花薄雪ノ抄
     ~鈴蘭編~

 

◆ 鶴丸国永 「竜胆の標(後編)」(改訂版)

   (「刀剣乱舞夢 「華ノ嘔戀 外界ノ章 竜胆譚」 より」 )

 

 

「・・・・・・、一緒に、いて・・・くれます、か?」

 

やっとの思いで、出した言葉に

鶴丸はその金色の目を細めると

 

「ああ―――・・・・・・」

 

そう、嬉しそうに静かに微笑んだ

そして、そっと沙紀の頬に触れる

 

「あ・・・・・・」

 

そのまま優しく口付けが降ってくる

 

「ぁ・・・ン・・・・・・」

 

ぴくっと沙紀の肩が揺れた

緊張しているのが、ほのかにまだ身体が固い

 

それを解すかの様に、鶴丸の手がそっと沙紀の美しい漆黒の髪を撫でる

優しく、優しく撫でた

 

まるで、沙紀を安心させるかの様に

 

「あ・・・・・・」

 

たったそれだけの行為なのに、自然と身体の力が抜けていく――――・・・・・・

不思議だった

いまから彼に抱かれるというのに、「怖い」という思いはない

むしろ、心地よいとさえ感じてしまう

 

「沙紀――――・・・・・・」

 

そう甘く名を呼ばれて、何度も交わされる口付けが 徐々に熱を帯びていくのが分かる

 

「ンン・・・・ぁ、はぁ・・・・り、んさ・・・・」

 

求められているのが分かる

鶴丸が、自分を求めているのが

 

“嬉しい”と

そう感じてしまう

 

思わず、鶴丸の袖を掴んだ手に力が籠もる

沙紀自身どんどん鶴丸に溺れていきそうな感覚に捕らわれていく

 

鶴丸の口付けが唇から、頬、首、鎖骨へと落とされていく

 

「・・・・・・・っ」

 

それが少し恥ずかしくて、沙紀が視線を逸らす様にその躑躅色の瞳を鶴丸から逸らした

すると、鶴丸はくすっと笑みを浮かべながら

 

「沙紀、俺を見ろ」

 

そう言って、沙紀の腰に手を掛けると自身の方へと抱き寄せた

 

「ま、待っ・・・・・・」

 

今きっと自分の顔は真っ赤だ

それ恥ずかしくて、視線を逸らしていたのに――――

 

否応が無しに鶴丸の方を向かせられて、沙紀がその頬をますます赤く染める

それを見た鶴丸はやはり笑みを浮かべて

 

「沙紀、顔真っ赤だな。 可愛い」

 

「・・・・・・っ」

 

ただ、彼に“可愛い”と言われただけなのに、体温が上昇していくのが分かった

身体が、どんどん熱を帯びていく

思わず、両手で顔を隠す様に覆うと

 

「み、見ないで、くださ、い」

 

恥ずかしい・・・・・・

 

そんな思いが沙紀の心の中を支配する

だが、鶴丸は逆に嬉しそうに笑いながら

 

「そういう所が、可愛いって言うんだよ」

 

と、洩らす

 

「え、あ、その・・・・・・」

 

どう答えていいのか分からず、沙紀が困惑していると

鶴丸の手が沙紀を後ろから抱きすくめる様に動く

そして、そのうなじに口付けをしてきた

 

「あ、あの・・・・・・っ」

 

流石の沙紀もそれにはびっくりして、ますます顔を赤らめた

でも、鶴丸の口付けは止まらなかった

 

うなじから徐々に下がり、首元、肩、背中と口付けが降ってくる

 

「り、りんさ・・・・・・ぁン・・・」

 

いつの間にかはだけさせられていた、白衣が肩からずれ落ちていく

沙紀が慌てて露になりそうな胸元を抑えようとするが――――・・・・・・

 

その手は、あっという間に鶴丸に捕らえられた

 

「沙紀・・・・・・こっち向けよ」

 

