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◆ 五条悟 「白紙の約束」
(呪術廻戦夢 「深紅の冠 ~鈺神朱冥~」 より)
――12月31日
―――五条悟 所有マンション・夕方
凛花はその日任務を終えた後、そのまま五条のマンションに来ていた。買ってきた食材をダイニングのテーブルに置くと、とりあえず着替えて、髪をまとめ、エプロンをする。というのも、今年の年越しから正月は、2人共休みが重なったので、一緒に過ごす事になったのである。
凛花もそれなりに忙しい身だが、五条程ではない為、比較的休みは取りやすい。なので、いつもは五条の休みに合わせて、ずらす事が多いのだが、今年は運よく五条が正月に休みが取れるというので、そこに合わせたのだ。
でも、これはオフレコである。表立って「休み」を言ってしまうと、五条は京都の本家に“五条家当主”として、顔を出さねばならなくなるからだ。どちらにせよ、三が日のどこかでは挨拶に行かなければならないとは言っていたが、とりあえず、大晦日と元旦はゆっくりしたいらしい。
そこで凛花は、折角なら正月らしい料理を振舞おうと思って、食材を買い込んできたのである。おせちを作ってもいいが、基本は作りたてを食べて欲しくて、一部の作り置き料理以外は、おせちではない物を作る事にした。
五条は甘党なので、栗の甘露煮や、黒大豆、伊達巻などは作っておこうと思い、時間の掛かる黒大豆だけ、昨日自宅のマンションで作っておいた。それを、キッチンの冷蔵庫に仕舞うと、買ってきた食材の仕込みを始める。
そうして、蕎麦と夕食、それに加え正月料理の仕込みを同時進行で、進めている内に時間が経ったのか、気が付けば日も暮れ、夜の20時に差し掛かろうとしていた。
「後は……」
凛花が、冷蔵庫の中身を見ながら、考えていたその時だった。がちゃ……と、部屋の鍵が開く音と、誰かの人の気配がした。どうやら、五条が帰って来たらしい。凛花は軽く手を洗うと、タオルで拭き、ぱたぱたと玄関の方へ向かった。
「お帰りなさい、悟さん」
そう言って出迎えると、五条が凛花の姿を見て、嬉しそうに顔を綻ばせた。そして「凛花ちゃん!」と名を呼んだかと思うと、何故か手を広げられた。一瞬、凛花は五条の意図が分からず、首を傾げてしまう。が……なんとなく、察したのか……。
「あの……その手は……」
「勿論、決まってるでしょ。凛花ちゃんの為のスペースだよ」
「……」
それは、とどのつまり……その腕の中に飛び込め、という事だろうか。そう気付くが、「何故!?」と思ったのは言うまでもなく……。
「えっと、その……普通、逆、では……?」
一般的に、帰って来た側に迎えた側が飛び込むなど聞いたことない。そう思って突っ込んだが、言った瞬間後悔した。まるでその台詞を狙っていたかのように、五条がにやっと笑う。
「あ、じゃぁ、凛花ちゃんがやってくれるんだね!」
「……え」
しまった……と思うが、既に後の祭りである。だが、自分で発言した事を、今更撤回する訳にもいかず、凛花は視線を泳がせた。ちらりと五条の方を見ると、今か今かと、期待に満ちた眼差しでこちらを見ている。
う……っ。
そんな風に見られたら、「嫌です」などと言える筈もなく……。凛花は熱くなる頬に気付かない振りをしながら、おずおずと手を広げた。すると、五条がぱぁっと嬉しそうに笑みを浮かべると、その腕に飛び込むように、抱き締めてきたのだ。そしてそのまま、ちゅ……っと、キスをしてくる。
「ただいま、凛花ちゃん」
「……っ、お、おかえり、な、さい……」
は、恥ずかし過ぎる……っ。そう思って、離れようとしたが、何故か五条が離してくれなかった。流石に焦った凛花が顔を真っ赤にして、
「あ、あの……っ、悟さん……。は、離れて――」
そう言い掛けた時だった。五条が嬉しそうに凛花の首に顔を埋める。そして、身体を預けながら、
「なんか、こういうのいいね。“普通”っぽくて」
「え?」
「任務に疲れて帰宅したらさ、可愛い奥さんがこうやって出迎えて、『おかえり』って言ってくれんの。最高じゃん」
「……」
「早く、凛花ちゃんと毎日こうしたいな」
「……それは……」
