CRYSTAL GATE

-The Another Side 紅-

 

 

 黄昏の乙女 6

 

 

 

――――15年前

 

 

辺りは炎で燃えつくされていた

むせる様な血の匂いが充満して、少しでも気を許せば意識を持っていかれそうだった

 

血みどろに染まった剣を持つ手に、力が入らない

ここでこの剣を捨ててしまえば楽になれるのかもしれない

 

だが・・・・・・

幼い少年にはどうしても、守りたい人がいた

 

彼だけは

彼だけは、どんなことがあっても死なせるわけにはいかない―――――

 

ぎゅっと彼を片腕で守る様に支え、もう片方の手で剣を構える

その柘榴石の瞳は血の色の様に赤く染まり目の前の敵を睨み付けていた

 

目の前に、「凱」という憎き旗が揺れている

それは、煌帝国と同じ大陸内に位置する「凱」という国だった

 

彼らは、何の罪もない煌帝国の民を殺し、その死体を晒した

女も子供も関係ない

 

目に付いた、通り道の民を根絶やしにしてここまできたのだ

そして、今

煌帝国第一皇子・練 白雄をその手に掛けようとしていた

 

白雄は、味方の兵を庇い致命傷になりかねない傷を負っていた

もう、意識もなくぐったりしている

 

少年は、白雄を庇う様に「凱」の兵たちに剣を向けたまま一歩も下がらなかった

勝てる見込みなどないと分かっていても、少年は白雄を見捨てる事が出来なかった

 

目の前の凱人が、にやにやと気持ちの悪い笑みを浮かべながらこちらへ向かってくる

 

「・・・・・・・・・・・・っ」

 

少年は、ぐっと歯を食いしばり

カタカタと震える剣をその凱人に向けていた

 

「そんな、お荷物置いて逃げた方がいいぜ、坊主」

 

一人の凱人がけたけたと笑いながら、剣の背で肩を叩きながらそうほざいていた

瞬間、ぎろっと少年の柘榴石の瞳がその凱人を睨み付けると、素早く剣を振りきった

 

「おっと~、はは! そんな剣で何が斬れるよ」

 

まるで少年を馬鹿にするように、目の前の凱人たちは笑った

 

「・・・・・・して、や・・・・る」

 

ぎりっと、奥歯を噛みしめた少年の口からつぅ―――・・・・・・と、血が零れる

 

 

 

 

「全員、殺してやる!!!」

 

 

 

 

少年がそう叫んだ時だった

 

 

「――――紅炎!!!」

 

 

敵の囲まれている少年の背後から、聞き込覚えのある声が聞こえてきた

それは、白雄の弟の、煌帝国・第二皇子の練 白蓮だった

 

白蓮は、馬にまたがったまま手を伸ばしてきたかと思うと、少年と白雄をその手に掴んだ

 

「紅炎! 撤退だ!!!」

 

撤退・・・・・・?

こんな野蛮な凱人を野放しにして・・・・・・?

 

そんな事――――・・・・・・

 

少年は、白蓮の手を振りほどくと

そのまま凱人の中に突っ込んでいった

 

 

「――――あの、馬鹿野郎!!!」

 

 

白蓮が馬を急ぎ反転する

素早く、一緒に来た部下に兄・白雄を託すとそのまま少年の後を追いかけた

 

ここで、あの少年を死なす訳にはいかない

彼は、これからの煌に必要だ

 

 

 

「うあああああああ!!!!」

 

 

 

少年が、凱人に叫びながら突っ込む

 

全員・・・・・・

全員、殺してやる!!!

