◆ 五条悟 「掌中に帰す Side “Y”」
(呪術廻戦夢 「深紅の冠 ~鈺神朱冥~」 より)
―――都内・神妻家本家 “景絡の間”
凛花は父である神妻家当主・神妻零你に、本家のこの“景絡の間”に呼ばれた時から、嫌な予感しかしていなかった。
“景絡の間”――表向きは、美しい庭園と趣、そして穏やかそうに見える室内なのだが、実の所、その光の影となる、闇の部分の話をする時に使われる部屋だ。要は、超面倒な話をする時に、この部屋に通される。
そして、凛花のその予感は的中したのだった。
「……お見合い、ですか?」
零你から紡がれたその言葉に、凛花が唖然とする。面倒事な話だとは思っていたが、まさか見合い話を切り出されるとは思ってもみなかったからだ。
すると、零你は表情ひとつ変えずに、
「お前と五条君の仲は分かっている。勿論、それについて私は特に反対はしていない。元々、五条家とは婚姻の約束をしていたしな。だが――」
そこまで言って、零你は言葉を切った。そして、その深紅までとはいかない紅い瞳で、凛花を見据えると、
「お前は、3年前の昴の事件以降、五条君と婚約を破棄すると言い出しただろう?」
「……」
「私はまだその件を許可していないから、事実上はまだ婚約関係な状態なのだが……少し面倒な事になってな」
確かに、兄・昴が死んだ時。五条の所為ではないのに、五条を責めずにはいられなかった。けれど、本当は今も昔も、五条の事を考えると、正常ではいられなくなる。緊張して、鼓動が早くなって、身体が熱くなる。
それが何を意味しているのか分からない程、もう凛花も子供では無かった。でも、それを正直に打ち明け、彼の全てを受け入れるにはまだ心が付いてこないのも現状だ。
零你もそれを解ってる筈だ。なのに、「見合い話」を持ってくるなんて――一体、何を考えているのか……。
「……面倒な事とはなんでしょうか?」
凛花がそう尋ねると、零你は煙管を吹かしながら凛花の方を見た。
「神妻が、呪術師として以外にも、事業を展開しているのは知っているな」
「はい」
神妻家は、呪術師の家系としては異例で起業をしているのだ。表向きは、神妻グループとしての顔。その裏が宮内庁に仕える呪術師の家系と言えば解りやすいのかもしれない。
零你の話だと、今回の話はどうやら表向きのグループの事業に関わる取引先の社長から持ち込まれた話らしい。相手は、大手企業の社長令息。いつもなら、適当に蹴っている話なのだが、今回はそうもいかないらしい。
「相手の令息がお前を偶然見かけたらしいが……問題はその相手だ」
凛花を見初めた相手の令息は、どうやら現・宮内庁の官僚と密接な関係にある人物らしく、下手に適当にあしらうと、呪術師としての仕事にも支障が出るとの事だった。
零你は小さく息を吐くと、
「とりあえず、会うだけでいい。後は好きにしろ」
「……宜しいのですか?」
話を聞く限り、断ると面倒な事になりかねないが……。と思うが、受ける気も無いのに、会うだけで本当に解決する話なのか。なんだか、ひと悶着起きそうで、嫌な予感しかしなかった。
すると、零你は煙管を吸いながら、さも当然のように、
「私は好きにしろと言ったんだ。相手の令息を五条君よりも気に入れば、結婚しても構わん。無理だと思えば、煮るなり焼くなり好きにすればいい。ただし、殺すなよ」
いや、何処の世界に見合い如きで、相手を「殺す」人がいるというのだ。凛花が呆れ果てていると、零你はふっと笑って、「冗談だ」とだけ言ったのだったが……まさか、零你のこれがあんな大事件を意味する事になるとは、その時の凛花は露とも思っていなかったのだった。
*** ***
―――数日後 都内・某ホテル
その日、凛花はとても気が重かった。というのも、零你の持ってきた「見合い」で今、その令息と庭園で会っているのだが……。その令息というのが、なんというか、正直、面倒くさい人物だった。
自分がいかに凄いか、何処の大学院の出身だとか、今は会社の幹部で、ゆくゆくは次期社長だと自慢ばかりするのだ。今の会社の業績は全て自分の賜物と豪語し、社員を卑下し、見下す姿は、とても人の上に立つ人物には到底思えなかった。
五条とは大きく違い過ぎていて、比べる気にもならない。いや、むしろ、比べる事の方が失礼だ。零你も恐らくこの令息の性格と知った上で「殺すなよ」と釘を刺してきたに違いないのだろうというのは、容易に想像付いた。
……悟さんに、逢いたい……。
早く、こんな面倒な「見合い」など切り上げて、さっさと帰ってしまいたい。帰って、五条の声が聞きたい。そう思って、つい溜息を付いてしまった時だった。
「ところで、凛花さん」