囁くように言われたその言葉は、まるでプロポーズのようで――。返事をいつも誤魔化している凛花としては、答えに困ってしまう。だから、返事の代わりに、そっと五条の背中に手を回した。すると、そんな凛花の意図に気付いたのか、五条も嬉しそうに目を細めていたのだった。
***
「あの……」
キッチンで残りの料理をしていた凛花だったが……。何故か、帰って来てからというもの、五条がぴったりくっついて離れなかった。後ろから凛花を抱き締めたまま、
「それ、美味しいそうじゃん。食べたいなー」
などと言って、手伝いという名の“邪魔”をしてくる。凛花としては、危ないので離れて欲しいのだが、少し一緒にいられて嬉しい反面もあり、無下に出来なかったのである。五条もそれが分かってやっているのだから、質が悪い。
凛花は、五条が「食べたい」と言った栗の甘露煮を箸でひとかけら取ると、片手を添えて、後ろから顔を覗かせている五条の口元へ運ぶ。すると、五条が嬉しそうに口を開けて、待っていた。
「もう……」
そのまま彼の口の中へ入れると、五条は美味しそうに食べながら、
「ん~甘いっ、僕好み。流石は、僕の奥さん!」
「……奥さんではありませんよ?」
「え~もう、奥さんでいいじゃん。っていうか、凛花ちゃん以外は僕の奥さんになれないんだからさ。早く一緒に暮らそう? 僕はいつでもウェルカムだよ」
「いや、ですから……」
と、先程からこのやり取りを終始繰り返している。久方ぶりの休みでテンションが高いのか、今日はやたら「結婚」アピールが酷い。はっきり「しません」と言えないのが、痛いところだ。凛花としては、五条の事は好きだし、確かにいずれは……とは思っているが、今直ぐにはまだ決心が付かなくて、うやむやにしてしまっているのは事実で。その点は、申し訳なく思っているのもあり、あまり強く出られないのである。
その時だった。アラームを掛けていたスマホの画面がぱっと光って、アラーム音を鳴らした。時計をみると、丁度0時を回っている。
「……新しい年だね」
「はい」
「今年もよろしくね、僕だけのお嫁さん――」
そう言われるのと同時に、そっと抱き締める手に力が籠められ口付けが降ってくる。凛花は、ゆっくり目を閉じると、静かにそれを受け入れたのだった――。
その日の夜、五条はいつものように凛花を強く求めた。カウントダウンのキスから始まり、熱を帯びたままベッドに沈んで――何度も名前を呼び合いながら、新年を迎えた。
そして、元旦の朝。
カーテン越しの柔らかな朝陽が、乱れたシーツを優しく照らしている。凛花が先に目を覚ますと、五条の腕がまだしっかりと腰に回されていた。昨夜の熱は残ったままなのに、彼の寝顔は驚くほど穏やかで……、そんな“普通”に、少しほっとしてしまう。
そっと彼の頬に触れると、その温かさに思わず笑みが零れた。
「悟さん……今年も、よろしくお願いします」
小さな声でそう囁きながら、額に口付けを落とす。すると、五条の手が凛花の身体をぎゅっと抱き締めてきて、そのまま、身体を反転させられて、気が付けば五条に押し倒される形になっていた。驚いたのは勿論凛花の方で……。しかし、抵抗する間もなく口を塞がれてしまう。
「ン……っ、さと……ぁ……っ」
長い口付けに、呼吸が苦しくなって甘い声を漏らすと、ようやくその唇が離された。だが、少しだけ離すだけですぐまた塞がれてしまい、今度は角度を変えて何度も口付けられる。五条の舌が口腔内に入ってきて、絡め取られた。
何度もキスを繰り返している内に、彼の手が凛花の身体をなぞり始めたかと思うと、その大きな手が素肌を弄る。やがてその手は腰から太腿へと伸びていき、大きく脚を開かされたかと思えば、五条の指が密所を撫でたのだ。その瞬間、びくっと身体を震わせた凛花が慌てて抵抗するように、
「ちょ、ちょっと、待っ……、悟さ……っ。こ、こんな朝から……っ」
そう訴えたのだが、五条は止まらなかった。今度は凛花の手をシーツに押し付けながら、口付けると再び彼の指が動き始めたのだ。そして、ゆっくりと入口を解すように指を動かし始める。
「さ、とる……さ……っ、ぁ、ンン……っ」
