紅蓮の炎 揺れる鳥籠
      ~夢幻残宵~

 

 第1話 紅々莉姫 2

 

 

 

 

 

「実は・・・・・・桃太郎とかいうのが来て・・・・・・っ!!!!」

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「「桃太郎????」」

 

 

 

 

 

え・・・・・・桃太郎って、あの御伽草子の桃太郎の事・・・・・・?

桃太郎の御伽草子といえば、鬼退治が有名なのだが・・・・・・

 

まさか、その“鬼退治”に来たのだろうか・・・・・・?

(一応、ここ鬼だらけだし・・・・・・)

 

などと、伽耶が考えていた時だった

鬼灯は、「桃?」とだけ返し

 

「桃なんて要りません」

 

きっぱりはっきりとそう言う

 

「いや、あの・・・・・・別に、お中元とかじゃないんですけど・・・・・・」

 

誰もが思っただろう

 

すると、茄子は実力行使の如く、鬼灯と伽耶の腕を取った

 

「え、ちょっ・・・・・・」

 

てっきり、鬼灯だけだと思ったのに、自分も引っ張られたので伽耶が思わず、その紅蓮の瞳を瞬かせた

 

が、茄子は構わず

 

「とにかく、来てください!!」

 

そう言って、ぐいぐい引っ張っていく

その後ろで唐瓜ともう一人の鬼が

 

「あっ・・・・ちょっと、茄子!! お前―――――」

 

「おい!! 不喜処こっちが先だったのに・・・・・・」

 

という声が聴こえてきた

当然である

 

 

 

茄子に引っ張られながら鬼灯と伽耶が歩く

 

「ねぇ、茄子くん。 桃太郎って・・・・“あの桃太郎”よね・・・・・・?」

 

一応、聞いてみる

すると、茄子はさも当然のように

 

「そうです!!」

 

そうきっぱりと答えた

どうやら、本当にあの御伽草子の桃太郎らしい

 

確か、猿・雉・犬をきびだんごで従えて鬼退治に行ったのよね・・・・・・?

まさか、本当に鬼退治に来たのだろうか・・・・・・と、少し不安になる

 

それを見た鬼灯が

 

「どうしました? 伽耶。 顔色がいささか悪い様ですが?」

 

そう言って、鬼灯がくいっと何も言わずに伽耶の顎を持ち上げた

突然、鬼灯のその行動にぎょっとする間もなく

ぐきい・・・という音と共に、反対を向かせられる

 

「い、痛いです・・・・・・っ」

 

「ほぅ? これも痛いですか?」

 

と、今度はそのまま真反対を向かされる

 

「痛い痛い痛い・・・・・・って!!! なにするのですかぁ!!!」

 

ばしいい!!! と、ものすご―――――い 勢いで、鬼灯の手を振り払った

 

すると、鬼灯は面白いものを見た様に

 

「いえね、ここには地獄の住人(主に鬼)や、死人・亡者しかいませんからね~生者である貴女は、色々と実験のし甲斐が・・・・・・おっと」

 

と、わざとらしく口を押える

 

「・・・・・・今、実験っていわなかったか?」

 

後ろで唐瓜たちがひそひそ言っていているが・・・・・・

伽耶ぷちーんと、切れた様に

 

「いつもいつも、人をモルモットみたいにして・・・・・・いい加減に――――――!!!!」

 

 

 

 

「あ」

 

 

 

 

不意に、鬼灯が大きな声を出した

その視線の先にあるのは――――・・・・・・

 

拷問用具アイアンメイデン・・・・・・?」

 

伽耶がいぶかし気に“それ”を見る

心なしか亡者が入っているのか、ごとんごとんと動き回っている

 

「うん? あの拷問用具・アイアンメイデン・・・・・いつの間に導入したんです? 予算は何処から・・・・・・」

 

導入するなど聞いた覚えがなかった

 

「伽耶、何か聞いていますか?」

 

鬼灯の問いに、伽耶は溜息を洩らし資料をめくった

 

「えっと・・・半月前に、許可だされていますね。 大王様が」

 

それを聴いた瞬間、鬼灯が「ちっ」と舌打ちした

明らかに、今から怒りますモードに突入しかかっている

 

その時だった

 