突然、その令息に腕を掴まれたかと思うと、身体を引き寄せられた。ぎょっとしたのは凛花だ。まさかの彼の行動に、慌てて離れようとするが、力が強すぎてびくともしない。
だが、令息は気にした様子もなく、凛花を見つめてくると、
「挙式は和式と洋式と希望はあるかい? ボクとしては、海外で豪華に挙式がいいと思ってるだが」
「えっと……」
「勿論、新婚旅行は世界一周だよ。子供はそうだなぁ~男と女2人ずつは欲しいな」
「いや、あの……」
「別荘は幾つぐらい欲しいかな? やっぱり、国内と海外は必須だよな」
「……」
何を言っているのだ、この男は。「殺してしまおうか」と一瞬、心の中で物騒な事を考えてしまいそうになる。だが、令息は止まらなかった。更に凛花を抱き寄せようとすると、そのまま顔を近付けてくる。
「……スイートを取ってあるから、行こうか」
「……はい?」
「遠慮することはない。今から君はボクのものになるんだ」
そう言って、令息が凛花の腰をぐいっと引き寄せようとする。令息のまさかの行動と発言に、凛花は流石に黙っていられなかったのか、慌てて抵抗の意を示した。
「お、お待ちください……っ、私はこの度の話はお断りするつもりで――」
「君の意志は関係ないよ。ボク達は出会うべきして出会たんだ」
そう言うと、そのまま凛花を無理矢理最上階のスイートルームへ連れていこうとする。その事に気付き、凛花が驚いて令息を突き飛ばそうとするが、やはりビクともしない。そして、あっという、間に引きずられるように、部屋に連れていかれてしまったのだった。
「きゃぁ……っ」
スイートルームに連れ込まれるなり、令息は鍵を厳重に掛けると、どさっと凛花をベッドに押し倒した。
「……っ、離して……っ」
必死に抵抗して凛花が令息の身体を押しのけようとするが、やはり令息はびくともしない。それどころか、今度は髪に指を差し入れられたかと思うと、凛花の唇を無理矢理奪ってくるではないか。
「んん……っ」
突然の事に、凛花は頭が真っ白になった。何故自分は今……五条ではない、見ず知らずの男から口付けられているのか。じわりと、涙が浮かんでくる。それでも、令息は止まらなかった。
凛花の唇を味わいながら、着物の裾からその脚に手を這わせてくる。
「……ゃ、あ……っ」
―――悟さん……っ!!
凛花が、心の中で五条の名を叫んだ時だった。
――――ぱりーん!!!
けたたましい音と共に、スイートルームの窓ガラスが割れたかと思うと、突如、一陣の風が吹き荒れたのだ。その風は瞬時に凛花を押し倒していた令息を吹き飛ばすと、そのまま壁に叩き付ける。
「ぁ……」
凛花が、はっとして顔を上げた時だった。視界に入って来た人物に、凛花が思わず深紅の目を見開く。そこにいたのは――ここにいる筈のない五条だったのだ。
「さ……と、る……さ……」
震える声で凛花が五条の名を呼ぶ前に、五条が凛花の乱された姿を見て、「――凛花っ!!」と、焦ったように名前を叫び、駆け寄ってきてくれたのだ。そして、直ぐに五条の手が、凛花の身体に回され上体を起こすと、羽織っていた上着を肩に掛けられた。
「……っ、う……」
すると、五条の姿を見て安堵したのだろうか……ぼろぼろと涙が零れてきた。そんな凛花の様子に、五条が気遣うように、
「もう、大丈夫だから」
と、震える身体を抱き締めてくれる。すると、スイートルームのベッドの横で壁に叩き付けられていた令息がむくりと起き上がり、五条を忌々しげに睨み付けてきたかと思うと、
「な、なんだ貴様は!! ボクの凛花さんから離れろ!!!」
「……は?」
五条の絶対零度とも呼べるような声音が、部屋の中に響いた。瞬間、ばちばちっと、五条の空いている右手から呪力が発せられる。それに気付いた凛花が、慌てて五条にしがみ付いた。
「だ、駄目です……悟さん……っ。あの方は一般人なので――」
「低級呪霊以下のクズのようだけど?」
それは――否定できないが、相手が悪い。零你にも「殺すな」と念を押されていたし、恐らく、事を大きくしては、面倒事になるのが火を見るより明らかだった。
それに、一般人に手を上げたとなっては、呪術界の上層部が五条を糾弾する理由になってしまう。それだけは、避けなければならない。
「と、とにかく、今はもう――」
凛花がそう言い掛けた時だった。不意に五条がむっとしたかと思うと、凛花をそのまま横に抱きあげた。
「さ、悟さ……んんっ!」
そして、何故か唇を奪われる。突然の口付けに凛花が混乱していると、五条はぺろっと凛花の唇をその舌で舐めながら、更に深く口付けてきた。
「消毒」
「……ぁ……っ、悟さ……ん……っ」
荒っぽい五条からの口付けに凛花は翻弄されてしまう。次第に意識が朦朧としてくる中、五条から熱い息と舌打ちが聞こえたかと思うと――、
―――どかっ!!!
