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◆ 神々廻 「フリーティング・シン」
(サカデイ夢 「INNOCENT LYNC」 より)
最初から分かっていた。アイツが――莉紅が誰を見ているかなど。彼女は否定していたけれど、その視線の先にはいつも南雲がいた。そして、南雲の視線の先にも彼女がいた。南雲が話しかければ、彼女は呆れつつも笑っていた。だから嫌でも気付かされる。
ああ、アイツはきっと、口では何といっても、本当は南雲が好きなんだろうな……と。南雲が彼女を好きなのは明白だった。あからさまな態度と言動で、むしろ気付かない方がおかしい。その事に気付いた時、とても嫌な気分になった。それと同時に、胸のあたりがもやもやして、ちくちくと痛んだ。
でも、“それ”が何なのか気付きたくなかった。だから、気付かないふりをした。
そう――それで、良いと思っていた。その瞬間、になるまでは……。
「は?」
神々廻がホテルのフロントマンに対して素っ頓狂な声を上げた。すると、フロントマンは申し訳なさそうに、頭を下げて。
「申し訳御座いません、お客様。この急な雨でどの部屋も満室でして……今、ご用意出来る部屋は、ダブルの1部屋のみとなっております」
「はあああ~!?」
その時だった。スマホで何かを調べていた莉紅が神々廻の傍にやって来た。
「神々廻君、部屋取れそう? 他のホテルもこの周辺は皆満室で空きがないみたい」
「……」
なんで……、なんで今日に限って俺と莉紅の2人任務やねん!!! せめて、坂さん、いや、この際南雲でもええ!! 誰か替われや!!!!
と、神々廻が心の中で叫んだのは言うまでもなかった。
事の発端は、この土砂降りの雨だった。天気予報では晴れだったのに、何故か任務が終わって帰ろうとしたら、土砂降りの雨に見舞われた。それだけでは飽き足らず、この雨で、土砂が崩れ、帰りに通る筈だった道路が通行止め。迂回路も通行止め。まさかに足止め状態だった。
仕方なく、近場でホテルを取って明日帰ろうかという事になったのだが、考える事は皆同じなのか、何処のホテルも満室。唯一空きがあるというこのホテルは、空いてるのはダブル1室しかないという。
そんなところに、惚れてる女(絶賛、片想い中)と一緒に同じ部屋に泊まれと? 無茶言うな!! という話である。
「……俺、車で寝るわ。莉紅はここの部屋で寝たらええ」
そう言って、神々廻が駐車場へUターンしようとした時だった。突然、がしっと莉紅が神々廻の腕を掴んだ。そして、にっこりと微笑み、
「フロントマンさん、その部屋チェックインお願いします。2名で」
「莉紅!?」
「こんな雨の中、外の駐車場で寝るの? 自殺行為よ。認められないわ」
そう言って、空いている手でさらさらと器用に、チェックインのサインをしている。神々廻がごくりと息を呑んで、莉紅を見た。その横顔はとても綺麗で、彼女の整ったフェイスラインがくっきりと見える。
「せ、せやけど、莉紅……」
俺かて男なんやで!?
という言葉は、口に出来なかった。そうこうしている内に、チェックインの手続きを済ませた莉紅が、カードキーを受け取っている。
「お部屋は、7階に上がって、右側の角でございます」
「ありがとうございます」
フロントマンに礼を言うと、莉紅は神々廻の腕をぐいっと引っ張った。
「行きましょう」
そうしてそのまま莉紅に引きずられるように、神々廻は連行されたのだった。
**** ****
あり得へん……。
神々廻は、ガウンを着てダブルベッドに座ったまま、必死に無になろうとしていた。少し奥の方から、シャワーの流れる音が聞こえる。2人ともびしょ濡れだった為、今、莉紅がシャワーを浴びているのだ。
本当は、着替える気もなかったのだが、そのままでは風邪を引くから駄目だと、莉紅に強制的に着替えさせられた。しかし、彼女も濡れていた為、シャワーの順だけは先に入らせたのだが……逆にそれが裏目に出てしまったようだ。
しもた……先に俺が浴びてれば、ソファで寝たふり出来たのに……っ!!
と、後になって気付いたが、既に遅かった。いや、それで彼女が風邪を引いたら元も子もない。結局、神々廻はタオルで濡れた髪を拭いて着替えただけにした。しかし……。あのシャワールームのドア一枚向こうに裸の莉紅がいると思うと、どうにもこうにも落ち着かない。かといって、熊のようにうろうろする訳にもいかず、こうしてベッドに座って唸っているのだが……。
坂さん……! 助けてくれや……っ!!
