花薄雪ノ抄
     ~鈴蘭編~

 

◆ 鶴丸国永 「貴方だけに溺れたくて」

(刀剣乱舞夢 「華ノ嘔戀 ~神漣奇譚~」 より)

 

 

 

鳥の囀りが聞こえてくる。沙紀は微睡の中で、不思議と心地よさを感じていた。とても安心するような、落ち着くような。それでいて、ずっとこのままこうしていない様な――感覚。

余りにも気持ち良くて、思わずそれに顔を埋めてすり寄ってしまう。

と、その時だった。突然頭上から、くすくすと笑い声が聞こえてきたのだ。

 

え……?

 

瞬間、意識が覚醒する。はっとして顔を上げると――そこにいたのは……。

 

「り、りんさ、ん……っ」

 

そう――何故か沙紀は鶴丸の腕の中で眠っていたのだ。まさか状況に、思考が追い付かない。だが、鶴丸は左程気にした様子もなく、

 

「おはよう、沙紀。気持ち良さそうにしてたな。そんなに俺の腕の中は心地良かったか?」

 

「~~~~っ」

 

沙紀が声にならない悲鳴を上げたのは言うまでもなく。慌てて寝台から飛び出そうとする。が……後ろから伸びてきた鶴丸の手にあっさり捕まってしまった。

 

「り、りんさ……っ」

 

沙紀が顔を真っ赤にして抗議しようとするが、鶴丸はやはりくすくすと笑って離してくれそうになかった。それどころか、沙紀の身体をぎゅっと抱き締めると、

 

「沙紀、こっち向けって」

 

そう言って、ちゅっと沙紀の艶やかな漆黒の髪に口付けを落とす。それで、ますます沙紀が赤くなると、鶴丸はやはり笑って、

 

「向いてくれないのか?」

 

「……っ」

 

少し寂しげな声音でそういうものだから、沙紀が観念したように振り返ると、そのまま口付けが降って来た。

最初は、触れるだけだった口付けだったが、一度二度と繰り返す度に、どんどん深いものへと変わっていく。堪らず沙紀がぎゅっと鶴丸の衣も握り締めると、それに気を良くしたのか、鶴丸の沙紀を抱きしめる力が強くなった。

 

「……んっ、り、りんさ……ぁ……っ」

 

そのまま、沙紀は寝台に押し倒されてしまう。そんな沙紀に、鶴丸がくすっと笑って、沙紀の首筋を甘噛みすると、「ぁ……っ」と、沙紀が甘い吐息を零した。

 

その反応を見て、鶴丸は嬉しそうに笑うと、そのまま首筋から鎖骨へと唇を移動させる。そして、胸元まで下りて来ると、今度はそこに強く吸い付いたのだ。

 

「……ぁ、ん……っ」

 

その刺激に、思わず沙紀の口から甘い声が上がる。

 

「沙紀、可愛い」

 

そう言われたかと思うと、二度三度と続けられたのだ。その度に沙紀の身体に甘い痺れが走る。やがて、鶴丸が沙紀の夜着の腰紐に手を掛けようとした時だった。

 

沙紀が、はっと我に返って、慌てて鶴丸の手を掴んだ。

 

「沙紀?」

 

「だ、駄目です……っ、その……朝、ですし……。皆様、起きてきますし……」

 

もごもごと言い訳がましく、沙紀がそう言うと、鶴丸はぷはっと笑いだした。そして、ちゅっと沙紀の額に口付けを落とすと、

 

「その言い方だと、夜ならいいって聞こえるぞ?」

 

「そ、そんなつもりで言ったのでは……」

 

いや、あの言い方だと、朝じゃなければ良いと言っているも同然だった。

 

うう、恥かしい……。

沙紀が真っ赤になって俯いていると、鶴丸はやはりくつくつと笑いながら、そっと沙紀の瞼に口付けを落とす。

 

「夜、楽しみにしてる」

 

「……っ」

 

かぁっと、沙紀が真っ赤になったのは当然で――そんな彼女の様子に、鶴丸はやはり笑ってしまうのだった。

 

 

 

 

*** ***

 

 

 

 

「……という事があったのです」

 

「……」

 

その日の午後、何故か山姥切国広は沙紀に今朝の相談を受けていた。正直、何故自分に!? としか思えないその内容に、山姥切国広は頭を抱えていた。だが、その反面、頼られている事が嬉しく感じる己もいて……。

 