 

少年が剣を振り回すと、凱人は面白いものでも見ているかのように けたけたと笑いながら

 

「そんな、ちゃっちい剣技で俺たちに当たる訳――――・・・・・・」

 

「ない」と言い切ろうとした時だった

一気に間合いを詰めた少年の剣が凱人の顔面を割る様に振り下ろされた

 

「ぎゃああああああ!!!」

 

凱人が、斬られた顔を押さえながら蹲る

それを見た他の凱人の表情が変わった

 

「おい、ガキ。 舐めた真似してんじゃねえぞ」

 

「よほど、死にたいらしいな・・・・・・」

 

けたけた笑っていた目が、血気を帯びた色に変わる

だが、少年は怯まなかった

 

素早く、その小さな身体を反転させると

そのままその場に立っていた凱人達の足を狙って剣を捌いた

 

「――――っ、この・・・・・・っ」

 

怒りの形相の凱人達が少年に向かって剣を振り下ろしてきた

 

「・・・・・・っ」

 

少年は素早く、身体を更に反転させるとその場から一歩上へ跳躍した

瞬間――――先ほどまで少年はいた位置に無数の槍が突き刺さる

 

少年は、そのまま身体をくるっと回転させると、その場にいた1人の凱人の肩に片足だけ乗せると、もう片方の足でその凱人の顔面を蹴り飛ばした

 

 

殺してやる・・・・・・

 

 

わっと、凱人がまた少年めがけて刃を向けてくるが―――――・・・・・・

少年は、また器用にそれを避けると同時に、傍にいた凱人の背を蹴飛ばして後ろへ跳躍した

 

 

殺してやる・・・・・・

 

 

そして、地に着地と同時ぐっと持っていた剣に力を入れてそのまま凱人の足の腱を狙って斬りつけた

 

 

全員・・・・・・

 

 殺してやる!!!!

 

 

怒りが頭を支配する

真っ赤な紅に染まる

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・紅炎・・・」

 

白蓮が、息を切らせて少年の元へやっとたどり着いた時

そこに立っているのは、少年1人だけだった

 

少年の剣も身体も真っ赤な血で染まり

その石榴石の瞳がなおも血を求める様に赤く光っていた

 

「・・・・・・殺してやる・・・・・・、全員、殺してやる・・・・・・・・・・・・」

 

ぶつぶつと、何かに憑りつかれた様に少年はひたすらその言葉を口にしていた

 

「・・・・・・」

 

白蓮が、そっと馬を降り少年に近づこうとする

慌てて、白蓮の兵が止めようとするが――――・・・・・・

白蓮は、剣も何も持たずに少年に近づいた

 

「・・・・・・紅炎・・・」

 

そして、彼の名を呼びぎゅっと抱きしめた

 

「・・・・・・してや、る・・・・・・。 殺して・・・・・・」

 

「もういい。 いいんだ、紅炎」

 

なおも「殺してやる」とぶつぶつ言う少年に、言い聞かせるように白蓮が更にぎゅっと強く少年を抱きしめた

 

「――――もう、大丈夫だから・・・・・・。 もう、終わったんだよ紅炎」

 

ぴくっと少年の肩が震えた

まるで憑き物でも取れたかのように、その瞳に光が宿る

 

「白、れん、さま・・・・・・?」

 

「ああ、紅炎。 ありがとう・・・・・

 

瞬間、少年の持っていた剣が からん・・・・・・と、音を立ててその手から零れ落ちた

 

「ゆっくり休め・・・・・・」

 

まるで白蓮のその言葉が合図だったかのように、少年の意識はそこで途絶えたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

   ****    ****

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

少年が目を覚ました時、最初に視界に入ってきたのは見慣れた天井だった

 

ここは・・・・・・

 

ずきん・・・・・・と、頭が酷く痛む

少年は頭を押さえながら辺りを見渡した

そこは、見知った自分の部屋の中だった

 

先ほどまで、凱人が目の前にいた筈なのに――――・・・・・・

そう思った瞬間、少年ははっと慌てて起きると、部屋を飛び出した

 

身体が酷く重い

それでも、少年はあの人の元へと急いだ

 

あの人の無事だけを、一心に祈りながら

 

 

 

部屋の近くまでくると、丁度その部屋中から侍医たちが出てきたところだった

少年は急いで彼らの元へ向かった

 

「あの・・・・・・っ」

 

息も絶え絶えながら、話しかけると

侍医は少年を見て、拱手の挨拶をすると

 

「これは、紅炎様。 お目覚めになったのですね、良かったです」

 

と、少年の身を案じる様に微笑んだ

だが、少年にとって自身の身などどうでもよかった

 

