花薄雪ノ抄
     ~鈴蘭編~

 

◆ 鶴丸国永 「時雨」

   (刀剣乱舞夢 「華ノ嘔戀 外界ノ章 竜胆譚」 より)(※R18版)

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

雨の音が、窓越しに聞こえてくる

雫が露となり消えていく――――・・・・・・

 

酷く、その音が大きく聞こえた

外のネオンが真っ暗な部屋に光を灯す

 

「あ、の・・・・・・」

 

最初に口を開いたのは沙紀だった

たどたどしく、何を言ったらいいのかわからないと言う風な口調の中に

入り混じる、ほのかな羞恥心

 

鶴丸もまさか、こんな状態・・・・・になるとは思わず、言葉を探すが

上手く見つからない

 

本当なら、直ぐにでも彼女から離れるべきだったのかもしれない

しかし、身体が固まった様に動かない

 

し―――――ん・・・・・・

 

と、した部屋の中に、雨の音だけが響く

 

「沙紀・・・・・・」

 

鶴丸がぽつりと、愛おしいその名を口にする

さらっと、彼女の髪に触れる

風呂上がりの艶やかな漆黒の髪が、鶴丸の指に絡められる

 

駄目だと、心の中のもう一人の自分が叫ぶが――――・・・・・・

自制が効かない

 

沙紀を目の前にして、心臓の音が酷く鳴り響く

これでは、拷問と一緒だ

「我慢」と言う言葉が浮かぶも、彼女の大きな自分のシャツを着ただけの姿に言葉を失っていたというのに、こんな体制・・・・・の状態で、自制心を保てる自信がなかった

 

事の始まりは二時間前に遡る

 

 

 

 

 

 

 

 

――――二時間前

 

沙紀が“現世”の石上神宮の儀式に出る用事があるというので、同行した鶴丸だった

彼女は“審神者”であると同時に、この石上神宮の“神凪”でもある

重要な式典には出席しなくてはならない

 

ので、数か月に一・二回ぐらい、“本丸”の“審神者”業務をお休みして

石上神宮の“神凪”としての仕事に就くことがある

その時、護衛も兼ねてひとりだけ刀剣男士を同行させるのだが――――・・・・・・

 

基本的に、内容を知っている鶴丸か山姥切国広が同行する事が多い

前回は山姥切国広が同行したので、今回は鶴丸が同行したのだ

 

形式ばった儀式を終わらせて、沙紀が控えの間に戻ってくる

 

「お疲れさん」

 

待っていた鶴丸がそう言って、沙紀の頬に手を伸ばす

 

「・・・・・・? りんさん?」

 

沙紀が、不思議そうにその躑躅色の瞳を瞬かせる

すると、鶴丸は少し笑みを浮かべ

 

「いや、顔に疲労が見て取れるぞ? 今日はもう休んだ方がいいだろうな」

 

それだけ言うと、部屋を出ていこうと立ち上がった

 

「あ・・・、あの・・・・・・っ」

 

すると、沙紀が慌てて鶴丸の袖を引っ張った

沙紀からのまさかの行動に、一瞬鶴丸が目を見開く

 

「あ・・・・・・、す、すみませ――――」

 

はっとして、沙紀が慌てて手を放そうとしたが―――――

そっと、その手に鶴丸が自身の手を重ねてきた

 

「どうした? 何か、あったのか?」

 

優しくそう聞かれ、沙紀が少し躊躇いがちに

 

「あ、あの・・・・・・もう、“本丸”に帰り、ます、か・・・・・・?」

 

そう尋ねられて、沙紀が何を言いたいのか分かった

山姥切国広が同行した時は分からないが、鶴丸が同行した時は、いつももう一泊していくのだ

石上神宮ではなく、鶴丸の使っていたマンションに

 

沙紀の言わんとする事がわかり、鶴丸が「あ~」と声を洩らす

 

「疲れてないならいいが―――――、今回は大きな儀式だったらしいしな、お前の身体の方が心配なんだ。 俺にとっては、沙紀が第一優先だからな」

 

