花薄雪ノ抄
     ~月来香編~

 

◆ 鶴丸国永&燭台切光忠  

 「泡沫の夢」(改定版)

    (「華ノ嘔戀 外界ノ章 竜胆譚」 より)

 

 

どうしてこんなことになったのだろうか……。

目の前には自分を壁際に追い込んだように立っている男が二人――……。

 

「あ、あの……っ」

 

どうしていいのか分からず、沙紀が困惑気味に視線を落とす。

 

「沙紀……」

 

「沙紀くん……」

 

二人から名を呼ばれ、沙紀がぴくりと肩を震わせた。

それを肯定と取ったのか、ふいにその内の一人――鶴丸国永がそっと沙紀の頬に触れた。

 

「沙紀……いいのか?」

 

そう優しく問われ、一瞬沙紀が顔を上げて彼を見る。その躑躅色の瞳には〝困惑〟の色が出ていた。

だが、そんな沙紀も可愛く見えたのか――……鶴丸はくすっと笑みを浮かべると、そのままくいっと彼女の顎に手を添えて……

 

「り、りんさ……」

 

鶴丸が、微かにその口元に笑みを浮かべる。

 

「どうしてあんな事言ったんだ?」

 

あんな事……?

何のことを指しているのか分からず、沙紀が困惑した様に首を傾げる。

 

「……どうやら、〝分かっていない〟様だな……」

 

そう言われた瞬間、そのまま顎を持ち上げたかと思うと、そのまま唇を塞がれた。

 

「んん……っ、り、りんさ……ぁ……」

 

突然の口付けに、沙紀が困惑する。

 

「沙紀……」甘く名を呼ばれて、どうしていいのか分からなくなっていく。

 

「待っ……、しょ、燭台切さ、ん、が……」

 

見ているのに――……

 

そうなのだ。鶴丸とのこのやり取りを、直ぐそばで燭台切光忠が見ていた。微かに笑みを浮かべて。

なんとか、鶴丸の手から逃れようとするが……口を開けた瞬間、更に深く口付けされる。

 

「ン、ぁ……、ま、待っ……」

 

「待たない」

 

そう言って、鶴丸の手が沙紀の腰に回された。

と、その時だった。それまで傍観していた燭台切が不意に、手を伸ばしてきたかと思うと、

 

「鶴さん、ばっかりずるいじゃないか……僕にも少しぐらいさせてよ」

 

そう言ったかともうと、鶴丸とは反対側の腰に手を回された。ぎょっとしたのは、沙紀だ。

 

「あ、あの……っ、ンン……だ、だめ、ぁ……」

 

ぴくんっと沙紀の肩が揺れた。燭台切が身体を寄せてきたかと思うと、そのまま沙紀の首元に唇を落としたからだ。

 

「ねぇ、沙紀くん……僕の気持ち、知ってるよね……?」

 

燭台切そう囁かれて、沙紀が知らずかぁ……と、頬が赤くなっていくのを感じた。

 

「し、しりま、せ……ン……」

 

「知らない――」と、答えようとした瞬間、今度は鶴丸の口付けが更に深くなった。

 

「沙紀―――こっちを見ろ」

 

そう言って、鶴丸が何度も唇を重ねてくる。

 

「沙紀くん、僕を見てよ……」

 

それとは、反対に燭台切の声が頭に響いてくる。もう、思考が麻痺したかの様に頭がくらくらしてきていた。

息をするのも苦しくて、沙紀が立っていられなくなったのか、膝ががくっと折れそうになった瞬間――双方から手が伸びてきた。

 

「沙紀、無理するなよ……」

 

「そうだよ、もっと身体を楽にして」

 

そんな、事言われても――。

こんな状況でリラックス出来る程、沙紀は強くはなかった。

 

「ねぇ、沙紀くん。僕にも君を味合わせてよ……」

 

やっと鶴丸から解放されたと思った瞬間、そう言われて今度は燭台切の手が伸びてきたかと思うと、

そのまま優しく手を後ろから回されて唇を重ねられた。

 

「ンン……ぁ……、ま、待っ……」

 

まさかの、燭台切からの口付けに沙紀が抵抗しようと手で押すが、沙紀の力でびくともする訳もなく――。

 

「……沙紀くん……、ずっと君に触れたかったんだ……」

 

そう言って、燭台切が優しく髪を撫でながら沙紀に触れてきた。

 

「あ……ン、っ……は、ぁ……」

 

鶴丸の時とは違った感覚が、沙紀の頭を支配するかの様な錯覚に捕らわれる。

角度を変えて、貪られるように何度もされる口付けに思考が麻痺していく。

その時だった。

 

「あッ……」

 

ぴくんっと沙紀の肩が揺れた。

いつの間にか着物の帯に手を掛けていたのか、鶴丸が沙紀の首元に唇を寄せたまま彼女の腰紐に手を掛けていたのだ。

 