突然、何かを蹴る音が耳に入って来た。はっとして凛花が音のした方を見ると――五条の長い足が、令息の顔の真横に叩き付けられていたのだ。そして、その五条の碧く輝く瞳が、ぎろりと令息を睨みつけていた。
「――命拾いしたな、クソガキ。凛花はオマエのじゃない。俺のだ」
それだけ言うと、そのままくるりと踵を返し、そのまま凛花を連れてスイートルームを後にしたのだった。
*** ***
―――五条悟所有マンション
「……んっ……、ふ、ぁ……」
あのまま、見合い会場だったホテルから、五条の所有するマンションに連れて来られる間中、五条は凛花を離そうとしなかった。タクシーの中でもずっと口付けをされ続け、こうして、部屋に戻って来るなり、玄関先で壁に追いやられて唇を奪われている。
五条の碧色の瞳は瞳孔が開いているのか……何時もよりも数段濃い色になっていて、彼から流れ込んでくる呪力に、凛花の身体がぴくりと勝手に反応してしまう。
怖いのに……それが嫌ではないと思う自分がいて――。
散々口内を犯された頃には凛花の身体は既に熱を帯びていて、立っていられなくなっていた。五条はそんな凛花の身体を支えながら、そのまま寝室まで連れていき、ベッドに押し倒すと、その上に覆い被さってくる。そして、再び口付けてきたかと思うと、そのまま凛花の帯を解いていった。
「……ぁ……、ま、待っ……」
凛花が慌て制止を掛けようとするが、五条の手は止まらなかった。紅い着物がはだけ、白い肌が露わになる。それを綺麗だと思いながら、五条は凛花の首筋に舌を這わせていった。
ちゅ、と軽く吸い付くような口付けが落とされていく。そして――ついには凛花の首筋に紅い痕を付けてしまったかと思うと、今度は同じ箇所を甘噛みしてきたのだ。
「……ん……っ」
その行為に、凛花の口から思わず甘い声が上がってしまう。すると、それに気をよくしたのか、更に五条の行動が激しくなった。
首筋の後は鎖骨に舌を這わされながら胸へと向かい……着物を完全に肌蹴させてしまうとそのまま胸を揉みしだかれていく。
「ぁ、ん……っ、は……悟さ……っ」
そして、片方の胸の尖りを指で刺激されれば、凛花は堪らず身体をのけ反らせてしまった。その反応に気をよくしたのか、五条の唇が胸の先端へと移動する。ぺろりと舌で舐められた瞬間、今まで感じた事の無い快感が凛花の身体を駆け抜けたのだ。
「ぁ、あん……っ」
そのまま、何度も胸を愛撫され……もう片方の胸は指で弄られながら先端を甘噛みされるという行為に、凛花の息は次第に上がっていったのだった。
だが、そんな凛花の様子などお構いなく、五条の唇が凛花のそれに触れてくると――、
「ねぇ、凛花ちゃん。凛花ちゃんには僕がいるのに、何でお見合いなんてしたの?」
「……え……?」
朦朧とする頭の中で問われたそれに、凛花が逡巡してしまう。それでも、五条は構う事無く、凛花の唇を奪いながら、
「……言えないんだ?」
「……っ、違っ……ンン……っ、ぁ……」
答える間すら与えてもらえず、そのまま口内を蹂躙されていく。苦しくなって凛花が口を開けると、そこか五条の舌が入り込み、凛花の舌に絡みつくように触れてくる。
その間も、五条の手は止まる事は無かった。
「――答えられないなら、凛花ちゃんが誰のものなのか、身体に直接分からせるしかないよね」
そう言ったかと思うと五条は、すっかり乱れてしまった凛花の着物を更にはだけさせていく。そして、そのまま下着の中に手を入れられてしまったのだ。
「……ぁ……っ」
直接、秘部にその指が触れた瞬間、ぬるりと濡れた感触がして、凛花の身体がびくりと跳ねた。それを見逃す五条では無く、くすっと笑うと、そのまま指を上下に動かしていくではないか。
「……ぁ、ンン……っ、は、ゃ……ぁん……っ」
