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◆ シンドバッド 「Cold Day’s sun」
(マギ夢 「CRYSTAL GATE-The Goddess of Light-」 より)
―――シンドリア王宮・白羊塔
「寒い!!!」
執務室で仕事中、突然シンドバッドがそう叫んだ。思わず、その場にいたエリスティアとジャーファルが、顔を見合わせる。確かに、季節は「冬」にほぼ近いが、もともとシンドリアは南国。「冬」といっても、そんな寒がるほど冷えない。
まあ、確かに、今日は少し気温が低いようだが……。どうせ一時的なものだと思い、エリスティアも、ジャーファルも特に気に留めなかった。ので、反応すらせず、仕事に戻る。
「こらぁ! 無視をするな! 無視を!!」
と、スルーした二人に、シンドバッドが吼える。そんな彼に困った様に、エリスティアが溜息を付いた。
「シン、寒いのは分かったわ。とりあえず、仕事して?」
「そうですよ。あ、この書類とこの書類、急ぎなので、目を通したらサインして下さい」
と、ジャーファルまでもがそう言い出したかと思うと、どさっとシンドバッドの机に大量の書類を置いた。シンドバッドが、机に置かれた書類を見て、わなわなと震える。
「……お前達は、寒くないのか……っ」
声を震わせてそう言うが、言われた本人たちはけろっとして、
「寒くないわ」
「ええ、特には寒くはないですね」
などと答えたものだから、シンドバッドが だんっ! と、大きな音で机を叩いた。そして、エリスティアとジャーファルを指さし、
「嘘をつくな、嘘を!! エリスは肩からショールを羽織っているし、ジャーファルに至っては厚着をしているじゃないか!!」
と、叫んだ。
確かに、エリスティアはドレスの上から、乾燥避けにショールを羽織っている。しかし、それは夏場でもよくある光景だった(夏は日差し避け)。ジャーファルに関しては、いつもの長袖の官服だ。別段、厚着はしていなかった。なので、シンドバッドにそう叫ばれても、二人は首を傾げるだけだ。
それに、はっきり言って、そう叫ぶほどの寒さではない。とどのつまり、シンドバッドは仕事に飽きている――という事だろう。だが、国政を疎かにされては、溜まったものではない。
はぁ……、とエリスティアが呆れにも似た溜息を零す。そして立ち上がると、
「私は奥の間から、シンが羽織れるものを探してくるから、ジャーファルは侍女に頼んで、何か温かい飲み物を用意してくれる? 少し休憩にしましょう」
エリスティアのその言葉に、ジャーファルが頭を抱えて盛大な溜息を付いた。
「……そうですね。シンの集中力も切れているようですし――少し一息入れましょう」
「じゃぁ、お願いね?」
「分かりました」
そう言って、ジャーファルが執務室を出ていく。エリスティアは続き部屋になっている奥の間へ向かった。そこは、王のプライベート空間になっており、仮眠を取ったりするための、ベッドなども置かれているのだ。
エリスティアはカーテンを開けて中に入ると、辺りを見渡した。とりあえず、何でもいいので、何か羽織れるものを――と、思いクローゼットの方を開けようと手を伸ばした、その時だった。
「――エリス」
不意に、背後からシンドバッドの声が聞こえたかと思うと、後ろからその手を掴まれたのだ。驚いたのは、エリスティアだ。てっきり、執務室側にいると思ったのに、背後から声を掛けられたのである。驚かない訳が無い。
すると、シンドバッドのもう片方の手が、エリスティアの腰に回されたのだ。そのまま、背後から抱きすくめられるような恰好になり、エリスティアの心臓が大きく跳ねた。そんなエリスティアの耳元で、シンドバッドが囁くように 口を開く。
「……なあ、知っているか?」
「え……?」
何を、と思っていると、シンドバッドの唇が、エリスティアの耳朶を食んだのだ。
「……ぁ……っ」
途端、エリスティアの口から甘い声が漏れる。それに気を良くしたのか……はたまた、我慢が出来なかったのか、シンドバッドがそのまま、エリスティアの耳を舌でなぞった。そして、耳朶を甘噛みし、耳の裏を舐め上げてくるではないか。
「ん……っ、は……ちょ、待っ……シ、ン……っ」
その刺激に、エリスティアは甘い声を上げながら、シンドバッドの腕から逃れようともがいた。だが、シンドバッドの力に敵う訳が無い。しかも、いつの間にか彼の足が、エリスティアの足の間に入って来ていたのだ。そのまま、足を絡められ、閉じられないように固定される。
その結果、エリスティアはシンドバッドの腕に拘束されているような恰好になった。これでは身動きが取れない。すると、さらに耳を舐めていたシンドバッドの舌が、エリスティアの首筋をゆっくりと辿り始める。
