◆ 五条悟 「B.R.N」
(呪術廻戦夢 「深紅の冠 ~鈺神朱冥~」 より)
その日は、一段と冷える日だった。凛花は、五条と一緒に五条所有のマンションに来ると、早々にコートを脱いで、キッチンに立ったものの、寒くて手に息を吹きかけていた。
「ごめんね、凛花ちゃん。今日何時に帰れるか分からなかったから、エアコンのタイマー掛けてなかったんだよね」
そう言いながら、五条がリモコンを操作してエアコンを付ける。基本このマンションは床暖房も付いているので温かい方なのだが、如何せん外が寒すぎた。
「いえ、大丈夫です。とりあえず、何か温かいものでも――くしゅん」
温かいココアでも淹れようと思ったのだが、その前にくしゃみが出てしまった。それを見た瞬間、五条が慌てて駆け寄ってくる。
「凛花ちゃん、大丈夫? もしかして、風邪引いちゃったかな?」
「あ、いえ……少し寒くてくしゃみが出ただ――くしゅん」
また、くしゃみが出た。すると五条が何故か問答無用で凛花の手を掴むと、何処かへ向かって歩き始めた。驚いたのは、凛花で……、
「あ、あの……?」
「先に、お風呂入って温まった方がいいよ」
そう言って、ずんずんとバスルームへと向かう。凛花は慌てて首を振ると、
「いえ、それなら悟さんが先に――」
「え? 何言ってんの? 今から一緒に入るんだよ」
「………………はい?」
今、この人は何と言ったか……。一緒に入る? 誰と誰が……?
凛花の思考が完全に停止する。そうしている間に、サニタリールームへ連れ込まれてしまった。五条はバスルームの大きなバスタブに、お湯が自動で張られているのを確認すると、さっさと服を脱ぎ始めたのだ。
凛花が顔を真っ赤にして慌てて、後ろを向く。
え、ええ!? う、嘘でしょ……っ
五条のまさかの行動に、凛花が完全に固まっていると、後ろからタオル1枚の五条の声が響いた。
「どうしたの、凛花ちゃん。脱がないの?」
「え……あ、いや、その……」
脱げるわけないでしょ……っ! そう突っ込みたいのに、言葉が出ない。凛花が後ろを向いたまま耳まで真っ赤にしていると、それを見た五条が、一度だけその碧色の瞳を瞬かせた後、にやりと笑った。
そして、凛花の傍にやってくると、そっと後ろから凛花の肩に手を置いて――。
「凛花ちゃん、もしかして照れてるの?」
「え……っ!? そ、その……それ、は……ぁ……っ、ちょ、ちょと!」
言い終わる前に、五条の手が凛花の胸元に伸びてきたかと思うと、そのままボタンに手を掛けられた。ぎょっとしたのは、凛花だ。慌てて五条の手を掴む。だが、力で敵う筈もなく……あっというまに、ボタンを全部外され、着ていた筈のブラウスがぱさりと床に落ちた。
「さ、悟さ――」
「大丈夫、僕に任せて」
「いや、そうではなくて――」
なんとか、抵抗しようとするが、全く聞く耳持ってもらえない。そうこうしている内に、スカートのボタンと、ファスナーも下ろされて、床に落ちる。
気が付けば、凛花は下着姿になっていた。
「ま、待って……っ、待って下さ――ぁ……っ」
瞬間、五条の手が凛花の胸に触れた。そのまま下着の上から、やんわりと刺激される。凛花は必死に声を抑えようと、口元を手で押さえた。しかし、五条の手は止まらずに動き続けると、ぷちんっと、ブラジャーのフロントホックを外された。
そのまま、ブラジャーも床に落ちる。
ぷるんと、形の良い胸が姿を現すと、五条はくすっと笑みを浮かべ、そのまま胸の形をなぞり、やわやわと揉んできたのだ。そして、直に胸の頂に触れてきた。
「――っ」
その瞬間――びくっと凛花の体が震える。それを見た五条の手が、ゆっくりと動き出した。何度も指の腹で押されたり摘ままれたりと繰り返されていけば、徐々にそこは硬くなっていき、やがてぷっくりと立ち上がってしまった。
「下も脱ごっか」
そう言ったかと思うと、今度は五条の大きな手が凛花の太腿に触れてきた。そのまま、撫で上げられると、ぞくぞくとしたものが背中を駆け抜けていく。
すると今度は、下着のサイドに手が掛かったかと思うと、ゆっくりと下にずらされてしまったのだ。
