

 

 

 

 

突然、地響きのような音とと共に、天井が崩れ出したのだ

 

「な、なんだぁ!?」

 

ぎょっとしたのは、アリババ達だった

突然、ぐらぐらと壁が揺れ始め、天井がどんどん崩れ始めていく

 

『ぬぅ…これは…いかん、何者かが外から“道”を閉じようとしておる』

 

「きゃぁ……っ」

 

余りに揺れに立っていられなくなり、エリスティアが床に手を付く

 

「“道”?」

 

「迷宮の出入り口となっている“道”の事よ!!このままでは、外で出られなくなるわ!!」

 

「ええ!?」

 

エリスティアの言葉に、アリババがぎょっとする

 

こんなことするの、彼しかいないわ……っ!!

思い当たるのはただ一人

 

 

煌帝国の”マギ“ ジュダル

 

 

「困るよ~!返してくれよォォォ!!!」

 

必死に訴えるアリババに、「わめくな!」とアモンはその指で八芒星を描くと、魔法陣を出現させた

その魔方陣から光の柱が現出する

 

『さぁ、帰る者はこの中に入れ。この迷宮は崩壊する。取り残されれば死ぬるのみだぞ』

 

慌ててアリババはお宝を引っ張りながら、魔法陣の中に入っていく

アラジンも、エリスティアもその後に続いた

 

その時だった

呆けたままのジャミルの前にモルジアナが立っていた

 

「おい!お前は戻らないのか!?」

 

「おねいさん、早く!!」

 

言われてハッとする

だが、ジャミルはとても動けそうにない

 

助けなければ

助けなければ、きっとまた罰を与えられる

 

でも、逃げなければ死んでしまう

 

モルジアナは迷ってしまった

ジャミルを助けるのか、そのまま逃げるのか

 

でも……

助けなければ…という思いが勝る

 

そう思って、ジャミルの元へ駆け寄ろうとした時だった

 

「何で、そんな奴気に掛けるんだよ!!置いてっちまえば、自由になれるのに!散々、嫌な事されてきたんだろ!!?」

 

ピクッとモルジアナの足が止まる

 

“自由“

 

ずっと、手に入らなかった

欲しかった”自由“が手に入る

 

 

置いて行けば―――――

 

だが……

 

『僕を助けろ、モルジアナ!!』

 

何処からかジャミルの声が聴こえた気がした

声の鎖が、モルジアナを今でも縛っている

 

 

助け…な、けれ、ば――――……

 

 

そう思って、もう一度ジャミルの元へ行こうとした時だった

不意に、誰かに腕を掴まれた

 

ハッとして顔を上げると、そこには死んだと思ってたゴルタスが立っていた

 

「ゴルタス…生きて……」

 

「こ…………こんな、男を……出しては…ならない………」

 

「……!ゴルタス…貴方、喋れたの…?」

 

それは、初めて聞くゴルタスの声だった

 

「こんな、馬鹿の言いなりに…沢山人を…殺めてきた……」

 

そう言って、ゴルタスは、ジャミルに近寄るをそのまま肩に担ぎあげた

 

「お、おれも……外に出るべきでは…ない……、だが……お前は、違う。まだ…戻れる……」

 

ハッとした様に、モルジアナがその瞳を瞬かせた

 

故郷(くに)へ帰れ…モルジアナ……それが、おれのさいごの……のぞみ……」

 

モルジアナが大きく目を見開いた

瞬間、ゴルタスが大きく剣を振りかざした

そして――――……

 

 

    ガシャ――――ン

 

 

 

モルジアナの鎖を断ち切ったのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガラガラガラと、迷宮(ダンジョン)が崩壊していく

 

『送るぞ』

 

アモンがそう言った瞬間、モルジアナを含めて4人を乗せた魔法陣が光りだした

そして、どんどん宙と浮かんでいく

 

モルジアナはその魔方陣の中から、遠くに歩いて行くゴルタスを見た

 