くちゅっという卑猥な音が部屋に響き渡り、凛花は恥ずかしさのあまり耳を塞ぎたくなった。だが、五条の手は容赦なく凛花の秘所を愛撫していき……遂には中にまで指を挿し入れてくるではないか。その異物感に、思わず身体が逃げをうつが、それを五条に抑え込まれてしまった。
「ぁあ……っ、は、ぁん……ゃ……だ、めぇ……っ、さと――ああ……っ」
そのまま指を出し入れされ、同時に胸の突起も舌で刺激されれば、凛花の口からは甘い声が漏れてしまう。
そして――更に指が増やされたかと思うと、ある一点の箇所を擦られた時だった。今まで感じた事の無い快感が身体の奥から湧き上がってきてしまい、凛花は堪らず身体をのけ反らせてしまった。
そして、その反応を見た五条の口端がにやりと上がったかと思うと、
「ああ……やっぱり、凛花はここがいいんだ」
そう呟いたような気がした。
だが、それを凛花が理解する間もなく――再び指を動かされてしまい、同時に胸の尖りに歯を立てられてしまうと、凛花はもう何も考えられなくなってしまった。
「さと、る……さ……っ、ぁあ……っ!」
そのまま指は何度も出し入れされ、中を掻き混ぜられるという行為が繰り返されていく内に、次第に身体の奥の方から何かがせり上がってくるような感覚に襲われてしまった。
そして、遂にはそれが頂点まで昇り詰めようとした時だった。
突然、指が中から引き抜かれたかと思うと、今度はそこに何か熱いものが宛てがわれたのだ。すると、その次の瞬間には一気に奥まで挿入されてしまい、凛花が悲鳴にも似た声を上げた。
「ああ――っ! ゃ……っ、ぁあ、ん……っ、は、ぁ……あ、あ、ああ」
指とは比べ物にならない程の質量に中を押し広げられていく感覚と圧迫感に、息が出来なくなる。だが、そんな凛花の様子などお構いなしとばかりに、そのまま五条に腰を打ち付けられてしまった。
ぱんっぱんっという音と共に、中を何度も擦られて……凛花の口からは絶え間なく甘い喘ぎが零れる。
「ぁあ……っ、だめ……っ、だめぇぇええ……っ!」
その声を聞く度に五条の口角が上がるのだが、既に凛花はそれ所ではなかった。くちゅくちゅと中を掻き混ぜられる音にさえ感じてしまい……膣内が勝手に収縮していってしまう。そして、五条の先端がある箇所を掠めた途端、先程とは比べ物にならない程の快感に襲われてしまったのだ。
「―――ぁっ、は、ぁ、あ……っ、ゃ、ん……、ぁ、あ……ああ……っ」
そこを重点的に攻め立てられると堪らず、凛花の口からは引っ切り無しに甘い声が上がる。そして、そのまま一番感じる所を何度も突き上げられれば――もう限界だった。
あまりの快楽に、凛花は意識を失いそうになるのだが、五条にそれを許さないとばかりに激しく攻め立てられてしまう。だが、凛花が達しそうになった時、何故か突然その動きが止まったのだ。
「――っ、凛花さ、そんなに僕が欲しいんだ?」
五条のその言葉に凛花が涙で滲んだ瞳で見上げると、彼はにっこりと微笑み返してきた。かと思うと、再び腰を打ち付け始めたのだ。しかも、先程より更に早く抜き挿しを繰り返され、凛花の口からは悲鳴にも似た嬌声が上がる。
「ほら、言いなよ。僕が――俺が欲しいって」
「さと……っ、ぁあ、ん……っ、わ、わた、し……っ、ぁ、あ、ああ……っ、は、ぁンン……っ」
だが、それでもまだ達する事が出来なくて、凛花はとうとう泣きだしてしまった。すると、そんな凛花の様子を見た五条の動きが再び止まる。そして、そのまま優しく口付けられてしまったのだ。
ちゅく、と舌を絡ませる口付けに身体の力がどんどん抜けていく。それを見計らったかのように、再び五条の腰の動きが始まった。
今度は先程とは比べ物にならないぐらい激しい動きで、子宮口を何度もノックされてしまい、凛花は必死に五条の首に抱き着いてその快楽に耐えるしか出来なかった。
