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◆ 五条悟 「紅椿に誓う月」
(呪術廻戦夢 「深紅の冠 ~鈺神朱冥~」 より)
―――一月三日
それは、元旦早々、任務で呼び出された某老舗旅館。“紅椿の間”の室内混浴露天風呂に出るという、呪霊退治を終えてから三日後のことだった。何故か、凛花は今だ帰れずにいた。というのも、五条が正月から任務終わらせたんだから、このまま正月明けまでここにいる! と言い出したのが発端なのだが……。まさか、本当にいる事になるとは誰が思っただろうか。
しかも、ここ二日、殆どの時間を五条の腕の中で過ごし、疲労と、体力の限界で、気が滅入りそうである。せめて、少しでいいから外に出たい……と、思っていた時だった。
「凛花ちゃん、そろそろ一応初詣いく?」
そう言って五条が、何処からか、いそいそと紅い椿柄の着物を持ってきた。それを見た瞬間、凛花がきょとんとする。
「えっと、悟さん? その着物は……」
何処から? と、思っていると、あっさり「ん? 買ったんだよ」と言ってきた。どうやら、ここの旅館の若女将の御用達の仕立て屋に頼んで、超特急で仕立ててもらったらしい。この正月休みであろう時期に? という、考えが脳裏に浮かぶが、外に出られるという、喜びの方が勝ったのか、凛花は思わずくすっと笑ってしまった。
「ありがとうございます。その着替えても?」
「勿論」
そう言って、すっと着物を渡してくる。凛花はそれを受け取ると、早速着替える事にした。凛花は着物の着付けも出来るので、1人でさっと着替えると、姿見の前でくるりと回る。と、目の前に五条が現れた。どうやら、五条は既に着物に着替えていたようで、シンプルな黒地ながらに上品な柄の着物がとても良く似合っている。
凛花は思わず見惚れてしまいそうになったが、いけないと思い、我に返った。そして、改めて五条に向き直る。すると、何故か彼は少し不満そうな顔をしていた。
「悟さん……?」
凛花が首を傾げていると、彼はそっと凛花の頬に触れてきたではないか。そして、そのままその指ですっと唇をなぞってくる。
「……っ」
途端、凛花の頬が紅潮した。その表情に満足したのか、彼は口元に笑みを浮かべながら、そっと唇を重ねてきたのだ。柔らかい感触が伝わり、心臓が大きく跳ねる。でも、それが心地よくて、凛花は思わず目を閉じてしまった。
何度か啄ばむようなキスを交わした後、ゆっくりと離れると、五条はそのまま強く抱きしめてきた。そして耳元で囁くように、
「着物、すっごく似合ってて可愛い」
「……っ」
その言葉を聞いた瞬間、凛花の顔が更に赤くなった。そんな彼女の反応に満足したのか、ぎゅっと凛花の手を握ると、
「行こっか」
そう言って、五条が凛花の手を引っ張る。凛花は少しだけはにかみながら頷くと、その後に続いたのだった。
**** ****
もう、正月三日目だというのに、夜の神社にはまだ人が参拝している姿が見受けられた。少しだけ白い雪が降っており、神社の周りを彩っている紅椿の花や、灯篭の燈が、まるで雪明りにぼんやりと照らされているようで、とても幻想的だ。
凛花が辺りを見回すと、ふと五条と目が合った。そして彼はくすっと微笑むと、
「凛花――」
優しい声で名前を呼ばれ、どきっとする。すると、彼はそっと手を伸ばしてきた。五条の長い指が凛花の髪を絡めとると、そのまま頬に触れてきた。そして、包み込むように優しく撫でられる。凛花がどきっとすると、彼は悪戯っぽく笑いながら、耳元に唇を近づけてきて、
「……可愛いよ」
そんな言葉を囁かれた。その瞬間、凛花の頬がかっと赤くなる。そんな凛花の様子に、五条がくすくすと笑いながら、そっと腰を抱いてきた。そして、そのまま引き寄せられる。
「あ……っ、さ、悟さ……」
凛花が恥ずかしそうに、顔を赤らめるが、五条はさも当然そうに、
「逸れないように、ね?」
そう言って、凛花を自分の方に抱き寄せると、歩き始めた。そんな彼に、心臓がとくんとくんと、早くなっていくのを感じながら、凛花はただ、黙って彼に身を任せたのだった。