いつもなら「写しの俺に聞いてどうする」と答えるのだが、それすら言えずにいた。ちらっと、横目で沙紀を見ると、その頬はほのかに朱に染まってる。

それが、いつも以上に可愛らしく見えて、山姥切国広は思わず視線を逸らしてしまった。

 

「その、あんたは嫌だったのか?」

 

とりあえず、当たり障りのない言葉を選んで聞く。瞬間、沙紀が「え?」とその躑躅色の瞳を瞬かせた。そして、その顔を紅潮させながら、両手で押さえる。

 

「い、嫌という訳では……ただ、その……」

 

「……?」

 

そこで、言い淀む意味が分からない。山姥切国広が首を傾げていると、沙紀はちらっと横目で山姥切国広を見て、

 

「び、びっくりしたのです……。だって、起きたらまさかりんさんの腕の中にいるなんて……。昨夜の私は一体何をしてしまったのかと思って……」

 

「昨夜……」

 

この反応だと、どうやら昨夜、鶴丸に抱かれた訳ではなさそうだった。まあ、あの後戻ってこなかったので、保証はないのだが……。

などと、山姥切国広が思っていると、沙紀がじっと山姥切国広を見てきた。その瞳が余りにも真剣で、思わず山姥切国広がどきっとする。

 

「もしかして、山姥切さんは何かご存じなのですか?」

 

「……」

 

沙紀の問いに、山姥切国広が言い淀んでいると、沙紀がはっとして、

 

「ま、まさか……私、とんでもない醜態をさらしてしまったのですか……? それで、山姥切さんは気を遣われて――」

 

「あ、いや……」

 

昨夜は、単に沙紀が“審神者”の仕事中に疲れ果てて寝てしまったので、鶴丸が彼女を抱えて部屋に連れて行っただけなのだが……。その後何があったかまでは知らない。

山姥切国広は、咳払いをすると、

 

「と、とにかく、そういうのは無かった――と、思う。だから、安心したらいい」

 

と、そう言うので精一杯だったのだった。

 

 

 

 

*** ***

 

 

 

 

―――その日の、夜

 

 

沙紀が部屋で仕事をしていると、扉を叩く音が聞こえてきた。誰だろうと思いつつ、「どうぞ」と声を掛けると、鶴丸が姿を現した。

 

「沙紀、まだ仕事してたのか? もう、今夜はやめておけ。また昨夜みたいな事になるぞ?」

 

鶴丸のその言葉に、沙紀がぴたっと手を止める。それから、開いていたパネルを閉じると、おずおずと口を開いた。

 

「あ、あの……朝の事なのですが……」

 

「ん?」

 

「ど、どうして、その……私はりんさんの腕の中で、寝てたのかと思って……」

 

そう尋ねた沙紀の顔は真っ赤だった。そんな沙紀に悪戯心が湧いたのか、鶴丸はにやりと笑うと、そっと沙紀の傍に行き、その髪を優しく撫でながら、

 

「そりゃぁ、沙紀が俺を離してくれなかったからなあ」

 

「え……っ!?」

 

鶴丸のまさかの発言に、沙紀の顔がますます赤くなる。すると、鶴丸はくすっと笑いながら、

 

「大変だったんだぜ? 俺の衣を掴んで離さないし、しがみ付いて来るし、挙句の果てに、抱いて欲しいって――」

 

「も、もう、結構です……っ」

 

そう言って沙紀はとうとう、顔を今までにないぐらい真っ赤にさせて、手で覆ってしまった。そんな沙紀の様子に、鶴丸がくつくつと笑いだす。

 

「冗談だよ。まあ、俺の衣を掴んで離してくれなかったのは事実だがな」

 

そう言って、にやりと笑う。揶揄われたのだと分かり、沙紀が顔を真っ赤にさせて、「りんさん……っ!」と、鶴丸を睨んだ。

だが、そんな仕草も可愛く見えて、鶴丸はやはり笑ってしまった。

 

「も、もう、知りません……っ」

 

沙紀が、ぷいっと拗ねた様にそっぽを向くと、鶴丸はくつくつと笑いながら、

 

「悪かったって。国広から聞いたぞ? 今朝の事、国広に相談しただろ。まあ、国広は沙紀の初期刀みたいなもんだからな。頼りたくなる気持ちは分かるが――」

 

そこまで言って、一旦言葉を切ると、鶴丸はそっと後ろから沙紀を抱きしめてきた。そして、そっと耳元で囁くように、

 

「……ちょと、焼けるかな」

 