そんな風に言われても、恥ずかしくて向くことが出来ない

すると、腕の隙間からするっと鶴丸の手が伸びてきたかと思うと、そのまま沙紀のふくよかな胸に触れた

 

「ぁ・・・・・・」

 

急に来た刺激に思わず声が洩れる

 

「沙紀・・・・・・」

 

ちゅっと音がするぐらいの口付けが首元に降ってくると、そのまま吸い上げられた

 

「んん、り・・・りんさ・・・・・・」

 

ぞくぞくと背筋に不思議な感覚が走る

だが、鶴丸は止めなかった

 

そのまま首元から鎖骨へと花びらを付けていく――――

 

「あ、あの・・・・・・そんな目立つ所にされたら――――・・・・・・」

 

たまらず、沙紀が振り返った

が、鶴丸はくすっとだけ笑うと

 

「やっと、こっち向いてくれたな」

 

そう言って、そのまま沙紀の唇に口付けを落とす

先ほどの様な軽い口付けではなく、もっと深い深い口付け――――

 

「ふぁ・・・・ン、ま、待っ・・・・・・」

 

「・・・・待てない」

 

鶴丸の舌が、沙紀の舌に重なり合う

逃げる場所など無く、舌と舌が絡まり合い次第に熱を帯びていった

何度となく交わしても、未だなれないこの口付けに沙紀がぴくっと肩を震わせた

だが、鶴丸は止めるどころか更に激しく貪るように舌が絡まってくる

軽く舌を甘噛みされて、「んっ」と思わず声が洩れた

それでも、彼の口付けは止む事はなくどんどん激しくなる口付けに、沙紀の思考が麻痺したかのようにくらくらしてくる

頭の中がまるでチョコレートの様に溶けていく様で

何も考えられなくなる

 

角度を変えては何度も交わされる口付けに、呑み込めなかった唾液が唇をつたって零れ落ちた

 

「・・・・・・っ、は、ぁ・・・」

 

身体の力が抜けていく

まるで、霊力を吸い取られたかのように、全身に力が入らない

 

「り、ん・・・・・・」

 

沙紀が体制を保てなくなりそうで、鶴丸の肩をぎゅっと掴んだ所で鶴丸がそれに気付いたのか、ふと唇を離した

つう・・・・と、二人の間に白い糸の残像が残る

 

「・・・・・・悪い、沙紀」

 

「え・・・・・・?」

 

不意に謝られて、沙紀が少し驚いた様に反応するが、鶴丸がぐいっと羽織っていた上着を脱ぎすてた

 

「・・・・・・っ」

 

鶴丸の少し緩めの胸元が視界に入り、かぁっと沙紀が顔を赤く染めると視線を逸らした

それに気づいた鶴丸がにやりと笑みを浮かべると

 

「沙紀・・・・・・ほら、触れてみるか?」

 

そう言って、沙紀の手を取ると、はだけていた自身の胸元にその手を触れさせる

 

「あ・・・・・・」

 

どくん、どくん・・・・・・と、少し早めの鶴丸の心音が伝わって来た

自分と同じ――――心音

 

それは、刀の姿ではあり得なかったもの

 

「俺も、緊張してる」

 

そう言って鶴丸が、自身の胸元に当てた沙紀の手に自分の手を重ねる

 

「りんさん、も・・・・・・?」

 

彼には“緊張”なんて言葉はないと思っていた

けれど――――・・・・・・

 

「ああ、俺も沙紀と同じだ。 でも――――・・・・・・」

 

不意に、伸びてきた鶴丸の手が沙紀の頬に触れる

 

「それ以上に、今、お前が欲しい」

 

「・・・・・・・っ」

 

真正面からそう言われて、沙紀がかぁっと頬を朱に染めた

その言葉が何を意味するのか

分からない訳じゃない

 

「あ、の・・・・・・」

 

どう応えていいのか分からない

でも――――

 

この“答え”が合っているのかはわからない

分からないけれど――――・・・・・・

 

沙紀は、少し躊躇いながらそっとその手を自身の頬に触れる鶴丸の手に重ねて

ゆっくりとその躑躅色の瞳を閉じる

そして

 

