ドイツ語で囁く愛の言葉
◆ 04:Du bist mein Schatz.-君は俺の宝。-
(CZ:『End of the World』より:神賀 旭)
End of the World
-Endless Snow-
【-Episode 2-】
「梓」
いつもの部屋に戻ってきた時、男が梓の名を呼んだ
ふと、お茶の用意をしていた手を止める
「………旭…?」
梓がそう男の事を呼ぶと
男は嬉しそうに微笑んだ
「そうやって、”名前”を呼んでくれるのは梓だけだよ」
そう言って、梓の持っていたティーカップを受け取ると、そのまま傍にあったソファーに座った
そして、にっこりと微笑むと ぽんぽんっと自身の横のクッションを叩いた
それを見た梓は小さく溜息を洩らすと
もう一つのティーカップに紅茶を注ぐと、それを持って旭と呼んだ男の傍に近づいた
瞬間、ぐいっと男の手が伸びてきたかと思うと
あっという間に、梓を絡め取った
そのまま男の横に、ぽすんっと座らされる
「…紅茶がこぼれます」
そう注意すると、男は特に悪びれた様子もなく
「梓が悪い。 俺の名前呼んだりするから……」
そう言って嬉しそうに梓の腰を抱き寄せた
急に腰を引き寄せられ、思わず梓が「あ……」と声を洩らす
だが、男はお構いなしにそのまま彼女を抱き寄せると、その美しいプラチナブロンドの髪に口付けを落とした
「あ、あの……っ」
突然の口付けに
思わず、梓が顔を赤く染める
だが、やはり男は構わずにそのまま彼女の頭をなでると
「うん、やっぱり梓は可愛いな」
そう言って、にっこりと微笑んだ
突然の言葉に、梓が益々顔を赤らめる
そして真っ赤な顔のまま俯いてしまった
それを見た男は、くつくと笑いながら また、梓の髪を撫でた
美しい銀糸の様なプラチナブロンドの髪
この世界で”唯一”の存在
王の絶対の”理解者”―――――――”プラチナ”
それが”彼女”の”役割”
そして、”王”は、自分―――――神賀 旭だ
昔の名は捨てた
あの時の自分はもう、いない
撫子の為に生きた自分はもう――――いないのだ
俺は……彼女を―――――
梓を撫子以上に”愛してしまった”のだから―――――………
****
「キング」
呼ばれて旭は声のした方をみた
すると、後の方から幹部の1人・ビショップが気だるそうに歩いて来た
「キング、また”プラチナ”の所に行ってたんですか?」
ビショップの問いに旭は、少しだけバツが悪そうに
「俺が梓の所に行ったら、何かいけないのかな?」
旭がそう尋ねると、ビショップは はぁーと溜息を洩らしながら
「いえ、別に…いいんですけどね。 ただ、貴方は仮にもこの世界の王なのだから…そこは”自覚”してくださいよ?」
「……充分”自覚”はしているよ。 だから、こうして自分の部屋に戻るんだろう?」
「ええ、そうして下さい。 貴方が自由なのは勝手ですが、他に迷惑は掛けないでいただきたいですね…特に、ぼくには」
それが本音なのか
思わず旭がくすりと笑った
それが不快だったのか…思わずビショップがむっとする
「なにがおかしいんですか?」
ビショップのその問いに、旭はやっぱりくつくつと笑いながら
「いやぁ、君は相変わらず正直だなぁって思ってね」
「はぁ……」
旭のその言葉に、ビショップは心底どうでも良さそうにそう答えると
「じゃぁ、さっさと部屋に戻って溜まっている書類を片付けてもらえますかね? これ、追加です」
そう言って、どさっと旭の手に書類という名の電子パネルの山を乗せた
それを見た旭はさぞかしうんざりそうに溜息を洩らし
「メールで全部転送してくれればいいのに……」
ぶつぶつそうぼやくが、ビショップは聞く耳持たずという風に
「貴方が、メールは味気ないとか言うからこういう仕組みになったんですけどねぇ?」
「……うん、それを言った俺を今抹消したいよ…」
そう洩らしたが、ビショップがスルーしたのは言うまでも無かった
「じゃぁ、後は頼みましたよ」
そう言ってビショップが頭を気だるそうにかきながら去ろうとした時だった
「円」
不意に、旭がビショップの名を呼んだ
その名に反応する様に、ビショップが振り返る
「なにか?」
「うん…梓の専属の護衛を付ける話しだけれど」
「ああ…そんな事言ってましたね。 まぁ、ぼくは誰でもいいと思いますけど…?」
唯一存在―――”プラチナ” を護る”ナイト”――――
それに誰が選抜されようとビショップにはどうでもいい事だった
「それがどうかしたんですか?」
ビショップのその言葉に、旭は静かに頷くと
「ちょっとナイトの中に興味のある人物がいるんだ」
旭のその言葉に、少しだけビショップが驚いた様に目を見開いた
「へぇ…貴方が”プラチナ”と”あの人”以外に興味を示すなんて…珍しいですね」
ビショップのその言葉に、旭はにっこりと微笑むと
「”彼”は、俺の中では梓や撫子と同じぐらい”特別”な存在なんだ」
そう言って、旭は遠くの方を見た
まるで、何かを思い出すかのように―――――……
それはかつて”神賀 旭”ではなかった時の
”昔の自分” を思い出している様に見えた
その日、ひとつの辞令が降りた
ナイトの一人が”プラチナ”の専属護衛に任命されたのだった
という訳で~いつの間にか進んでいましたCZ
キング=神賀の構図がやっと出て、楽になった~(笑)
あ、キング=神賀=○○という構図はとりあえず、スルーしている訳ではないですが…
触れません ええ(`ー´〃) ドヤッ!
2017/03/07