もう、凛花は火が出るんじゃないかというぐらい、顔を真っ赤に染め上げていた。恥ずかしい場所が露になりそうになって、思わず手で隠そうとするが、五条の手に阻まれてしまう。そのまま足を開かされてしまい……ついには一糸纏わぬ姿にされてしまった。
恥ずかしさのあまり涙目になっていると、それに気が付いたのか、五条の手の動きが止まった。そして――。
「凛花ちゃん。ほら、こっち向いて」
「……え?」
今にも泣き出しそうな凛花の頬に、そっと五条が手を添えると――ちゅっと軽いリップ音と共に、唇が重なった。
「さと――んんっ」
最初は触れるだけのキスだったものが、次第に深いものへと変わっていく。何度も角度を変えられて貪られる内に、凛花の体は完全に力が抜けてしまったらしく……いつの間にか五条に横抱きに抱き上げられていた。
それでも、五条からのキスは止まらず、凛花の口端から飲み切れない唾液が零れ落ちる頃には、すっかり身体が熱くなっていた。
バスルームへ続く扉を開けると、バスタブには既に湯が張られており、湯気が立ち込めているのが見えた。五条に身体を支えられながら、中へ入ると……ゆっくりと足先から湯に沈めていく。肩まで浸かると、じんわりと体の芯から温まっていくのを感じた。
思わず、ほっとしていると、何故か五条が後から入ってきて、そのまま凛花の後ろに入り込んできたのだ。そして、腰に手を回して後ろからぎゅっと抱きしめられる。
凛花がぎょっとしたのもつかの間、五条がくすっと笑みを浮かべると耳元で囁いた。
「凛花ちゃんさ……感じてるでしょ?」
「……ゃ……それ、は……っ」
凛花が慌てて否定しようとするが、五条の手が凛花の腹を撫で始めたのだ。その行為にびっくりして後ろを振り向くと、五条の碧い瞳と目が合う。すると彼は微笑んで見せてから、もう一度触れるだけのキスをした後、今度は首筋や鎖骨へと唇を落としだした。
「……ん……ぁ……っ」
その度に、ぴくっと身体が反応してしまい……恥ずかしさのあまり、ぎゅっと目を瞑る。だがそれを見計らったように、五条の手が胸に触れたかと思うと、そのまま強く揉まれてしまった。
「……っ」
思わず声が出そうになる。凛花は、何とか我慢をすることが出来たものの、今度は太腿の内側を撫で上げられてしまい……ぞくぞくとしたものが背筋を走り抜けた。
すると突然、五条の頭が下がってきたかと思うと、あろうことか胸にしゃぶりついてきたのだ。そのまま舌先で転がされたり、甘噛みされたりする度に、凛花の体はびくびくと震えてしまう。そしてついには、胸の先端を強く吸われて甘噛みされてしまい――、
「ぁ……ああ、ん……ゃ、ん……っ!」
とうとう限界を迎えてしまった。
一際大きく身体を震わせた後、ぐったりとしてしまった凛花を見て満足そうに五条が微笑むと、その手が凛花の太腿の間へと伸びていく。そして既にしっとりと濡れてしまっているそこに触れると、ゆっくりと割れ目に沿って動かされたのだ。
「……ゃ……は、ぁ……っ、さと、る、さ……っ」
その度にくちゅりと音が響いてしまい、恥ずかしさのあまり涙が溢れてくる。しかしそんな凛花の様子を見てもなお、五条の手は止まらなかった。それどころか、更に奥へと進んでいき、やがて小さな芽を擦られた瞬間、今まで感じた事のない程の快感が全身を駆け巡っていったのだ。
「んん――っ、ぁ……っ」
思わず腰を浮かせてしまう。しかし、それを逃すまいとしたかのように、五条の指が激しく動かされる。その衝撃に一瞬目の前が真っ白になったような気がした瞬間、凛花の体が一際大きく痙攣した。同時に、秘部からは大量の蜜が溢れてくる。それを確認した後、ようやく五条の手が離れた。
「……ぁ……は、ぁ……っ」
凛花が、ぐったりとして五条にもたれ掛かる。そんな凛花の髪を撫でながら、五条はくすっと笑みを浮かべ、
「凛花ちゃん、そんなに気持ち良かった?」
「……っ」
恥ずかしさのあまり、再び顔が赤くなる。だが、それを気にする様子もなく、五条の手がゆっくりと再び動き始めたのだ。そして今度は太腿をなぞり始めたかと思うと、そのまま足の付け根まで行き着き、そこで止まる。かと思うと、またゆっくりと指を動かされ始める。と、凛花の身体がびくっと震えた。