「……っ」

 

沙紀が慌てて振り返ろうとした瞬間だった。鶴丸が後ろから沙紀の顎を掴むと、そのまま自身の方に向かせて、その唇に自分の唇を重ねてきたのだ。

 

「り、ん……っ」

 

そのまま深く口付けされて、沙紀が堪らず、ぎゅっと強く鶴丸の衣を握りしめる。すると、鶴丸がくすっと笑って、角度を変えて更に口付けてきた。

 

「……ン……っ、ぁ……りん、さ……っ」

 

口付けの合間に零れる吐息に、鶴丸が煽られたかのように、更に深く口付けてくる。

 

やがて唇が離れると、鶴丸がその腕の中にすっぽり収まるように抱きしめてきた。それに抵抗する事も出来ず、されるがままになっていると、不意に耳元で、

 

「――俺のいない所で、他の男に相談するのは止めてくれよ?」

 

そう、甘く囁かれて……沙紀は思わず顔を真っ赤にさせて、頷くので精一杯だった。そんな沙紀に鶴丸がくつくつと笑う。そして、その頬に口付けると、そっと沙紀の身体を抱き上げてきたのだ。

そして、続き部屋の奥にある沙紀の寝室の方へと歩いて行くと、そのまま彼女を寝台の上に、優しく下ろした。

 

「あ、の……」

 

瞬間、今朝の鶴丸とのやり取り得を思い出してしまう。

 

『――夜、楽しみにしてる』

 

確かに彼はそう言っていたが、まさか今から……?

 

そう思うと、知らず沙紀の顔が朱に染まっていった。そんな沙紀の髪を優しく撫でながら、鶴丸が口付けをしてくる。

最初は、軽く触れるような口付け。それから段々と深くなって行き、いつの間にか沙紀の唇を割って、鶴丸の舌が侵入してきていた。

 

「ん……っ、ぁ……」

 

それを思わず受け入れてしまい……そのまま何度も角度を変えては繰り返される口付けに、頭がぼうっとし始めだした。

 

やがて唇が離れた時には、既に沙紀は身体に力が入らなくなっていて、とさっという音と共に寝台の上に押し倒されたのだが、そこに抵抗する気は起きなかった。

むしろ――もっとして欲しいと思ってしまっていたのだ。

 

そっと目を開けると、そこには熱を宿した金色の瞳があって、沙紀は恥ずかしさのあまり、顔を背けてしまった。

だが、鶴丸はそんな事お構いなしで、沙紀の首筋に顔を埋めてきた。そのまま強く吸い付かれて、思わず甘い声が上がる。

 

それに気を良くしたのか、鶴丸が更に強く吸い上げると、そこに紅い華を散らしたのだ。

 

その行為にすら感じてしまう自分がいて――沙紀は思わずぎゅっと瞳を閉じた。そんな沙紀にくすりと笑うと、鶴丸はそのまま首筋や鎖骨へと唇を移動させていったのだ。

 

「ぁ……っ、り、りん、さ……、待っ……」

 

「もう、十分待っただろう?」

 

そう言って、鶴丸は沙紀の着物の襟元を肌蹴させていくと、その胸元に強く吸い付いてきた。

 

「……ぁ、ん……っ」

 

瞬間、沙紀の口から甘い声が上がる。それに気を良くしたのか、鶴丸は更に何度もそこに口付けを落としていったのだ。そして――やがて唇が胸の先端へと辿り着くと、そこを軽く食んだのだ。途端、沙紀の身体がびくっと跳ね上がる。

 

「ぁ……ンン……っ、は……待っ……ぁ、あ……っ」

 

そのまま舌で舐め上げられて、甘噛みされて……それだけでも感じてしまうというのに、もう片方の胸にも手を這わせてきたのだ。その途端、沙紀の唇から一際大きな甘い声が上がった。

 

それに気をよくしたのか、鶴丸は胸への愛撫を続けたまま、片手を下へと這わせて行ったのだ。そして――そっと沙紀の脚を撫で上げると……ゆっくりと開かせていく。

 

その行動にぎょっとしたのは沙紀だ。慌てて脚を閉じようと力を込めるが、既に遅く、間に鶴丸の身体があって閉じられなかったのである。

そのまま下着の上から秘部を撫でられた瞬間だった。くちゅっという音が微かに聞こえてきて、沙紀は真っ赤になって思わず手で顔を隠してしまった。

 