「あ、だ、だめっ……!」

 

流石に、身の危険を感じた沙紀が慌てて鶴丸の手を抑えようとするが――それは、鶴丸の予想の範疇だったのか、

 

「馬鹿だなぁ、沙紀……そんな風にされても、煽られてる様にしか見えないから――」

 

そう言って、しゅるっとそのまま腰紐が解かれる。はらりと、はだけた着物の隙間から、白い四肢が見えた瞬間、するっと鶴丸の手が沙紀の柔肌に触れてきた。

 

「んん……っ」

 

直に触れられて、沙紀がぴくんっと反応する。

 

「沙紀は、ここが弱いんだよな……」

 

そう言うと、そのまま胸の突起を指先で触れて、もう片方の手で脇腹に触れると、その感触を楽しむかのようにゆっくりとなぞっていく。

 

「あ、ン……っ」

 

ぞくぞくとした感覚に、沙紀が思わず身を捩った。

すると――それを待っていたのか、それに合わせて燭台切が再び口付けしてきた。

今度は、逃さないと言わんばかりに沙紀の後頭部を手で押さえると、そのまま深く口付ける。

ちゅっ……、と音がして二人の唇が離れた時には、沙紀の顔はすっかり蕩けきっていた。

 

「ぁ……っ、は、ぁ……」

 

とろんとしたその躑躅色の瞳が鶴丸と燭台切を見る。その瞳を見ているだけで、ぞくぞくしたものが二人を襲った。

 

欲しい―――と。

彼女が欲しいと、心の中に何かが囁く。

 

「沙紀……」

 

鶴丸が甘くその名を呼ぶと、沙紀がぴくんっと肩を揺らした。だが、まだ理性が残っているのか、彼女は首を左右に振り

 

「だ、駄目です……。これ以上、は……」

 

何とか声をそう絞り出す。

このままでは、気がおかしくなってしまいそうだ。

その時だった、ふいに耳元に燭台切が唇を寄せてきて、

 

「大丈夫だよ―――……もっと、身を委ねて――」

 

そう囁いたかと思うと、そのままするっと首筋に舌を這わされた。

 

同時に、それまで後頭部を押さえていた手がそっと下に降りていき、そのまま鶴丸とは違う手つきで、沙紀の双丘へと移動していった。

そして、優しく包み込むように揉みしだいていく。

 

「あっ……ンンっ……、は、ぁ……ああ……っ」

 

すると、まるで燭台切の動きに合わせるかのように、鶴丸ももう片方の双丘の頂を口に含むと、優しく吸い付いたり甘噛みしたりし始めた。

 

「あ、ンン……ぁん、はぁ……あ……っ」

 

途端に、沙紀の口から甘い吐息が漏れ始める。

それに気をよくしたのか、燭台切の手が更に大胆に動き始めた。

優しく撫でるように愛撫していたかと思うと、今度はぐいっと上へ押し上げてくる。

 

「んんっ、……ぁ……ああ……っ」

 

その刺激で、沙紀の身体がびくんっと跳ねた。すると、鶴丸がその舌で転がしていた頂を強く吸った。

 

「ンン……っ」

 

その反応を見て、鶴丸が舌で転がしながら、その長い手で、沙紀のふくよかな胸を揉みしだいていく。

途端に、今まで感じたことのない快感が沙紀を襲った。双方から来る違う快楽に、気がおかしくなりそうだった。

 

「あ、あンン……っ、こ、こんな、こ、と……だめぇ……」

 

身体の奥底から、熱が込み上げてくるような感覚に襲われ、沙紀はぎゅうと目を瞑った。

どうして、こんなことになったのだろうか――……

 

もう、何も考えられない程思考が麻痺していた。

こんな、こと……いけないのに―――……

そう思うのに、沙紀の身体は正直に反応を示し始めていた。

だめ、な、のに――……

 

そう思っているのに、二人の手は止まらない。それどころか、益々激しくなっていく。

鶴丸は執拗に胸の突起を攻めたて、反対の胸は燭台切の口内で弄ばれている。

それだけでも、どうにかなってしまいそうなのに、沙紀の一番敏感な場所まで、二人が触れてきた。

 

沙紀のそこは、既に濡れており、下着越しからも分かる程になっていたのだ。

 

「…………っ」

 

恥ずかしさに、沙紀が思わず脚を閉じようとするが、それを阻むかの様に鶴丸が膝を入れてきた。

そして、そのままぐりっと秘所を擦られたかと思うと、今度は胸の突起を摘ままれた。

 

その瞬間―――びくんっと沙紀の身体が大きく揺れた。

 

「あっ……!」

 

その様子に気づいたのか、鶴丸が笑みを浮かべる。そしてそのまま指先で捏ねくり回されると、

 

「あ、ああっ……ンン!!」

 

沙紀は堪らず声を上げた。

 

駄目っ、このまま、じゃ―――……!