「あ、あ、あ……っ、ゃぁ……っ」
「ほら、言ってごらん。俺が欲しいって……凛花の口から――聞きたい」
そう言いながら、五条が何度もぎりぎりの所まで攻めてくる。
「ぁ……っ、……っ、さと、る、さん……が、欲し……い……で、す……っ」
凛花がやっとの思いでそう口にすると、五条が満足気に笑った。
「よく出来ました」
そう言うと、今度は優しく髪を撫でられ口付けをされる。そして――その瞬間、そのまま一気に最奥まで貫かれてしまったのだ。
「ぁ、ああ――っ!」
今までとは比べ物にならない位の快感が身体中を走り抜けていき、凛花は遂に絶頂を迎えてしまった。それと同時に、五条もまた欲を吐き出したようで、熱いものが注がれていく感覚がする。
その感覚にすら感じてしまい、凛花が身体を震わせていると――再び唇を塞がれてしまった。そのまま何度も角度を変えながら口付けを交わしていると、不意に五条の唇が離れていく。そして――、
ちゅ、と軽く額に口付けられたかと思うと、彼はそのままゆっくりと自身を引き抜いたのだ。すると、栓が無くなったそこからは大量の白濁が流れ出し、シーツに染みを作っていった。
凛花がそれをぼんやりと見つめていると、不意に五条の腕が伸びてきて、身体を抱き起こされたのだ。
一瞬、「え?」と、思った瞬間――そのまま胡坐をかいた五条の膝の上に乗せられてしまう。ぎくりっ、と思った時には既に遅く。五条の逞しい腕が腰を支えるようにして回されており、逃げられない状態になってしまったのである。
そして次の瞬間――。
「ああ……っ!!」
下からずんっと突き上げられてしまい――再び激しい抽挿が始まったのだ。先程よりも更に奥深くまで挿入されてしまい、凛花は堪らず五条の首にぎゅっとしがみ付いた。
だが――彼はそのまま容赦無く動き始めたのだ。下から何度も突き上げられ、その度に子宮口をノックされて……再び凛花の身体は絶頂へと追い詰められていく。
しかし、今度はそれを待つ事無く、激しく攻め立てられてしまい、凛花はただただ喘ぐしか出来なくなってしまったのだった。
「凛花。僕の事好き過ぎじゃない? だったら、もっと感じて、もっと僕を求めてよ」
まるで、煽るかのようにそう言う五条に、凛花は首を小さく横に振った。
そうじゃない――そうじゃなくて、ただ……。
そう思いながら、凛花は潤んだ瞳で五条を見つめた。すると、それに気付いたのか、彼は少しだけ驚いた様子を見せたかと思うと、直ぐに嬉しそうに破顔したのだ。
そして、不意に顔が近付くとそのまま口付けられてしまう。最初は触れるだけの軽いものだったのだが、次第にそれは深いものへと変わっていったのだ。
舌同士を絡め合わされながら何度も角度を変えられてキスされる内に頭がぼう……っとしてくる。それを見計らったかのように再び下から突き上げられてしまい、凛花の口からは甘い吐息が漏れた。
そして――そのまま何度も突き上げられ、膣内を擦られて……再び絶頂へと導かれてしまったのだった。
「ぁ……っ、ああ――っ!!」
びくびくっと痙攣するかのように膣内が収縮して、五条自身を締め付けてしまう。だが、それでも彼は止まる事は無く、むしろ更に激しく責め立てられてしまった。
「ゃあ……っ! あ……ンっ……、ふ……ぁ……っ、ああ……!」
凛花が絶頂を迎えている最中だというのに五条の動きが止まる事は無くて……それどころか、更に深く突き上げられてしまったのだ。それと同時に中に入っている彼のモノがどくん、と脈打ち大きくなった気がした。そしてそのまま最奥まで挿入されたかと思えば、再び熱いものが注がれていったのだった。
「……っ、は、ぁ……、はぁ……っ……ぁ……っ」