そう言って鶴丸が、ぽんぽんと沙紀の頭を撫でた

 

「とりあえず、着替えて来いよ。 待ってるから」

 

その後、沙紀が着替えるのを待った後、二人で沙紀の父・一誠に挨拶した後、石上神宮を出た

行き先は、都心の中央に並ぶ高層タワーマンションの立ち並ぶ一角だ

 

タクシーから降りた後、途中から土砂降りの雨にぶち当たった

傘を持ち合わせていなかった二人は、鶴丸が沙紀を上着で庇うと、そのまま走った

雨宿りも考えたが、どうも通り雨ではなさそうだったので、いつ止むか分からなかったからだ

 

晩夏とはいえ、雨の降る外に長時間いるのは、沙紀の身体が心配だった

だから、走って部屋に行った方が早いと判断したのだ

 

エレベータで最上階にある鶴丸の部屋に行く

鶴丸は素早く、キーを開けると部屋に入るなり、タオルを沙紀に渡した

 

「とりあえず、先にシャワー浴びて来い。 このままじゃ風邪ひいちまう」

 

「あ、でしたら、りんさんの方が先に――――」

 

と、そこまで言いかけたが

それは、鶴丸の人差し指で遮られた

 

「俺は、平気だから。 とりあえず、風呂行ってこい。 じゃないと、俺が気が気じゃない」

 

「・・・・・・わかりました」

 

少し、躊躇ったがきっとその方がいいのだろうと、沙紀はシャワールームへ向かった

それを確認した後、鶴丸はタオルで自身の髪を拭きながら

「はあ~~~~~~~」と、盛大な溜息を付いた

 

自覚がないのも、ここまでくると下手な攻撃よりも質が悪い

ガラス窓の外を見ると、都内が一望できるが――――・・・・・・

今夜は、雨でガラス窓に雨音が当たる音が響いていた

 

鶴丸は、軽く蛇口からグラスに水を入れると、一気に飲み干した

 

「はぁ・・・・・・」

 

なんとか、この状態・・・・を打破しようとあれこれしてみる

が・・・・・・

 

反則だろ・・・・・・

 

あんな顔で、あんな風に一緒に居たいと懇願されただけでも、鶴丸には自分を抑えるのでいっぱいいっぱいなのに・・・・・・

よりもよって雨ときた

脳裏に雨で濡れていた沙紀の顔が浮かぶ

 

17の少女の筈なのに――――

その表情は、とてもそれには見えなくて――――・・・・・・

 

思わず油断すると、抱きしめてしまいそうになるのをぐっと堪えるので精一杯だった

 

その時だった、ガチャッとシャワールームの扉が開く音が聞こえてきて、沙紀が出てきた

が・・・・・・

 

「ぶっ・・・・・・げほ、げほっ」

 

それ・・を見て鶴丸がむせた

何故なら沙紀が来ていたのは、鶴丸の使っているシャツの1枚だったからだ

彼女にしてみればサイズが大きいのだろう

ぶかぶかのそれに着られているようで―――そそられ・・・・・・

じゃなくて!!!

 

「沙紀、その恰好・・・・・・」

 

言われて沙紀が「あ・・・・・・」と声を洩らした

沙紀は少し恥ずかしそうに

 

「その、着替えの服がなくて・・・・・・」

 

「あ・・・・・・」

 

自分の事で手一杯で、彼女の着替えの服を用意しておくのを忘れていた

鶴丸は慌ててグラスを置き、立ち上がると

 

「すぐ、着替えを持ってく―――――」

 

そこまで言った時だった

不意に、沙紀が鶴丸の背にしがみ付いてきた

 

沙紀のまさかの行動に、鶴丸がぎくりと顔を強張らせる

いやいやいや! まずいだろ!!?