その間も、腰に回された手は彼女のドレスの上を這い回り、その裾をたくし上げて行く。そして、もう片方の手が、ドレスの上から彼女の胸に触れた。
「……ゃっ、だ、だめよ……シン……っ、今は……」
「どうしてだ? 一番温かくなる方法――だろう?」
シンドバッドの言わんとする意図が分かり、エリスティアが、かぁっと一瞬にして頬を朱に染めた。だが、今は執務時間で、ジャーファルもいつ帰って来るか分からない。ここで、彼の思惑に負けて、抱かれる訳にはいかなかった。
「と、とにかく! 今は駄目よ、もう……っ、離れて!!」
そう言って、シンドバッドを押し返そうとするが――腰をがっちり固定されていてびくともしない。シンドバッドは、エリスティアが抵抗している事などお構いなしで、彼女のドレスの胸元を引き下ろした。
すると、黒のレースに縁どられた白い下着に包まれた豊かな胸が零れ落ちる。それに気を良くしたのか、シンドバッドが喉奥でくっと笑みを零した。そしてそのまま、その胸の飾りを指の腹で押しつぶしたのだ。
「……ぁあ、ん……っ!」
途端、エリスティアの口から甲高い声が漏れる。だが、執務室にはジャーファルが戻って来ているかもしれない。そう思うと、恥ずかしさから、エリスティアは唇を噛んで声を抑えようとした。と、そんな彼女の耳元で シンドバッドが囁く。
「エリス……お前の声を聞かせてくれ。我慢などするな」
「……っ、ば、馬鹿な、こと……言わ、ないで……っ、今は、駄目って……っ!」
「そうか? 俺は気にしないがな」
そう言ってシンドバッドは、エリスティアの胸に触れたままの手をゆっくりと動かすと、彼女の体のラインをなぞり始めたではないか。そのまま上へとたどって行き、横腹を撫で擦る。途端、エリスティアの口から甘い声が零れた。
「ぁ……ん……っ」
「……ほら、エリス。我慢などするな」
そう言って、シンドバッドはエリスティアの耳朶に軽く歯を立て、そのまま首筋を舐め上げた。途端、彼女の口から甘い嬌声が上がる。と、その時だった。
「シン? エリス? こちらの部屋にいるのですか?」
カーテンの向こうから、戻って来たジャーファルの声が聞こえてきたのだ。ぎくりと、エリスティアの顔が強張る。だが、それでもシンドバッドは止める気は無い様で、今度は胸の飾りをきゅっと摘まんだ。途端、エリスティアの身体がびくんと大きく跳ねた。そして、そのまま手を上下に動かされて扱かれると、途端に甘い声が上がる。
「……ぁっ、ぁあ、ン……っ」
瞬間、シンドバッドがほぅ……っと感嘆した様な声を上げた。するとそれに気を良くしたのか、シンドバッドは胸の飾りを摘まんだり、弾いたりしながら、もう片方の胸の飾りを口に含む。そして、強く吸い上げたかと思うと、舌で舐めまわしだしたのだ。
「……は、ぁん……シ、シン……ゃ、め……っ、ぁあ……っ」
その刺激に、エリスティアの身体が大きくしなる。それを抱きしめて抑え込むと、今度は彼の空いている手が、下肢へと伸びて行った。そしてそのまま布の上から秘部に触れられた途端、びくんとエリスティアの身体が跳ねる。
「……ゃ、だめ……っ、シ、ン……ッ」
「嘘を吐くな。駄目ではないだろう? エリスのここは濡れて来ているぞ?」
そう言って、シンドバッドは布越しに彼女の秘部をぐりぐりと指で押した。途端に上がる甲高い声。その声をもっと聞きたくて、さらに指を動かすと、下着からくちゅりと粘着質のある水音が響いたではないか。それに気を良くしたシンドバッドが、今度は秘裂に沿って指を前後に動かし始める。すると、くちゅ……という淫らな水音が聞こえてきた。
その音が恥ずかしいのか、エリスティアの目からは涙が零れる。それに気が付いたシンドバッドが、一旦愛撫の手を休めたかと思うと、彼女の涙をぺろりと舐めたのだ。そして、そのまま顔中に口付けの雨を降らせると、最後に唇にも口付けをする。
「ん……っ、シ、ン……ぁ……は、ぁ……っ」
次第に、甘い声へと変わっていくエリスティアに、シンドバッドがくすりと笑みを浮かべる。そして、彼女の柔らかな唇へ何度も何度も口付けをした。エリスティアの頬が、愛らしいピンク色へと染まっていく。
その間も下肢に這わされた手の動きは止まらず、むしろ激しくなっていた。下着の上から秘部を弄っていた手が中へと入り込み……直に花芽に触れられる。途端、びくんと大きくエリスティアの身体が跳ねた。それに気を良くしたのか、シンドバッドがそのまま花芽を摘まみ上げる。そしてそれを押しつぶす様に指を動かすと、彼女の身体がびくびくと痙攣したではないか。
だが、それでもシンドバッドは手を止めなかった。むしろ、秘裂から溢れる蜜を指で掬い取り、花芽へと塗り付けるように動かしている。その刺激が堪らないのか……エリスティアの口からはひっきりなしに甘い声が上がった。