少年が、一瞬戸惑った様に言葉を濁す仕草に気付いた侍医は、優しく紅炎の目を見て

 

「ご無事ですよ、あのお方は」

 

その言葉に、少年がほっとする

しかし

 

「ですが――――・・・・・・・・・」

 

 

 

「え・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・・・・おそらく、左腕はもう――――・・・・・・』

 

きぃ・・・・ っと、部屋の戸が風に吹かれて音を立てる

そこに、まるで誰かが居るかのように気配を感じた

 

だが、入るのを躊躇っているのか・・・・・・

その気配はそこから動こうとしなかった

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

練 白雄はおぼろげな意識のままゆっくりとその瞳を開けると、寝台の上から扉の方を見た

そこには、まだ13になったばかりのいたいけな赤銅色の髪をした少年が立っていた

 

 

「・・・・・・紅炎?」

 

 

少年の名を口にする

一瞬、ぴくっと少年が肩を震わすのが分かった

 

それを見た白雄は、くすっと笑みを浮かべて少年を手招きした

 

「おいで、紅炎」

 

もう一度少年の名を呼ぶ

すると、扉の所で躊躇していた少年が、恐る恐る部屋の中に入ってきた

 

少年は、白雄を見るなり申し訳なさそうにその柘榴石の瞳を閉じた

 

「白雄様・・・・・・きちんとお守りできなくて、申し訳あり――――「紅炎」

 

不意に、白雄が紅炎の言葉を遮る様に名を呼んだ

 

「紅炎、顔をよく見せておくれ」

 

白雄に促されて、少年がおずおずと顔を上げる

その瞳は、半分涙で揺れていた

 

そんな少年を見て、白雄は優しく笑うと

少年の頭に手を伸ばして撫でた

 

ぴくっと少年が肩を振るわせた

しかし、白雄は少年を安心させる様に微笑むと

 

「私は、大丈夫だから――――紅炎こそ、怪我はなかったかい?」

 

優しくそう尋ねると、少年は小さな声で「・・・・・・はい」と答えた

それから、ややあって、少年はぐっと呑み込んでみた言葉を吐き出すように

 

 

 

「白雄様・・・・・・凱人は鬼です」

 

 

 

そう言った、少年の瞳には苦しそうな色が込められていた

 

「何の罪もない煌の民衆によくも・・・・・・、よくもあんなむごい真似を・・・・・・・・・・」

 

思いだしただけでも怒りで吐き気がする

人を人とも思わない仕打ち――――・・・・・・

それはもう、「人」ならざるものと同意語だと思った

 

「・・・・・・絶対に、許せない。 一人残らず斬り伏せてやりたかった!! やつらは、人間ではありません!!」

 

少年が何かを我慢する様に、ぎゅっと拳を握りしめた

 

「・・・・・・紅炎」

 

それまで、静かに聞いていた白雄だったが

少年を悲しむような瞳で静かに、一度だけその瞳を瞬かせると

 

「・・・・・・人間だよ、俺やお前と同じ」

 

優しく諭すように白雄は言ったが、少年はまるでそれを拒絶するかのように首を横に振った

 

 

 

「いいえ! 貴方様と同じなどではありません!!! 私は――――・・・・・・」

 

 

 

ぐっと、少年が拳を握りしめる

 

「私は、殿下の御身ひとつ満足に守れませんでした・・・・・・。 う、腕が・・・・・・」

 

少年に言われて、白雄が「ああ・・・・・・」と声を洩らす

彼の左腕は痛々しそうに包帯に巻かれてもなお、血が滲んでいた

 

「まぁ、負け戦だったからな。 腕がまだ繋がっているだけ儲けものだ。 ・・・・・・以前と同じ強さで剣を握れるようになればいいが・・・・・・」

 

 

『・・・・・・おそらく、殿下の左腕はもう――――・・・・・・』

 

 

脳裏に先ほどの侍医の言葉が蘇る

ぎゅっと、少年がまた拳を握りしめた

 

「とにかく、お前に助けられた。 お前も無事で良かったよ・・・・・・」

 

優しい白雄らしい言葉だった

本当ならば、それを素直に受け取りたかった

しかし、少年にはそれが出来る程の器はまだなかった

 