直ぐ振り払わなければ理性が持たない

 

そう思って、慌てて離れようとしたが―――――・・・・・・

沙紀が微かに震えていることに気付いた

 

「・・・・・・沙紀?」

 

様子がおかしい

沙紀はぎゅっと鶴丸の手にしがみ付くと

 

「・・・・・・っ、少しだけ・・・」

 

それは、まるで何か・・に怯えているようで

微かに震える小さな彼女を放っておけるほど、鶴丸は出来た男ではなかった

 

「どうした?」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

言いなくないのか

それとも、言えないのか・・・・・・

 

そういえば、儀式の後から様子がおかしかった

と考えると、儀式の後か最中下で何かあったのだろう

 

「沙紀・・・・・・」

 

本当なら、その小さな肩を抱き寄せてしまいたい

だが、今それをすればきっと理性のタガが外れてきっと、彼女を穢してしまうかもしれない―――――・・・・・・

 

しかし、このまま放っておくわけにもいかなかった

 

鶴丸は、そっと沙紀の肩に触れた

そして、そのまま彼女をソファに座らせる

 

「何かあったのか・・・・・・?」

 

そう尋ねるとも、彼女は小さくかぶりを振るだけだった

 

「とりあえず、ちょっと待ってろ。 今、暖かいミルクココアでも入れてやるから――――」

 

そう言って、鶴丸が立ち上がるとした時だった

 

「あ、待っ・・・・・・」

 

沙紀が慌てて立ち上がろうとした

が、足がもつれたのかそのままぐらりと身体を揺らした

 

「きゃっ・・・・・・」

 

「・・・・・・っ! 沙紀!!!」

 

鶴丸が慌てて振り返り、彼女の腕を自身の方に引っ張る

が――――鶴丸も咄嗟の事に支えきれなくて

 

「・・・・・・・・・・・っ」

 

鶴丸が咄嗟に沙紀を庇う様に抱き寄せた

そして、そのまま二人してフローリングにどさっと倒れる

 

「いっ・・・・・・」

 

畳と違って、流石のフローリングは痛かった

思わず、鶴丸が顔を顰める

 

「りんさん・・・・・・っ!」

 

沙紀が慌てて、鶴丸から離れようとする が――――

不意に鶴丸から伸びてきた手にそれは阻まれた

 

離れるどころかそのまま抱きしめられて、沙紀が一瞬身体を強張らせた

 

「・・・・・・怪我は?」

 

そう問われて、沙紀は小さくかぶりを振った

 

「私よりも、りんさんの――――」

 

「俺は、鍛えてるからな。 まぁ、少し痛かったが――――・・・・・・」

 

そう言って、すっと沙紀の髪に触れる

 

「り、りんさ、ん・・・・・・?」

 

「お前が無事ならいいよ、それで――――」

 

そう言うと、そのまま沙紀を抱き寄せてその瞼に口付けた

瞼だけではない、頬や、瞳にも口付ける

 

「・・・・・・ぁ・・・」

 

鶴丸のまさかの行動に、沙紀が動揺するのが分かった

だが、鶴丸は止めなかった

 

「・・・・・・嫌なら、言えよ。 じゃなきゃ、止めてやれない」

 

鶴丸のその言葉に、沙紀が息を呑むのと

彼の吐息を間近に感じるのは同時だった

 

そのままゆっくりと唇が重なる

 

「ん・・・・・・」

 

もう何度もしているのに、未だに慣れないのか

沙紀がぴくりと肩を震わせた

 

「あ、の・・・・・・りん、さ――――」

 

「嫌なら言えよ・・・・・・」

 

そう言って、何度も彼女に口付ける

 

頭中では駄目だと思うのに、もう止められそうになかった

このまま彼女を自分の物にしてしまいたい――――

そんな衝動に駆られる

 

「・・・・ん・・・りん、さ・・・・・・」

 

微かに零れる彼女の声が愛おしくて溜まらない

次第に深くなっていく口付けに、沙紀が流石に耐えきれなかったのか

 

「あ、あの・・・・・・待っ・・・・・・ン・・・・・・ぁ・・・」

 

「待って」と言う言葉は、鶴丸のそれによって塞がれた

 

そっと、彼女の髪を撫でながら

 

「言ったろ―――? 嫌なら、言えって・・・・・・」

 

そう言って、何度も口付けてくる

 