なんとか荒くなった呼吸を整えようと、凛花が五条にしがみ付いたまま、息を吐く。そのまま、暫くの間お互いに無言のまま抱き合っていたのだが……不意に凛花の身体がふわりと浮き上がったかと思うと、そのままベッドの上に再び押し倒されたのだ。
「……っ、さと……」
突然の事に凛花が驚いていると、今度は両足を抱え込まれてしまった。そのままぐっと大きく広げられてしまい――嫌な予感がした時には既に遅く。五条のモノが再び挿入されてしまったのだ。しかも先程よりも深く入り込んできたそれは容赦なく子宮口まで突き上げてきたのである。
その衝撃に一瞬意識を失いかけたのだが、すぐに引き戻されてしまい――そのまま激しく抽挿が始まってしまった。
「ぁあ、ん……っ! ぁ、あ……っ、や、ぁ……っ」
「ほら、凛花の好きな所突いてあげる」
そう言うと、五条のモノがぐりっと最奥を突き上げてきて……そのまま何度もそこを責め立てられてしまう。その度に目の前がチカチカとしてしまい、もう何も考えられなくなってしまっていた。
そして――そのまま激しく責め立てられた結果、遂には限界を迎えてしまい……再び絶頂を迎えてしまったのである。それと同時に膣内が激しく収縮してしまい、その刺激に耐え切れなくなったのか、五条もまた何度目か分からない欲を放ってくる。
それでも、五条は留まる事を知らず、ぱちゅっぱちゅっという音と共に、結合部から溢れ出た白濁が泡立ちながら飛び散ったかと思うとシーツに染みを作っていった。その光景を目の当たりにした凛花は恥ずかしさのあまり顔を背けようとしたのだが、それを阻止するかのように唇を塞がれてしまう。
「ん……っ、ぁ……は、ぁ……ン……」
そのまま、口内までも蹂躙されてしまい――凛花は結局されるがままになってしまったのだった。
あれから、どれくらい経ったのだろうか。もう時間さえも分からないぐらい何度も身体を重ねていたように思う。だが、それでも彼は未だに一度も果てる事は無く……今もなお凛花の膣内に自身を埋めたままだったのだ。そして、それは未だ萎える事無く凛花の中で存在を主張し続けていた。
五条によって何度も絶頂を迎えさせられた凛花の身体は、とっくに限界を迎えているというのに、それでもまだ足りないといわんばかりに責め立てられてしまっているのである。
「あ、ぁ……っ、ゃ、も……む、り……っ」
もう無理だと懇願するのに、五条は許してはくれなかった。それどころか、更に深く口付けてくると、凛花の唇を貪ってくる。
「駄目だよ。凛花にはもっと僕の事を感じて貰わないとね」
そう言って微笑む五条の瞳は完全に据わっており、その瞳に見つめられただけで、凛花はぞくりと背筋が震えてしまった。
そして、そんな凛花の心情など知る由もない彼は、そのまま一気に突き上げて来たのだ。
「ぁあ……っ!」
再び激しく腰を打ち付け始めたかと思うと――次の瞬間にはどくんと脈打ち熱い飛沫が放たれたのが分かった。それと同時に子宮口まで突き上げられていく。
「あ、ああ……っ」
凛花が悲鳴じみた声を上げている間にも中に精液を注ぎ込まれていき、そのあまりの量の多さに結合部から溢れ出した白濁が太腿を伝いシーツの上に水溜まりを作っていった。だがそれでも尚、五条のモノは硬さを保ったまま、凛花の中を何度も何度も突き上げ続けてくるのだ。
「ゃあ……っ! もう……っ、あ、ああ……っ」
「まだまだこれからだよ?」
そう言うと、再び抽挿が開始されてしまい――凛花は堪らず五条の背中にしがみ付くように抱き付いた。だが、五条はそんな凛花の身体を軽々と抱え上げてしまったかと思うと、そのまま体勢を変えられてしまう。
そして――今度は対面座位のような形を取らされてしまったのだ。自重によって更に深くまで五条自身を咥え込んでしまう事になり、そのあまりの質量と圧迫感に一瞬息が止まったような錯覚に陥ってしまう。