 

「よくありません!!」

 

 

きっぱり早々言い切る少年に、白雄が「何故?」と、問う

すると、少年はさも当然の様に

 

「貴方様と、私の命は同じではないからです!!」

 

「紅炎・・・・・・?」

 

「私が死んでも、天華てんかに何の変わりがありましょうか! しかし、白徳様とその血を受け継いでおられる貴方様の命は重いのです!! 世界にとって必要なのは――――・・・・・・」

 

「・・・・・・紅炎」

 

白雄が、その瞳を寂し気に細めた

そして、そっと少年の頭に触れて撫でる

 

「紅炎・・・・・・ひとつ、秘密を教えてあげようか」

 

「秘密ですか・・・・・・?」

 

「うん――――・・・・・・本当はね、血筋に重いとか、軽いとかないんだよ。 俺も、お前も・・・・・・戦場で誰にも看取られずに死んでゆく兵一人の命も―――・・・・・・皆、同じなんだよ」

 

「そんな筈―――――」

 

「受け継ぐのはね、血ではなく志だと思う。 お前にもいつかわかる日が来るよ・・・・・・紅炎」

 

「・・・・・白雄様・・・」

 

結局、この時の白雄の言葉の意味を知るのは

少年がずっともっと大人になってからになる

 

少なくとも、この時の少年には理解出来なかったのだ―――――・・・・・・

 

 

 

 

そして時は流れ――――・・・・・・

4年後

 

 

少年は、16歳を迎えていた

少年だったころの面影も薄くなり、すっかり青年へと成長した少年は

今でも、あの日の白雄の言葉に意味を理解出来ずいた

 

その頃、煌帝国には「神官」を召し上げていた

それは、練 白徳の妻であり、白雄や白蓮の母である玉艶が連れてきた7歳の少年だった

名をジュダルと言い

 

そして、彼は“マギ”だった

 

ジュダルは、次々っと迷宮ダンジョンを作ると、白雄や白蓮ではなく、青年や青年の弟の紅明などに迷宮ダンジョンに行って力を付けるべきだと言った

 

力の欲しかった青年は、ジュダルに導かれるがままに迷宮ダンジョン攻略を繰り返した

それは、自身の力を得る事によって、白雄や白蓮の助けになると思ったからだ

 

そして、第2迷宮・アガレスを攻略した

そののち、第29迷宮・アシュタロス攻略していた折、事件は起きた

 

「なん、だと・・・・・・?」

 

迷宮ダンジョンから出た際に国から伝令兵が飛ばされてきた

内容はこうだ

 

 

『禁城内にて、放火とみられる火災発生。 敵は不明。 皇帝・白徳王と、その皇子であらせられる、白雄様と、白蓮様が生死不明。 至急、禁城に戻られたし』

 

 

という内容だった

 

「白雄様と、白蓮様が・・・・・・生死・・・不明、だと?」

 

青年は信じられないものを見たかのように、その柘榴石の瞳を大きく見開いた

 

「貴様っ!! だてらめを――――!!!」

 

今にも、伝令兵に食って掛かりそうな青年を止めたのは弟の紅明だった

 

「いけません、兄上! 今はそれよりも早く城へ――――・・・・・・」

 

「分かっている!!!!」

 

すぐさま青年は迷宮道具ダンジョンアイテムを使って禁城に戻った

白雄と白蓮が生きていると信じて――――

 

しかし、現実は非情だった

 

戻った時には時すでに遅く、白徳帝も白雄・白蓮も――――

焼死体思われる代物が発見された

 

生き残ったのは、幼い第三皇子の白龍と、第一皇女の白瑛だけだった

 

 

うそ、だ・・・・・・

 

 

白雄と白蓮と思われる棺の中の焼死体を見ても、信じられなかった

 

なぜ

どうして

 

自分は一体何のために、力を手に入れたのか――――・・・・・・

全て、白雄と白蓮の為に、その為だけに欲したのに・・・・・・

 

 

 

 

 