「ぁ、あ……っ、ん……は、ぁ……シ、ン……もぅ……ぁっ」
「ん? どうした、エリス」
そう言いつつ、シンドバッドは花芽を強く押しつぶす。その瞬間、エリスティアが大きく背中を弓なりに反らし、声にならない嬌声を上げて達した。しかし、シンドバッドがさらに指を動かして刺激を与える。そして、そのまま指を膣内へと挿入すると中で動かし始めたのだ。その動きに合わせて上がる粘着質な水音。エリスティアのそこは、シンドバッドが指を二本入れてもきつく締め付けるだけではないほどぐずぐずに蕩けていた。
瞬間、シンドバッドが熱い吐息を零す。そして、指を引き抜くとそのままエリスティアの下肢へと顔を寄せた。何をされるのか分かったのだろう、エリスティアが慌てて制止の声を上げる。だが、シンドバッドは彼女の声など無視して、そのまま下肢へ顔を埋めると、秘裂に口付けをした。
「――ぁあ……っ!」
途端、びくんと大きくエリスティアの身体が跳ねる。それに気を良くしたシンドバッドは、そのまま花芽を口に含み吸い上げる。するとまたも甲高い声が上がり、膣内からは大量の蜜が溢れ出した。その蜜を啜り、飲み干していくシンドバッド。そして、秘裂から溢れる蜜を全て舐めとると、そのまま彼女の秘部に舌を這わす。すると、エリスティアの口からはひっきりなしに甘い声が上がり続けた。
「シン……、シ、ン……っ、だ、め……っ、ゃ……ぁあん……っ!」
シンドバッドが、今度は膣内へと指を入れる。そして、ゆっくりと抜き差しを始めたのだ。途端、くちゅくちゅという水音とエリスティアの嬌声が部屋に響く。その声がもっと聞きたくて、シンドバッドは指を動かし始めた。
同時に花芽を吸い上げ、舌で舐め上げ、膣内のざらついた部分を擦り上げると、エリスティアがまたも達したようだった。だが、シンドバッドはその動きを止めない。そのまま指を三本に増やして抜き差しを始めると、今度は彼女の感じる部分を重点的に攻め立てたのだ。すると、エリスティアの身体が弓なりに反り返り、びくびくと痙攣を繰り返す。
「ゃ……あ、ぁ……っ、シ、ン……っ、もぅ……だめぇ……っ」
「ん? 何が駄目なんだ?」
そう言って、シンドバッドは膣内に入れた指をバラバラに動かし始めた。その動きに合わせるように、花芽を舌で舐め上げ吸い上げる。するとエリスティアがまた達したようで大きく身体をしならせ――そのままぐったりと力が抜けてしまった。
その隙にとばかり、シンドバッドが彼女の下肢から顔を上げる。そして、力の抜けたエリスティアの身体を抱き上げると、そのままベッドへと移動した。そしてその上に彼女を横たえる。荒い息を繰り返すエリスティアを見下ろし、シンドバッドが情欲に濡れた笑みを浮かべたまま問いかけた。
「エリス……愛してる。お前が、欲しくてたまらない――」
その言葉に、何を求められているのか察したのだろう。頬を朱に染めると、エリスティアは口を開こうとした。しかしその前に、シンドバッドが口を開く。
「俺の事を好きだと言ってくれ」
「……っ」
その切なげな声に、エリスティアは息を呑んだ。そのまま静かに目を閉じる。そしてゆっくりと目を開くと、その美しいアクアマリンの瞳でシンドバッドを見つめた。そのまま、その手を彼の頬へと手を伸ばすと、
「……好きよ、シン。貴方を愛してる」
それは、彼だけにしか聞こえない声で囁かれた言葉。その言葉にシンドバッドは嬉しそうに笑みを浮かべると、ゆっくりと顔を近づけ、彼女の唇に自らの唇を重ねた。
そのまま何度も口付けを交わす。二度三度と繰り返すうちに、次第に彼女の瞳がとろんっとしてきて、身体の力が抜けてきた。
それを見計らって、シンドバッドは彼女の唇から己のそれを離すと、そのまま下へとずらしていった。そして首筋を舐め上げた後、胸元に口付けたかと思うと強く吸い上げたのだ。それと同時に、彼の指が再びエリスティアの秘裂へと潜り込む。その刺激に、エリスティアが甘い声を上げた。
だが、それはすぐに嬌声に変わる。シンドバッドの指が膣内で動き始めたからだ。そして同時に花芽を舌で舐め上げ始めると、エリスティアの口からはひっきりなしに甘い声が上がるようになった。
「――ぁあ、ん……っ、ゃ……は、ぁ……シ、シン……っ」
あれだけ抵抗していたエリスティアが、堪らずシンドバッドにしがみ付く。すると、シンドバッドはさらに指の動きを激しくした。それと同時に花芽を甘噛みし、強く吸い上げた途端、エリスティアが大きく背を弓なりに反らし、達したようだ。
だがそれでも、シンドバッドが手を止める様子は無い。そのまま指を増やして膣内を攻め立て続けると、一度上り詰めたはずの彼女の身体が再び痙攣し始めたではないか。
それに気付いたのか、シンドバッドが一旦動きを止める。そしてゆっくりと指を引き抜くと、そのまま彼女の秘部へと再び顔を埋めた。
「シ、シン……そこは……っ、ぁあ、ん……っ」