などと、何故か坂本に心の中で助けを求めている時だった。
『きゃっ……!』
「……っ!?」
突然、シャワールームの方から、莉紅の声が聞こえてきた。神々廻がはっとして慌てて立ち上がる。まさか、刺客か!? そう思って、慌ててベッドサイドのテーブルに置いていた、金槌を持つとシャワールームへ駆け込んだ。
「莉紅!! 無事か―――あ」
「……っ」
神々廻がシャワールームのドアを勢いよく開けると、そこにはシャワーを浴びていた莉紅の姿があった。当然、裸だ。そして、その彼女の足元には……蛇口が壊れて水が出しっぱなしになっていた。しかも水圧で莉紅が足を滑らせたのか、彼女はよろけそうになったのを壁に手を当てて立ち上っている最中だったのだ。
し―――――ん……。
あ、やば……。
と、神々廻が思うのと、莉紅が顔を真っ赤にするのは同時だった。
「し、神々廻……く、ん……っ」
わなわなと莉紅が震えている。神々廻は慌てて首を振った。
「ち、違っ……不可抗力やってん……っ!」
「も――! 出て行ってえええええ!!!」
そう言って莉紅が暴れはじめたのはいうまでもなく、神々廻が慌ててそれを止めようとするが、逆効果だったのか、莉紅が更に暴れはじめた。
「神々廻君のえっち!! 変態!! スケベ!!」
「ちょ、ご、誤解や! 俺はお前が心配で――」
「もう、良いから早くここから出て――きゃぁっ!!」
「莉紅!!」
莉紅がそう言って、神々廻を突き飛ばそうとした時だ。足を滑らせてしまい、そのまま後ろに倒れそうになったのを、神々廻は咄嗟に抱き留めた。すると、ぴとっと言うよりかは、むにゅっと柔らかい感触が手のひらから伝わった。その感触に思わず神々廻の動きが止まる。
ん? なんや、これ……。この柔らかい感触は……。
と、恐る恐る手を退かすと……、それは“胸”だった。しかも生乳だった。それに気付いた瞬間、神々廻の動きが完全停止する。そして次の瞬間――かあっと、顔を真っ赤にして、口をぱくぱくさせている莉紅が、言葉を失っていた。しかも、よくよく見ると、自分が莉紅を押し倒したような態勢になっている。
瞬間、脳内に2つの声が聞こえてきた。「このまま押し切って男をみせてやれ!」という声と、「ここは、慈悲の心で彼女の事を第一に優しく触れると良い」という悪魔と天使の声だ。だが、神々廻は首を横に振ると、「どっちも、あかんやろ!!」と自制をなんとか保とうとした。
ちらっと、自分の下にいる莉紅を見ると、その紫蒼玉の瞳に半分涙を浮かべて、顔を真っ赤にして、視線を逸らしている。
「あ、の……どいて欲しいのだ、けれ、ど……」
恥ずかしいのを我慢して虚勢を張っているのか、なんとかその言葉を紡いでいるようにも見えた。その姿が余りにも愛らしく、可愛らしくて、神々廻は動く事が出来なかった。ごくりと唾を呑み、目の前の莉紅の姿を見てしまう。白い肌が、お湯の熱でピンクに染まっている。そして、お湯を弾く肌はとても艶やかだった。
神々廻は、無意識に莉紅の頬に指を滑らせると、彼女の頬を手のひら全体で触れた。瞬間、びくっと莉紅の身体が跳ねるように震えると、はっとして我に返る。
あかん! 俺、何してんねん!!
