◆ 五条悟 「Delicious sweet cake with you」
(呪術廻戦夢 「深紅の冠 ~鈺神朱冥~」 より)
「あの……悟さん……?」
何故、こんな事になっているのか……。ただ凛花は、五条に頼まれた書類を呪術高専に持ってきただけだというのに、気が付けば、校内の準備室で五条によって壁際に追いやられていた。
準備室には他に誰もおらず、廊下にも人気が無い。元々、呪術高専は生徒数も教師数も、そこまで多くないので、それは仕方ないとはいえ……。それでも、東京校は呪術師の活動拠点の中心となっている為、普段から他の呪術師やそれらを補助する、補助監督なども、出入りが多い筈である。
凛花は、高専所属の術師ではないが、こうして用があれば来る事もあるし、出入りも比較的自由に許されている。が……。
「えっと……」
凛花は、こちらをじっと見ている五条から、すっとその深紅の瞳を逸らすと、
「た、頼まれていた資料持ってきたのですが……」
そう言って、持っていた書類を五条の胸元に押し付けた。すると、五条は一度だけその書類に視線を送った後、「はあ~~~」と、何故か盛大な溜息を付いた。その溜息の理由が解らず、凛花が首を傾げると、五条はさも当然の様に、
「凛花ちゃん……。僕さ、ここ連日ずっと徹夜で仕事してんの」
「は、い?」
「来る日も来る日も、呪霊を祓って祓って祓ってさー」
「はい……」
「甘いご褒美も何もなし!! チョコレートのひと欠片ですら食べれてないの!」
「そ、そうですか……」
五条は、結局何が言いたのだろうか? 勤務体制をどうにかしろと、言いたいのか? しかし、それは高専所属でもない凛花に言っても、仕方のない事で……。
しかも、五条は曲がりにもこの呪術界の現代最強と呼ばれる男だ。引っ張りだこなのは、仕方のない事である。五条クラスでないと、対応しきれない呪霊も沢山いるのだから。
だが、五条にはそれが納得いかない様で、
「おかしいと思わない!? 僕にばっかり押し付けてさ! 少しは休みくれてもいいじゃん!! 後、甘いもの! もう頭がおかしくなりそうだよ!!」
「……」
これは、あれだ。徹夜続きの連勤時に毎度おとずれる、五条のウザ絡みシーズンの様だ。どうりで、この日のこの時間に、準備室に資料を持って行って欲しいと、この東京校の学長の夜蛾に頼まれる訳だ。
いつもは、補助監督の伊地知が絡まれているが、今回はどうやらそのスケープゴートに凛花が選ばれたらしい。
なんと、はた迷惑な話だろうか。だが、このまま五条を放置する訳にもいかない。凛花は小さく息を吐くと、一緒に持ってきていた菓子折りを五条の前に差し出した。
「……とりあえず、甘いものはこれで補充して下さい」
「何これ」
「苺のショートケーキです。これ食べて、少し寝て下さい。夜蛾さんには、私から言っておくので――」
それだけ言うと、凛花はぐいっと五条を押し退け、さっさとお茶の用意を始めた。お湯を沸かし、紅茶を淹れると、五条のティーカップに角砂糖を6個入れる。そして、そのカップと苺のショートケーキを、五条がいつも座る場所の前にある机の上に並べた。
「悟さん、お疲れでしょう? こちらで休憩を――」
と、そこまで言った時だった。突然、五条がぎゅっと後ろから抱き締めてきたのだ。まさかの五条の行動に、凛花がかぁっと頬を朱に染める。
「あ、あの……っ、悟さ――んんっ」
「悟さん」という言葉は、音にならなかった。あっという間に唇を塞がれたかと思うと、そのままぐいっと、頭の後ろを押さえられ顔を持ち上げられる。
「ちょっ……待っ……」
「無理、待てない」
そう言ったかと思うと、今度は先程よりも深く唇が重ねられた。
「……ンっ、ぁ……」
薄く開いた唇から、五条の舌が容赦なく侵入し、凛花の舌を絡め取っていく。何度も角度を変えながら、口内を犯され続け、ようやく解放されたかと思うと、凛花の身体は五条に抱きかかえられていた。そのままカーテンが引かれている窓際まで連れていかれると、そこに座らされる。そして……五条の手が凛花のブラウスに伸びてきたかと思うと、それを強引に左右に引き裂いたのだ。