そうしている内に、順番が回ってきて、社の前に立つ。賽銭を入れてから、鈴緒を振ると、本坪鈴がからんからんと鳴った。それから、二度礼をして、二拍手を叩いた後、手を合わせて目を閉じる横で、五条は目を閉じるでもなく、ただじっと凛花を見つめていた。その視線に気付き、凛花が首を傾げる。
「悟さん? お願いされないんですか?」
そう尋ねると、五条が小さく笑みを浮かべ、
「ん? うん。僕は、願うよりも――誓う方が好きなんだ」
「え……?」
誓う? 何を……? と、思うが、何となく聞けなくて、凛花が五条を見つめていると、彼はふっと優しい笑みを浮かべて、ゆっくりと顔を近づけてきたのだ。そして、そのまま唇が重なる。
「……ぁ……っ」
その瞬間、凛花の胸がどくんっと大きく高鳴った。思わずぎゅっと五条の着物の袖を掴むと、彼はそんな凛花にふっと笑ってから、ゆっくりと唇を離す。そして、そのまま耳元で甘く囁くように、
「後で、教えてあげる」
そう言って、ちゅっともう一度口付けを落とすと、「お参りも済んだし、帰ろっか」と言って、そっと凛花の腰を抱いてきた。凛花は、かぁっと顔を赤くしたまま頷くと、五条に連れられて神社を後にしたのだった。
**** ****
旅館に着いて部屋に戻った後、少し喉が渇いたと思った凛花は、茶を淹れていた。こぽこぽ……と、急須から湯呑に茶を淹れて、一口飲む。が、思ったよりも熱くて、でも、吐き出す訳にもいかず、ごっくんと口の中のを一気飲みした後、口元を抑えた。
「熱……っ」
流石に、一気飲みは辛かったらしく、口の中が茶の熱さで、ひりひりと痛い。凛花は小さく眉を寄せてから、水差しの水を飲もうと、そちらに手を伸ばし掛けた時だった。
「凛花ちゃん!?」
はっと、それに気付いた五条が慌てて駆けて来た。それから、半ば強引に凛花の口を開けると、「舌出して」と言われた。凛花が少し戸惑いつつ舌を出すと、その舌はほのかに赤くなっていた。それを見た五条は、水差しの水を傍の湯呑に注ぐと、自身の口に含む。そして、そのまま凛花に口付けてきたのだ。
「さと……っ、ん……」
口移しで、冷たい水が流し込まれてくる。最初は驚いて目を見開いていた凛花だったが、五条から流れ込んでくる水が冷たく、あまりにも心地良くて、そのままごくんっと飲み込んでしまう。だが、突然過ぎて、思わず咽てしまった。
「……けほっ、けほ……っ。あ、あの、自分で――」
「飲めます」という言葉は、音の葉に乗らなかった。再び、口付けられて、水を飲まされる。それを何度か繰り返される内に、段々と舌の痛みが引いてきた。そして、そのままゆっくりと唇が離れる。凛花がほっと息を吐くと、五条にぎゅうっと抱きしめられた。その温もりが心地よくて、思わず彼の胸に頬を寄せてしまう。すると、彼はそっと凛花の髪を優しく撫でながら、耳元で甘く囁くように、
「心配させないで――」
あ……。
五条のその言葉で、彼に心配を掛けてしまったことに気付き、凛花はそっと彼の背に腕を回した。そして、ぎゅっと抱きついてから、小さな声でぽつりと呟く。
「ごめんなさい……」
そう謝罪の言葉を述べると、五条が小さく「うん」と頷いた。窓の外では、本格的に雪が降り始め、庭の紅椿を白く染めていた。朧月が静かに光を落としている。その柔らかな光は、凛花にはまるで五条自身の温もりのように感じられた。赤く凛と咲く寒椿は、自分の頬のように鮮やかで――思わず小さく笑みを零してしまう。
「……なんだか、あの月が悟さんみたい」
ぽつりと呟く凛花の声に、五条がそっと近づいてくる。
「それなら僕はその月だね。紅椿に咲く君に、月の僕が誓う――何があっても護るから、ずっと離さない」
その言葉に、凛花の胸がぎゅっと締めつけられる。言葉の重みと、五条の瞳の真剣さが、肌の奥まで届くようだった。凛花は思わず彼の背に回した手に力を籠めた。すると、五条は軽く笑いながらも、力強く凛花を抱き返し、優しく髪を撫でてくれる。
「好きだよ――」