その反応に気を良くしたのか、鶴丸がそのまま指でそこを撫で上げる。

 

「ぁ、ああん……っ、ゃ……は、ぁ……ン……っ。り、りん、さ……、あ、ああ……っ」

 

途端に、今まで以上に甘い声で鳴く沙紀を見たら、もう鶴丸は自分を止める事が出来なかった。

 

鶴丸はそのまま下着に手を掛けると、ゆっくりと脱がしていったのだ。やがて、何も身に着けてない生まれたままの姿になった沙紀は……恥ずかしさのあまり両手で顔を覆ったまま震えていた。

 

「――沙紀、凄く綺麗だ」

 

そう、耳元で甘く囁くと、鶴丸は沙紀の両脚をぐいっと大きく開かせた。その途端、沙紀の身体がびくっと震える。

更にそこを指で撫でると、そこはもうしっとり濡れていて、まるで早く欲しいとねだる様に吸い付いてきたのだ。それに気をよくして、鶴丸はそこに指を挿入していく。

 

「ぁあ……んっ! ……は、ぁンン……っ、だ、めぇ……っ」

 

瞬間、沙紀の口から悲鳴の様な声が上がる。だが、それすら今の鶴丸には煽る材料でしかなかった。そのまま指の数を増やしていくと、沙紀の口から甘い声が上がり続けた。

 

そして……やがて鶴丸の指がある一か所を突いた時、沙紀の身体がびくんと跳ね上がったのだ。

その反応に、鶴丸はそのままそこを集中的に攻め立て始めた。

 

「……ぁ、ああ、ん……っ、ゃ、ぁあ……っ、だめ……、だ、めぇえ……っ」

 

すると、沙紀は堪らないといった様子で身体を仰け反らせる。だが、それでもまだ足りないとばかりに、鶴丸は更に指の動きを激しくさせたのだ。

それに耐えられず、沙紀が悲鳴の様な声を上げる。だが、鶴丸はそんな事お構いなしに、そこを攻め続けた。

 

「……ぁ、ん……っ、ゃあ……は……ぁあ……り、ん――っ」

 

すると、沙紀の口から喘ぎ声と同時に、大量の蜜が溢れ出てくるではないか。それを全て掬い取ると、鶴丸はそれを自身の口に含んだのである。その途端、口の中に何とも言えない甘さが広がりだす。

 

それがとても美味しく思えて……そのままごくりと飲み込むと、今度は己の舌で舐め始めた。その間も沙紀の秘部からは蜜がどんどん溢れて来ていて……それを全て掬い取ると、鶴丸はそれを口に含んだまま、ゆっくりと顔を近づけていったのだ。そして……そのまま勢いよく吸い付いたのである。

 

「―――っ、ぁ……ああ、ん……っ!」

 

途端、沙紀の口から一際大きな悲鳴が上がる。だが、鶴丸は構わずにそのまま強く吸い上げたのだった。

その途端、沙紀のそこから大量の蜜が溢れ出てきて……それを全て飲み干す勢いで鶴丸は強く吸い続けた。

 

「ゃ、ぁあ……っ! は、ぁ……ンン……っ」

 

そして、舌で突起を舐め上げた時だ。沙紀の身体が大きく弓なりにしなったかと思うと……そのままぐったりと力が抜けたのだ。

 

どうやら達したようで、鶴丸はその口元を手の甲で拭いながら身体を起こすと、ゆっくりと顔を上げた。その瞬間、鶴丸の金色の瞳がすっと細められる。何故なら、目の前に酷く艶っぽい顔をした沙紀がいたからだった。

 

「沙紀……」

 

「……ん……」

 

そっと、頬を撫でると、沙紀が甘えるように擦り寄ってくるではないか。そのまま顔を近付けると、唇を重ねた。

 

「ん……っ、ぁ……は、ぁん……っ、りん、さ……ぁ……っ」

 

ちゅ……くちゅっと音を立てつつ、お互いに舌と舌を絡ませ合う。歯列をなぞり、舌を絡めて吸い上げると……沙紀の口から甘い声が漏れてきた。

 

沙紀の手がおずおずと鶴丸の首に回されると、もう抑えがきかなかった。

 

「沙紀……愛してる」

 

そう囁きながら、彼女の唇を貪るように口付ける。何度も角度を変えて口付ければ、次第に沙紀の瞳がとろんとしてきて、彼女の身体から力が抜けていく。

 