「ゃ……ぁ……っ」
先程達したばかりだと言うのに、五条の指の動きに合わせて、また甘い声が漏れてしまう。すると、今度は中に指が入り込んできたのだ。最初は一本だったものが二本三本と増えていき、やがてばらばらに動かされるようになる頃には、すっかり凛花の口からは意味のない音しか出なくなっていた。
「……ゃ……ぁあ……っ、悟さ……っ、こ、んな……で……ああ……っ」
涙を浮かべながら訴えかけるも、五条の動きは止まらなかった。それどころか更に激しく動かされる内に、再び限界が近づいてくるのを感じたのだ。そして――。
不意に五条の手の動きが止まる。瞬間、今度は凛花の耳に熱い吐息がかかったかと思うと――次の瞬間には耳朶を舐め上げられてしまい、凛花の口から一際大きな甘い声が上がったのだ。
その瞬間を逃すはずもなく、五条の指先が一番敏感な部分に触れた瞬間――、
「ぁあ……っ」
凛花の身体が、ばしゃん!と、水音を立てて弓なりにしなる。同時に秘部からは大量の蜜が溢れ出し、バスタブの中を白く濁らせた。
はぁ、はぁと、荒い呼吸を繰り返しながら五条にもたれ掛かる凛花の姿を見ていた彼は、ゆっくりと唇を重ねた後に、耳元で囁いた。
「可愛いね……凛花ちゃん。でもさ、僕まだ満足してないんだよね。だから――いいでしょ?」
そう言って微笑む五条の碧眼は妖しく輝きを放っており、それを見た凛花は息を吞んだ。
「ぁ……」
言葉を発する前に、五条から口付けられる。
「……ん……さと、る、さ……ぁ……っ」
何度も角度を変えて繰り返される口付けと、バスタブの湯気の所為か、次第に凛花の思考が麻痺していく。頭が回らず、何も考えられなくなり、ただただ五条からの甘い口付けを受け続けるしかなかった。
不意に、くいっと顎に手を回されたかと思うと、上を向かせられる。
「ほら、もっと口開けて」
「……ぁ」
言われるままに口を開けると、そこから五条の舌が侵入してきた。歯列をなぞり、上顎を舐め上げるようにして動かされると、ぞくぞくとしたものが背中を駆け抜けていく。
「……んっ……ふ、ぁ……っ、ンン……ぁ……」
堪らず、声が洩れる。そのまま舌を絡ませるような深い口付けを交わしている内に、再び身体の奥に熱が溜まっていくのを感じた凛花は身を捩らせた。しかしそれを許さないと言わんばかりに、五条の腕によって抱き込まれてしまう。そして執拗に何度も舌を絡められると、やがて満足したのかゆっくりと離れていった。瞬間、つぅ……っと唾液の糸が伸びていくのを見てしまい、凛花の頬が赤く染まっていく。
そんな凛花を見て、五条がくすっと笑った。
「凛花……可愛いすぎ」
そう言ったかと思うと、今度は首筋に顔を埋められる。そして強く吸われると、ちりっとした痛みを感じた凛花は、思わず声を上げた。
しかしお構いなしといった様子で、五条の唇はどんどん下へと降りていく。鎖骨の窪みに溜まった汗を舐め取ると、そのまま胸の谷間まで下りてきて、そこにも強く吸い付かれたのだ。
「ぁ……っ、ゃ、ぁあ……っ、は、ン……っ」
その度に凛花の唇からは甘い声が上がる。
やがて五条の唇が離れた頃には、凛花の身体には無数の赤い痕が残されていたのだった。その事に気が付いた凛花が、慌てて胸元を押さえると、五条からくすりと笑いが漏れた。
「どれだけ、僕を煽れば気が済むのかな? 凛花は」
そう言って、身体を少し起こすと、突然凛花に覆いかぶさるような体勢になった。そして、そのまま五条の唇が再び重ねられる。何度も角度を変えながら貪るような口付けを交わしていると、やがて呼吸の為に開いた唇の隙間から、ぬるりとしたものが侵入してきたのだ。
それが彼の舌だと気付いた時には既に遅く、歯列をなぞられ、上顎を舐め上げられて、舌先同士が絡み合う。それと同時に凛花の背筋に甘い痺れが走った。
漸く解放された時には、もう凛花はすっかり身体に力が入らなくなってしまっており、ぼんやりと五条の顔を眺める事しかできなかった。そんな凛花の様子を見た彼は満足そうに笑みを浮かべると、今度は首筋に顔を埋めてきたのだ。そして再び強く吸い上げられる感覚に凛花が身体を震わせていると、いつの間にか彼の手が胸へと触れていた。