耳元で囁かれたその声に、凛花は自然と身体を預けた。そして、そのままゆっくりと目を閉じる。窓の外の雪と月、そして庭の紅椿。すべてが、2人だけの世界を優しく包み込んでいるようだった。
「……悟さん……」
甘く、切ない声。五条はそれに応えるように、キスをそっと頬に、耳に、そして彼女の柔らかな唇へと落としていく。そして、そのまま深く口付ける。二度三度繰り返す内に、その口付けは次第に熱を持ち、やがて、お互いの吐息も熱を帯びていった。まるで、言葉よりも深い、確かめ合うような口付けが、2人の誓いを身体で刻んでいくかのように。
「……んっ、は、ぁ……っ」
凛花の唇から、甘い吐息が漏れる。その熱に浮かされるように、五条もそっと彼女の帯に手を掛けた。すると、凛花がびくっと身体を震わせる。でも、抵抗はしなかった。否、「抵抗」という言葉すら、頭に浮かばなかった。何故なら、このまま彼に抱かれてしまっても構わない――そう、思ってしまっていたのだから。
五条もそれを感じ取ったのだろう。帯に掛けていた手を、ゆっくりと胸元へ下ろしていく。着物は肌蹴け、白い肌と紅い下着が五条の視界に晒された。すると、彼はそのまま凛花の首筋に舌を這わせてきて、優しく舐め上げたかと思うと、少し強く吸い付いてきたのだ。
「……ぁ……っ」
その刺激に、思わず甘い吐息を漏らすと、今度は鎖骨から胸にかけてを舌でなぞられ、同時に手で胸をやんわりと揉みしだかれる。優しい刺激に、凛花が はぁ……っ、と甘い吐息を漏らすと、首筋を這っていた五条の舌がそっと離れた。そして、今度はその唇を胸の膨らみへと寄せていく。すると、彼はそのまま吸い付くように先端を口に含むと、舌で丁寧に愛撫し始めたのだ。
さすがに恥ずかしさが勝り、凛花が思わず視線を逸らすと、それを見た彼がくすりと笑みを零す気配が伝わってきた。そのまま軽く甘噛みされると、電流のような快感が背筋を走るのを感じてしまい、凛花はきゅっと目を閉じたまま身体を震わせた。
「は、ぁ……っ、さ、悟さ……ン……っ」
ぴくんっと、凛花の身体が震える。すると、五条の手がゆっくりと帯を解きに掛かっていた。しゅるりという衣擦れの音がして、凛花の身体に絡みついていた着物がゆっくりとはだけていく。すると、その下から現れた紅い下着と白い肌が目に飛び込んできて、五条は思わずごくりと喉を鳴らした。
それはまるで雪原のように白く、穢れを一切知らないような清廉さがあった。だが同時に、その美しさとは裏腹に淫靡な魅力も感じさせていたのだ。
「ぁ……みない、で……」
凛花が羞恥の余り、堪らずそう声を漏らす。だが、それは逆効果だったようで、五条の瞳に、明らかに情欲の炎が灯ったのが分かった。彼はそのまま凛花を抱き寄せると、ゆっくりと彼女の耳朶を甘噛みする。そして、耳元で甘く囁くように、
「……もう十分見てるし」
そう言うと同時に、背中に回した腕を下に降ろしていく。すると、下着の上からでも分かるほど豊かな膨らみが目に飛び込んできた。その柔らかな双丘の感触を確かめるかのように軽く揉みしだくと、五条の手が徐々に下へと降りていくのを感じたのか、凛花がふるふると首を振った。
だが、それで止めて貰えるはずもなく、五条の手は更に凛花の下着の中へと侵入してきたのだ。そして、直接柔らかな膨らみに触れると、そのままゆっくりと円を描くように撫で始める。
「ぁ……っ、は、ぁ……んっ……あ……っ」
同時に耳朶を甘噛みされると、ぞくりとした感覚が背筋を走り、思わず甘い吐息を漏らしてしまった。その反応に気を良くしたのか、彼は優しく胸を揉みしだきつつ、時折先端を指で摘まんだりしてくるものだから堪らない。その度に凛花は身体を震わせた。すると今度は首筋に舌を這わせながら、胸の先端を指の腹で擦られ、きゅっと摘ままれると、堪らず上擦った声を上げてしまう。
すると今度は下着に手を滑り込ませてきたかと思うと、そのまま直接触れてきたのだ。そしてそのままゆっくりと上下に扱かれ始めると、凛花は思わず身を捩らせた。