そう思って慌てて手を引こうとするが、上手く手が動かない。彼女にもっと触れたくて、もっと彼女を感じたくて、その肌に触れていた。
「し、しば……くん……?」
莉紅のピンク色の唇が自分の名前を紡いだ瞬間だった。神々廻の中で、ぷつんと何かが切れる音がしたのは。次の瞬間には、神々廻は莉紅に顔を近付けると、彼女の唇を奪っていた。
「……っ、ぁ……」
ぴくんっと、莉紅が身体を震わす。それでも神々廻はもう止められなかった。
「莉紅……っ」
はぁ……と、息を零しながら、神々廻は更に深く口付けた。すると、莉紅の唇から甘い声が漏れるのが分かった。その声がもっと聞きたくて、神々廻は彼女の口内に舌を滑り込ませる。そしてそのまま、歯列をなぞり、舌を絡めて吸い上げた。くちゅ……ちゅっ……ぴちゅ……っ と、シャワールームに水が流れる音とは違う音が響き渡る。それが余計に神々廻を興奮させたのか、徐々に行為がエスカレートしていく。神々廻は莉紅の耳を塞ぐと、わざと音が大きくなるようにした。その音に反応したのか、莉紅の身体がふるっと震える。
そして神々廻が唇を離した時、莉紅は完全に涙目になっていた。そして、くたりと力が抜けて、抵抗をやめたのを確認すると、神々廻は再び彼女の唇を塞いだ。
「莉紅……もう、止めてやれへんで」
そう言って、神々廻は莉紅の耳元で囁いた。その声があまりにも甘くて、色っぽくて、莉紅が思わず息を呑んでしまう。
「ま、待っ……」
「待ったは無しや」
そう言って、神々廻は莉紅の耳朶に舌を這わせる。その刺激にも感じてしまったのか、莉紅の身体が再び びくっと跳ねた。そしてそのまま首筋にキスを落とし、鎖骨や胸元へと辿っていく。すると、ついに耐えきれなくなったのか、莉紅が身体を捩って抵抗してきた。だが、それすらも押さえ込むと、神々廻はそのまま彼女の胸元へ顔を埋めた。
「……ぁ、は、ンン……っ」
神々廻が彼女の胸の飾りを口に含むと、莉紅の口から甘い声が漏れる。そのまま舌で転がすように舐め上げると、莉紅の腰が浮いたのが分かった。その隙をついて、神々廻は彼女の太腿に手を滑らせた。そしてそのまま脚の付け根まで手を這わせていく。
「ぁ……ゃっ……待っ……しし、ばく……っ」
慌てて莉紅が止めようとするが、神々廻はそれを無視すると、彼女の秘部に触れた。その瞬間、びくっと莉紅の腰が跳ね上がる。そしてそのまま、指で割れ目をなぞってみると、そこは既に潤っていた。
「なんや、莉紅。俺に感じてるんか?」
「ち、違っ……」
「違う」と否定しようとするが、言い終わる前に、その唇を塞いだ。彼女の反応に気を良くしたのか、神々廻は更に愛撫を続けていく。時折花芽に触れてやれば、面白いくらいに反応を示す彼女に神々廻も興奮を抑えきれなかった。もっと感じさせたい。もっと乱れさせたい。そんな欲望がふつふつと湧き上がってくる。
神々廻は莉紅の両脚を持ち上げると、そのまま自分の肩に乗せた。すると、彼女の秘められた部分が彼の目の前に晒される格好になる。神々廻はごくりと唾を呑むと、そっとそこへ顔を埋めたのだ。
「ぁ、ん……っ、は、ぁあ……っ!!」
ちゅう……っと、わざと音を立てて吸ってやると、莉紅の口から悲鳴に似た嬌声が響く。それに気を良くした神々廻は更に強く吸ったり舐めたりを繰り返した。その度に莉紅が身体をしならせながら反応するものだから堪らない。そしてついに我慢出来なくなったのか、神々廻は自分の指を一本、彼女の膣内に挿入した。
「は、ぁ……ゃ、あん……っ、神々廻く……っ、ああ……っ!」
莉紅が身を捩って逃げようとする。だが神々廻はそれを許すまいと、彼女の腰を押さえつけた。そしてそのまま指の抜き差しを繰り返したのだ。最初は一本だったものが二本三本と増やされていくうちに、次第に解れてきたようだった。それに気付いた神々廻は、一度指を抜くと、今度は二本の指を同時に挿入した。すると先程よりもすんなりと入っていくのが分かった。これなら大丈夫そうだと判断した神々廻はそのままゆっくりと中を掻き混ぜる様に動かし始めた。
「ぁ、あ、ああん……っ、は、ぁ……ん……っ」
莉紅が甘い声で鳴く。それが更に神々廻の興奮を煽ったのか、神々廻は更に激しく攻め立てた。ぐちゅ、ぬぷ……っという卑猥な音がシャワールームに響き渡る。その音すらも2人の熱を煽る材料になっていた。そしてついに限界を迎えたのか、莉紅が大きく身体をしならせた瞬間だった。びくんっと大きく痙攣したかと思うとそのままぐったりと脱力してしまったのだ。