 

そう思った瞬間、沙紀の視界が真っ白になった。それは、初めての絶頂だった。

 

「あ……、はぁ、はぁ、……っ、ぁ……」

 

荒い呼吸を繰り返しながら、沙紀はその場で壁により掛かりながらずるずると、座り込んだ。

その様子を見て、燭台切が沙紀の頬に触れる。とろんとした瞳が燭台切を見た。

 

すると、燭台切は沙紀の髪を優しく撫でると、ちゅっと触れるだけの口付けをしてきた。

まるで、それが合図となったの……鶴丸も同じように沙紀の唇に自分の唇を重ねていく。

 

何度も何度も二人からの口付けが交互に触れてくる。角度を変え、舌を合わせ、唾液を絡め合う。それに応える様に、沙紀も無意識に舌を絡ませていった。

 

「んっ、……ぁ、はぁ、ンン……っ」

 

部屋の中に、口付けを交わす音だけが響き渡る。

 

もっと―――……

 

その言葉が脳裏に浮かんだ瞬間、沙紀の中で何かがぷつんっと切れた音がした――気がした。

そして、そのまま鶴丸の首に腕を回し自ら唇を重ねる。鶴丸もそれに応える様に、沙紀を優しく抱きしめた。

 

「りん、さ……っ、ンン……ぁ、はぁ……」

 

徐々に激しくなっていく鶴丸の口付けに沙紀が応えるように自らも舌を絡めて行く。

お互いの舌を貪るかの如く絡み合い、吸い付く。

ぴちゃぴちゃと音をさせながら夢中で舌を絡ませると、鶴丸の手が沙紀の着物の中へと入り込んできた。

 

その手は、彼女の太腿を厭らしく這っていき、そして――そのままゆっくりと秘所に伸びていく。

すると、鶴丸の指先が秘所の割れ目にそっと触れたかと思うと、そのままなぞる様に上がって来た。

 

「あっ……ぁ、ああ、そ、こは――だ、めぇえ……っ」

 

くちゅっと、湿った音がして、沙紀がぴくんと身体を揺らす。

すると、燭台切も再び沙紀の耳元に顔を寄せたかと思うと、そっと舌を差し入れてきた。

 

「ぁ、ああ……っ、は、や、んん」

 

耳の穴にまで舌を入れられ、ぐちょぐちょと舐められてしまえば、沙紀の口からは甘い吐息しか出てこなかった。

同時に、鶴丸の指が更に奥の方へ侵入してくると、沙紀はびくんっと身体を大きく跳ねさせた。

 

「はっ、ぁンン……だめ……、だ、めえええ」

 

すると、そんな彼女を宥めるかのように、燭台切が頭を優しく撫でてくる。

そして、そのまま沙紀の胸を鷲掴みにして揉みしだいていく。

胸を揉まれ、頂きを摘ままれれば、沙紀の口からは再び甘い吐息が漏れ始めた。

 

「ああ、ンン……っ、ぁ、はぁ……」

 

それと同時に、鶴丸の指が沙紀の秘所をかき回すように動き始めた。次第に水音が激しくなっていき、それに比例して沙紀の喘ぎも大きくなっていった。

 

駄目っ、また……っ!!

 

そう思った瞬間、沙紀の目の前が再び真っ白に染まった。

だが、それでも二人の手は止まらない。むしろ、余計に激しさを増していく。

 

駄目なのに―――……

 

そう思いながらも、心が付いてこない。意識が持っていかれる――。

鶴丸は執拗に胸の突起を攻めたて、反対の胸は燭台切の口内で弄ばれている。

それだけでも、どうにかなってしまいそうなのに、沙紀の一番敏感な場所まで、二人が触れてきた。

 

沙紀のそこは既に濡れており、鶴丸の先ほどの行為で下着越しからも分かる程になっていたのだ。

それを見て、鶴丸は笑みを浮かべると、今度は下着越しからぐりっと秘所を擦りつけてきた。

 

「んん―――っ!! ぁ、ああっ!!」

 

その刺激で、沙紀の身体が大きく揺れた。

 

駄目っ、このままじゃ―――! そう思うのに、鶴丸の手の動きは激しくなる一方で、沙紀の身体は正直に反応してしまう。

 

「――――っ!!」

 

心の中で必死に駄目だと自分に言い聞かす。なのに、それなのに、どうしても彼の仕草に反応してしまう。

その時だった、沙紀が絶頂を迎えようとした時、突然鶴丸の指が秘所から離れてしまったのだ。

 

「…………?」

 

突然離された手に、ほっとしつつも、虚無感を感じている自分に気付いてしまった。

期待していたわけじゃないのに、やめて欲しいと、駄目だと自分に言いきかせていたのに、それなのに私私―――……。

 