しかし、それも束の間の事。直ぐに下から激しく突き上げられてしまい、凛花は背中を仰け反らせたまま甘い声を上げて身悶える事しか出来なくなってしまった。
「……は、ぁ……っ、ぁ、あん……っ、だ、めぇぇえ……っ、動かな……っ、ぁあ、あ、あ……っ」
下から突き上げられる度に、凛花の豊満な乳房が大きく揺れ動き、それが余計に五条を煽っている事に彼女は気付いていない。そして、そんな凛花の反応を見て楽しんでいるのか、彼は更に激しく責め立ててきた。
ぱんっぱんっという音と共に、何度も奥深くまで突き入れられてしまい、その度に子宮口を刺激されてしまう。その強すぎる程の快楽に耐えきれず、凛花は無意識のうちに自ら腰を浮かしてしまっていたのだ。
だが、それでもまだ足りないとばかりに五条の手が伸びてきて――そのまま胸を鷲掴みにされてしまう。そして、そのまま揉み解すようにして動かされたかと思うと、その先端を指で摘まれてしまった。
「ンン……っ、ぁ……は、ぁん……っ」
その瞬間、ビリッとした刺激が身体中を駆け巡る。だが、五条はそれだけでは飽き足らず、凛花の胸の先端を口に含むと、そのまま舌で転がし始めたではないか。しかも、器用に舌で押したり、歯を立ててきたりして刺激されると、もう、堪らなくて――凛花は絶頂を迎えてしまったのだった。
だが、それでも五条の動きが止まる事は無く、それどころかより一層激しさを増した腰の動きに翻弄されてしまい、凛花の口からは絶えず甘い悲鳴が上がり続けていた。
しかし、次の瞬間には再び唇を重ねられてしまい、口内までも犯され始めてしまったのだ。舌を絡め取られ吸い上げられる度に頭の中が蕩けそうになる程の快楽に襲われてしまい、何も考えられなくなってしまう。
「……ンっ……、ぁ、は……ぁん……さと、る、さ……っ、ぁ……」
その間も下からの突き上げが止まる事は無く――凛花の膣内は痙攣するように収縮を繰り返し、五条自身を締め付けていた。
「……凛花っ」
五条の切羽詰まったような声が聞こえたかと思うと、次の瞬間には一番奥深くにまで突き入れてきて、そのまま熱い飛沫を放たれたのが分かった。
その感覚にさえ感じてしまい、凛花の口からは甘い声が上がる。そして、それと同時に膣内が激しく収縮して――五条のモノをきつく締め付けてしまったようだ。すると、それに反応するように再び彼のモノがどくんと脈打ち大きさを増していったのが分かったのである。
結局――それからも、休む暇もなく何度も求められ続け……凛花は意識を失うまで五条から愛され続ける事になったのだった。
―――それから1週間後。
凛花は今夜も五条に愛され続けていた。あの見合いの日からずっと、外に出る事も許されず、ただ只管に五条を受け入れる日々。何度、もう無理だと懇願しても、許して貰えず、彼が満足するまで、抱かれ続ける。
それでも、拘束されている訳でも、マンションの部屋に鍵が掛けられている訳でもない。部屋の中も自由に動けるし、風呂も食事もある。だから、逃げようと思えばいつでも逃げられる状態なのだ。
そう、その気になればいくらでも逃げる事は出来た。だが――凛花は逃げなかった。何故ならもう……彼には逆らえないから。彼に愛される事の悦びを、教え込まれてしまったから。
もう、彼無しでは生きていけない程に、五条に溺れてしまっていたのである。
今日もまた、五条の腕の中で目を覚ますと――そのまま唇を塞がれてしまう。そして、そのまま深く口付けられたかと思うと舌を差し込まれて絡め取られてしまい……口内までも犯され始めてしまった。
その間にも彼の手が身体中を這い回り、凛花の弱い所ばかりを攻めてくるものだから堪らない。
そうして、凛花は今夜もあっという間に飲み込まれていくのだった。
“五条悟”という名の快楽の渦へと――。
2025.03.11