「は……ぁ、はぁ……」
力なくシャワールームに横たわる莉紅は、とても煽情的で神々廻はごくりと息を呑んだ。そして、自分の下腹部に熱が集中するのを感じる。心の片隅で、「これ以上は、あかん」と何かが囁く。しかし、彼の理性はもうとっくに切れていたらしい。本能のままに再び彼女の秘部へと顔を埋めると、今度は舌で花芽を刺激し始めたのだ。その瞬間、莉紅の身体が大きく跳ねる。そしてまた甘い声が上がった。その反応に気をよくした神々廻はそのまま執拗にそこを攻め続けた。すると次第に莉紅の声が大きくなり始める。
「はぁ……っ、あ、やっ! 神々廻く、ん……! そこ、駄目ぇ……おかしく、なっちゃ……っ!!」
そう言って身を捩るが、神々廻は離さないとばかりに彼女を押さえ込むと更に強く吸い上げたのだ。その瞬間、莉紅の身体が弓なりにしなる。神々廻が莉紅の秘部から口を離すと、彼女はぐったりと倒れ込み肩で息をしていた。そんな姿にすら興奮を覚えてしまう自分がいる事に呆れながらも、神々廻は彼女に覆い被さる様にして莉紅を見下ろす。すると、熱に浮かされたような眼差しで彼女が見上げてくるではないか。その瞳はまるで何かを期待しているようにも見えて、神々廻は唾を呑んだ。
「莉紅……っ」
堪らなかった。彼女が手に入る――その事実が、神々廻の感情を更に揺さぶった。
神々廻は再び彼女の唇を塞ぐと、そのまま深く口付ける。そして彼女の脚を開かせると、自分のモノをあてがい一気に貫いたのだ。
「ああ――っ!!」
その瞬間、莉紅の口から悲鳴に近い声が上がったが、神々廻はそれを無視して抽挿を繰り返す。その度に結合部からは厭らしい水音が響いた。激しく腰を打ち付けられる度に、莉紅の唇から甘い声が漏れ出る。最初は痛みに耐えているような様子があったものの、次第に快楽の方が勝ってきたようだ。その証拠に彼女の表情は蕩けきっていた。そんな彼女を見て神々廻は更に動きを速めると、一気に奥まで突き上げた。
「――っ!!」
その衝撃に莉紅が目を見開く。そして次の瞬間には身体をしならせて達していた。だがそれでも神々廻は動きを止めず、そのまま激しく攻め立て続ける。その度に彼女は甘い声を上げた。止まらない。止められない。彼女の中は熱く、柔らかく、それでいて絡みつくように神々廻自身を締め付けてくるのだ。それがあまりにも気持ちよくて、神々廻は無我夢中で腰を振り続けた。
「莉紅……っ、好きや……っ」
神々廻はそう言うと、莉紅の唇を奪う。そしてそのまま彼女の口内を蹂躙するように舌を差し入れた。歯列をなぞり、上顎の裏を舐め上げると、莉紅がびくんっと反応する。それすらも愛おしいと思った。神々廻は彼女の腰を掴むと、更に強く打ち付けた。ぱんっぱんっ! という肌を打つ音とぐちゅ……っ、という水音が入り混じり、それがシャワールームに反響する。その音すら2人の興奮材料になっていたようで、莉紅の締め付けが強くなったのが分かった。
――ああ、莉紅が、莉紅が俺のもんに……っ。
神々廻はそう思うと、莉紅の最奥まで自身を突き入れ、欲望を全て注ぎ込んだ。すると、彼女がびくんっ! と、身体を大きくしならせる。
「……っぁ、はぁ……し、しば、く……っ」
潤んだ、その美しい蒼紫玉の瞳が神々廻を見つめていた。その瞳の中に自分が映っている事が嬉しくて、神々廻は莉紅に口付けた。そしてそのままゆっくりと自身を引き抜くと、どろりと白濁液が流れ落ちる。その光景があまりにも厭らしく、神々廻は再び自身が熱を持つのを感じた。
ああ……莉紅が好き過ぎて、どうにかなりそうや……。
しかしこれ以上続けるのはまずいと思い直し、神々廻はゆっくりと身を起こすとシャワールームから出ようと立ち上がった。すると、くいっとガウンの裾を引っ張られる感覚がした為振り返ると、そこにはまだ上気した顔のままの莉紅がいたのだ。
その仕草だけでもう駄目だった。神々廻は莉紅をシャワールームの壁に押し倒すと再び彼女の唇を塞いだ。そしてそのまま舌を絡め取り、深く口付ける。
「ん……っ、ふ、ぁ……、は、ン……っ」
ちゅ……くちゅっ、という水音がシャワールームに響き渡る中、神々廻の手は自然と莉紅の胸元へと伸びていた。柔らかな膨らみに触れると、莉紅がびくんと反応するのが分かった。だがそれでも彼女は抵抗しないどころか、むしろ自ら身体を委ねてきたのだ。それが嬉しくて神々廻はそのまま彼女の胸にしゃぶりついた。