「ゴルタス…、ドルジス…良い子だなぁ…よし…好きなだけトウモロコシをやるぞ……あれ?モルジアナは?」

 

ジャミルが子供の様に無邪気にそう言っていたのを、モルジアナには届かなかった

ずっと、自分を縛っていた鎖

ただ、ゴルタスに抱えられていくジャミルをずっとずっと見ている事しか出来なかった

 

アリババもアラジンも、エリスティアも、そんな風にじっと眺めるモルジアナを見ている事しか出来なかったのだ

 

『行くぞ、ソロモン王より授かりし魔力(マゴイ)もこれで最後じゃ……!!

 

アモンが叫ぶ

と同意に、魔法陣が急加速し始めた

この時、アモンがその力をアリババのナイフに宿った事に誰も気付かなかった

 

エリスティア以外は―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ****    ****

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――チーシャン・市街地

 

 

「うわああああ!!!」

 

迷宮(ダンジョン)が崩れるぞ―――――!!!」

 

チーシャンを栄えさえた迷宮(ダンジョン)は、その時を持って崩壊したのだった

その様子を、上空で魔法の絨毯に乗った漆黒の髪の青年と覆面の男が見ていた

 

 

 

「よいのか、“マギ”よ」

 

「あー?だって、また変なのに攻略されたら面倒じゃん?」

 

そう言って、青年は崩れゆく迷宮(ダンジョン)を眺ながらぼやいた

 

「お前が種まいた領主もいないし…もう、帰ろうぜ」

 

それだけ言うと、そのまま彼らはどこか遠くへ飛んで行ったのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ****    ****

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不思議な感覚だった

光に渦の包まれていて、ここが何処だか分からない

 

「クリアしちゃったね……」

 

アラジンの言葉に、アリババは小さく「ああ」とだけ答えた

 

持って来た宝の山と、そして眠っているモルジアナの横にはエリスティアが付いていた

色々な事があった

どれもすべて大切な想い出だ

 

でも、もう終わってしまった

その時だった、アリババが笑みを浮かべたまま

 

「俺はさ、この財宝を元手にシンドリアで一旗揚げるつもりなんだ! 前に絵巻みせたろ? あのシンドバッドが作った国さ。 そこで俺は、シンドバッドドリームを実現させるんだ」

 

その話を聞いていたエリスティアがくすりと笑みを浮かべた

 

「シンドバッドドリーム?そんな名前付いてるのね」

 

そう言って、くすくすと笑いだす

 

「あ……」

 

そういえば、エリスティアはシンドバッドの関係者だった

勿論、シンドバッドドリームの一端であり、目の前で見てきたはずだ

 

「な、何だよ、いいだろ別に!」

 

アリババが真っ赤になって抗議すると、エリスティアはくすっと笑みを浮かべて

 

「じゃぁ、シンに紹介しなきゃいけないわね」

 

「え!?」

 

まさかの展開に、アリババがオロオロとあからさまに動揺する

 

「いや、でも、そんな…心の準備が……っ!」

 

などと言っているが、内心嬉しそうだ

 

「素敵だね」

 

アラジンが嬉しそうにそう微笑む

アリババは、ほっとしつつも

 

「まぁ、その前にバルバッドって国に寄って用事をすませてからだけど……」

 

そこまで言いかえて、歯切れ悪そうにアリババはアラジンを見た

そして、頭に手を抱えると

 

「その、さ…お前達はどうするんだ?」

 

「そうね…私は、一旦シンドリアに帰るわ。長々と空けてしまっているし…」

 

「そっか、エリスは国があるもんな。アラジンはどうする?」

 

「う~ん…僕は、別に……」

 

何もないのか、アラジンは膝を抱えたままそう呟いた

 

「でも、僕とウーゴくんも“ジンの金属器”を見つけられたし、アリババくんも目的を果たせたから…これで僕らの冒険も…おしまいだね」

 