「その・・・・・・わたし、も・・・・・・」

 

こんなこと言うのは、恥ずかしい

でも、今はちゃんと伝えないといけない気がした

 

「私も、りんさん・・・・・・貴方様が、欲しい、です」

 

精一杯の言葉を伝える

恐る恐る、目を開けると 口元を押さえて視線を逸らしている鶴丸の姿が視界に入った

 

「・・・・・・りんさ――――きゃっ」

 

答えを間違ったのかと一瞬、不安になった

が、次の瞬間鶴丸の手が伸びてきたかと思うと、思いっきり抱きしめられた

 

一瞬、何が起きたのかと、その躑躅色の瞳を瞬かせる

 

「沙紀、可愛すぎ」

 

不意に言われた言葉に、沙紀がかぁっと顔を赤く染める

 

「な、なな、何言って――――」

 

しどろもどろになりながら沙紀が顔をますます赤くさせる

すると、鶴丸がそっと沙紀の頬を撫でて

 

「やっぱり、可愛い。 可愛いから――――余計に欲しくなる」

 

「・・・・・・・・っ」

 

鶴丸からの「可愛い」攻撃に、言葉を発することすら出来なくなってしまい

沙紀が口をパクパクさせながら、顔を真っ赤にしていると鶴丸は笑いながら こつんと額を沙紀に預け

 

「沙紀・・・・どうして欲しい?」

 

「え・・・・・・?」

 

そう聞かれると困る

だが、鶴丸はくすっと笑いながら

 

「沙紀のして欲しい事してやるよ」

 

「それは―――その・・・・・」

 

そう尋ねられても、どう答えていいのか分からない

 

「そ、の・・・・・・、えっと・・・」

 

「ん?」

 

「あ、の・・・・」

 

恥ずかしい・・・・・・

こんなことを言うなんで、きっと軽蔑されてしまうかもしれない・・・・・・

でも・・・・・・

 

「ふ、触れて・・・・・・ほし、い、です」

 

顔を真っ赤にして沙紀がそう言う

すると、鶴丸は嬉しそうに笑いながら

 

「ああ――――では、お望みのままに」

 

そう言うと、鶴丸の手がそっと沙紀の肩に触れた

そしてそのままするっと、彼女に羽織っていた千早を脱がすと、その下のはだけた白衣の隙間から手を彼女の肌に直に触れた

 

「ん・・・・・・っ」

 

ぴくんっと、沙紀がその手に反応する様に声を洩らす

それで、気分を良くしたのか

鶴丸はくすっと笑みを浮かべると、そのままその柔肌に舌を這わせた

 

「・・・ぁ・・・・・ンン…っ」

 

びくびくっと沙紀の肩が震える

 

「あ、ああ・・・・・・りん、さ・・・・・・」

 

沙紀がその潤んだ躑躅色の瞳で鶴丸の名を呼ぶ

鶴丸は嬉しそうに笑うと、そのままそっと彼女のふくよかな胸に口付けた

そして、そのまま舌で胸の突起を転がしていく

 

彼の舌に完全に翻弄されている己が恥ずかしい

でも、抵抗などできようもなく――――むしろ、触れられて気持ちいいのと、嬉しい気持ちとが混ざり合って、頭の中が真っ白になる

 

「あ、ンン・・・・・は、ぁ、ん・・・・・・っ、ま、待っ・・・・・・」

 

「待って欲しいのか?」

 

鶴丸が舌で突起を甘噛みしながらそう尋ねてくる

 

「あぁ・・・・っ、や・・・・・・りん、さっ・・・・・・」

 

急にびりっと来た刺激に、沙紀が思わず声を洩らす

 

「それとも―――続けて欲しいか?」

 

そう言いながら、鶴丸はもう片方の手で沙紀の反対の胸を揉みしだいていく

 

「あ、ああ・・・・・・んん、ぁ・・・や、やめ、な・・・・・・いで・・・はぁ、ぁん・・・っ」

 