「ぁ……ま、待っ……」
咄嗟に凛花がそう声を洩らすが、五条はやはりくすっと笑みを浮かべると、
「だーめ。待たないよ」
そう言って、そのまま凛花の柔らかな胸を揉み始めたのだ。最初は優しく触れるだけだったのだが、次第にその手つきが大胆になっていく。やがて凛花の胸の先端にある小さな突起に指先が触れた瞬間、びくん!と大きく身体が跳ね上がった。その反応を見た彼はくすっと笑ってから、今度はそこを摘まんだり押し潰したりとし始めたのだ。
「……ぁあ、ん……っ、は、ぁ……ゃ……待っ……ぁ……っ」
その度に凛花の唇からは甘い声が上がるようになり、それに気を良くしたのだろう。五条の顔がゆっくりと下に降りていき、そのまま胸の突起を口に含まれたのだ。
そして舌先で転がしたり、強く吸い上げたりするうちに、凛花の口からは甘い嬌声が上がり始める。
やがて満足したのか、ゆっくりと顔を上げると、今度は反対側の胸にも同じように愛撫を施し始めた。そして再び口に含むと、先程と同じように執拗に責め立ててくる。その度に凛花は甘い声を上げ続けたのだ。
そうして何度も胸を刺激され続けていく内に、段々と身体の奥が熱くなってくるのを感じた凛花は、戸惑ったような表情を浮かべていたが、そんな彼女の様子に気が付いた五条によって唇を奪われた事で、思考回路が完全に停止してしまった。
最初は啄ばむような軽い口付けだったものが、次第に深いものに変わっていき、やがてお互いの舌を絡めるような濃厚なものへと変わっていく。その間にも五条の手は凛花の身体を這い回り、時折太腿を撫で回したりしていた。そしてついには秘部にまで到達すると、ゆっくりとそこに指を差し入れたのだ。
突然の異物感に凛花が驚いたものの、既に蕩けきったそこはすんなりと彼の指を受け入れてしまう。そのまま抜き差しされる度に水音が響き渡り、それが余計に羞恥心を煽ったのか、顔を真っ赤に染め上げたまま凛花はぎゅっと目を瞑った。
しかしそんな彼女の反応を楽しむかのように、五条の指の動きはどんどん激しさを増していき、やがて三本の指が挿入されるとバラバラと動かされる。同時に親指で花芯を押し潰される度に電流のような快感が全身を走り抜け、その度に凛花は身体を大きく震わせた。
そしてとうとう限界を迎えたのだろう。一際高い声を上げて果てた後、果ててしまった。
ぐったりとして動けずにいる彼女の耳元で、五条が囁くように、
「ねぇ、可愛い凛花にお願いなんだけど――」
「……え……」
頭がぼんやりして、思考が回らない。ぼうっとしながら五条の方を見ると、五条がそっと、優しげに凛花の頬を撫でて、
「キス、してよ。凛花からキスして欲しい」
「……さとる、さ……ん……」
その言葉に、凛花はそっと五条の首に手を回し、自然と唇を重ねていた。何度か触れるだけのキスをした後、ゆっくりと舌を差し入れる。それに応えるように五条も舌を絡めてきたので、夢中になって貪り合うような深い口付けを交わし続けたのだ。
やがて満足したのか、どちらからともなく唇を離すと銀色の糸を引いたそれがプツンと切れて落ちるのが見えた。
そのまま暫く見つめ合っていたが、段々と意識がはっきりしてきたのだろう。我に返った凛花が、顔を真っ赤にして慌てて身体を起こすと、急いでバスタブから出て行こうとした。だが、それは叶わなかった。何故ならいつの間にか、背後に回っていた五条によって抱き寄せられてしまったからだ。
「さ、悟さ――」
突然の事に驚いたものの、何とか逃れようと試みるも、やはり離してもらえなかった。それどころか、後ろから抱き締められるような体勢になると、再び唇を塞がれてしまう。しかも先程よりも更に激しい口付けに凛花は何も考えられなくなってしまい、ただされるままになっていた。
と、その時だった。不意に下腹部に何か硬いものが当たる感触を覚えて我に返ったのだ。
恐る恐る視線を下に向けると、そこにはいつの間にかバスタブから出ていた彼のモノがあり、それが自分のお尻に押し当てられているという事に気が付いた凛花は、思わず悲鳴を上げた。