途端、エリスティアが慌てて口を開く。
だがそれよりも早くシンドバッドは、くちゅり……という粘着質な水音と共に秘裂に舌を差し込んだのだ。瞬間、今まで以上の快楽に襲われたのか――エリスティアの口から甲高い声が上がる。その反応を見て気を良くしたのか、シンドバッドはさらに深く舌を差し込んだかと思うと抜き差しを始めたのだ。
その度に膣内からは蜜が溢れ出し、ぴちゃっぴちゃっと粘着質な水音が響く。その音に煽られるように、シンドバッドの動きも次第に激しくなっていった。そしてそのまま舌を抜き差ししていたかと思うと、今度は指を差し込み、膣内を搔き回し出したのだ。
その動きに合わせるよう、エリスティアの口から嬌声が上がる。もうまともな言葉など紡げない様で、ただただ甘い声が上がり続けた。
シンドバッドは更に指を増やして抜き差しを始めると、同時に秘裂から溢れる蜜を啜り上げる。そして、花芽に舌を這わすと強く吸い上げた。
瞬間、エリスティアの身体が弓なりに反れ痙攣する。びくびくっと何度も小刻みに身体を震わせた後、ぐったりと力が抜けてしまったようだ。だがそれでもシンドバッドは愛撫を止めず、今度は膣内のざらついた部分を擦り上げ始めたではないか。その刺激にまたも甘い声を上げ始めるエリスティアだったが――突然、彼女の口から悲鳴が上がる。
それはそうだろう。今まで散々弄られ続けた花芽を、シンドバッドが強く吸い上げたのだから。しかもそれだけではない。秘裂からは大量の蜜が溢れ出し、シーツに大きな染みを作っていった。
その刺激に耐えられるはずもなく、エリスティアは立て続けに絶頂を迎えていたようだ。それでも構わず愛撫を続けるシンドバッドだったが……流石にそろそろ限界だったらしい。
「エリス……いいか?」
その言葉に、エリスティアが熱に浮かされたままの表情で小さく頷いた。それを見たシンドバッドは笑みを浮かべたまま上体を起こすと、そのまま服を脱ぎ捨てる。そして、己の剛直を彼女の秘裂へと宛がい、一気に貫いたのだ。その瞬間、エリスティアの口から甲高い悲鳴が上がる。だがそれも一瞬のだけで。
「ぁあ……っ! シ……ン……っ!」
エリスティアの口からは甘い嬌声が響く。どうやら、痛みよりも快楽の方が勝ったらしい。そのままゆっくりと抽挿を開始すると、その動きに合わせるように彼女の口からも艶やかな声が上がり始めた。
最初は緩やかだった動きが次第に激しくなり、やがて肌同士がぶつかり合う音が部屋に響き渡るほどになる頃には、エリスティアの唇からはもう意味のある言葉は紡がれていなかった。ただひっきりなしに上がる嬌声だけが部屋に響く。そしてそれはシンドバッドの動きが激しくなるにつれて高くなっていった。
「エリス……っ」
シンドバッドの切羽詰まった声が上がる。そしてそのまま最奥を突き上げた瞬間、彼の剛直は彼女の子宮口へと到達していた。その瞬間、今まで以上の快楽に襲われたのか――エリスティアが大きく背を弓なりに反らしながら達してしまったのだ。同時に膣内が痙攣したように震え、その刺激に抗うことなく……シンドバッドもまた己の欲望を解き放ったのである。
ドクンドクンと脈打ちながら吐き出される白濁液を受け止めた瞬間、エリスティアの身体が小さく跳ね上がった。そしてそのまま力なくベッドに横たわると、荒い呼吸を繰り返し始める。
そんなエリスティアの様子に苦笑を浮かべつつ、シンドバッドはゆっくりと彼女の中から己自身を抜き去ったのだった。
それから少しして、ようやく落ち着いたのか、エリスティアの呼吸が穏やかなものに変わっていく。そんな彼女の様子を確認してから、シンドバッドは再び彼女に覆い被さった。そのままゆっくりと口付けを落とすと、愛おしげに彼女の頬へと手を伸ばす。そうして何度か啄むような口付けを繰り返した後、そっと顔を離すと至近距離で見つめ合ったまま口を開いたのだ。
「愛してる、エリス」
「シン……」
そう言って、今度はどちらともなく唇を重ね合わせる。そのまま何度も角度を変えつつ口付けを繰り返していくうちに、自然と互いの舌を絡め合わせるような深いものへと変わっていった。そしてそのまま深く貪り合うような激しい口付けを交わし続ける。
漸く唇を離した頃には、二人共すっかり息が上がってしまっていた。そのままエリスティアの横に寝転ぶと、シンドバッドは彼女の身体を抱き寄せるようにして腕枕をした状態で横になった。すると、彼女がおずおずと擦り寄ってきたではないか。そんな可愛らしい行動に笑みを浮かべたまま頭を撫でると、ゆっくりと口を開く。
「な? 俺の言った通りだっただろう?」
「……え?」
唐突な言葉に、一瞬何を言っているのか理解できなかったのか。きょとんとした表情を浮かべて、シンドバッドの顔を見つめ返したエリスティアだったが、すぐに言葉の意味を理解すると慌てて顔を逸らしてしまった。どうやら恥ずかしかったらしい。だがそれでも否定の言葉を口にしなかったという事は、つまりそういう事だろう。