きっと表情に現れていたのだろう。それを見た鶴丸がくすっと笑みを浮かべながら、

 

「安心しろ、沙紀。 もっと、気持ちよくしてやるから―――」

 

「え……?」

 

沙紀は一瞬何を言われているのか、理解出来なかった。すると、すぐそばで、沙紀の胸を貪っていた燭台切もにっこりと微笑みながら、

 

「安心していいよ、沙紀くん。もっと君を楽しませてあげるよ」

 

そう言うと、燭台切が、そっと沙紀の前に屈んでくる。

そして、そのまま彼女の足を掴むとと大きく広げさせてきた。すると、必然的に露になった秘所を燭台切と鶴丸に見られる形になってしまったのだ。

 

「…………っ、ぁ……」

 

その事に羞恥心が勝ったのか、慌てて沙紀が脚を閉じようとするが、燭台切ががっちり掴んでいて、それもままならない。

すると、鶴丸の顔が秘所の下へと下がっていったかと思うと、沙紀の蜜壺をぺろりと舐めたのだ。

 

「あぁ……っ!」

 

途端に、今まで感じたことのない快感が沙紀を襲った。そのまま舌先で割れ目をなぞられる度に、ぴちゃぴちゃと音がする。

恥ずかしいのに、何故かそれが堪らなく気持ち良くて、沙紀が、甘い声を上げるのに時間はかからなかった。

 

「ふ、ぁ……ンンっ……あ、ああ……やぁあ……っ」

 

「言ったろ? もっと、気持ちよくしてやるって」

 

鶴丸がそう言うと、ふっと口角を上げながら、舌を這わせる速度を早めていく。

同時に、燭台切の指先がゆっくりと割れ目に沿ってなぞってきた。

 

まさかの、二人からの行為に、沙紀はもう限界だった。そして、その瞬間は唐突に訪れた。

沙紀が二度目の絶頂を迎えたと同時に、燭台切と鶴丸の指が秘所に入ってきたのだ。

 

「ああっ……! は、ぁ……っ、ンンっ、……ぁ……」

 

燭台切は一本だけだったが、鶴丸は二本も入れてきたのだ。そして、その状態で指をばらばらと動かされてしまえば、沙紀にはどうすることも出来ない。

指先が動く度、くちゅくちゅという音が響く。そして、ある一点を掠められた瞬間、沙紀が一段と大きな声で鳴いた。

 

「は、ぁ……ああんっ!!」

 

それを見逃さなかった燭台切が、その場所を重点的に攻めたてて

 

「だ、めぇ……っ、そ、そこ、は――っ!!」

 

沙紀が首を横に振るが、燭台切は止めてくれない。それどころか、更に激しく動かしてくる始末だ。

しかも、その刺激は鶴丸にも伝わっているらしく、彼もまた同じ場所を攻めてくる。

 

同時に同じ場所を刺激してくるものだから、沙紀はもう我慢の限界だった。

 

駄目っ、また……っ!!

 

そう思った瞬間、沙紀はまた絶頂を迎えてしまった。それを見て、燭台切と鶴丸が笑みを浮かべる。

 

そんな二人の表情を見て、沙紀はぞくっと背筋が凍るような感覚を覚えた。

―――だが、それは恐怖ではなく快楽によるものだった。

 

 

 

その後、何度も絶頂を迎えさせられた沙紀の身体はもう限界だった。

 

シーツの様に広がった白衣の上に寝かされたまま、沙紀は肩で息をしながら、その瞳は虚ろだった。

あれから、何回も達してしまったせいで、沙紀の秘所からは、愛液が流れ出ており、太腿にまで伝っているほどだった。

だが、それでも二人の手はまだ止まらない。

 

鶴丸は相変わらず秘所を舐めてきていて、燭台切は胸を揉んだり、頂きを摘まんでいる。

それだけでも十分な刺激なのに、時折二人が耳元で甘い言葉を囁いてきて、その度に沙紀の身体は敏感に反応してしまう。

 

そして、一番の問題は、二人が一向に自分のモノに触れようとしないことなのだ

 

鶴丸は、執拗に秘所を責めたて、燭台切は胸を弄ってくるだけ。

その事だけでも、沙紀にとっては辛いのに、二人は焦らすように触ってきているのだ。

お願いだから、早く―――……。

 

こんなこと思うなんてどうかしていると思う。

でも、身体が疼いて仕方がないのだ。このままでは、自分がどうにかなってしまいそうで―――……

 

そう思いながらも、羞恥心から口に出せない自分がいて、沙紀は自分の情けなさに涙が出そうになった。

 

意識がくらくらしてきて、視界が朧げになる

最早、誰に何をされているのかすら、判断できない。

 

わた、し……このままじゃ――……

 