しかしそんな反応すらも楽しむかのように、彼は喉の奥で笑い声を上げると、更に腰を押し付けてきたのだ。そして耳元に顔を寄せると囁くようにこう言ったのである。
「凛花。もっと、僕を満たしてくれる?」
「……ぁ……」
その言葉に凛花が小さく声を上げた瞬間、彼はゆっくりと動き始めた。
最初は割れ目をなぞるだけだったのだが、やがて徐々にその動きが激しくなっていく。それに伴い水音も大きくなっていき、バスルームに響く音が大きくなる度に羞恥心が煽られていった。
しかしそれ以上に強い快感を覚えてしまい、無意識のうちに自ら腰を動かしてしまっていた事に気が付いた時、思わず凛花は羞恥で顔を真っ赤に染め上げた。
そんな凛花の様子を見ていた五条だったが、不意に彼女の腕を掴むと引き寄せて立たせたのだ。そしてそのまま壁際へと追いやるなりバスタブの縁に手を付かせ、お尻を突き出すような体勢を取らせると、一気に奥まで貫いたのだ。
「ぁあ……っ!」
その衝撃に、凛花の口から声にならない悲鳴が上がる。しかしそんな事などお構いなしといった様子で抽挿を始めたかと思うと、次第に動きが激しくなっていく。
「ぁ……ぁあ……っ、ゃ……だ、めぇええ……っ、うごか、な……ああ……っ!」
肌同士がぶつかり合う乾いた音がバスルームに響く中、凛花はただひたすらに喘いでいた。もはや理性など欠片も残っていないのか、開いたままの口からは、ひっきりなしに甘い声が漏れ出ていた。
「凛花……っ」
そんな彼女の様子に興奮したのだろうか、五条の動きはさらに激しさを増していき、遂に限界を迎えたのだろう。一際強く腰を打ち付けたかと思うと膣内に熱い飛沫が注ぎ込まれたのだ。同時に凛花もまた達してしまったようで、身体を大きく痙攣させた後にぐったりと脱力した様子で崩れ落ちていった。
だがそれで終わりではなかったようで、ゆっくりと引き抜かれた後は再び挿入されるといった行為を繰り返していたのだが、次第にその動きもどんどん速く激しいものになっていき、やがて再び凛花の中で果てた時にはすっかり力が抜けてしまっていたのだった。
そんな彼女の身体を抱き起こすと、膝の上に乗せた状態でバスタブに浸かり、後ろから抱き締めるような体勢になる。そしてそのまま首筋に顔を埋めて舌を這わせると、耳朶を甘噛みしたり、耳の中に舌を入れたりと弄り始めたのだ。
ぴちゃぴちゃと、直接音が聞こえてくる度に凛花は身体を震わせ、甘い吐息を漏らすものだから、五条は余計に興奮してしまう己を抑えきれなかった。
「凛花……、凛花……っ」
何度も、甘く彼女の名を呼び、触れる。その度に、凛花が可愛らしく反応するものだから、堪らない。凛花の身体を反転させて向き合う体勢になると、そのまま唇を重ねる。最初は触れるだけの口付けだったが、次第に深くなっていき、舌を絡め合うような濃厚なものへと変わっていったのだ。
その間もずっと彼女の胸を揉み続けたりしていた所為か、やがて凛花の息が上がってきたのを感じ取った五条は一旦唇を離すと、にっこりと笑みを浮かべた。そして今度は耳元に顔を寄せると、そっと囁いたのである。
「愛してるよ……凛花」
その言葉に僅かに顔を上げればそこにはいつもの優しい彼の笑顔があり、その表情を見ただけで、子宮の奥がきゅんと疼いたような気がした凛花だったが、同時に身体が熱くなっていった事にも気付き、戸惑ったような表情を浮かべるしかなかった。そんな彼女の様子を知って知らでか、五条は再び唇を重ね合わせると、今度はゆっくりと押し倒したのである。
そしてそのまま彼女の足を割り開くと、すっかり濡れそぼったそこに自分のモノを押し当てるなり一気に貫いたのだ。
「―――ぁっ」
突然訪れた衝撃に一瞬、凛花の目の前が真っ白になった。だがそれもほんの僅かな時間で、次の瞬間には強烈な快感に襲われてしまう。
「……ぁ、ああ……っ、ゃ……ぁあん……っ」
それはまさに嵐のような激しさで、凛花の思考回路は一瞬にして吹き飛んでしまった。もはや何も考えられないと言った様子で、ただひたすら快楽に身を委ねるしかなかったのである。