「―――わかった。 沙紀の望みなら、何だってしてやる」

 

そう言って、沙紀の望むとおりに

彼女の胸を舌で遊びつつ、もう片方の手を徐々に彼女の身体をなぞるかの様に、下へと下げていく

 

「・・・・・・っ、ぁ・・・」

 

沙紀がびくんっと肩を震わす

 

気がおかしくなりそうだ

鶴丸の美しい金の目が自分を捕らえている

 

しゅるっという音と共に、袴の帯紐が解かれていく音が酷く大きく聞こえてきた

 

「あ・・・・・・」

 

沙紀が慌てて、その手で押さえようとするが

沙紀は抑える間もなく、そのまま解かれてしまった

 

襦袢の隙間から露になった四肢が鶴丸の視界に入ってくる

 

「り、りんさ・・・・・・」

 

余りの恥ずかしさに、沙紀がかぁぁっと顔を真っ赤にさせる

だが、鶴丸はそんな沙紀に笑みを浮かべると

 

「沙紀・・・・・・綺麗だ・・」

 

そう言って、彼女の脚首にちゅっと口付けをする

そのまま、脹脛から太腿へと口付けが動いていく

 

ぎし・・・・・・と、寝台が軋む

鶴丸の綺麗な金の瞳と目が合った

 

「りん、さ、ん・・・・・・」

 

「は、ぁ・・・・・・っ」と、息を洩らす沙紀に、ぞくぞくとなんと言えない支配欲が生まれる

彼女が欲しいと――――・・・・・・

彼女の全てが、欲しい と

 

「沙紀・・・・・・」

 

ああ、俺はどうしても彼女に溺れてしまいそうだ

彼女の――――沙紀が俺のものになるなら、他の何もいらない

 

そう思ってしまう程、彼女に溺れている――――・・・・・・

 

他の誰にも渡さない 渡せない

 

俺の・・・・・・

俺だけの――――“あるじ”

 

彼女だけが、俺を支配できる

彼女だけ、沙紀だけが――――・・・・・・

 

「・・・・・・沙紀」

 

不意に名を呼ばれ、沙紀が「はい・・・・・・」と、静かに応える

 

「ずっと、初めて逢ったあの雪の日からずっと・・・・・・お前だけが俺の全てだ。 だから――――」

 

「・・・・・・え?」

 

最後の方は言の葉に乗っていなかった

微かに「ごめん」と聞こえた気がした

 

瞬間――――

 

「沙紀、口開けろ」

 

「え・・・・・・?」

 

朦朧とする頭の中で思考が麻痺していたからか、そのままぐいっと頭を押さえつけられたかと思うと、再び口付けが降って来た

 

「んん・・・・・・っ」

 

だが、それは今までの口付けとは似て非なるものだった

ずっと、激しく 深い

 

「り、りんさ・・・・・・っ」

 

思わず、沙紀が苦しくて鶴丸の背を叩く

だが、鶴丸は止めてくれなかった

 

「・・・・・・大丈夫だから――――」

 

そう言われた瞬間、鶴丸の手が沙紀の四肢をなぞる様に動いた

ぴくんっと沙紀が身体を震わせる

 

「・・・ぁ・・・・・・っ」

 

その手が、太腿に触れた

慌てた沙紀が脚を閉じようとするが、それはすっと入って来た鶴丸の脚に封じられた

 

「り、りんさ・・・・・・っ、 ンン・・・・・・っ」

 

その指が、沙紀の下着の上から他に誰も触れたことのない場所に触れる

 

「あっ、そ、そこは・・・・・・っ」

 

沙紀が、かぁっと真っ赤な顔をして慌てて声を上げるが

そのまま鶴丸の指がぐっと下から上へとなぞられる

 

「あ・・・・・・っ」

 

びくんっと沙紀が身体を撓らせた

だが、鶴丸の指は止まらなかった 何度も何度も優しくなぞる様に動く

 

「・・・・・・ぁ、や・・・っ、ンン・・・・・・っ」

 