その反応を見て取ったシンドバッドが笑みを浮かべると、そのまま彼女の身体を抱き寄せた。すると途端にエリスティアの身体に緊張が走るのが分かる。そんな彼女を落ち着かせるかのように優しく頭を撫でながら、シンドバッドは言葉を続けた。
「いいじゃないか。身体も温まるし、いい休憩にもなるし、いい事尽くめだ。それに――」
そこで一旦言葉を切ると、そっとエリスティアの頬に手を伸ばした。そして、そっとその唇に指を這わすと、
「……エリスも、可愛いしな」
そう言って笑みを浮かべたまま口付けを落としたのだった。
一瞬、何が起きたのか分からなかったのだろう。エリスティアは、そのアクアマリンの瞳を大きく見開くとそのまま固まってしまう。だがそれも少しの間だけで、すぐに顔を真っ赤に染め上げると俯いてしまった。そんな彼女のストロベリー・ブロンドの髪を優しく梳きながら、シンドバッドはくすりと笑みを浮かべると、
「エリスの可愛い所が見れるなら、俺は毎日でお前を抱きたいくらいだけどな」
「……っ」
その言葉に、ますます顔を赤くしたエリスティアだったが、むぅっと頬を膨らませて、
「な、何言って……、その、毎晩……私を抱いているのは誰よ……」
「ははっ! 確かにな!! だが、夜は夜だ。こうして昼に触れ合うのもいいだろう? 特に、昼間だとエリスの愛らしい顔がよく見える」
そう言って、シンドバッドはエリスティアの頬をすっと撫でた。その手が余りにも優しすぎて、エリスティアがきゅっと目を瞑り、ぴくんっと肩を震わす。すると、シンドバッドはそっと、彼女の柔らかな唇に再び口付けを落とした。
「エリス――」
甘く名を呼び、何度も口付ける。そして、彼女の口内へと舌を滑り込ませたかと思うと、そのまま絡め取った。
「……んっ、ぁ……っ、ぁ……は、んっ……」
くちゅりという音が部屋に響き渡る。それがとても厭らしい音に思えて、エリスティアは思わず身体を硬直させてしまったようだ。だがそんな彼女の反応を楽しむかのように、シンドバッドは更に深く口付ける。
やがて満足したのか、ゆっくりと離れていく唇と自身の舌先を繋ぐように、銀色の糸が伸びていくのを見て、エリスティアの頬が真っ赤に染まった。それを楽しげに見遣りつつ、彼はそっと耳元で囁く。
「やっぱり、可愛いな」
「……っ」
ただそれだけで、エリスティアの身体が小さく跳ね上がった。そんな反応を楽しむかのように笑みを浮かべつつ、シンドバッドは再び彼女の頬を撫でるとそっと抱き寄せた。そしてそのまま優しく身体を抱き締める。その温もりに安堵したのか……エリスティアもまたおずおずと身を寄せると、甘えるように彼の胸に頬をすり寄せたのである。
そんな可愛らしい行動を見せる彼女に愛おしさを覚えつつ、シンドバッドはそっと彼女の柔らかなストロベリー・ブロンドの髪を梳いた。そして、すっとその髪に口付けを落とすと、
「なぁ、エリス。そんなに甘えてくるって事は、俺にもっと抱いて欲しいって事だよな?」
「……え」
エリスティアは、一瞬何を言われたのか、理解出来なかった。が、はっとして慌ててシンドバッドの腕から逃れようとするが――時、既に遅く、彼はエリスティアを抱き締めたまま離そうとはしなかった。それどころか、ますます彼女を抱き締める手に力を籠める。
「ちょっ……ま、待っ……んんっ」
エリスティアが身の危険を感じ、何とか抵抗の意を言葉にしようとした時である。その唇は、あっという間にシンドバッドによって塞がれてしまったのだ。そうして何度も角度を変えつつ、深い口付けを交わしていくうちに、エリスティアの身体から力が抜けていった。何も考えられず、思考が追い付いてこない。
それを確認したところで、漸くシンドバッドが唇を離すと、彼女はすっかり蕩けきった表情になっているではないか。とろんとした、アクアマリンの瞳がなんとも、艶めかしい。
そんなエリスティアの様子を見て満足そうに笑みを浮かべると、シンドバッドは彼女の耳元に唇を寄せて囁いたのだ。その声音は低く甘く、まるで媚薬のようにエリスティアの脳内に染み渡っていく。そしてそれはすぐに全身へと行き渡り、彼女の身体から抵抗する力を奪ってしまったようだった。
シンドバッドはそんな彼女の反応を楽しむかのように、今度は彼女の耳朶を食んだり舐めたりし始めたのである。
「ん……っ、ぁ……」
その度にエリスティアの口から甘い吐息が漏れ出すのを聞いて、彼は更に行為を続けていった。そしてついに我慢出来なくなったのか、再び深く口付けると同時に、その細い身体を強く抱き締めたのである。何度も角度を変えて口付ける。そうすると、エリスティアの肩がぴくんっと震えた。それでも、シンドバッドは止めなかった。くいっと彼女の顎に手を掛けると、上向かせる。そして、そのまま深く口付けた――その瞬間である。シンドバッドの舌がエリスティアの口内へと侵入してきたのだ。そのまま絡め取られ、強く吸われる。