ちゅうっと先端を吸い上げると、莉紅の口から甘い吐息が漏れる。それが堪らなく嬉しくて、神々廻は夢中になって彼女の胸を愛撫し続けた。
「ぁ……っ、は、ン……っ、あ、ああ……ん、神々廻く、ん……っ」
やがて彼女の口から艶めかしい声が上がり始めた頃を見計らい、神々廻は再び彼女の中へ自身を沈めていった。先程とは違う角度で攻められる所為か、莉紅の反応も違うようだ。神々廻は莉紅の太腿を掴むと左右に大きく開き、激しく腰を打ち付けた。その度に結合部からぐちゅ、ぬぷ……という水音が響き渡り、それが余計に2人を興奮させる。
「……ぁ、あ、ああん……っ! は、ぁ……ゃ、ぁん……それいじょ、動いちゃ……は、あ、ああ……っ!」
莉紅が甘い声を上げて頭を振る。その仕草すらあまりにも可愛らしく、神々廻は更に動きを速めた。そしてそのまま彼女の最奥まで突き入れると、そこで一気に射精する。その瞬間、莉紅の身体が弓なりにしなったかと思うと、がくんっと力が抜けたのが分かった。どうやら彼女も同時に達してしまったらしい。
「莉紅……っ」
神々廻は莉紅に覆い被さるようにして彼女を抱きしめた。そしてそのまま彼女の首筋に顔を埋める。すると、ふわりと甘い香りが鼻腔を擽った。それが莉紅自身の匂いだと気付いた瞬間、また自身が熱を持つのを感じたが、流石にこれ以上はまずいと思い直し、はぁ……と大きく息を吐き出すと、神々廻はゆっくりと自分のモノを引き抜いた。
するとそこからどろりと白濁液が流れ出てくるのを見て思わず苦笑する。我ながらよくもまあここまで出したものだと呆れてしまったのだが……同時にそれだけ莉紅に対して欲情していたという事だろう。
しかし、それでも何度か熱を吐き出した事で冷静さを取り戻したのか、神々廻は自分の腕の中でぐったりとしている莉紅を見て慌てて彼女を抱き上げたのだった。
シャワールームから連れ出しベッドに座らせると、バスタオルで身体を拭いてやる。その間も彼女は一言も喋らなかった。ただ黙って俯いているだけだ。その様子に不安を覚えた神々廻は恐る恐る彼女の顔を覗き込むように見たのだが……そこで思わず固まってしまった。何故なら、彼女の顔が真っ赤に染まっていたからだ。しかもその瞳には涙が浮かんでおり、今にも泣き出しそうになっているようにも見えるではないか。
どないしよ……!? と、神々廻は内心焦りまくっていた。まさかここまでするつもりはなかったのだが、莉紅があまりにも可愛くてつい暴走してしまったのだ。だが、今更謝っても遅いだろう。
と、その時だ。
不意に莉紅が神々廻の首に腕を回すとそのまま抱きついてきたのだ。その行動に驚いたものの、神々廻は恐る恐る彼女の身体を抱き返すと優しく背中を撫でてやった。
「莉紅?」
優しく、彼女の名を呼ぶ。すると彼女は更に強く抱きついてきて、まるで甘えるような仕草をしてきたではないか。これには流石の神々廻も動揺を隠しきれなかったようで、思わず固まってしまう。だが、そんな彼にはお構いなしとばかりに莉紅はすりすりと頬を寄せてきたり、首筋にちゅ……っと吸い付いてきたりとやりたい放題である。その姿はまるで子猫のようで可愛らしく思えたが、同時に神々廻の中の理性をゴリゴリ削ぎ落としていった。
あかん……! もうこれ以上したらあかんって分かってるけど、可愛過ぎるやろ!! つか、このままやとまた押し倒してまいそうやわ!
そんな事を考えて悶々としていると、不意に莉紅と目が合った。その瞳は相変わらず潤んでいて頬も上気している。そんな彼女の姿に神々廻はごくりと生唾を飲み込むと、「莉紅……」と、彼女の名を呼び、その頬に手を添えた。その時だった。
「……神々廻君の馬鹿……お返し、なんだから――」
そう言ったかと思うと、莉紅はそのまま神々廻の唇に自分のそれを重ねてきたではないか。突然の事に神々廻は驚いて固まってしまったのだが、一瞬唇を離し、掠れる声で呟いた。
「……ごめんな」
けれど次の瞬間、抗うように、いや抗えぬように彼も舌を絡め返していた。何故なら莉紅の方から舌を入れてきたのだから。それに応えるようにして神々廻も己の舌を絡ませる。お互いの唾液を交換しあうような激しい口付けを交わしながら、神々廻は再び彼女を組み敷くようにベッドに沈めたのだった。
2025.09.07