「嫌、だ・・・・・・なん、て・・・・・・んん」

 

沙紀のその言葉を肯定と取ったのか、今まで髪に触れていた手が彼女の少しはだけていた肩にじかに触れる

 

「あ・・・・・・」

 

ぷちん・・・・・・と、ボタンが外されていく音に気付き

沙紀が慌ててはだけそうになる胸元を抑えようと手を動かすが

 

不意に、ふわっと身体が反転したかと思うと、いつの間にか鶴丸が覆いかぶさるように自分を見ていた

 

「りんさ・・・・・・」

 

「・・・・・・悪い、もう、止めてやれねえ」

 

そう言って、再び唇を塞いでくる

 

「ん、・・・・・・ぁ・・・」

 

熱を帯びてくる口付けに、何かを感じ取ったのか

沙紀が次第に顔を朱に染めていく

 

そんな彼女が、鶴丸には一層愛おしく見えた

 

「沙紀・・・・・・可愛い」

 

そう言って、そのまま彼女の着ていたシャツのボタンを外すと、露になった彼女の柔肌にじかに手を回した

 

「沙紀――――・・・・・・」

 

灯りのついていない室内に、ネオンの色だけが雨跡の隙間から彼女の身体を照らす

 

「沙紀・・・・綺麗だ」

 

鶴丸からのその言葉に、沙紀がかぁっとますます頬を赤く染めた

 

「あ、み、ない、で・・・・・・」

 

恥ずかしいのだろう

だが、彼女の白い四肢はとても美しかった

 

「馬鹿・・・・・・、そんな顔されたら逆効果だっていつも言ってるだろう?」

 

そう言って、彼女のふくよかな胸に触れる

 

「あ・・・・・・」

 

一瞬、沙紀がぴくんっと肩を震わせた

 

「沙紀、身体の力抜け――――」

 

そう言って、鶴丸が彼女の首元に跡を付けるかのように口付けを落とす

そのままその舌が這うように、彼女の胸元を攻めた

 

「んんっ・・・・・・ぁン・・・・・・は、あ・・・・り、りんさ、・・・・・・」

 

沙紀が、懇願する様に鶴丸の名を口にする

それが、溜まらなくて鶴丸はもう片方の手で沙紀の胸にふれたまま、再び彼女の唇に自身のそれを重ねた

 

知らず、彼女の手が鶴丸の背に回される

 

「沙紀――――・・・・・・」

 

甘く囁かれ、頭がくらくらしてくる

何度も交わしたことあるのに

まるで、初めての様な錯覚を覚える

 

「りん、さ、ん・・・・・・んん・・・・・」

 

沙紀が、甘えるように鶴丸の名を呼ぶ

 

それが、くすぐったくて

鶴丸はくすっと笑みを浮かべると、そっと彼女の頬を撫でた

 

「・・・・・・? りんさん・・・・・・」

 

沙紀がちょこんと、小首を傾げた

それを見た鶴丸は、やはり笑いながら

 

「やっぱり、可愛い」

 

そう言って、すっと手を動かした

瞬間、ぴくっと沙紀が肩を震わせた

 

「り、りん、・・・・・あぁ・・・・・・ン・・・・・・」

 

突然の事に沙紀が思わず声を洩らす

 

「そんな可愛い事されたら、もう止めてやれないって言ったろ――――・・・・・・」

 

そう言うと、鶴丸の舌が沙紀の胸の突起を舐めるように優しく触れた

 

「あぁ・・・・・・ン・・・っ・・・・・・」

 

それが余計に、刺激されて沙紀がびくんっと肩を震わせた

だが、それだけでは終わらなかった

 

「は・・・・・・ぁ・・・りん、さ・・・・・・んん」

 

鶴丸の舌が今度はそのまま突起を転がすように動いたのだ

何度も、何度も攻められて 沙紀が顔を真っ赤にしたまま声を洩らした

 

その声が余計に、鶴丸の気分を高揚させていく――――

 

「沙紀――――・・・・・これ以上俺を煽らないでくれ・・・・・・じゃないと、本当に我慢できなくなる」

 