「……んっ、ぁ……ふ、ぁ……っ、は、ンン……っ」
突然の出来事に戸惑うエリスティアだったが、すぐに彼の舌の動きに翻弄されてしまう。歯列をなぞられ上顎を舐められると、それだけで甘い痺れが全身を駆け巡っていったのだ。
だがそれでも必死に抵抗しようと試みるも……やはり無駄だったようで、結局は為す術もなくされるがままになってしまう。その間にも、彼は容赦なく攻め立てていったのである。
「シ、シン……待っ……」
「待たない」
そう言って、そのまま彼女の唇を貪るかの様に、口付けをどんどん深くしていった。口内を蹂躙し、何度も角度を変えつつ行われる激しい口付けに、エリスティアは息苦しさを覚え始めていたのだが、それでも彼は止まらなかった。それどころか更に激しさを増していく一方だったのである。
やがて、漸く解放された時にはすっかり息が上がっていた。そんなエリスティアの様子を愛おしげに見つめつつ、シンドバッドはそっと彼女の頬に手を添えた。すると、彼女はおずおずといった感じで顔を上げるではないか。その瞳には涙が浮かんでおり、今にも零れ落ちそうになっている。それをぺろりと舌で舐め取ってやると、そのまま瞼へと口付けを落とした。そしてそのまま額や鼻の頭などにも次々と口付けの雨を降らせてゆく。
最後に唇へ触れるだけの軽い口付けをすると、彼はゆっくりと身体を起こした。そして、そのままエリスティアの身体を抱き上げると、自分の膝の上に座らせるような格好にしたのだ。
突然の事に驚く彼女だったが、抵抗しようにも身体に力が入らなかったようで、結局されるがままになってしまう。そんなエリスティアの様子に満足したのか、シンドバッドは再び彼女の唇を奪ったのだった。
今度は触れるだけのものではなく、もっと深く貪るような口付けだった。何度も角度を変えつつ繰り返されるそれに、次第にエリスティアの身体からどんどん力が抜けていった。そうして完全に脱力しきってしまうと、漸く彼は解放してくれる気になったらしい。最後にちゅっと音を立てて唇を離すと、そのまま耳元に顔を寄せてきた。そして、低く甘い声音で囁くように言うのである。
「エリス――もう一回、抱いていいか?」
その言葉に、エリスティアは顔を真っ赤に染め上げると小さく俯いてしまったようだ。だがそれでも彼はお構いなしといった様子で再び彼女の唇を奪ったかと思うと今度は舌を差し入れてきたではないか。突然の事に驚きつつも必死に応えようとするものの上手くいかないらしく、結局されるがままになってしまうのだった。
シンドバッドの舌が歯列をなぞり上顎を舐め上げてくる度にぞくぞくとした感覚に襲われてしまい身体が震えてしまう。
「んっ、ぁ……シ、ン……おね、が……待っ……ぁ、は……ん……っ」
「エリス……」
懇願するような、彼女の言葉に、シンドバッドはくすっと笑いながら、
「こんなお前を前にして、止められる訳ないだろう?」
そう言って、更に深く口付けたのだ。
甘く名前を呼ばれながら、何度も角度を変えつつ深い口付けを交わしていく内に、次第に頭がぼうっとしてきて何も考えられなくなっていく。ただ目の前にいる彼の事だけが頭を占めるようになり、気が付けば自ら積極的に舌を絡ませていた。そんな反応を見て気を良くしたのか、シンドバッドはそのまま彼女の後頭部に手を添えて逃げられないようにすると、更に深く貪り始める。
そして暫くして漸く満足がいったのか、ゆっくりと顔を離すと二人の間に銀糸が伸びていき、やがてぷつりと切れた。
エリスティアはすっかり蕩けきった表情でぼんやりと彼を見つめているだけだったが、それでも何とか意識を保ちつつ呼吸を整えようと必死になっていた。そんな彼女の様子を見て取ったシンドバッドはそっと彼女の頬に手を添えると優しく撫でながら言う。そしてそのままゆっくりと顔を近付けていき耳元で囁いたのだ。
「俺のエリス――」
その声音はとても甘く、まるで毒のようにエリスティアの脳髄を溶かしていった。それに逆らう術もなく、彼女はただ黙って彼の言葉に耳を傾けるしかなかったのである。だがそれでも抵抗しようと試みたのか僅かに身を捩る素振りを見せたもののすぐに諦めてしまったようだ。そんな彼女の様子を見て取ったシンドバッドはくすりと笑みを浮かべるとそっと頬を撫でた後再びその唇を塞いだのだった。そして先程よりも激しく、貪るような口付けを施していったのである。
くちゅりという音が部屋に響き渡る中、エリスティアは次第に身体の力が抜けていき立っている事すらままならなくなっていったようで、遂には膝から崩れ落ちそうになったのだが、それをシンドバッドが支えてくれたお陰で、事なきを得たようだ。だがしかしそれも束の間の事だった。
