MARIKA

-Blue rose and Eternal vow-

 

  Act. Ⅱ アーロンパーク 10

 

 

 

「誰が仲間だって? ルフィ」

 

はっとして声のした方を見ると、そこにいたのは――――

 

「ナミ……?」

 

そこには、棍棒を持ったナミが険しい表情でこちらを睨んでいた

その目は鋭く、今にも人を射殺せそうな瞳をしていた

 

ナミ……?

 

レウリアの中に、不安が過ぎる

だが、ルフィはさも当然の様に にかっと笑い

 

「何、言ってんだ! お前はおれ達の仲間だろ。 迎えに来た!!」

 

「大迷惑!」

 

だが、ナミの答えはルフィに期待する答えでは無かった

きっぱりとそう答えると、腕を組み小さく息を吐いた

 

「“仲間”!? 笑わせないで、くだらない助け合い(・・・・)の集まりでしょう?」

 

「!」

 

ルフィが、ナミの言葉をきいてきょとんと目を瞬かせる

だが、それに黙っていなかったのがジョニーだった

 

頭に血が昇っているのか、ジョニーはカッとなり叫んだ

 

「言ったでしょう!? この女は、魔女なんっす!! 隠し財宝のある村を独り占めする為にアーロンに取り入って平気で人も殺しちまう!! コイツは根っからの性の腐った外道だったんっすよ!! 兄貴達はずっとダマされてたんだ!!」

 

「ちょっと、ジョニーさん……っ」

 

慌ててレウリアが止めに入るが、ジョニーは止まらなかった

 

「おれは見たぞ、この目で!! この女が、ウソップの兄貴を―――――!!」

 

その言葉に、ナミがふんっと鼻で笑った

 

「……だったらなに? 仕返しに私を殺してみる?」

 

「!! …………なに!?」

 

「一つ教えておくけど、アーロンは“ロロノア・ゾロとその一味”を殺したがってる。 ゾロがバカなマネをしたからね。 いくら、あんた達が化物じみた強さでも、本物の“化物”には敵わないわ。 この島をうろついてれば、あんた達は間違いなく殺される」

 

「ナミ……」

 

「―――ま、私には関係ないことだけど?」

 

ナミとは、そんなに話した訳ではない

でも、ルフィ達と居る時のナミは楽しそうで、生き生きしていた

 

しかし、今のナミはどうだろう

まるで、何かを押し殺した様な――――そんな感じだった

 

一体、何がナミをそうさせているのだろうか

 

その時、ナミと目が合った

一瞬、その瞳に戸惑いの色が見えた様な……そんな気がした

が、ナミは直ぐにレウリアから視線を反らすと、元の冷たい瞳に戻ってしまった

 

だが、それとは裏腹にゾロは今にも斬りかかりそうだった

が―――――その横で、サンジは何故かうっとりしていた

目をハートにしてナミに見惚れている

 

「ああ~~クールなお顔も魅力的~~~vvv は~~い、ナミさ~~~んv おれだよ、おれ!憶えてる!? 一緒に航海しようぜ~~~!!!」

 

と、ラブモード全開で手を振っていた

 

サンジさん……

 

「てめェ、ひっこんでろ!! 話がややこしくなんだろうが!!!」

 

「アンだとコラ! 恋はいつもハリケーンなんだよ!!」

 

と言い返すが――――

ゾロが切れるのも最もである

 

サンジさん……

お願い、空気読んで……

 

と、レウリアが思ったのは言うまでもない

 

ゾロが、訳の分からない事を言っているサンジを無視してずいっと前に躍り出る

 

「―――って、おい! 聞けよ、人の話を!!」

 

「おい、ウソップはどこだ」

 

「………………」

 

フンッと、ナミが笑った

そして、ゆっくりと目を細めて

 

 

 

 

「海の底」

 

 

 

 

「てめェ! いい加減にしろ!!!」

 

「マリモさん!!駄目!!!」

 

ついに、ゾロが切れた

腰の刀に手を掛けると、一気にナミに斬りかかろうとしたのだ

慌ててレウリアが止めに入るが、ゾロは止まらなかった

 