鶴丸の言葉に、沙紀が小さく首を振った

 

「あお、・・・・・・てな、て・・・・・・ぁ・・・・ン・・・・・・っ」

 

沙紀が耐えられないという風に、身体を捩った

駄目だ・・・・・・

彼女が欲しくて欲しくて溜まらない

 

彼女の―――沙紀の全てを自分の物にしたい――――・・・・・・

“欲望”という怪物に心が支配されていく

 

 

 

「沙紀―――――・・・・・・・・・」

 

 

 

愛しい 愛しい “彼女”の名を呼ぶ

 

「・・・・・・りん、さ・・・・・・ん・・・」

 

再び、鶴丸から口付けが降ってくる

 

「あ・・・・・っ、んん・・・・・・」

 

沙紀の手がぎゅっと鶴丸の首に回された

まるで、彼女から求められているようで――――

 

「なぁ、沙紀・・・・・・」

 

ほんの少しだけ 欲が出る

そっと、彼女に触れてその言葉を口にする

 

「沙紀・・・・・名を、呼んでくれ・・・・・・」

 

「え・・・・・・?」

 

ぼうっとする頭でそう囁かれ、沙紀が少しだけ首を傾げた

 

「りん、さん・・・・・・?」

 

ちょこんと、小首をかしげてそう言う

その仕草が何度見ても余りにも可愛くて、鶴丸は沙紀に口付けを落としながら

 

「その名前も、“特別”っぽくて好きだが・・・・・・」

 

「あ・・・・・・」

 

それで気づいたのか、沙紀がかぁっと頬をピンク色に染める

そして、少し恥ずかしそうにしながら

 

「・・・鶴丸、さ、ん・・・・・・」

 

「ああ―――」

 

そう―――本当の名前・・・・・・

 

“鶴丸国永”

 

それを彼女の口から呼ばれるだけで、鶴丸の心臓が激しく脈打つ

 

「鶴丸さん・・・・・・」

 

もう一度、沙紀がその名を口にする

 

ああ、俺は・・・・・・

きっと、あの雪の日―――彼女に・・・・・・沙紀に出逢わなければ

こんな感情、知らなかっただろう―――・・・・・・

 

自分が彼女をどれだけ愛おしく思っているか――――

彼女は・・・・・・沙紀は気づいているだろうか?

 

そこまで考えて、ふっと鶴丸は笑った

いや、きっと気付いていないだろうな・・・・・・と

 

でも、そんな彼女だからこそ、愛おしく感じる

他の誰よりも

今まで関わってきたどんなものよりも

彼女だけが―――沙紀だけが自分を満たしてくれる

 

もうきっと、沙紀の居ない世界など考えられないだろうと――――

 

「・・・・・・りんさん・・・?」

 

不意に名を呼ばれ、くすっと鶴丸が笑みを浮かべた

そして、そのまま彼女の愛らしい瞼に口付けする

 

「沙紀――――・・・・・・」

 

そのまま彼女の耳たぶを甘噛みする

 

「あっ・・・・・・」

 

ぴくんっと彼女の肩が揺れた

それを見た鶴丸が、新しい発見をした様にくすっと笑うと

 

「沙紀は、耳も弱いんだな」

 

そう言いながら、彼女の耳から首筋にかけてそのまま唇を這わせた

 

「んん・・・・・・ぁ・・・っ、り、りんさ・・・・・・もう・・・」

 

くすぐったいのか、沙紀が降参する様に、声を洩らす

そんな彼女が可愛くて、更に悪戯心を煽られた

 

「だーめ。 沙紀の事、もっと知りたい―――――」

 

そう言って、ちゅっ・・・・と音がする様に口付けをしながら、彼女の胸元に顔を寄せる

淡いピンク色に染まった彼女の胸にそのまま口付けをした

 

「あっ・・・・・・ん・・・っ・・・・・・」

 

沙紀がぴくんっと反応する

 

「ここも、弱いよな」

 

そう言いながら、また彼女の胸の突起に舌を這わせた

そして、そのまま転がしていく

ゆっくり、 ゆっくりと――――・・・・・・

 