何度も触れられている内に、お腹の下がずくずくと熱くなっていく

びくびくと脚が痙攣を起こしたかのように引き攣る感覚に捕らわれる

 

次第に、その動きがなぞるだけでは無く、突いたり、退いたりしだして、それが余計に沙紀の秘部を刺激した

 

じわりと、そこが濡れていくのが自分でもわかり、恥ずかしさのあまり、沙紀が顔を背ける様に視線をそこから必死に逸らす

 

すると、空いていた手が沙紀の顎を後ろから絡め取ったと思ったら、そのまま鶴丸の口付けが降って来た

 

「ンン・・・・ぁ、・・・・り、りんさ・・・っ」

 

口付けしている間も、ずっともう片方の鶴丸の手が沙紀の秘部をなぞる

 

「沙紀、少し我慢しろな」

 

「え・・・・・・?」

 

そう言われた瞬間、今まで下着の上からでも気がおかしくなるそうだったのに

今度は、その手が直に下着の合間から触れてきた

そして、その指が沙紀の中へとゆっくりと入ってくる

 

「ぁ・・・・・・ンン」

 

ただ真っ直ぐ入れられただけなのに、第二関節部分が膣の入り口を通るたびに、びくびくっと刺激されて声が洩れる

 

「あ、ああ・・・・・・は、ぁ・・・・・・う、んん」

 

気が狂いそうだった

初めて感じるこの感覚がなんなのか――――

ただ、鶴丸は指を1本ゆっくりと動かしているだけなのに、何とも言えない刺激と、じんじんとした気持ちよさが混ざった不可視な感覚を覚える

 

な、にこれ・・・・・・

 

目の前がちかちかして、頭が真っ白になる

 

「ふ、ぁ・・・・・・りん――――・・・・・・」

 

このままでは・・・・・・

 

「あ、ああ・・・・っ」

 

意識が遠くなりそうになる

こんな感覚、知らない・・・・・・っ

 

「沙紀」

 

不意に、ふと耳元で鶴丸の声が響いた

 

「まだ、平気か?」

 

「・・・・・・・・・っ」

 

返事する言葉もままならないまま、沙紀は何とかこくりと頷いた

 

「無理なら止めても――――」

 

「・・・・・・やっ、めな、で・・・・・・。 おね、が・・・・・・ンン」

 

こんな状態でやめられたら、どうしていいのか分からなくなる

すると、鶴丸は「なら―――」と、1本だった指を2本に増やす

 

「あ、ぁ・・・っ」

 

刺激が更に強くなり、沙紀がびくんっと背中を撓らせた

脚がびくびくっと痙攣していく

 

その指が第二関節まで入った所で、突然角度を変えた

そのまま膣口から数センチ先を第一関節で指が上へと刺激してきたのだ

 

「・・・・・・っぁ・・・や、ンン・・・・・・そ、こ、だめぇ・・・っ」

 

耐えられず、沙紀が身体を仰け反った

 

「・・・・・・っ、ここが、いいのか?」

 

鶴丸がそう言って、更に上へと指が動く

 

「あ、ああ・・・・っ、だ、だめ・・・・っ、や・・・ぁ、あああっ!」

 

頭の中が真っ白になる

 

あ・・・・・・

わ、たし・・・・・・

 

指だけで・・・・・・

 

半分涙目になりながら、息を整える様に肩で呼吸する

 

「沙紀、ごめんな。 でも、ちゃんと濡らさないと痛くなるから――――」

 

そう鶴丸に言われて、理解はしている

しているが、思考が付いていかない

 

「あ、謝らないでください。 りんさんだから私は・・・・・・」

 

そう言って、鶴丸の方を見る

笑って

 

そう――――彼にならば、どうされても構わない

 

そっと、鶴丸が沙紀の髪に触れる

指と指が絡まった

 

「沙紀は、俺が欲しいか?」

 

意地悪くそう尋ねてくる

すると、沙紀は恥ずかしそうに、かぁっと頬を朱に染めた後 小さな声で

 

「・・・・・・りんさん、が・・・欲しい、で、す」

 