「ちょ、ちょっと待って下さ……っ」
凛花がなんとか抵抗の意を唱えるが、五条は止まらなかった。バサッと音を立て、ボタンが弾け飛び、凛花の胸元が大きくはだける。
「……ぁ……」
一気に、凛花の顔が紅潮していく。だが、五条の手が凛花の胸元へと伸びてきたかと思うと、今度はブチブチと力任せにブラウスの残りのボタンが毟り取られていった。
「悟さん……っ」
凛花が訴える様に叫ぶが、五条は止まらない。そのまま両の手を窓に押し付けられる形で、縫い留められて、上にあげさせられたかと思うと、再び唇を塞がれた。それは、まるで貪るような口付けで、凛花がぴくんっと肩を震わすと、五条の口元が微かに笑った。
どうやら、五条の睡眠不足によるイライラと欲求不満は相当なもので……。疲れている所為か、いつもの余裕が全くない様だった。でも、だからといって、ここは学内の準備室だ。こんな所で、しかもこんな真昼間からこんな風に抱かれるなんて――とてもじゃないが、凛花には耐えられなかった。
「お願……っ、さと、る、さ……待っ……」
涙ながらにそう訴えるが、五条は聞いてはくれなかった。「凛花……」と、甘く名を呼び、何度も口付けてくる。唇の間から割って入って来た五条の舌が、凛花の舌を搦め捕る。深く合わせられたそれは、凛花の呼吸さえ奪うかのようで……。
「……っ……ぁ、は……ンン……ふ、ぁ……っ」
息継ぎの間も与えないその口付けに、次第に頭がくらくらしてくる。舌同士が絡み合う卑猥な音が耳の中に響いてきて、恥ずかしさと甘い熱で、凛花はどうにかなってしまいそうだった。
それでも尚、五条からの口付けは止まらなかった。腰を強く掻き抱かれ、引き寄せられる。
密着した身体が熱を持つのに、時間は掛からなかった。
凛花の座らされた窓のカーテンが、風でゆらゆらと揺れる。
「あ、んっ……ゃ……」
口付けの合間に、凛花が甘い喘ぎを上げる。首筋に舌を這わされながら、下着の上から胸を揉まれたからだ。そのままやわやわと何度か揉みしだかれると、今度はその手がぐいっと背中に回った。そして、そのままずるっと下着の線をなぞる様に手を動かされたのが分かった。慣れた手つきであっという間にブラジャーのフロントのホックも外されてしまう。
「や……っ」
気付けばブラジャーがずらされていて、凛花は慌てて手で腕で胸元を隠しそうとした。しかし、五条の手はそれさえも退けてしまい、凛花の白い肌が外気に晒される。そして、大きな掌で胸を下から持ち上げると、そのまま両の胸を揉み始めたのだ。
「ぁ……っ、は、んン……ぁん……っ」
下着をずらされ無防備になった胸に、五条の手を生々しく感じてしまう。それを、まじまじと見られてしまっているかと思うと、凛花は恥ずかしさといたたまれなさで、どうにかなりそうだった。
だが……そんな凛花の気持ちなどお構いなしに、五条の手はそのまま胸の感触を楽しむ様に動き続けた。
「あっ……ゃ、ぁ……ン……っ」
ゆっくりと胸を揉みしだかれると、その刺激で凛花の乳首はたちまち硬くなっていった。五条の指先がそれをキュッと摘まみ上げると、そのまま両の乳首を捏ね回し始めたのだ。
「ぁ……んン……ゃ……ぁっ」
凛花が甘く喘ぐと、五条の顔が胸元に下りてきた。そして、今度は右の乳首が五条の口内に咥えられていく。舌先で転がされ、吸われて、軽く歯を立てられる。そして、左の胸にも指が這わされたかと思うと、その指の腹で乳首を押し潰すように刺激され、凛花は堪らず身体をしならせた。
「さと、る――ぁあ……っ」
凛花が堪らず声を洩らす。すると、五条はくすっとその口元に笑みを浮かべ、
「凛花――こっち見て。もっと、声、聞かせて」
「そ……こと……言われて、も……ぁン……っ」