「は、ン・・・・・・ぁあ、待っ・・・・ンン・・・」

 

そのままゆっくりと、胸元から腰へ―――

そして、腰から足へと手をずらしていくと、沙紀が慌てて足を閉じようとしたが

鶴丸には、すべてお見通しだったのか

 

彼女が足を閉じる間も与えずに、そこへ手を刷り込ませた

 

「あッ・・・・・・」

 

ぴくんっと、沙紀が触れられて反応する

 

「あ、あの・・・・・・っ」

 

流石の沙紀も戸惑った様に、声を発したが

鶴丸はくすっとその口元に笑みを浮かべると

2本の指で、下着の上からなぞる様にしてみせた

 

「んん・・・・・・っ、ぁ・・・・、やっ・・・・待っ・・・・・・」

 

「待たない・・・・・・」

 

それだけ言うと、鶴丸は今度こそ彼女のももに触れて、足をゆっくりと開かせた

 

「りんさ・・・・・・っ」

 

沙紀が、恥ずかしそうに真っ赤になって慌てて手で隠そうとするが――――・・・・・・

 

「待ったは無しって言っただろう・・・・・・?」

 

そう言って、彼女の指の隙間からそこへ口付けを落とした

そして、ゆっくりとした動作で、舌で突く様に這わす

 

「んん――――・・・・・・っ、あ・・・・・・、ン・・・・やっ・・・・・・」

 

びくんっと彼女の背が仰け反った

ひくひくと彼女のそこが、反応しているのが下着の上からでもわかる

 

感じてくれているのが嬉しくて、鶴丸がそっと彼女のももにも口付けを落とす

 

「沙紀――――・・・・・・」

 

「え・・・・・・」

 

半分涙目になっている彼女を見て、鶴丸が笑った

 

「やっぱり、可愛い」

 

 

 

「~~~~~~~っ もう、りんさんの馬鹿―――――!!!」

 

 

 

そう言って、沙紀がクッションを投げてくるのは同時だった

鶴丸は、くつくつと笑いながらそのクッションを掴む

 

「おいおい、くれるんだったら―――――」

 

ぐいっと、彼女の足を上げると

 

「・・・・・・沙紀を、くれよ――――・・・・・・」

 

そう言うなり、鶴丸の舌が下着の隙間から直にそこに触れてきた

 

「り、・・・・・・んんっ・・・・・・ぁっ」

 

びくんっと沙紀の身体が仰け反った

 

「あ・・・・・・あぁ・・・・ンぁ・・・や、だ、だめぇ・・・・・・ッ、んん・・・・ぁあ!」

 

鶴丸の舌が沙紀の奥へとどんどん入ってくる

ぴちゃっ・・・・・・と、微かに聞こえてくる音が沙紀の羞恥心を更に煽った

それでも、鶴丸ぐっと更に先の足を抑えると、もっと奥へと侵入してきた

 

「ン・・・・・・は、はぁ・・・・・・んん、やぁ・・・・・・り、りんさ・・・・・・」

 

頭がくらくらしてきて

下腹部がぞくぞくしてくる

 

自分の気持ちが酷く高揚しているのがわかる

分かる―――分かる けれど・・・・・・

 

「り、りんさ・・・・・・わた、し・・・・お、おかし、く・・・・・・なり、そ・・・・・・んん、は・・・・・・あんんっ!」

 

不意に、ぐっと奥の方を刺激され、沙紀の喘ぎ声が部屋に響く

自分の声が、酷く大きく聞こえて恥ずかしくなり、沙紀が慌てて口元を手で押さえようとするが――――・・・・・・

 

瞬間、鶴丸の舌が這うように秘所を吸い上げてきて

 

「んん! ぁ・・・・・・ああ、ン・・・・・・は、はぁ・・・・・・あ、だ、だめ・・・・・・これい、じょ・・・・・」

 

休む間もなく、鶴丸の舌が沙紀の感じる箇所を的確にせめてきて、口を押さえたいのに押さえる余裕すらくれない

 