何度も何度も意識が飛びそうになるのに、その都度、二人からの違う刺激が、沙紀の意識を覚醒させる。

 

いっその事このまま、気を失えたらどんなに楽だろうか。

そう思ってしまうも、鶴丸も燭台切も止めてはくれなかった。

 

その時だった。

突然、鶴丸の手の動きが止まったかと思ったら、彼はそのまま沙紀の目の前にきたのだ。そして、そのまま沙紀の唇を奪うと、舌を絡めてきた。

 

「ふ、ぁ……ンンっ、ぁ……りん、さ……」

 

まるで恋人同士がするような濃厚なものに、沙紀は一瞬戸惑うもすぐに思考が停止してしまう。

その間も、鶴丸の口付けは激しさを増していき、それと同時に、彼の手が沙紀の胸を優しく包み込んできた。

そして、そのままゆっくりと揉みほぐす様に動き始めたのだ。

胸への刺激に、沙紀の口から吐息が漏れるも

 

「あ……、はぁ……っ、ンン……、ぁ……」

 

先ほどまでの荒々しいものではなく、とても優しいものに、沙紀は抵抗することなく受け入れていた。

 

すると、鶴丸のもう片方の腕が沙紀の腰へと伸びてくると、ゆっくりとお尻の方へと滑らせていく。

 

そして、割れ目をなぞるように指を動かすと、今度は後ろの穴へと触れてきた。

そこは、決して何かを受け入れるような場所ではない。

なのに、何故か鶴丸の指が触れると、沙紀の身体がびくんっと反応した。

 

「んっ、ああ……っ、はぁ、ぁ……」

 

その事に、沙紀自身が驚いていると、鶴丸がゆっくりと指を押し進めてきた。

 

最初は一本だけだったが、次第に指が増えていって、気がつけば三本もの指を飲み込んでいた。

そして、バラバラに動かされた指がある一点を掠めた瞬間、沙紀の身体が大きく跳ね上がった。

 

「ああっ――ンっ、は、ぁ……、ああ……っ」

 

すると、その瞬間を狙っていたかのように、鶴丸の指が激しく出し入れを始めたのだ。

 

今まで感じたことの無い快感が、沙紀を襲った。指が動く度に、そこからは水音が響き渡る。

そんな沙紀を見て、鶴丸は満足そうな笑みを浮かべると、彼女の耳元でこう囁いた。

 

「もっと気持ちよくなりたいだろ?」 と―――……

 

すると、それまで沙紀の胸を愛撫していた燭台切も耳元に唇を寄せて

 

「大丈夫、僕達にその身を委ねて―――」

 

その言葉を聞いた瞬間、沙紀の中で理性が飛んだ音が聞こえた気がした。

 

 

もう、何も考えられない。

 

 

   早くこの疼きを止めて欲しい―――……。

 

 

そんな想いだけが、今の沙紀を支配していた。

 

「沙紀、こんなに濡れてる……感じてくれてるんだな」

 

そう言って、鶴丸が嬉しそうに指に絡め捕られたそれを舐めた。

 

「……っ、り、んさ……」

 

つぅ―――……と、知らず、沙紀の躑躅色の瞳から涙がこぼれた。

そっと、その涙を燭台切がその口で拭う。

 

「泣かないで、沙紀くん。 僕は君に泣かれたくないんだ」

 

違う。

そうじゃない、と言いたいのに、言葉が出ない。

 

泣きたい訳じゃない。

私が言いたいのは―――……。

 

そう思うも、上手く言えない自分に腹立たしく思っていると、不意に鶴丸が沙紀の額に口づけを落とした。

それはまるで子供をあやすかの様な行為で それが、不思議と心地良くて。

 

「どう……し、て……」

 

どうして、こんなにも安心するのだろう。何故だか分からないけど、凄く落ち着くのだ。

そして、その事が無性に悔しくて、沙紀は思わず泣いてしまった。

 

鶴丸は、沙紀の頭を優しく撫でながら、燭台切に視線を向けると、こくりと小さく首を縦に振った。

それを見て、燭台切も鶴丸の意図を理解したのか、そのまま沙紀をベッドの上に寝かせると、自分のネクタイに手をかけた。

しゅるっという音と共に解かれたそれは、燭台切によって放り投げられ、その下からは鍛え上げられた肉体が現れた。

 

沙紀はその光景をぼんやりと見つめていたが、その熱を帯びた金色の瞳に魅入っているうちに、いつの間にか彼の顔が自分の真上にあった。

 

「…………っ、燭台切さ……」

 

そこで初めて、沙紀は自分が押し倒されていることに気が付いた。

だが、それに気づいた時には既に遅く、沙紀は燭台切に組み敷かれてしまっていて、逃げようにもその両腕を掴まれてしまっているため、動けない状態だった。

 