「あ! 鬼灯様!」

 

一人の鬼が走ってきて、鬼灯と伽耶に頭を下げる

 

「お二方とも、お忙しい中申し訳ございません!!」

 

「いえ・・・・それはいいのですが―――・・・・・・」

 

伽耶がそう洩らした時だった

 

突然、

鬼が来た方から

 

 

「おっ!!  その気の使い方・・・・・・さては、そいつ上官だな!!」

 

 

謎の声が聴こえてきた

とりあえず、そちらの方を見ると――――

 

背には「日本一」の旗

桃のマークの陣羽織

そして、周りには猿・雉・犬

 

その中心には・・・・・・

 

 

 

 

 

「ふっふっふ、俺と勝負しろ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

と、腰の刀を抜いたなんというか、古風な青年が一人

 

 

 

 

 

 

 

 

し――――――――ん・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、えっと・・・・・・」

 

伽耶がしどろもどろになりつつ

 

(「あの、困ったさんは、どちらさまでしょうか?」)

 

(「あれが、桃太郎って奴です」)

 

(「あれが、ですか?」)

 

と、三人でひそひそ話をし始めたものだから、桃太郎(?)が

 

「ひっ、ひそひそするなぁ!!!」

 

と、叫んでいるが、そこは華麗にスルーして

 

「アイツ、急にやって来たと思ったら、道場破りみたいなことし始めて・・・・・・」

 

「・・・・なんでしょう・・・・・・。 思ったより、大変古風で・・・・見目麗しい・・・・・・」

 

「え!? 古風だとは思いましたけれど・・・・・・見目麗しい、の・・・・・・?」

 

と、伽耶がずばっとはっきり言ったものだから

桃太郎(?)は、わなわなと震えだし

 

 

 

「なっ、何が言いたいっ!!!」

 

 

 

そう言って、伽耶の方に刀を向けた

が―――――

 

さりげなく、その間に鬼灯が入る

 

「生前悪い鬼の退治でご活躍なさったのを誇るのはいいですが・・・・・大義を見失っちゃあいませんか?」

 

そう鬼灯が問いかけると、桃太郎はさも当然のように

 

「いーや、見失っちゃぁいないねぇ。 俺は鬼と戦ってこそ桃太郎なんだ、な? 相棒!」

 

そう言って、傍に居る三匹に言い呼びかける

 

 

 

「俺は、契約料きびだんごの為す」

 

 

「でも、現代はきびだんごよりも美味いものが多すぎる」

 

 

「雇用形態が室町時代から変わってないので、正直、転職を考えている」

 

 

と、三匹三様の答えが返ってきた

 

そのまま見ていると・・・・・・三匹は固まりこそこそと

 

「あ、お前も?」

 

「俺たち、霊力ある神獣なのにさ~」

 

「アイツ・・・・1人いつも熱いしな」

 

と、雉がちらっと桃太郎を見た

 

 

「お前らぁぁぁぁぁぁぁ!!! 英雄に部下なのに何が不満なんだよォォォォォォォ!!!?」

 

 

と、桃太郎が叫んだ

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

猿・雉・犬は既にやる気なし

だが、桃太郎一人だけが暑苦しい

それってつまり・・・・・・

 

「要するに社内で体育会系が一人だけ変に混ざっていると、うっとおしいというやつですよ」

 

と、さらっと、本音をぶちまけた

鬼灯が

 

「俺の今の状況を冷静に判断するなぁ!! 鬼ッッ!!」

 

「鬼です」

 

きっぱりはっきり、鬼なので鬼だと返す

 

困り果てたこの場の担当に鬼が

 

「鬼灯様、紅々莉さん、コイツ・・・・・・何とかなりませんか? 微妙にしぶといんです…微妙に(大事な事なので、二度言いました)」

 

 

 

 

「微妙、微妙言うなぁ!!!!」

 

 

 

 

 

桃太郎が叫んだ

そして、びしぃぃっと、鬼灯の方を指さし

 

「・・・・・・お前、俺と勝負しな。 それとも怖いか?」

 

にやりと笑みを浮かべてそう言う

だが、その言葉に、鬼灯は眉ひとつ動かさなかった

 