沙紀の言葉に、鶴丸がくすっと笑った

 

「これ以上、どうした? もう―――限界か?」

 

悪戯っぽくそう言う鶴丸の言葉も微かに熱が籠っていた

 

「俺も―――」

 

そう言って、鶴丸が沙紀の上の覆いかぶさるように上半身を起こした

無造作に羽織っていたシャツを脱ぐ

そして、軽く舌で自身の唇を舐めた

 

「・・・・・・・・・っ」

 

その仕草が、あまりにも綺麗で

沙紀が息を呑むのに、そう時間はかからなかった

 

「り、りんさ・・・・・・」

 

「“鶴丸”」

 

「え・・・・・・?」

 

「今だけは―――・・・・・・そう呼んで欲しい。 駄目か?」

 

熱っぽくそう言われると、断るという選択肢すら消されてしまう

沙紀は、少しだけ悪戯っぽく

 

「も、もう・・・・・・さっきも、呼びましたよ?」

 

と、言ってみるが・・・・・・

そんな程度で鶴丸が諦めるわけもなく――――・・・・・・

沙紀の、腰に手を当てるとにやりとその口元に笑みを浮かべて

 

「知ってる。 でも・・・・・もっと、呼んで欲しい」

 

そう言って、ぐいっと沙紀の腰を上げると――――

 

「沙紀、力抜け――――」

 

鶴丸がそう言った瞬間、ずんっ! と今まで感じた事のない“何か”が下腹部を締め付けてきた

 

「あっ、ンンぁ・・・・は、ぁ・・・・・・ま、まって、りん、さ―――」

 

突然のその行為に、沙紀が戸惑いの色を見せる

だが、鶴丸は微かに笑みを見せながら

 

「だから、力抜け・・・・・・って、沙紀・・・・・そんなに、絞める、な」

 

そう言って、鶴丸が更に中に入ってくる

だが、沙紀はそれどころではなかった

 

下腹部が熱い

じんじんと、痛みが走る

 

「ああ、ン・・・・ッぁ・・・・・・、そんな、こと、言われ・・・・・・も・・・・・・」

 

絞めているつもりなどない

そんな風に言われても、どうしたらいいのか分からない

 

沙紀がその躑躅色の瞳に涙を浮かべる

 

「沙紀・・・・・・っ、は・・・・・・」

 

鶴丸の吐息が近い

ああ、この人に触れたい――――触れて欲しい

でも・・・・・・

 

そんな事、沙紀が言える訳もなく

 

「りん、さ・・・・・・」

 

まるで懇願する様に彼の名を呼んだ

すると、鶴丸がくすっと笑みを浮かべ、優しく髪を撫でてくる

 

「沙紀―――・・・・・・」

 

そう名を呼ばれた瞬間、唇が重なった

 

「ぁ・・・・・んん、りん、さ・・・・・・」

 

溜まらず鶴丸の背に手を回す

すると、鶴丸が気分を良くしたのか、冗談の様に

 

「“鶴丸”だろう――――・・・・・・?」

 

そう言ってそのまま彼女の唇を奪う

何度も、何度も貪るように、口付けを交わす

 

「ン・・・・・・ぁ、つるま、る、さ・・・・・・」

 

沙紀が途切れ途切れ“特別な”自分の名を呼んでくれるのが嬉しくて

何度もその声を聴きたくて

 

「呼んでくれ―――沙紀。 お前の声でお前の口から聞きたい」

 

そう言って、何度も唇を重ねる

 

彼女が愛おしい

彼女の何もかもが――――愛おしくて溜まらない・・・・・・

 

彼女が・・・・・・沙紀が “欲しい”

 

「沙紀・・・・・・少し我慢してくれ」

 

「・・・え・・・・・・?」

 

何を? と思った瞬間――――・・・・・・

ずんっ! と、再び下半身に痛みが走った

 

「あ、ああ・・・・・・っ! 鶴丸さ・・・・・・、だ、駄目・・・ッ。 動かな―――んんっ、あ・・・・・・ああンッ、や・・・ああ・・・・・・っ」

 