「……ぁ、ああ……んっ、は、ぁ……ゃ、ぁ……さと、る、さ……っ」
だがやはりそれは逆効果だったらしく、五条の手が更に激しく動かされてしまった。やがて、五条の手の動きに合わせてくちゅりという音が聞こえ始めた頃、彼はそっと凛花の身体を離した。そして、そのまま彼女を布団の上へと押し倒すと、覆い被さるようにして見下ろして来たのだ。
凛花は、自分を見下ろす五条を熱っぽく潤んだ瞳で見つめることしか出来なかった。その瞳はまるで何かを期待しているかのように揺れていて、艶っぽい吐息を漏らしている唇は僅かに開き、まるで誘っているかのようだった。その扇情的な姿に、五条の喉がごくりと鳴る。そして彼はゆっくりと顔を近付けてきたかと思うと、そのまま唇を重ねてきたのだ。
「……んっ、ぁ……ふ、ぁ……っ、はぁ……っ、ぁ……」
それは先程のような優しい口付けではなく、貪るような激しいものだった。舌を差し込まれ口腔内を蹂躙される感覚に背筋がぞくぞくする。同時に胸を揉みしだかれながら先端を強く摘ままれると、凛花の口から甘い吐息が漏れた。
そのまま暫くの間口付けを交わしていたが、やがてゆっくりと唇が離れていく。すると、今度は首筋に顔を埋められ、強く吸われたかと思うと軽く歯を立てられた。
「んっ……ぁ……っ」
その刺激に思わず声を上げると、今度は鎖骨から胸へと下りていき、胸の膨らみを舌でなぞり始めたのだ。そして同時にもう片方の胸の先端を指先で弄られると、凛花の唇からは絶えず甘い声が漏れ続けた。
やがて五条の手が下腹部へと伸びてきて下着の上から割れ目をなぞるように触れてきた時、凛花の腰がびくんと跳ねる。そこは既にしっとりと濡れていて、布越しでも分かるほどだったのだ。
「ぁ……待っ……、は、ぁん……っ! あ、ああ、は、ぁ……っ、ゃ、ぁン……っ!」
そのまま何度も指先で刺激される度に、凛花は甘い声で鳴いた。もう完全に身体に力が入らず、されるがままになっていると、やがて下着を剥ぎ取られてしまい、直接触れられてしまう。その瞬間、今までとは比べ物にならない程の快感に襲われて、凛花は大きく背を撓らせた。
そして次の瞬間には絶頂を迎えてしまっていたようで、全身を痙攣させながら達してしまったのだった。だがそれでも五条の手が止まることはなく、むしろ激しさを増していくばかりだった。
「待っ……、さと――ああ……っ! はぁ……あ、ああん……っ!」
五条の指が膣内に入ってきた瞬間、凛花は背中を弓なりに反らせた。異物感はあったものの痛みはなく、寧ろもっと奥へと誘うかのように、無意識に腰を動かしてしまっていた事に気付き、恥ずかしさすら覚えた。だがそれも一瞬のことで、すぐにそれ以上の快楽に襲われて何も考えられなくなる。
「はぁ……っ、凛花……可愛すぎでしょ」
耳元で囁かれた言葉にすら感じてしまい、思わずきゅうっと指を締め付けてしまった。するとそれに反応するように、膣内の一番感じる部分を擦られて、凛花は一際大きな声を上げた後、再び達してしまったのだった。
だがそれでもまだ足りないのか、彼は更に指を増やして抽挿を繰り返す。そして同時に陰核を親指で押し潰されるように刺激されると、あまりの快楽に頭が真っ白になった気がした。そして、そのまま何度もイカされ続け、息も絶え絶えになった頃になってようやく解放されたのだが、その頃になるともう既に意識を保つので精一杯だった。
「さと、る、さ……は、ぁ……っ」
それでも、もっと彼を感じたいと身体が疼いてしまう。そんな凛花の想いを感じ取ったのか、五条は優しく微笑むと、そっとキスをしてくれた。そしてそのまま舌を絡め合うような濃厚な口付けを交わす。
暫くの間互いの唾液を交換した後、ゆっくりと離れていく唇同士を銀糸が繋いでいた。それがとても淫靡で艶っぽくて、見ているだけで凛花は頭がくらくらしてしまう程だった。
すると今度は首筋や胸元に強く吸い付かれて、紅い痕を残していく。それはまるで所有印のようでもあり、独占欲の塊のようでもあった。そのままゆっくりと彼の手が下腹部へと伸びていき、今度は優しく慈しむように触れられる。その感触にすら感じてしまい、凛花は身体を震わせた。