すると、鶴丸はくすっと笑みを浮かべ

 

「俺も・・・・・・、お前が欲しい。 俺にくれるか・・・・・・?」

 

そう言って、沙紀の唇にそっと口付けする

 

「ん・・・・、りんさんが、望むな、ら――――・・・・・・」

 

そう言って、沙紀が鶴丸の首に腕を回した

それが合図だったかの様に、鶴丸の口付けが深くなる

 

「沙紀・・・・・・」

 

甘くそう囁きながら、何度も何度も口付けを交わしていく

 

「んっ・・・・・ぁ、はぁ・・・りん、さ・・・・っ」

 

何度も交わされている口付けに、沙紀が必死に応えようとしているのが可愛く見えて

鶴丸が嬉しそうに、笑う

 

求められているのだと、実感出きるのが嬉しくて仕方ない

 

「沙紀・・・・・ん・・・ああ、沙紀の全てを俺にくれ・・・・・」

 

そう言って、何度も何度も口付けを交わし合う

 

「りん、さ、ん・・・・・・」

 

ぎゅっと沙紀が鶴丸の首に回していた手に力が籠もる

 

「は、ぁ・・・・・・」

 

ゆっくりと離された口付けが、何だか名残惜しく感じる

 

「沙紀・・・・お前の中に入りたい」

 

鶴丸の言わんとする意味が分かり、沙紀がかぁっと顔を朱に染めるが・・・・・・

小さく、こくりと頷いた

 

「まだ少し痛いかもしれないが、我慢してくれ・・・・・・何なら俺の背に爪を立ててもいいから――――」

 

そう言うと、鶴丸の目が優しく微笑んだ

瞬間――――ずんっと、沙紀の下半身に違和感が走った

 

「――――ぁっ・・・」

 

突然の違和感に、沙紀がぐっと微かに顔を顰める

 

「ん・・・・・・沙紀・・・っ、絞める、な・・・・・・っ」

 

「そ、そんな事・・・言われ、ても――――・・・・・・」

 

無意識的に力が入ってしまう

すると、鶴丸が沙紀を安心させる様に彼女の手を握りしめた

 

「沙紀――――・・・・・・」

 

そのまま口付けが降ってくる

 

「あぁ・・・ンっ・・・・・・りん、さ・・・・・・」

 

下腹部の痛みと同時に、口付けで快楽に溺れそうになる

 

「沙紀・・・・・・はぁ、へいき、か・・・・・・?」

 

鶴丸の言葉に、沙紀がこくりと小さく頷いた

その様子見少しほっとして、鶴丸が少し上体を離す

 

暑くなったのか、鶴丸が上半身に着ていた着物を脱いだ

瞬間、視界に入った細いながらも鍛えられたその身体に、沙紀がかぁっと頬を赤らめて、視線を逸らした

 

それを見た鶴丸は、面白いものを見たかのように笑うと

 

「こんな事で照れているのか? 俺達もっと凄い事しているのに――――」

 

「そ、それは・・・・・・」

 

「そんな、沙紀も可愛いけどな」

 

そう言って、沙紀の額に口付けを落とす

 

「じゃぁ、少し動くぞ・・・・・・」

 

「え・・・・・・っ、待っ・・・・・・」

 

「待って」という言葉が出る前に、ずんっと下腹部で何かがうごめいた

 

「あっ・・・・・、ぁ、や・・・いっ・・・・・・あああ」

 

「沙紀・・・・、少し・・・・・・はぁ、力抜け」

 

「そ、んな・・・・・・ああ!」

 

鶴丸のそれが熱い

沙紀の身体の中でじくじく動くのが、自分の弱い所を的確に突いてくる

それが、沙紀の中で今までに知らない感覚が生まれそうになる

 

「あ、ああ、あぁ・・・・・ンン、・・・・・ぁ・・ん、はぁ・・・・あっ、・・・・・・ぁあ!」

 

「沙紀――――悪い、押さえられそうに、ない」

 

鶴丸がそう言うなり、今度は激しく動き始めた

 