シンドバッドの手が、エリスティアのドレスの中へと滑り込んできたのだ。そしてそのまま器用に、肩紐を解くと、ぱさりと、ドレスがシンドバッドの横に落ち、あっという間に下着姿になってしまったではないか。しかもそれだけではなく、彼はエリスティアの首元に顔を埋めると強く吸い上げたのである。
「……んっ」
ちくりとした痛みを感じつつも、エリスティアはされるがまま、抵抗する事すら叶わなかった。その様子を見て取ったシンドバッドは、そのまま首筋から鎖骨へと舐め上げるように移動していくと、今度は既に露になっている胸の膨らみへと手を這わせていったのである。
最初は優しく触れるだけだったのだが次第に強く揉みしだき始めてしまった為に、思わず声が出そうになってしまったエリスティアだったが、寸での所で何とか堪える事に成功した。だが、それも時間の問題なのは明白だった。何故なら既に身体が熱くなり始めている上に、シンドバッドの手つきが段々と厭らしいものに変わってきているからだ。
そしてとうとう我慢出来なくなったのか、彼は彼女の耳元で囁いたのである。
「エリス――声、聞かせてくれ」
それはまるで悪魔の囁きのようでもあったのだが、今のエリスティアにとっては甘美なものに他ならなかったようで、小さく身体を震わせると、ついに甘い吐息を漏らしてしまった。
そんな彼女の反応を見たシンドバッドは満足げに笑みを浮かべると、そのまま彼女の胸元へと手を這わせていった。そして直に胸の先端部分に触れた瞬間、
「あぁ……っ」
エリスティアの口から一際大きな声が上がる。
その反応を見たシンドバッドが今度はそこを重点的に攻め立て始めた為、エリスティアはもう声を抑える事が出来なくなってしまったようだ。
「……ぁ、ああ……っ、は、ん……ゃ……ぁあ、ん……っ」
絶え間なく聞こえる、彼女の艶めかしい声に、シンドバッドが、更にエリスティアの腰から、背を撫でる様に、手を動かし始める。
そうして何度も執拗に責められ続けた結果、遂に限界を迎えてしまったらしく彼女は大きく背をしならせると絶頂を迎えたのだった。
その様子を見て取ったシンドバッドは満足そうに微笑むと、そっと彼女の身体のラインをなぞる様に手を動かし、自身の膝の上で、固定させた。そうして、散々エリスティアの身体を堪能したのだ。
彼女の太腿を撫で回し、その合間に、唇を貪る。空いた手で、そのふくよかな胸に身を沈め堪能する。四方八方から攻められ、もうエリスティアは、シンドバッドにしがみ付く事で精一杯だった。自身の身体を支える力すら入らず、彼に頼るしか方法がない。
だが、シンドバッドの行為は止まる所か、激しくなる一方だった。シンドバッドは、エリスティアの身体を反転させると、そのままベッドへと押し倒したのである。そして、その上に覆い被さる様にして、彼女の上に跨がると再び深い口付けを交わし始めた。
今度は先程とは違いゆっくりと味わうような口付けだった為、エリスティアも応えるように舌を動かし始める。互いの唾液を交換し合いつつ、何度も角度を変えつつ行われるそれに、次第に頭がぼんやりとしてきて、何も考えられなくなる程に夢中になってしまう。
やがて満足したのか漸く唇を離すと、二人の間に銀糸が伸びていった。それすらも逃さないといった様子で、シンドバッドは彼女の唇をぺろりと舐め上げ、そのまま首筋へと移動させて行く。そして鎖骨の辺りを強く吸い付き赤い痕を残すと満足げに微笑んだ後、更に下の方へと降りて行ったのである。
そうして辿り着いた先は胸元だった。そこでも、何度も強く吸い上げては痕を残していったのだが、その度にエリスティアは小さく身体を震わせていた。だがそれでも彼女は抵抗せず、されるがままになってい。否、もう恐らく「抵抗」する力すら残っていないのだろう。
やがて、漸く顔を上げたシンドバッドだったが、その表情はとても満足そうなものだった。だが、それと同時に、もっと彼女に触れたいという欲求が生まれる。誰にも触れさせず、鳥籠に閉じ込めて、自分のだけの物にしてしまえれば――どんなにいいか。
だが、もしそうしたら、きっとエリスティアは一生シンドバッドを許してはくれないだろう。それが解っているからこそ、今、この瞬間だけでも、彼女が自分のものだという事実が欲しかった。
「エリス――少し我慢してくれ」
「え……、っ、ぁあああっ!!」
そう言ったかと思うと、シンドバッドは一気に彼女の両足を大きく開くと、その間に割って入り覆い被さる様な体勢になった。そして、何の兆候もなく、最奥まで貫いたのである。