その事実に焦りを感じつつも、何とか抜け出そうと試みるも、やはり力が入らない状態では難しいようで、燭台切もそんな沙紀の様子に気付いたようだった。

彼は困ったような表情を浮かべると、一度腕の拘束を解き、そして、今度はその両手を頭の上で一つに纏め上げた。

 

「なん……っ」

 

突然の行動に驚く沙紀だったが、次の瞬間には、彼女が、辛うじて、身に付けていた襦袢をそのまま左右に開かれた。それにより、沙紀の豊満な乳房が露わになる。

 

恥ずかしさのあまり、沙紀の顔がみるみると赤く染まっていくも、燭台切は気にすることなく、そのまま手を滑らせるようにして胸に触れた。

そして、そのまま優しく揉みほぐし始めたのだ。

 

「……っぁ、はぁ……、燭台、切さ……っ」

 

最初はゆっくりとした動きだったのだが、徐々に激しくなっていき、それと同時に頂きを摘ままれてしまい、沙紀の口から甘い声が漏れた。

そして、燭台切は空いている方の胸に吸い付くと、舌で転がす様にして刺激を与えてきた。

 

二つの異なる刺激が、沙紀の身体に快感をもたらしていく。その事に、沙紀は戸惑いながらも必死に耐えようとしていた。

しかし、それも長くは続かなかった。

 

鶴丸が再び秘所へと手を伸ばしてきたからだ。そして、彼の指がそこに触れると同時に、今までは比べ物にならない程の刺激が身体中を走り抜けた。

 

「あ、ああ――っ」

 

それだけでも、沙紀にとっては辛いものだったのに、更に鶴丸の指の動きが激しくなったことで、沙紀の身体が大きく跳ね上がった。

そして、その度に水音が部屋中に響き渡り、聴覚までも犯されていく。

 

 

何度も繰り返される行為に、沙紀は次第に限界が近づいてくるのを感じていた。

だけど、この感覚が一体何なのか分からなくて、怖いと思う反面、このまま流されてもいいと思っている自分もいて。

沙紀がそんな事を考えている間に、鶴丸の手が沙紀の下半身へと伸びていき、そのまま一気に下着ごとと脱がされた。

 

「りんさ……っ」

 

突然の出来事に、驚きの表情を浮かべる沙紀だったが、鶴丸はそんな事はお構いなしに、彼女の両足を大きく広げた。

 

「あ……っ、や! だ、だめぇっ」

 

抵抗も虚しく、そこはもうすっかり濡れそぼっており、鶴丸を誘うかのようにひくついていた。

 

「沙紀―――」

 

 鶴丸に甘く名を呼ばれ、沙紀がぴくんっと反応するが、沙紀の胸を貪っていた燭台切が自身の唇をぺろっと舐めると、

 

「鶴さん、そろそろ沙紀くんも、僕達が欲しいと思うんだ。 ―――僕も、そろそろ限界だしね」

 

燭台切の言葉に納得する様に、鶴丸が小さな声で囁く様に、

 

「沙紀――、いいか?」

 

「…………え?」

 

一瞬、何を……? と思った瞬間―――ずくんっとお腹のあたりに違和感を感じた

 

「ああっ!」

 

今まで感じた事のないぐらいの圧迫感に、一瞬、意識が飛びそうになった。

息苦しさを覚えていると、いつの間にか燭台切が沙紀の腰を掴み、自身を押し進めてきていて、沙紀は慌てて制止しようとした。

だが、それは叶わず、代わりに鶴丸が沙紀の中に入ってきたのだ。

 

「あ、ああ……っ、ン、あ、や……ん、っ……」

 

下腹部が熱い。〝痛い〟とは異なる、別の感覚が沙紀を支配していった。

 

「沙紀……っ、絞めすぎだ、力、抜け」

 

鶴丸のそれが自分の中に入ってくるその感覚に、それとはもっと別の〝何か〟が沙紀を絡めとろうとしていた。

 

「や、だめ……りん、さ―――ぬい、てえ……っ」

 

やっとの思いで、その言葉を発したが。

 

「大丈夫だから、沙紀……力、抜け……っ」

 

「大丈夫だよ、沙紀くん。 僕たちに任せて……」

 

そう言って、燭台切が再び口付けをしてきた。

 

「沙紀くん、僕を見て……」

 

そう言って、燭台切が舌を絡めてくる。

 

「ン、ふ……ぁ……、燭台、切さ……」

 

絡まってくる舌が、逃れたくとも逃れられず、吐息が交差する様に、角度を変えて攻められる。

 

どう、応えていいのか。

どう、拒めばいいのか。

 

それすらもわからなくなる。

 

「沙紀……、もう、いいのか……?」

 

「……え……?」

 

何が? と、思った瞬間だった。ずんっと先ほどとは全然違う、何かが自分の中に入ってくるのを感じた。

 