それでも、凛花がなんとか抗議しようとすると、今度は耳朶を甘噛みされた。耳の中に舌を差し込まれ、舐め取られると、ぞくっと背筋に甘い痺れが走って、力が抜けてしまう。
「……はっ、朝からオマエが可愛過ぎるから、我慢できない――」
「そ、ん……っ、……は、ぁん……っ!」
いつの間にか、2本の指が凛花の中に入っていて、動く度に水音が聞こえ始めていた。耳を舐められながら、指で中を掻き混ぜるように動かされると、身体の芯が熱くなるような快楽に襲われて、思わず腰を浮かしてしまう。
それでも、カーテンの隙間から差し込む朝日が、今が朝だという事を自覚させ、凛花は必死に抵抗しようと身を捩った。だが、その態度とは裏腹に愛液は溢れ出し、五条の指を濡らしていく。そして更に指でかき回されると、奥からどろりとしたものが溢れてきたのが分かった。
「ぁ……っ」
それは、五条を受け入れているという証拠で――その事実に、凛花が かぁ……っ、頬を朱に染めた。すると五条が嬉しそうに笑った。
「ほら、凛花も“嬉しい”って言ってる――」
そう言って、五条の長い指を濡らしている愛液を凛花の目の前に持ってくると、見せ付けるようにしてそれを舐めたのだ。
「……っ」
それを見た凛花が、真っ赤に顔を染め上げて、視線を逸らそうとした。が――、ぐっと顎を固定されてしまい、それは叶わず……代わりに五条の甘い口付けが降ってくる。まるで凛花に自分の愛液の味を味合わせるかのようなその行為に、恥ずかしくて堪らなかった。だが、そんな凛花の反応を見て、五条はますます気をよくしたのか、何度もキスを繰り返してくる。
そして、ゆっくりと唇を離すと、“もっと欲しい”――。そう目で訴えながら、凛花の脚を更に開かせてきたのだ。
「あ……っ、待っ……ぁあん……っ!」
制止を掛ける間も無く、今度は五条の舌が凛花の密所を愛撫し始めたではないか。しかも、長い指が2本から3本に増やされていく。くちゅくちゅっ、という卑猥な音が部屋の中に響き渡り、凛花は恥ずかしさのあまり唇を噛んだ。それでも身体は正直で、次から次へと快楽を拾っていくのだ。
駄目……っ。朝、な……のに……っ。
そう思うのに、思考力がどんどん低下していく。窓の外から鳥の囀りと、遠くを通過する飛行機の低いエンジン音が、かすかに聞こえてくる。そんな日常音が、遠くから聞こえる所為で、余計にここが2人だけの密室みたいに思えて、それが、今の凛花には背徳感を覚えさせる材料にしかならなかった。
しかし、そんな凛花の思いなどお構いなしに、五条の愛撫は激しさを増すばかりだ。そして遂に、3本の指がバラバラに動き始めると、凛花は堪らず身体を大きく跳ねさせた。それと同時に、彼の舌が凛花の蕾を甘噛みしたのだ。
「あぁ……っ!」
その瞬間、全身に電気が流れたかのような衝撃を感じ、頭が真っ白になってしまう。同時に身体の奥の方から熱いものが溢れ出て、五条の口を満たしていくのを感じた。それをごくん、と飲み干されて、もうそれだけで恥ずかしいのに、彼がまだ足りないと言わんばかりに舌を動かしているではないか。
しかも今度は指だけではなく、舌を使って愛撫し始めたのだ。親指で敏感な花芯を刺激されながら舌で舐め上げられ、時折ちゅ……っと、音を立てて吸い付かれると堪らなく気持ちが良いのだが、それと同時に凛花の瞳から涙が零れ落ちた。だがそれは、痛みによるものではなく、快楽によって昂ぶっていく身体の熱が、涙となって溢れ出してきているのである。
それに気付いた五条がくすっと笑みを浮かべると、更に激しく舌で攻め立ててきたのだ。ちろ……っと舌先で秘芽を転がし、たっぷり唾液を含んだ舌全体で舐め回されると、もうそれだけで達してしまいそうになった。そして次の瞬間、今度は強く吸い上げられてしまい、凛花はとうとう限界を迎えてしまったのである。
びくんっと身体を大きく跳ねさせると、そのままぐったりとシーツに沈み込む。しかしそれでもなお、五条の愛撫は続いたままだった。それどころか、今度は中に挿入されたままの指が動き始めたのだ。ゆっくりと抜き差しされながら中を掻き混ぜられる度に、愛液が溢れて五条の手を濡らしていく。その蜜を潤滑油代わりに、指の動きがどんどん速くなっていった。