「あ、ああ、あンン・・・、はぁ・・・や、ぁ、り、りんさ・・・・・・っ」

 

「沙紀・・・・・・っ」

 

「ああ――――っ」

 

頭の中が真っ白になり、意識が遠のきそうになる

 

お腹の下の方が熱い何かが入ってくるのが分かる

それが何なのか――――

もはや、沙紀には考える余裕などなかった

 

 

 

 

 

「はぁ・・・・、沙紀・・・・・・」

 

「はぁ、は、ぁ・・・・・・、りんさ、ん・・・・・・」

 

どちらからともなく、口付けを交わす

この時間がずっと続けばいいのに――――

そんなすら考えてしまう

 

そう―――このまま、ずっと彼の傍にいられたら・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「沙紀・・・・・・?」

 

鶴丸がそっと沙紀の髪を撫でる

すると、沙紀が小さく微笑むと、ぎゅっと鶴丸の身体を包む様に手を回した

 

「お、おい、沙紀?」

 

「りんさん・・・・・・ありがとうございました。 後・・・・・・今日は、その、寂しかったです」

 

沙紀の素直な気持ちだった

伝えるべきだと思った

 

だから、口にしてみたが・・・・・・

口にしたら余計に恥ずかしくなった

 

そんな百面相をしている沙紀を見て、鶴丸はくすっと笑うと

沙紀の頭を撫でながら

 

「今日は一緒にいってやれなくて悪かったな。 今日出来たって連絡来たから・・・・・・早くきみに渡したくて――――」

 

「え?」

 

不意に出た言葉に、沙紀が首を傾げる

 

「私へ、ですか?」

 

「ああ――――気に入るといいんだが・・・・・・」

 

そう言って、寝台の横に置いていたものを取ると、沙紀に渡した

それは小さな丸い陶磁器だった

 

「これは?」

 

「開けてみてくれ」

 

「・・・・・・・・・?」

 

何だろうと思って、蓋の部分を開けてみると

瞬間、ふわっとグリーン感あるのラベンダーの様な香りが感じられた

 

「この香り・・・・・・」

 

思わず鶴丸を見る

すると、鶴丸は少し照れたように

 

「ああ、練り香だ。 香りはこの本丸の“華号”でもある、“竜胆の香”にしてもらったんだ。 特別に調香師に頼んで作ってもらった一品ものだ。 ――――沙紀に、似合うと思って」

 

もしかして、今日の外せない用事というのは・・・・・・

 

思わず手の中の練り香を見る

 

これを、私に渡す・・・為・・・・・・?

 

「・・・・・・・・・」

 

思わず黙りこくってしまった沙紀を見て、鶴丸が少し心配そうに

 

「その、気に入らなかったか?」

 

「い、いえ! そんな事はありません! むしろ、その・・・・・・嬉しくて・・・」

 

知らず、沙紀の躑躅色の瞳から涙が零れ落ちた

 

「・・・・・・っ、ごめ、な、さ・・・・・。 私、何も知らなくて――――・・・・・・」

 

すると、そっと鶴丸が沙紀を抱きしめた

 

「いいんだ。 驚かそうと思って内緒にしていた俺も悪かったからな」

 

そう言って、沙紀の瞼へ口付ける

 

「だから、泣くな」

 

瞼から、頬へ、そして唇へ口付けが降ってくる

 

「り、んさ・・・・・・」

 

「お前に泣かれたら、俺が困る」

 

そう言って、涙を拭う代わりに彼女に口付けする

何度も何度も――――繰り返す

 

沙紀が泣き止むまで、ずっと――――・・・・・・

それが、自分の役目だとでもいう様に

彼女を抱きしめたまま、口付けをし続けた―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昨年度末に上げた「竜胆の標(後編)」の改訂版です

序盤途中~中観にがっつり加筆しています

・・・・・・4500文字ぐらいwww

ちょっと、あっさりし過ぎたので、前戯を増やしました かなりww

お陰で、8000文字超えたわwww

 

2023.01.08