それを見計らって、鶴丸は沙紀の両脚を大きく開かせると、そのまま己の身体を割り込ませた。そして、既に硬くそそり立った自身を取り出すと、それを彼女のそこに押し当てたのだ。

すると、それだけでも感じるのか、沙紀がふるっと身体を震わせた。

 

だが、それに構わずに腰を進めると……ずずっと音を立てながらゆっくりと挿入していったのだ。

 

「ぁ……、ああっ……ン……っ」

 

堪らず、沙紀が声を洩らす。その途端、中がきゅっと締め付けてきて……鶴丸の口から思わず吐息が零れ出た。

 

「……っ」

 

その締め付けに、一度達しそうになりつつも……鶴丸はそのまま己の雄を押し進める。そして根元まで挿入しきった所で、大きく息を吐いたのだった。

 

すると、沙紀が微かに身体を震わせつつ、涙で潤んだ瞳を向けてくる。その瞳はとろんとしていて、酷く艶っぽい色をしていて……それがまた鶴丸の欲を刺激した。

 

「沙紀……動くぞ」

 

そう言って、そのままゆっくりと腰を動かすと、途端に沙紀の口から甘い声が漏れ始めたのだ。

それに気をよくして、鶴丸はそのまま激しく腰を打ち付け始める。

 

「……ぁ、ああん……っ、ゃ……あ、ああ……は、ぁん……っ」

 

すると、沙紀の口から甘い悲鳴が上がり始める。だが……それは決して苦痛からではない。その証拠に、彼女のそこは鶴丸の雄を締め付けて離さなかったからだ。

 

やがて、徐々にその動きを激しくしていくと……それに比例して沙紀の嬌声も大きくなっていく。

 

「ぁ、ああっ……ゃん……っ、りんさ……ぁあ、やぁん……っ」

 

沙紀の両手が鶴丸の両肩に置かれて、ぎゅっとしがみ付いてくる。その仕草すら可愛くて愛しくて堪らなかった。

 

「は、ぁ……ンン……っ、もぅ……だ、め……ぇえ……っ」

 

やがて限界が近いのか、沙紀が切羽詰まった声を上げる。それに気を良くして、更に激しく腰を動かすと……そのまま一気に奥まで突き上げたのだ。

 

「ああ……っ!」

 

瞬間、沙紀が背中を仰け反らせると、鶴丸の雄をぎゅうっと締め付けてきた。その刺激に、鶴丸はとうとう我慢出来ず、そのまま彼女の中に己の精を解き放ったのだ。同時に沙紀もまた達したようで、びくんと大きく身体を跳ねさせたかと思うと、ぐったりと力が抜けていった。

 

「はぁ、は……ぁ……」

 

びく、びくっと、沙紀が身体を痙攣させるように、寝台に沈み込む。その拍子に、鶴丸の雄がずるりと抜け出ていったのだが、それがまた刺激になったのか、沙紀の口から甘い声が上がった。

 

だが、流石にそれ以上はする気は無かったようで、鶴丸はゆっくりと身を起こすと、くたっとしている沙紀の頬を優しく撫でた。すると、沙紀の躑躅色の瞳が僅かに開かれて……ぼうっとした表情で鶴丸の顔を見上げてきた。そして次の瞬間だった。

 

突然、沙紀の顔が真っ赤に染まると、そのまま枕に顔を埋めてしまったのだ。

 

「沙紀?」

 

「は、恥ずかしいから見ないでください……っ」

 

と、枕に顔を埋めたままで返事が返ってくる。その仕草がまた可愛くて堪らなくて、鶴丸は思わず口元を緩めた。

だが、沙紀の身体に負担を掛けてしまったのもまた事実である。だから、そのまま彼女を優しく抱き寄せると、耳元でそっと囁いたのだ。

 

「――愛してるよ」と。

 

そして、彼女の額に口付けを落としたのだった。

 

すると、沙紀は顔を真っ赤にさせつつも、ゆっくりと顔を上げてきた。その表情はとても幸せそうで……鶴丸はそんな沙紀の唇にそっと自分の唇を重ねながら――。

 

 

「誓うよ。永遠にきみだけを愛すると――」

 

 

そう言って、再び彼女の身体を抱き寄せたのだった。すると、沙紀がおずおずと鶴丸の背に、自身の手を回してきて、

 

「私も……この気持ちは、りんさん。貴方様だけに――」

 

「ああ――ありがとう。沙紀」

 

そんな沙紀を優しく抱きしめながら、鶴丸はそっと微笑んだのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2025.03.02