ぐちゅっ……ぬちゃっ……と淫らな音が響き渡り、凛花はその音を聞かないように耳を塞ぎたいのに、手を固定されている為にそれが出来ない。せめてもの抵抗でぎゅっと目を閉じていると、耳元に五条の熱い吐息がかかった。そして――。
「は……っ、凛花……っ、もっとその可愛い顔、見せて――」
そう囁かれたかと思うと、耳朶に歯を立てられる。その刺激ですら、今の凛花にとっては快感でしかなかった。そして次の瞬間、五条の唇が耳から離れ、首筋を伝って鎖骨まで下りていったかと思うと、今度は胸の先端へと到達する。そのまま舌先で乳首を転がされながら強く吸い上げられてしまい、凛花は堪らず背中を反らせた。だがそれでもなお、彼の愛撫は止まらなかったのだ。
そして限界を迎えた凛花は、身体を大きく震わせると絶頂を迎えたのである。刹那、今までとは比べ物にならない程の量の愛液が溢れ出し、五条の手をびしょびしょに濡らしてしまう。しかしそれでもなお、彼の愛撫は終わらなかった。
それどころか、今度は舌先で丹念に乳輪を舐めた後、胸全体を口に含むようにして吸い上げ始めたのである。その度にぞくぞくとした快感が全身を駆け巡り、再び凛花の身体から力が抜けていったのだった。
「はぁ……っ、ぁ……、さとる、さ……っ」
「凛花……っ、凛花の中――良すぎでしょ……っ。早く、入りたい……っ」
そう言いながらも彼の長い指はまだ3本も中に入ったままであり、ゆっくりと抜き差しを繰り返していた。そして時折良いところを掠めていくものだから堪らない。
「……っ、は……い……」
既に息も絶え絶えになりながら返事をすると、ようやく五条の指が引き抜かれていったのだ。その刺激にも反応してしまいそうになるが何とか堪えると、今度は代わりに熱いモノを押し当てられたのが分かった。そして、そのまま一気に貫かれたのである。
「……っ!」
その瞬間、凛花は声にならない悲鳴を上げた。だがそれも束の間、激しい抽挿が開始されてしまい、凛花の唇からは甘い吐息が零れ始める。何度も奥を突かれる度、子宮口をノックされて頭が真っ白になった。その度に愛液が飛び散り、シーツを濡らしていく。しかしそれでもなお五条の腰の動きが止まる事は無く、寧ろ激しさを増していったのだ。
「あ……っ! あ、ああ……ゃ、ぁ、ン……っ、は、ぁ……っ、あ、ああ……っ!」
絶頂が近付きつつあるのか、膣内が激しく痙攣しているのが分かる。五条の剛直をぎゅうぎゅうと締め付けていき、まるで搾り取ろうとしているかのようだ。そんな凛花の反応を見て、五条の方も限界を迎えつつあったようで、そして遂にその時が訪れると、彼は一際強く腰を打ち付けた後、そのまま熱い飛沫を放ったのである。その瞬間、凛花は背中を大きくしならせながら絶頂を迎えたのだった。同時に下腹部に温かいものが広がっていく感覚を覚え、びくんっと身体を跳ねさせる。
しかし、それで終わりではなかった。射精したにも関わらず、五条のモノは萎える事無く硬度を保ったままだったのだ。再びゆるゆると動き始めると、今度は凛花の身体をうつ伏せにして、後ろから攻め立て始めたのである。
先程とは違う角度で中を掻き混ぜられていく感覚に、思わずシーツをぎゅっと掴んだのだが、そんな抵抗も虚しく五条に腰を掴まれるとそのまま激しく揺さぶられてしまった。そして同時に胸の先端を強く摘まれてしまい、その刺激によって膣内が収縮し五条の剛直を締め付けたものだから堪らない。
「あぁ、ん……っ! さと……っ、は、ぁ……っ、ゃ……っ、だ、めぇぇえ……っ!」
凛花が堪らずぎゅっとシーツを握る手に力を籠めると、優しくその手を解かれてしまった。そしてそのまま両手を絡め取られると、上体を持ち上げられて激しく身体を揺さぶられる。まるで獣の交尾のような体勢に羞恥心を煽られたが、それ以上に与えられる快楽の方が強かったのだ。
「凛花……っ」
五条に名前を呼ばれるだけで、子宮がきゅんっと疼いてしまい、膣内に入っている剛直を締め付けてしまう。その度に彼の形をありありと感じてしまって、余計に興奮してしまった。そして次の瞬間、一際強く奥を突き上げられたかと思うと、熱い飛沫が注ぎ込まれていき、その感覚に凛花もまた絶頂を迎えたのだった。