びくんっと、凛花の身体が跳ねる。このままでは、本当にここで五条に抱かれてしまう……っ。そう思った凛花は、なんとかその刺激から逃れようと身を捩った。だが、左胸を五条の口と手で弄ばれ、右の胸は指で愛撫され続けていて……。そんな状態では、もう抵抗など出来る筈もなかった。
「可愛い、凛花……」
愛撫の合間にそう囁かれると、もう凛花は抵抗する気力さえ吸われていくようで……。最早、五条のされるままになっていた。
カーテンが風に揺れている。そんな室内で、自分とは色味の違う白銀の髪が揺れ動いている。普段はアイマスクに隠されている碧色の瞳がじっと自分を見下ろしていて……。その綺麗な瞳と視線が絡んだかと思うと、凛花はそのまま唇を塞がれた。
それからもずっと、五条から執拗な愛撫を受け続けていた。ブラウスを肌蹴させられ露になった胸を揉まれながら口付けされる。胸の頂を弄ばれ続け……気付けば五条の片方の手が、凛花のスカート中に入って来ていた。そのまま太腿を優しく撫でられると、凛花の身体がびくんっと跳ねた。
「……ぁ……、は、ぁん……っ、悟さ……っ」
びくんびくんっと、凛花の肌が震える。五条の大きな掌が、腿から腰へと撫で上げていくと、凛花は堪らず嬌声を上げた。だが、すぐにその手はスカートのボタンを外しに掛かってきたのだ。そのままファスナーを外されたかと思うと、ぱさりと、音を立ててスカートが落ちる。
「ぁ……っ」
その途端、凛花の顔が羞恥で真っ赤に染まった。慌ててスカートを抑えようとしたが、それは叶わず……五条の手がぐっと両脚を大きく開かせると、その間に身体を入れてきたのだ。そして、そのまま凛花に口付けると、
「ごめん、凛花。――もう、我慢できない」
そう耳元で囁かれたかと思うと……五条の手が凛花の下着の中に入ってきたのだ。そこはもうすっかり濡れそぼっており、五条の指先が触れた瞬間、くちゅっと淫らな水音が響いた。その音があまりにも卑猥で……凛花は羞恥で思わずぎゅっと瞳を閉じてしまう。
だが、そんな凛花を追い詰めるかのように、五条の指は動き始めた。ゆっくりと上下に動かされたかと思うと、今度は前後に擦られ始める。
「――ぁあ、は……ンっ、ゃ……だ、めぇ……っ」
その途端、凛花の腰が跳ね上がった。堪らず、甘い声が上がる。それに気を良くしたのか……五条の手の動きが激しくなったのが分かった。そのまま上下に擦るだけでなく、親指の腹で花芽も弄られてしまい、
「……ぁ……っ、んン……、は、ぁん……っ」
あまりの刺激に、思わず凛花は身体を仰け反らせた。
だが、そんな事で五条の手が離れる筈もなく……。それどころか更に強く擦られて、凛花はもう限界だった。
「や、ぁあ……っ、さと……るさ……もぅ――あぁっ」
凛花が嬌声を上げた瞬間だった。五条の指の動きが更に激しくなり、そのまま花芽をぎゅっと押し潰されたのだ。その途端、目の前が真っ白になり、身体ががくがくと震えるのが分かった。そして、次第に力が抜けていくと、くたっとその場に倒れ込みそうになる。
が……それは五条の手によって阻止された。
「あ……」
気付いた時には、凛花の視界いっぱいに五条の顔があった。そして次の瞬間、背中に柔らかい感触が当たるのが分かった。どうやら、いつの間にかソファの上に移動させられたようだった。
バサバサバサっと、机の上の書類が落ちる。だが、それを遮る様に五条の大きな影が凛花の上に落ちていて……。その影に気付いたかと思うと、唇が塞がれた。先程とは打って変わって優しい口付けをされながら、太腿に手が置かれていくのが分かる。
そして――そのまま脚を大きく開かされたかと思うと、何の前触れもなく五条の指が押し込まれてきたのだ。
「ぁ……っ、ンン……っ」
くちゅっと濡れた音がして……それが自分の秘部から発せられた音だと気付くのに、少し時間が掛かってしまった。五条の指が浅く抽挿される度に、くちゅくちゅと淫らな音が響いてきて、凛花は恥ずかしさのあまりぎゅっと瞳を閉じた。