その時だった

瞬間、サンジが前に出たかと思うと―――― 一気にゾロに向かって蹴りを放ったのだ

 

「サンジさん!!」

 

レウリアがそう叫ぶのと、ゾロが刀を抜いて後方に飛び退くのは同時だった

サンジがタバコに手を掛けて、踵を鳴らす

 

「剣士ってのは、レディにも手をあげるのか? ロロノア・ゾロ」

 

「なんだと? 何の事情も知らねェてめェが出しゃばるな!!!」

 

その言葉に、サンジがハッと笑い飛ばした

 

「屈辱の敗戦の後とあっちゃイラつきもするか」

 

「あァ!!?」

 

ギロリとゾロがサンジを睨みつける

持っていた抜身の刀をサンジに突きつけると

 

「……おい、口にァ気を付けろ。 その首、飛ばすぞ」

 

「ハッ…、やってみろクソ野郎」

 

バチバチと、今にも火花が散りそうな一触即発の状態だった

と、その時だった

 

 

 

 

 

 

「いい加減にしなさいよ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

バキッ!! ゴンッ!!!

 

レウリアの鉄拳制裁が二人に炸裂した

 

「~~~~~~っ、何しやがる!!」

 

と、ゾロが抗議するのとは裏腹に

 

「ああ~リアさんの、愛のムチ……いい……」

 

と、レウリアにハートを巻き散らかしてうっとりするサンジ

双方対極の反応を見せていたが、レウリアは完全無視を通した

 

「喧嘩するなら他でしなさいよ!! この状況が分からないの!! 今、それ所じゃないのよ!! 空気読め!!」

 

「そういうこと!! ケンカなら島の外でやってくれる? 余所者がこれ以上この土地の事に首を突っ込まないで!!」

 

そう言って、ナミは小さく息を吐いた

 

「まだ分かんないの!? 私があんた達に近づいたのはお金の為!! 今の一文無しのあんた達に何の魅力もないの!! 船は返すから、何処かで航海士見つけて“偉大なる航路(グランドライン)”に入れば!? “ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)”でも何でも、探しに行けばいいじゃない! さっさと出て行け!! 目障りなのよ!!!」

 

その言葉に、ヨサクとジョニーが歯をギリッと噛み締めた

 

「ナミ……本当にそれでいいの……?」

 

瞬間、レウリアの言葉にぴくりとナミが肩を揺らした

が、それはほんの一瞬の出来事だった

 

ナミはゆっくりと目を細めると―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「さようなら」

 

 

 

 

 

 

 

しん……と、辺りが静まり返った

誰も、声を発する事すらなかった

 

その時だった

 

「……………」

 

突然、ルフィが目を閉じたかと思った瞬間、そのままぐらりと大の字になってその場に倒れたのだ

 

「!!? え……」

 

「ルフィの兄貴!?」

 

驚いたのは、他ならぬジョニー達だった

それを見たレウリアが、小さく溜息を付く

そして、そのままルフィの傍まで来ると

 

「ルフィ……? 寝るの?」

 

「ああ、ねる」

 

 

 

 

「「寝るゥ!!?」」

 

 

 

 

 

ぎょっとしたのは、ヨサクとジョニーだ

慌ててルフィに駆け寄り叫ぶ

 

「こんな事態に!!?」

 

「こんな道の真ん中で!!?」

 

それはそうだろう

道のど真ん中

話しは、超ド級のシリアス状態のこの状況で、寝ると言うのだ

 

すると、ルフィはふああ~~と大あくびをして

 

「島を出る気はねェし、この島で何が起きてるかも興味ねェし……ちょっとねむいし。ねる」

 

「はぁ!?」

 

「あ、兄貴……」

 

ヨサクとジョニーは愕然としていた

ゾロは頭を抱え、サンジは溜タバコを吹かし、レウリアは小さく溜息を付いていた

 

まったく出て行こうとしないルフィを見てナミがわなわなと震えだした

そして、物凄い剣幕で叫んだのだ

 

 

 

 

 

 

 

「………勝手にしろ!!! 死んじまえ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

吐き捨てる様にそう叫ぶと、そのまま走り去って行った

 