なにがどうなっているのか―――

考える余裕すら、与えて貰えない――――・・・・・・

 

「ああ、ぁン・・・・・っ、つ、つるま・・・・・・んん」

 

まるで、沙紀を労わるかのように鶴丸から口付けが降り注いでくる

 

「沙紀・・・・・・っ、ぁ・・・・は、ぁ・・・・・・」

 

鶴丸の吐息が

自分の息と重なるようで――――・・・・・・

 

沙紀が、ゆっくり涙を含んだ瞳を開けると、鶴丸の美しい金の瞳と目が合った

すると、鶴丸が優しげに微笑み、その瞳に口付けを落とした

 

「ぁ、つるま、るさ・・・・・・」

 

「沙紀――――愛してる・・・・・・」

 

再び、どちらからともなく唇が重なる

 

「ん・・・・・・」

 

鶴丸の背に回した手に力が籠もる

 

「鶴丸さん・・・・・・そ、の・・・・・、わたし、も・・・・・・」

 

それ以上は恥ずかしくて言葉に出来なかった

だが、それで伝わったのか・・・・・・

鶴丸が嬉しそうに笑った

そして―――・・・・・・

 

 

「知ってる」

 

 

そう言って、優しく頭を撫でてくれる

それが酷く心地よくて、沙紀がその身を委ねるのに時間は掛からなかった

 

二人だけの空間で、何度身体を重ねても

きっと、ずっと一生忘れられない――――・・・・・・

 

ひとつひとつが、大切な“想い出”として 鮮やかに蘇る

 

ふと、外を見るとネオンが雨水に反射してきらきらしていた

 

「・・・・・・きれい・・・」

 

ぽつりと、沙紀がそう呟く

すると、鶴丸がくすっと笑みを浮かべ

 

「ああ、そうだな―――でも・・・・・・」

 

「でも?」

 

「んー? いや、お前の方がもっと綺麗だと思ってな」

 

そう言って笑う

 

「・・・・・・・・っ、・・・・・・・・・っ」

 

沙紀が顔を真っ赤にして、口をぱくぱくさせた

 

「な、ななな、なにを仰って――――・・・・・・」

 

「うん? 俺は事実しか言ってないぜ?」

 

鶴丸のその言葉に、沙紀がますます顔を赤くする

すると、鶴丸がそっと耳打ちする様に小さな声で

 

「特に、さっきの沙紀は最高に綺麗だったぞ」

 

「~~~~~っ、りんさんっ!!」

 

恥ずかしい 恥ずかしい 恥ずかしい

恥ずかしすぎて、顔が上げられない

 

恥ずかしさのあまり、真っ赤になった頬を両の手で押さえながら

沙紀が、俯いてしまう

すると、鶴丸が優しく抱きしめてくれた

 

「ま、俺だけが知ってる、沙紀の本当に綺麗な姿だからな。 いつでも思い出せる様にしてるんだ」

 

「思い出さないでください!!」

 

顔を真っ赤にして沙紀が抗議すると、鶴丸はくすっと笑うと

 

「安心しろ、他の奴には言わないし。 見せる気もない」

 

「そ、そう言う問題ではなく・・・・・・」

 

「だから、沙紀も――――」

 

不意に、こつんっと額に額をくっ付けられて

 

「俺以外には、見せるなよ?」

 

 

「な、なな・・・・・・っ」

 

「約束、な?」

 

「~~~~~っ」

 

「も、もう、知りません!!!」と、沙紀が言ったのは言うまでも無かった

 

 

 

 

 

この先――――・・・・・・

 

どんなことが起きて、何が起きるかはわからない

けれど

 

“変わらないもの”

 

それだけは、きっとずっと変わらない――――・・・・・・

 

それは、この降る雨と同じで

きっと、一生変わる事のないものなのだ

 

そう―――

 

   ずっと、生涯かけて――――・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あはははははは😂😂😂

こちらは、以前より公開している鶴夢の「時雨」(R15)のR18版です

3~4000文字弱加筆しています(前半は同じですが、後半が違います)

 

2022.10.15