「………そっか……」

 

そこで話が途切れた

 

色々な事があった

炎の岩に追い掛け回されたり、迷宮生物に襲われたり

お宝一杯見つけたり……

 

色々、色々あった

 

「………なぁ―――…アラジン、エリス。世話になったな、色々、さ。 俺―――お前らに会わなかったら“迷宮攻略(ダンジョンクリア)”出来なかった気がするよ。 つか…攻略にすら来なかったかも……」

 

そう―――きっと来れなかった

 

「いざとなると、足がすくむつーか……全然動けないつーか……それで、ひでぇ失敗した事もあって……ま、単に卑怯者とも言う……」

 

 

 

「そんな事ないよ。君は勇気ある人さ!」

 

 

 

 

「え………」

 

まさか、そんな風に言われるとは思わず、アリババは大きく目を見開いた

 

「砂漠の商隊(キャラバン)を覚えてるかい?きみはどれだけ自分の夢や名誉を馬鹿にされても怒ったりしなかったよね?けれど、他の人の命が馬鹿にされた時、本気で怒り、自分の身を投げ出す事を躊躇いもしなかったよね。 僕、あの時からね、きみに事が大好きになったんだ!」

 

「………………」

 

「大丈夫!君は卑怯者なんかじゃないよ。勇気ある人だよ、絶対に。だって、きみは僕の尊敬する、友だちだからね!」

 

「―――――っ、一緒に行こう! 何が冒険はお終いだよ!! 世界にはもっと楽しい事、わくわくする事がいっぱいある! まだ、何にも終わってねえよ! だから、全部身に行こうぜ! な、アラジン!!」

 

「うん!!」

 

「エリス!」

 

2人の様子を微笑ましく見ていたエリスティアに、不意に二人が手を伸ばしてきた

 

「エリスも行くよな!」

 

「ね!エリスおねえさん!」

 

「……………」

 

この2人は人の話を聞いてたのだろうか…

でも、まぁ、少しならいいかもしれない

 

「そうね…国に帰るまでなら」

 

「よ――――し、決定だ!」

 

「わーい、楽しみだね!!一緒に行こうね!アリババくん、エリスおねいさん、約束だよ?」

 

 

 

約束――――………

 

 

 

迷宮(ダンジョン)”を攻略したアリババと、マギと呼ばれた謎の少年アラジン

 

 

    彼等の交わした小さな約束こそがこの世界の巨大な謎に挑む人々の旅の幕開けとなるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ****    ****

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハッと、モルジアナは目を覚ました

気が付くと、モルジアナはチーシャンの郊外に門の外にいた

 

 

 

 

 

 

 

 

一方アリババは、迷宮(ダンジョン)の跡地に転移していた

街の人達が大勢見ている中、宝の山を抱えて現れたアリババは注目の的だった

 

「消えた”迷宮(ダンジョン)“から、少年が現れた……伝説通りだ」

 

「あのボウスが攻略したのか!!?」

 

「あいつが!?」

 

 

次第に嬉しさが込み上げてくる

 

 

 

 

「うおお―――――――――!!!!」

 

 

 

アリババは力の限り叫んだ

 

その声に、街の人達も歓声を上げる

 

直ぐにお前も来るよな、待てるぜ!アラジン!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アラジンは、日の暮れる草原のど真ん中に倒れていた

風が、アラジンの頬を撫でる

 

「あれは――――……」

 

そこへ、馬に乗った一人の青年が通りかかったのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして―――――………

 

 

 

 

 

 

 

ザァァァァァァ…

 

風が吹く

 

彼女のストロベリ―ブロンドの髪が靡いた

 

森の中

少し拓けた、紫の花の咲く中

 

 

      その中に、眠る様に彼女は倒れていたのだった――――………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これにて、第一夜完です

終わったー(´∀`)

 

これでやっと、次回から第二夜に突入です

 

2013/09/01