「あ、あぁ……ン、待っ……やっ……」

 

自分が自分でない感覚に、困惑する

 

な、にこ、れ……。

 

今までに感じた事無い、その感覚に目の前がくらくらしてきた。

 

「……っ、沙紀……、しめ、過ぎだ……っ」

 

「そ、そんな事言われて、も……ああ……ンっ」

 

鶴丸のそれが身体の奥の方を刺激してくる。全身が熱くなり、身体が自分のものではない様な錯覚に捕らわれていく感覚。

 

「あ、ああ、ぁ、や、め……いっ……ぅ」

 

「沙紀くん、力抜いて―――」

 

口付けを交わしながら、燭台切が優しくそう囁き掛ける。

 

「――――っ、ぁ……」

 

鶴丸がぐっと、自身のそれを沙紀の中へと最後まで入れると、「はぁ……」と息を吐いた

 

「沙紀……入ったから、平気、か……?」

 

優しくそう問われるが、沙紀は首を左右に振った。お腹の奥の方が熱い。ずくずくする。

こんな感覚知らない。

 

「り、りんさ……」

 

沙紀は助けを求める様に、鶴丸の名を呼んだ。すると、鶴丸は小さく微笑みを浮かべると、そのまま律動を始めたのだ。

最初はゆっくりとした動きだったのだが、次第に激しくなり、沙紀は燭台切にしがみ付くように抱き付いていた。

 

「ああ――――っ、んぁ……、だ、だめっ、動かな……で……っ。あっ、や、ん――……り、りんさ……ああっ!」

 

何度も繰り返される抽挿に、身体中が敏感になっているのが分かる。

何度も何度も繰り返された行為に、とうとう沙紀の限界が訪れた。

 

その瞬間、沙紀の中で何かが弾け飛んだような感覚がして、それと同時に沙紀の身体がびくんっと跳ね上がった。

そして、そのまま沙紀意識を失ったのである。

 

 

 

 

…………

………………

「ん……」

 

どうやら、ほんの数分意識を失っていたようだった。

沙紀が目を覚ますと、そこには心配そうな表情をした燭台切の姿があった。沙紀が起きた事に気が付くと、彼はほっとした表情を見せると、

 

「良かった……」

 

と呟きながら、沙紀の頭を撫でてきた。

その時だった。

 

「沙紀、起きたか」

 

不意に、鶴丸の声が後ろから聞こえてきて、はっとして振り返って初めて気づいた。自分が鶴丸の腕の中にいるという事実に。

 

「り、りんさ……っ」

 

先程までの情事が思い出されて、沙紀がかぁっと、頬を朱に染める。

そして、慌ててその場から離れようとしたが、鶴丸はそれを許さないという様にぎゅっと抱きしめてきて離してはくれなかった。

でも、それがなんだか心地よくて、沙紀はどうしていいのか分からなくなった。

 

と、その時だった。ふと下腹部に違和感があった。そう―――まだ鶴丸と繋がったままだったのだ。

それに気が付き、慌てて離れようとするが、鶴丸がそれを許すはずもなく、更に強く抱きしめられた。

恥ずかしさに、沙紀が顔を真っ赤にして俯いていると、 鶴丸が耳元まで唇を寄せてきて、こう言ったのだ。

 

「―――続き、してもいいか?」と。

 

その言葉に、一瞬頭がついていかなかったが、すぐに理解する事が出来て、沙紀は慌てふためくと、ふるふると首を横に振り拒否を示した。

しかし、鶴丸はそれを許さなかった。再び深く口付けられる。

 

「ンンっ……り、りんさ……っ、ぁ……」

 

鶴丸の舌が絡みついてくる。

先程までの口付けとは違う―――。まるで、口内を犯されている様な感覚に、沙紀は次第に何も考えられなくなっていった。

 

そして、鶴丸の手が胸へと伸びてくる。

先程まではあんなにも痛かった筈なのに、今は不思議とそれを感じなかった。寧ろもっと触れて欲しいと思ってしまう自分がいる事に驚きを覚えた。

鶴丸の手が沙紀の胸に優しく触れると、そのまま揉みしだいていく。

 

「ぁ……ンン、っ……は、ぁ……あ、ああ……」

 

指先が先端に触れる度、身体中に電流が流れた様な感覚に陥り、自然と声が出てしまう。

それがまた恥ずかしくて、沙紀は必死になって我慢しようとした。だが、それも無駄な努力に終わった。

そんな沙紀を見て、燭台切がくすっと笑うと、彼女の首筋に顔を埋めて、そこに吸い付いた。

 

「あっ……」

 