だが、それが逆効果だったのか。視界を遮断された事で、余計に五条の指の動きを敏感に感じてしまう様になってしまったのだ。
「ぁ……ぁん……っ、は、ゃ……っ」
そしてそれは、五条の指を締め付ける力も増したようで……。その所為で、より鮮明に彼の指の動きを感じてしまい、思わず甘い声が漏れてしまった。
すると、それに気をよくしたのか……五条の指の動きが激しくなった。そして、そのまま中を掻き回される様にして動かされると、凛花の口からはひっきりなしに嬌声が上がり始めた。
その内、いつの間にか指が増やされていたようで、気付けば2本の指で中を擦られていた。くちゅくちゅと卑猥な音が響いてきて……もうそれだけでも堪らなかったのに、時折、花芽を親指で押し潰されると、もうどうにかなりそうだった。
だが――それは突然だった。ずるっと指を引き抜かれたかと思うと、そのまま両脚を抱え上げられてしまったのだ。そして、五条の先端が凛花の花芽に触れたのが分かった。その途端、びくんと凛花の腰が跳ねる。だが、そんな事で五条の動きが止まる筈もなく……彼はゆっくりと腰を進めてきたのだ。
くちゅりと音がして……五条のそれが中に入ってきたのが分かる。
「ん……っ、ぁ……ぁあ……っ、さと――っ」
その瞬間、凛花の口から甘い嬌声が上がった。思わず彼の背中に腕を回してしがみ付くと、それに気付いたのか……五条の唇が凛花の耳朶を食んできた。そして、そのまま舌先で舐め上げられる。
「ぁ、ああ……っ、は、ゃ……ン……っ」
その間も五条の腰の動きは止まらず……凛花は堪らず甘い声を上げ続けた。やがて、五条の動きが止まったかと思うと、ゆっくりと彼のものが引き抜かれていったのが分かった。そして、再び中に入ってきたかと思えば、今度は一気に奥まで突き入れられたのだ。
「ぁあ――っ!」
その途端、凛花の口から悲鳴にも似た声が上がった。だが、それはすぐに嬌声へと変わってしまう。そして、激しい抽挿が始まり、何度も奥を突かれた。
その度に、凛花の唇からはひっきりなしに甘い声が漏れ、もっと深く繋がろうと無意識に五条の背に腕を絡ませていった。
「ゃ、だ、めぇ……っ、さと、る、さ……っ、動い、ちゃ……っ」
懇願する様に凛花が声を上げる。だが、五条の動きが更に激しくなった。そのまま腰を打ち付けられて、凛花の目の前はチカチカとした光に包まれていく。もう何も考えられなかった。ただ本能のままに喘ぎ続け、もっともっとと強請るように腰を浮かせてしまう自分がいて――それが恥ずかしくて堪らなかったのに、もうどうしようもなかった。
そしてそれは、五条も同じだったようで……彼は切なげに眉を寄せ、「凛花……っ」と呟きながら、何かを耐える様な表情を見せていた。
だが、そんな余裕の無い表情を見せたのも束の間で。次の瞬間には、五条の表情が一変したのだ。彼は急に凛花の身体を抱き起こすと、そのままソファの上に座った自分の上に跨らせる体勢を取らせた。
五条の両肩に手を乗せるように促されたかと思うと、そのまま下から、ずんっ!と一気に突き上げられたのだ。
「ああ……っ!」
それと同時に悲鳴のような嬌声が響く。突然の行動に驚いたものの、もう凛花の身体は五条によってすっかり蕩けきっていて、彼の行動に抵抗する事など出来なかった。
そして、そのまま下から突き上げられる度に、凛花の口からは甘い嬌声が上がったのだ。
「……っ、凛花……っ」
すると、五条もまた荒い吐息を漏らしていて、二人の呼吸が荒くなっていくのが分かった。
「ぁ、は、ぁあん……っ、ゃ……さと――ぁあっ」
気付けば五条のものが大きくなっているのが分かって……その圧迫感に凛花は堪らず腰を震わせた。だが、それは決して苦痛などではなく、寧ろ快感の方が大きかった。やがて、五条の抽挿が激しくなると――凛花は限界を迎えようとしていた。
もう何も考えられない程に快楽に溺れて、ただ五条から与えられる刺激に翻弄されるばかりで。そして、自分の中がきゅんっと締まった瞬間――凛花の身体が弓なりにしなったかと思うと……そのまま達してしまったのだ。