すると、割って入ったのは、他ならぬ茄子と、ここの担当の鬼だ

 

「お前っ…失礼だぞ!!!」

 

「鬼灯様はなぁっ、偉いお方なんだぞっ!?」

 

すると、桃太郎は「ふーん」と洩らし

 

「へぇ~どのくらい?」

 

ちなみに、横で犬が飽きて欠伸している

 

「鬼灯様はなぁ!!! 閻魔大王の第一補佐官・・・・・・鬼の中でもトップの鬼人なんだぞっ」

 

その言葉に、鬼灯が片手を振りながら

 

「そんな大したものではありませんよ。 官房長官みたいなもんです。 地味地味」

 

 

 

 

「ッキ―――――――――ッッ!!! 腹立つ!!!」

 

 

 

 

「だったらぁ!!!」

 

突然、桃太郎のターゲットが伽耶に向けられた

 

「お前はなんなんだ!? え!!? 官房長官の奥方か何かかよ!!? 女連れとはいいご身分だよなぁ!」

 

「え・・・・・・?」

 

言われて、伽耶がきょとんとする

それから少し考えて

 

「あ、いえ、私は単なる鬼灯様の――――下僕?」

 

伽耶が首傾げながらそう言うと、鬼灯の手が伽耶の肩に置かれ

 

「伽耶・・・・・・自分の立場を理解していることは素晴らし事ですよ。 しかし、それでは外聞が悪いのでせめて、助手にしておきましょう」

 

「は、はぁ・・・・・・」

 

まぁ、どっちでもやる事は同じなのだけれど

とか思ったが、黙っておく

 

すると、桃太郎はますます「キ――――」となり

 

「お前!!! 最低だな!!! こんっっっっな可愛い子捕まえて下僕とか!!! この鬼ッッ」

 

「だから、鬼ですので」

 

それから、鬼灯はふぅ・・・・・・とため息を洩らし

 

「我々は、鬼ヶ島のゴロツキとは違い、身を粉にして働いているのです。 倒される筋合いはありません」

 

と、どきっぱりと言い切った

まさに、その通りである

 

「それを貴方ときたら・・・・・定職にも付かずフラフらと・・・・・・」

 

 

「お前は、お母さんか!!? いや、おばあさんか!!!?(桃太郎的には)」

 

 

「あな、この怒りぞ はらさばやと思ひ候ふ!!!!」

 

 

と、何かよくわからない怒り方をして足をジタバタさせた

 

「怒り方が古いよ」

 

「室町時代の人間だからなぁ・・・・・・」

 

犬と雉が突っ込む

 

「殴る蹴るのタイマンはったろかァ!!!?」

 

と、ついに桃太郎が切れた時だった

 

何処から取り出したのか、伽耶が鬼灯にそっと黒いトゲトゲの金棒を渡す

すると、鬼灯はその金棒を片手で掴むと、ばしばしっともう片方ので叩き

 

「あ、殴る蹴るでいいなら、直ぐに解決するのでありがたいです」

 

ぱぁんと、金棒が音と立てて、鬼灯の手でたたかれる

それを見て危険と悟ったのか・・・・・・

桃太郎は

 

「あっ・・・・・・イヤ待って・・・・暴力は良くないよねっ・・・」

 

と言った瞬間―――――

 

ひゅん

 

  ばきゃっ!!!

 

ずううううん

 

鬼灯が払った金棒が横に岩に当たると、ものの見事に真っ二つに割れた

 

「地獄なので、暴力で解決しましょうよ」

 

 

ひいいいいいいいいいいいい

 

 

と、桃太郎陣営が思ったのは言うまでもない

 

 

ここに――――

ついに、鬼(鬼人)vs 桃太郎

の戦いが幕を開こうとしていたのである―――――――!!!!!

 

待て、次回!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

区切りわるかったので、ここで区切ってまーすwww

まさか、桃太郎のネタにこんなに話数食うとか思ってなかったぜwww

とりま、夢主の立場がね~~

どうしようか迷ってたんですが…下僕ときたwww

閻魔王・第二補佐官にだけはしません( ・`ω・´)キリッ

だって~~よくあるパターンだもーん

まぁ、出会いからして普通じゃないんで、この人たちwww

それは、おいおい

 

2020.09.27