「ねえ、凛花――」
不意に、五条が耳元で囁いてきた。
「僕はずっとオマエを護るから。その声も唇も、身体も、全部僕だけのものだよ」
その言葉に、凛花はとろんとした瞳で彼を見つめながら、小さく首を縦に振った。そして自ら彼の首の後ろに腕を回し引き寄せると、その耳元でそっと囁いたのだ。
「はい……、貴方様だけの――」
それはまるで呪詛のような言葉だったのだが、今の五条にとっては何よりも甘美なものでしかなかった。彼は満足げに笑みを浮かべると、再び唇を重ねてきた。そのまま舌を絡め合うような深い口付けを交わした後、ゆっくりと離れていったかと思うと今度は耳を食まれて舐められる。そして同時に胸を揉みしだかれると、堪らず凛花は甘い吐息を漏らした。
「んっ、ぁ……っ、は……ぁ……っ」
耳朶を甘噛みされながら胸の先端を摘ままれると、背中が反り返りそうになる程感じてしまい、思わず彼の背中に腕を回してしがみ付く。すると、それに応えるように強く抱きしめられた。そして、覆い被さるようにして見下ろしてくる五条と目が合う。彼の美しい碧色の瞳に見つめられるだけで、凛花は胸の奥がきゅうっと締め付けられるような感じがした。
そのまま再び口付けられると、今度は激しく舌を絡ませられる。それと同時に彼の手が下腹部へと伸びていき、そのまま割れ目をなぞられた時、反射的に腰を浮かせてしまった。だがそれでも構わず指先で何度も往復するように撫でられる。その度にくちゅりという音が聞こえてきて、恥ずかしさのあまり顔を逸らそうとしたのだが、それを許さないと言わんばかりに顎を掴まれてしまった。
そのまま深く口付けられると同時に膣内へと指を挿入される。最初は一本だけだったのだが徐々に増やされていき三本目が入った頃には圧迫感を覚えるようになっていた。だがそれも最初だけですぐに快感の方が強くなり始めてしまうのが不思議だった。
やがてゆっくりと引き抜かれると今度は親指を使って陰核を同時に刺激されるようになり、あまりの気持ち良さに意識が飛びそうになる。同時に胸を吸われながら舌先で転がすように舐められて、全身に電流が流れたかのような衝撃が走った。そして次の瞬間には絶頂を迎えてしまっていたらしく、目の前がチカチカとした光に包まれたような感覚に襲われたのだ。
だがそれでも五条の手は止まらず、むしろ激しさを増していったようだった。何度もイカされ続けて意識を失いかけた頃になってようやく解放された頃には、全身汗まみれで、呼吸すら乱れる程になっていた。
「……ぁ、はぁ……は、ぁ……っ」
ぴくん、と身体が震えるたびに、凛花の心は自然と月光に照らされた紅椿のように鮮やかに揺れた。五条の手の温もりは、まるでその月光そのもので、何があっても離れないと誓われているかのようだった。
呼吸も荒くなり、視界が朧気になる。だがそれでも身体の疼きは治まるどころか増していくばかりで、早く続きをして欲しくて堪らないと思ってしまったのだ。そんな凛花の様子を察したのか、五条は小さく笑って唇を重ねてきたかと思うと、
「もっと、気持ちよくしてあげる」
そう言って、突然ぐっと凛花の右膝を抱え上げた。そしてそのまま太腿の間に顔を埋めるようにして、秘所へと舌を這わせてきたのだ。
「ああ……っ!」
その瞬間、凛花は大きく目を見開いた。ぬるりとした生暖かい感触に背筋がぞくぞくとする。それと同時に羞恥心が込み上げてきて思わず足を閉じようとしたのだが、それを察したのか五条によって阻まれてしまう。そして彼は更に深く顔を沈めると、舌先で陰核を刺激し始めたのである。
「はぁ、ん……っ! あ、ぁああ……っ、ゃ、ぁ……っ! だ、めぇええ……っ!!」
その強烈な刺激に耐えられず、凛花は背中を大きく撓らせた。だがそれでも逃すまいとするかのように執拗に攻められてしまう。しかも、舌先だけでなく指を使って同時に攻められると、頭がおかしくなりそうなくらいの快楽に襲われた。