だが、それで終わりではなかった。
五条の動きは止まらず、むしろ激しさを増していく一方で。凛花はもう何も考えられなくなっていった。ただただ、五条の動きに合わせて身体が疼いてしまう事しか出来なかったのだ。
「凛花……っ」
やがて、五条の動きが一層激しくなり、彼のものが脈打つのを感じた途端――熱い飛沫が中に放たれたのが分かった。その熱さにまた感じてしまい、凛花は堪らず五条の背中に爪を立てた。そして、そのまま気を失うようにして意識を手放したのだった。
それからどれくらいの時間が過ぎただろうか。ふと、凛花は自分の意識が浮上するのを感じた。だが、まだ瞼は重くて開けそうになくて……。そんな微睡の中で、誰かが自分の頭を撫でているのが分かったのだ。
それはとても優しい手付きで、まるで慈しむ様に何度も優しく髪を梳いてくるものだから、凛花はまたうとうとと眠りの世界へと誘われそうになる。
だが、その時だった。ふいに耳元で何かを囁かれた気がして、凛花は再び意識を浮上させたのだ。すると、それと同時に唇に柔らかいものが押し当てられるのが分かった。最初は軽く触れるような口付けだったが、それが次第に深くなっていくと、凛花はそっと瞳を開いたのだった。すると目の前には大好きな人の顔があって……どうやら今、自分は五条にキスをされているようだった。
しかもそれはただ唇を触れ合わせるだけのものではなく、彼はしっかりと凛花の後頭部を押さえ付けており、まるで逃がさないようにしているかのようだった。
「さと、る、さ……ンっ……ぁ、は、ンン……っ」
思わず声が洩れる。それでもまだ状況が飲み込めなくて、凛花がされるままになっていると……ようやく唇が解放されたと思ったら、今度は首筋へと移動してきたのだ。ちゅっと音を立てて強く吸われたかと思うと、そこにちくりとした痛みが走ったのが分かった。
そして次の瞬間にはまた唇を塞がれて――そのまま舌を絡め取られた。その途端、ぞくりとする程の快感に襲われてしまい……思わず身を捩ったが無駄だった。いつの間にか両手首を掴まれており、そのまま再び、ソファの上に押し倒されてしまったからだ。
「ちょ、ま、待って下さ――」
ようやく凛花の思考が追い付いてきて、慌てて声を上げると、彼はそれを遮るようにして口付けてきた。そして、その瞳でじっと凛花を見つめた後、お願いする様に――。
「もっと、凛花が欲しいって言ったら、駄目?」
そしてそのまま直に肌に触れられて……。その途端、びくんっと身体が跳ね上がるのが分かった。だが、それも束の間で、すぐにまた深いキスに翻弄されてしまう。
その後――何度も求められてしまい、結局、凛花は最後まで許してしまったのだった。
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「凛花ちゃん、このケーキ美味しいね!」
上機嫌の五条が、苺のショートケーキを頬張りながらそう言う。凛花はというと……、五条の横でぐったりとしたまま、紅茶を啜っていた。
あの後――結局、凛花が気を失うまで五条と身体を重ね続けた結果……当然の如くソファから起き上がれなくなってしまったのだ。
そしてそんな状態の凛花に対して、五条は甲斐甲斐しく世話を焼いてくれたのだが、その行動が更に羞恥心を煽る事となり、結局凛花はその日の残りの時間、全て準備室のソファの上で過ごす羽目になってしまったのだった。
だがそれもこれも全て五条のせいである。彼は本当に加減というものを知らないのだから。しかし、それでも嫌いになれない自分がいて……それがまた悔しかった。
五条と知り合ってからというもの、凛花は振り回されっぱなしである。だが、それでも彼と一緒に居られる事は幸せだと思っている自分が何処かにいて……。結局、凛花はどんな時でも彼に甘いのだった。
そして今日も今日とて――凛花の悩みは尽きないのである。
2025.01.10