暫くの間余韻に浸っていたのだが、ふと我に帰ると目の前に鏡があり、そこに写る自分の姿にぎょっとした。なんと自分は今、仰向けになっており、しかも両脚を大きく開脚しているではないか。しかも秘処からは大量の白濁が流れ出ている。
恥ずかしさの余り、顔を真っ赤にして慌てて足を閉じようとすると、その前に五条に両脚を掴まれてしまった。そしてそのまま左右に大きく割り開かれてしまう。
「悟さ……っ、待っ――ああ……っ!」
制止を掛ける事も出来ず、今度は正面から挿入されていき、再び抽挿が始まったのだ。先程出されたばかりの精液が潤滑油代わりになっている為か、滑りが良くなっているようだ。その為か、より深くまで入り込んできて子宮口を押し潰すように突かれる度、目の前が真っ白になってしまう程の快感に襲われてしまい、もう何も考えられなくなってしまう。
しかしそれでもなお、五条の動きが止まる事は無く、それどころかどんどん激しさを増していったのだ。
「愛してるよ、凛花……っ。オマエだけが……はっ、僕を満たして……くれ、る……っ」
彼の甘い声が耳に届く。それが余計に興奮材料になってしまうのか、その証拠に凛花の口から漏れる声は、どんどん甘く蕩けきっていった。
そして遂にその時が訪れると、五条の動きが一層激しくなり、同時に熱い飛沫が放たれたのである。その熱を感じながら、凛花もまた絶頂を迎えてしまったのだった。しかしそれでもまだ終わりではなかったようで、再び抽挿が開始されると、今度は対面座位の形を取らされたのだ。
自重によってより深くまで剛直を飲み込み、子宮口を押し潰さんばかりの勢いで突き上げられたものだから堪らない。あまりの激しさに耐え切れず、凛花は五条の背中に爪を立てながら絶頂を迎えたのだった――。
「ねぇ、凛花……」
そっと抱き寄せられ、囁かれる。その声音はとても優しく、まるで砂糖菓子のように甘い響きを伴っていた。しかしその一方で、凛花の脳裏には先程の情事の様子が過ぎってしまい、恥ずかしさのあまり頬を赤らめていた。
そんな様子の彼女が可愛くて仕方ないといった風に、五条はくすっと笑みを浮かべる。
カーテンの隙間から射す光が、二人を包んでいる。特別なことは何もない。ただ、それが妙に心地よかった。
「凛花」
「はい?」
呼ばれて顔を上げると、五条は珍しく少しだけ真面目な表情をしていた。
「今年さ」
一瞬、胸がきゅっと縮む。
――また、その話だろうか。そう思った凛花は、言葉を待つ姿勢のまま、身構えた。
「今年も、一緒に年越ししよ」
「……それ、去年も言ってませんでした?」
「言ったね」
悪びれもせず、くすっと笑う。
「でも、できたでしょ。だから今年も」
「それは……」
「来年の話はしない。約束もしない」
そう前置きしてから、五条は凛花の髪を指先で梳いた。
「ただ、“今年”を一緒に過ごすだけ。それなら、逃げ道あるでしょ?」
「……っ」
ずるい。そう思いながらも、凛花は否定の言葉を探せなかった。
「……本当に、ずるいです」
「知ってる」
満足そうに笑って、五条は凛花を再び胸に抱き寄せる。
「でさ。三が日のどこかで本家に顔出すけど」
「……はい?」
「昼くらいで終わるからさ。夜は戻ってきてからご飯食べよ」
「え……? あ、あの……ちょっと待ってください。それは……」
「来ない前提で話してないから」
さらりと言われて、言葉に詰まる。
「な、何も決まっていませんよ……?」
「うん。決まってない」
そのまま、凛花の額に軽く口付けて、
「だから、一緒に考えよ。“僕達の帰る場所”の話」
それ以上は、何も言われなかった。けれど凛花は、その言葉が胸の奥に静かに沈んでいくのを感じていた。
否定もしない。
肯定もしない。
ただ、腕の中に留まったまま――。
***
五条悟は、凛花の寝顔を見下ろしながら、内心で小さく息を吐いた。
……大丈夫。
急がせない。
追い詰めない。
逃げ道は、ちゃんと用意してある。
でも。
今年も一緒にいれば、それで十分……。
一年あればいい。普通の朝を、何度も重ねられれば。そうすればきっと、彼女の方から「逃げ道」を手放す日が来る。
それを確信しながら、五条はそっと凛花の肩を抱き寄せた。
――新しい年は、もう始まっている。
2026.02.12