白徳帝と皇子2人の葬儀が終わった後

王座に就いたのは白徳帝の弟であり、青年の父でもあった練 紅徳だった

そして、その隣にいたのはなぜか白徳帝の妻だった玉艶だった

 

帝となった、父の計らいで白龍は第四皇子に、白瑛は第一皇女として禁城に住まう事を許された

 

そして――――・・・・・・

 

 

 

「第一皇子・練 紅炎様」

 

 

 

皆がそう言って、青年に平伏した

 

違うと・・・・・・

こんな事は望んでいなかったのだと、叫びたかった

 

ただ、ただ白雄と白蓮の力になりたかった

 

 

それだけだったのに――――・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・っ!!」

 

 

紅炎が、はっと目を覚ました

思わず、起き上がり辺りを見渡す

 

それは、いつも使っている自室だった

 

「俺は・・・・・・」

 

はぁ・・・・・・と、長い溜息を付いた後、前髪をぐしゃりと握りしめながら上げた

 

「ゆ、めか・・・・・・」

 

いつぶりだろうか・・・・・・

 

白雄と白蓮の夢を

あの時の“悪夢”を見るのは

 

ここの所は、見る事もなかったのに・・・・・・

何故、今・・・・・・

 

「・・・・・・・・・・・」

 

見ると、傍に置いていた剣の飾り紐に宿るフェニクスが微かに光っていた

まるで、何かに反応しているかの様に――――・・・・・・

 

「・・・・・・・・・・」

 

何を伝えようとしているのだ・・・・・・

だが、それが何なのか紅炎には分からなかった

 

いつか、白雄が言っていた

 

『受け継ぐのはね、血ではなく志だと思う。 お前にもいつかわかる日が来るよ・・・・・・紅炎』 と――――・・・・・・

 

それを今頃になって理解出来るようになってきた

 

白雄と白蓮の志・・・・・・

それは、「平和」―――「世界統一」への道――――・・・・・・

 

「俺が・・・・・・成し遂げなければ――――・・・・・・」

 

と、その時だった

突然に、ピイイイイイイと言う音と共にルフがざわめいた

 

それぞれ、ジンの宿った剣と剣飾りと右肩の防具が光っていた

 

なんだ・・・・・・?

 

紅炎が、上着を羽織ると自室の戸を開けた

すると、まばゆい程のルフが何処からか現れ、紅炎の周りをピイピイと鳴きながら飛ぶと、そのまま西方へと飛んでいく

 

「あれは――――・・・・・・」

 

その時だった、アシュタロスが酷く光った

まるで何かを伝えるかのように

 

瞬間、脳裏にストロベリー・ブロンドの髪にアクアマリンの瞳をした彼女の姿が過ぎる

 

 

「エリス・・・・・・?」

 

 

そう思った瞬間、紅炎は部屋を飛び出した

 

まさか、エリスの身になにか・・・・・・?

 

あの時と同じ

白雄と白蓮の知らせを聞いた時と同じだ

 

嫌な予感が胸を駆け巡る

 

紅炎はすぐさま厩へ行くと、愛馬の炎隷に乗ると城を出た

炎隷の腹を蹴り、速度を上げる

 

 

頼む・・・・・・

間に合ってくれ・・・・・・っ!!!

 

 

白雄と白蓮の時の様なのはもう御免だった

大切な人を目の前で救う事すら出来なかった事への後悔の念だけが押し寄せてくる

 

きっと今、エリスティアに何かあれば

もう、正気ではいられないだろう――――・・・・・・

 

 

 

だから――――・・・・・・

 

 

 

 

白雄様、白蓮様、お願いだ

 

 

    どうか、彼女を連れていかないでくれ――――・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 続

 

 

はい、お久しぶり~~な、外伝ですが・・・・・・紅炎の

めっちゃ重い話になったwww

この後、夢主がルフを飛ばすシーンを目撃する訳ですが――――・・・・・・

覚えているかな?(私は忘れてた)

この時の紅炎ちょっと態度がおかしいのよね~

その原因の夢です

 

※この白雄と白蓮の話のくだりは実は、著者様の手書きブログに載っているネタです

ちょい、脚色してますけどねwww

 

 

2022.09.14