ちゅっと音をたてて、吸われると、それだけで感じてしまい、思わず変な声を出してしまった。

燭台切はそのまま、度は鎖骨の辺りにまで移動させると、そこを強く吸い上げた。

チクッとした痛みに、沙紀は眉根を寄せた。

一体何をしているのかと思う間もなく、燭台切は満足した様子でその場所を見ると、今度は反対側の首筋にも同じ事をしてきた。

 

沙紀は何が何だかわからずにいたが、そんな沙紀を見て鶴丸はくすっと笑った。

何がおかしいのだろうと、沙紀が思っていると、鶴丸はそっと口を開いた。

そして、

 

 

「――きみが俺達のモノだという証だ―――」

 

 

「え……?」

 

その言葉が〝何を〟意味しているのか理解に数分を要した。

その言葉を理解した瞬間、更に熱を帯びた何かが沙紀の中でうごめいた。

 

でも、今はそれよりも気になる事があった。

そう―――未だに鶴丸と繋がったままの状態だったのだ。鶴丸が動く度に、結合部からくちゃっと音がする。

 

それが妙に大きく響いて聞こえるせいか、沙紀は余計に羞恥心が増していった。

何とか離れようと、もがくものの、それは逆効果だったようで、より一層強く抱き締められてしまった。

そして、そのまま律動を再開させたのだ。最初はゆっくりとした動きだったが、次第に激しくなっていく――――。

 

「あ……、ンンっ、だ、だめぇ、動かな、い、でぇええ」

 

熱い。

身体が、熱い。熱くてどうにかなってしまいそうだ。

 

激しくなる抽挿に、沙紀は悲鳴の様な声をあげた。今までに経験したことのない快感が沙紀を襲う。

鶴丸が腰を動かす度、自分の奥の方で何かが擦れているのがわかる。それが堪らなくて、沙紀は無意識のうちに自ら腰を動かしていた。

 

その行動に、二人は目を見開くと、お互いの顔を見合わせた。そして、くすっと不敵な笑みを浮かべると、 お互いに示し合わせるように、同時に沙紀を攻め始めたのだのだ。

鶴丸が抽挿を繰り返すたび、沙紀身体が大きく揺れる。

 

「あ、ああんっ……やっ、だ、めぇ……っ」

 

燭台切が沙紀の乳首を摘まむと、ビクンと身体が跳ね上がった。

二人に攻められて、沙紀はもう限界だった。すると、それを察してか、鶴丸は沙紀を四つん這いにさせると、後ろから攻め立ててきた。

 

「あ、あぁ―――っ、は、ぁ……、あンン、……っ、は、やぁあん!」

 

背後からの挿入は、いつも以上に感じてしまって、沙紀はそんな自分に驚いた。

何度も繰り返される抽挿に、沙紀はついに絶頂を迎えてしまった。

それと同時に、鶴丸もまた沙紀の中に精を解き放った。

 

鶴丸との行為にぐったりしていると、ふと、それまで沙紀の胸を愛撫していた燭台切が、

 

「鶴さんばっかり、ずるいなぁ……僕にも感じさせてよ」

 

そういうなり、燭台切が後ろからすっと身体を近づけてきたかと思うと、そのまま胸を鷲掴みにしてきた。

そして、そのまま揉みしだいたかと思うと、その先端にある突起物を指先で弾いたのだ。

 

「ン、あっ……!」

 

その刺激に沙紀はびくんっと身体を大きく震わせた。その反応に燭台切はくすっと笑うと、その手を徐々に下へとずらせていき、やがて秘部まで到達した。

 

そこは既に洪水状態で、燭台切が指先を入れようとするだけで、くちゅっと音を立てていた。

その光景を見た燭台切は、嬉々としてそこへ顔を近付けると、その入口を舐め上げ、そのまま舌を中へと侵入させてくる。

 

「あ、ンン……、は、ぁ……っ、やっ、そこ、は……だ、だめえっ」

 

舌の生暖かい感覚に、沙紀は再び身体を震わせると、再び襲ってきた快楽に抗えず、ただ喘ぎ続けた。

そして、再び訪れた絶頂に、沙紀の意識は完全に持っていかれてしまっていたのである。

 

 

 

…………

………………

その後、鶴丸と燭台切に交互に抱かれ続けた沙紀は、二人の気が済むまで付き合わされ、結局、沙紀が解放されたのは明け方近くになってからの事だった。

 

「沙紀」

 

「沙紀くん」

 

優しくそう名を呼ばれた様な気がしたが、もう、沙紀には聞こえていなかった。

結局、理由は分からず、何がいけなかったのか、何を間違ってしまったのか、それは沙紀にはもう分からなかった。

 

ただ一つ言える事は、自分はこの二人に魅入られてしまっているという事だけだった。

それ故、沙紀は今日も二人に翻弄され続けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何故か、改訂版を今頃出すやつwww

ちょっと、本用に修正してたら、「なんか、あっさりしてるな~」という私的感想から

こうなりましたwww

 

 

2023.06.03