結局、誰もそんなナミを止める事は出来なかったのだった―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      ◆      ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょと、なによぉ~~」

 

「早く早く!!」

 

ノジコの手をぐいぐいと引っ張りながら、あの時のゴサの少年が走っていた

 

「海軍だ! 海軍が来てくれたんだよォ!! ゴサの町の生き残りのおじさんたちが政府に上手く連絡とってくれたんだ!! 海軍がおれ達の事を迎えに来てくれたんだよ!!」

 

ノジコには俄かに信じられない話だった

 

海軍が、今更助けに来る筈が無い

だが、少年に連れられて来た海岸で目にしたのは、見た事のない一隻の海軍船だった

 

「ほら!」

 

少年が息を切らせながら嬉しそうに叫んだ

 

「おれ達助かるんだ! この島から逃げられるんだ!!」

 

期待と希望を胸に抱いていた
嬉しそうな少年とは裏腹に、ノジコは無言のまま海軍船を見ていた

 

その時だった、突然 海軍船の目の前に大渦が現れたかと思うと、船がそのまま海底に飲まれていったのだ

ノジコ達の目の前で―――――

 

気が付いた時には、そこには海軍船など跡形もなくなっていた

 

「そ、そんな……」

 

先程まで希望を胸に抱いていた少年は、絶望の淵に落ちる様にその場に膝を付いた

 

「これが…現実だよ………」

 

ノジコには分かっていた

そう―――今までも、そうだったから

何隻、何十隻という沈みゆく船を見て来たから――――

 

だから、大人たちは誰も喜ぶことをしなかったのだ

 

 

「あたし達は、誰もアーロンの支配から抜け出す事は出来ないんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――アーロンパーク

 

 

「手間ァとらせたな……」

 

アーロンからの労いの言葉に、三人の幹部は何でもない事の様に手を上げた

 

アーロン一味の幹部

キスの魚人のチュウ

タコの魚人のハチ

そして―――エイの魚人 クロオビ

 

一味きっての幹部三人の出撃に、魚人達は3分ももたないと予測していたが

実際は、1分ぐらいで片がついてしまっていた

 

クロオビがアーロンの横に歩いてきながら

 

「なに、ここらの海図は風から深海まで全て把握してる。 ちょろいもんだ」

 

「おれらのピカイチの能力がありゃァ、この海におれ達の敵はねェ」

 

ハチが、6本の腕を動かしながらそう言うと、チュウが持っていた海図をちらつかせながら

 

「それと―――ナミの作った海図とな」

 

「こいつを見て、岩礁を動かしたんだぜ? 潮の流れだって全部わかるもん」

 

そうなのだ

大きな岩礁を強い潮の流れのど真ん中に動かし、大渦を出現させたのだ

ナミの海図を見て――――

 

「まったくよく出来た海図だぜ。 この世界の全ての海図をナミに作らせれば、おれ達は不滅の王者になれるものを……」

 

クロオビの言葉に、アーロンが静かに頷いた

 

「そうとも。 ナミは、“アーロン帝国”建国には不可欠な女なんだがなァ……惜しいこった」

 

と、わざとらしく残念そうに溜息を付いた

 

「惜しい?」

 

アーロンの意図が読めずハチが首を傾げると、代わりにチュウが

 

「ナミが一億ベリー貯めたら、ココヤシ村と一緒にあいつも離してやるっていう約束なんだよ」

 

その言葉に、驚いたのは他ならぬハチだった

 

「マジか~~!? マジで、アーロンさんナミを手放しちまうのかァ~? 勿体ねェ~~! マジで!? マジのマジで~~~~!?」

 

手をバタバタさせながらそう訴えるが

アーロンは、はぁ~~~~とわざとらしく溜息を付き

 

「仕方ねェさ! それが8年前のあいつとの約束さ。 おれは、金の上の約束は死んでも守る男よ。 おれァよ……」

 

そう言って、ニヤリと笑みを浮かべたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海軍がやられるシーン

すっぱり綺麗にカットしましたww

 

え?だって、要らなくね?とか思ったんでww 

2014/06/16