「さと……ぁあ……っ、は、ぁあ……ン……っ、だ、めぇええ……っ」
もう、自分何を発しているのかすら、凛花には分かっていなかった。ただただ、五条の激しい動きに、言葉にならない声で喘ぐしか出来ない。そして、動かれる度に、子宮がきゅうっと疼いて、どうしていいのか分からなくなるのだ。しかし、そんな彼女を愛おしそうに見つめる五条の瞳は、どこまでも優しくて――その眼差しを見た時、凛花は無意識に五条の背中に腕を回していたのだが、それが合図だったかのように彼は腰の動きを速めたのである。
その動きに合わせてバスタブの水面が激しく波打ち、ぱしゃん!と音を立てている。しかしそれに構う事なく、二人はお互いを求め合うような行為を続けた。そしてついに限界を迎えたのだろう。一際深く突き上げられたかと思うと、熱い飛沫が膣内を満たしていくのを感じた凛花だったが、それと同時に意識を失ってしまったのだった。
それからどのくらい経ったのだろうか。凛花がふと目を覚ますと、外はすっかり日が落ちており、カーテンの隙間から月が見えていた。辺りを見渡すと、いつの間に運ばれたのか、どうやら寝室の様で、ベッドに寝かされていた。
上半身を起こそうとすると、のぼせたのか、ずきりと頭が痛んだ。それはそうだろう、一体バスルームで、どれだけ抱かれ続けたか……。考えただけでも、顔から火が出そうなぐらい恥ずかしかった。
私の馬鹿……。
五条と、バスタブに張られた湯の湯気にあてられて、何だかとんでもない事をしたような気がして、凛花は顔を真っ赤に染めて両手で覆った。でも……。
いつもより、五条が優しかった気がしたのは、気のせいだろうか……? そんな事を考えている時だった。不意に、がちゃっと寝室のドアが開き、トレイにグラスと水差しを持った五条が現れた。
「あ、起きた?」
そう言って、サイドテーブルにトレイを置くと、ベッドに腰かけた。そして、そっと凛花の頬を撫でながら、
「凛花ちゃん、喉平気? 結構声出させちゃったからね、喉乾いてるんじゃない?」
「……ぁ……」
確かに、あんな湯気の立つ場所であれだけ声を上げたのだから、喉はカラカラだった。凛花が思わず水差しの方を見ると、それに気付いた五条が、すっとグラスに水を注いだ。そして……、
「こっち見て、凛花ちゃん」
そう言ったかと思うと、何故か自分の口にグラスの水を含んだのだ。一瞬、凛花が「え?」と思ったのもつかの間、ぐいっと腰を引き寄せられたかと思うと、そのまま唇を重ねられたのである。
驚いて反射的に口を開くと、そこから水が流れ込んできた。だが、ごくりと喉が鳴る度に冷たい水が身体に染み渡っていくようで心地良かった。そうして、何度もその行為を繰り返されたが、結局凛花はされるままになっていた。
そして、ようやく唇が離れたかと思うと今度はぎゅっと抱きしめられた。その温もりが心地よくて思わず身を委ねていると、不意に五条が耳元で囁くように、
「……愛してる」
その言葉にどきっとした凛花だったが、同時に胸の奥底から何か熱いものが湧き上がってくるような感じがした。堪らず、凛花がかぁっと頬を朱に染めると、五条が嬉しそうに笑った。
そして、そのままじっと見つめ合って数秒経った頃だろうか、不意に五条の手が頬に触れて来て、ちゅっと触れるだけのキスをした後、彼は言ったのだ。
「僕が心から愛するのは、凛花だけだよ」
それは甘く蕩ける様な声で、とても優しい響きを含んでいた。まるで砂糖菓子のように甘い囁きだったけれど、同時にどこか切なさを感じさせるものでもあって……。
その声を聞いた途端、胸の奥底から込み上げて来た感情に、凛花は目頭が熱くなるのを感じた。すると、五条がそっと凛花の瞼に口付けを落としてきた。
「泣かないで」
そう言って、今度は目元に何度も触れるだけの口付けをする。それがくすぐったくて思わず身を捩ると、くすくす笑う声が聞こえてきた。しかしそれも束の間で、次の瞬間には深く口付けられる。そしてそのままベッドに押し倒されてしまうと、凛花は観念したように目を閉じたのであった――。
2024.12.21