やがて膣内に指が挿入され、バラバラに動かされる度に目の前がチカチカとした光に包まれたような感覚に陥る程だった。それと同時に胸を揉みしだかれながら舌先で突起を転がすように舐められるものだから堪らない。あまりの快感に意識を失いそうになったその時、不意に唇が離れていき、今度は首筋に強く吸い付かれたかと思うと赤い痕を残していく。そしてそのまま耳元へ顔を寄せられると、熱い吐息混じりの声で囁かれた。
「凛花……愛してる」
その言葉を聞いた瞬間、凛花の心臓は大きく跳ね上がったような気がした。同時に下腹部の奥がきゅんっと疼き、蜜口からとろりとした愛液が流れ出る感覚を覚える。それはまるで彼を受け入れる準備が出来たという合図のようでもあった。そんな凛花の様子を感じ取ったのか、五条はふっと笑みを浮かべると、ゆっくりと覆い被さってきた。
そして次の瞬間には膣内に熱くて硬いものが押し入ってくる感覚に襲われ、凛花は思わず息を呑んだ。だがそれも束の間のことで、すぐに激しい抽挿が始まったことで何も考えられなくなる。ぱんっ、ぱぁんっ! という音と共に肌同士がぶつかり合う音が部屋に響く中、時折彼の口から漏れる切羽詰まったような吐息が耳に届いてきて、それがまた凛花の興奮を煽る材料となっていった。
「あ、ああ……っ、は、ぁん……っ! さと、る、さ……っ、あ、あ、ぁあ……っ!」
何度も奥を突かれる度に甘い声を上げてしまう凛花だったが、それでも必死に五条の背中に腕を回してしがみ付く。そして無意識のうちに自らも腰を動かし始めていた事に気付き、はっとする。が、もう既に遅く、五条の動きに合わせて自ら腰を動かすようになっていたのだ。
するとそれに気付いたのか、彼は小さく笑うと耳元で囁いてきた。それはまるで悪魔の囁きのようでもありながら、同時に天使の誘惑のようにも思えた。
「……っ、ねえ凛花……は……っ、もっと、気持ち良くしてもいい――?」
そんな問いかけに応えるかのように、膣内がきゅっと収縮した気がした。それに呼応するかのように五条のものがさらに大きさを増したような気がして、凛花は目を見開いた。だがそれも一瞬の事で、次の瞬間には再び激しい抽挿が始まり、凛花の思考回路は完全に蕩けてしまったのだった。
その後も何度も絶頂へと導かれた凛花だったが、それでもなお五条の行為は止まることはなかったのだ。突然身体を起こされたかと思うと、今度は対面座位の体勢になり、下から突き上げるようにして抽挿を繰り返された。すると自重によって深く挿入されてしまい、今まで感じたことのない程の快楽に襲われてしまう。それと同時に胸の先端を口に含まれて強く吸われると、それだけで軽く達してしまいそうになった程だった。
「は、ぁあん……っ! 待っ……、ああ……っ!!」
思わず凛花が、身体を仰け反らせるようにして悲鳴を上げた。だがそれでも彼は止まることはなく、それどころか更に激しく突き上げてきたのである。その衝撃に耐え切れずに倒れそうになったところを、五条によって抱き留められたかと思うと、そのまま押し倒されて正常位の体勢を取らされてしまった。そして再び激しい抽挿が始まり、凛花の口からはひっきりなしに嬌声が上がるようになっていたのだった。
やがて限界が訪れたのか、膣内のものが脈打ち始めたのを感じた瞬間、熱い飛沫が注ぎ込まれたのが分かった。それと同時に凛花は身体を大きく撓らせると達してしまい、同時に意識を失いそうになったが、直ぐに唇を塞がれてしまい、それは叶わなかった。
その後も暫くの間、ずっとキスを続けられていたのだが、その間も膣内に入ったままの彼のものは硬さを取り戻していき、再び抽挿が始まるのに時間は掛からなかったのだった。
そして結局、夜が明けるまで何度も五条に愛され続けた凛花は、いつの間にか五条の腕の中で昏々と眠っていた。そんな凛花を見て、五条はくすっと笑みを零すと、そっとその髪を撫でながら、
「何度だって誓うよ――何があっても護るから。絶対、離さない。愛してる」
そう囁いて、眠る彼女の瞼に口付けを落としたのだった。
2025.09.07