突然のあまりの衝撃に、エリスティアは一瞬息をするのすら忘れてしまった。だが、すぐに襲ってきた強烈な快感によって現実に引き戻されてしまう。しかし、それも束の間の事であり、次の瞬間にはもう何も考えられなくなる程激しい抽挿が始まった為に、彼女はただ喘ぎ声を上げる事しか出来なくなってしまっていた。
「ぁ、ああ……っ、シ、ン……っ、だめ……だ、めえぇぇえ……っ」
それでも、そのまま何度も突き上げられ続ける内に段々と身体の奥底から熱いものが込み上げてくる感覚に襲われる。そして、遂には絶頂を迎えたのだった。
それと同時に膣内が激しく収縮し、シンドバッドのものを強く締め付けた為、彼もまた限界を迎えてしまったようで、そのまま欲望を解き放ったのである。
だが、それで終わりではなかった。シンドバッドはそのままエリスティアに覆い被さると、激しく唇を奪う。そして舌を差し入れ絡め合わせながら、再び動き始めたのである。
「――っ、ぁ……ん、は……ぁあ……ゃ……待っ……ぁあ、ん……っ」
既に何度も達しているエリスティアには強すぎる刺激だった。それでもシンドバッドは止めてはくれなかった。何度も角度を変えつつ深い口付けを交わす内に、次第に頭の芯が蕩けていき何も考えられなくなる。
そうして暫くの間、貪るような行為が続いた後、漸く解放されたエリスティアはぐったりとしていたが、休む暇もなく今度は四つん這いにさせられてしまった。もう既に抵抗する気力もなかった彼女は、シンドバッドのされるままに体勢を変えたのだが、次の瞬間には再び後ろから貫かれてしまったのだった。
「ぁああ――――っ!!」
しかも先程とは比べ物にならない程強く激しく打ち付けられてしまい、悲鳴にも似た声を上げる事しか出来なかったのである。
だがそんな様子すら愛おしいのか、シンドバッドは満足げに微笑むとそのまま何度も腰を打ち付け続けた。そして遂には限界を迎えたらしく、そのまま彼女の膣内へと精を解き放ったのだ。
熱い飛沫を全て注ぎ込まれてしまったエリスティアは、そのままぐったりとしてしまったが、それでも彼は容赦なく攻め立て続けた。
「エリス……エリス――っ」
シンドバッドはそう呟きながら、何度も彼女の名を呼んだ。それはまるで彼女を求めるかの様な声色であり、その声を聞いただけでエリスティアの顔は真っ赤に染まった。
「シ、ン……?」
心配になり、エリスティアがシンドバッドの方に顔を向けると、そのまま深く口付けられた。
「エリス……俺だけの、俺のエリス……っ」
シンドバッドはそう呟きながら、何度も何度もエリスティアの唇を貪る様に、口付けてきた。そして、口付けを交わしたまま、抽挿を再開しだしたのだ。先程出されたばかりの精液と愛液が混ざり合った物が潤滑油代わりになっているのか、滑りが良くなり更に動きが激しくなる。その所為で、結合部からはくちゅりという厭らしい水音が聞こえてきており、その音を聞いただけで恥ずかしくなったエリスティアは、耳まで真っ赤にして俯いてしまったのだが、それが逆にシンドバッドの情欲を煽っていった。
彼はエリスティアの腰を掴むと激しく揺さぶり始めたのである。そしてそのまま何度も突き上げられ続けた結果、再び絶頂を迎えてしまいそうになったのか、膣内が強く収縮するのを感じたシンドバッドは、ラストスパートをかける様に更に動きを早めた。
エリスティアはもう何も考えられなくなったようで、ただひたすら喘いでいた。すると今度は彼女の両脚を抱える様にして持ち上げたかと思うとそのまま抱き起こしてしまった為、エリスティアは自重によって更に深く彼を咥え込む事になってしまったのである。
そうして体勢を変えた後、再び激しい抽挿が始まる。何度も最奥を突かれる度に、意識を失いそうになる程強い快楽に襲われてしまうのだが、それでも彼は止めてくれなかった。それどころかより一層激しさを増していったのだ。
そして遂にその時が来たようで、シンドバッドはエリスティアの一番奥深くに己の欲望を全て注ぎ込んだのである。その熱を感じた瞬間、エリスティアもまた達してしまった。だがそれでもまだ足りないのか、彼はそのまま腰を動かし続けていく内に再び硬さを取り戻していく。だが、もう、エリスティアは限界だった。
「ま、待っ……待って……っ、ぁあ……、シ、ン……っ、わ、わたし、も……もう……っ」
「無理」と言おうとしたが、それを遮るかの様に再び唇を奪われる。そしてそのまま激しく突き上げられてしまい、エリスティアはまた絶頂を迎えてしまったのである。
それでもシンドバッドの動きが止まる事はなく、その後も何度も犯され続けた。そして遂には意識を失ったエリスティアを抱きながら、彼は静かに微笑んだのだった。
*** ***
―――夕刻
エリスティアが意識を取り戻した時、いつの間にか中天にあった太陽は、西に傾いて沈もうとしていた。
私、どう……したんだったかしら……。
頭がはっきりせず、意識が朦朧とする。それでも、身体は覚えているようで、ずきりと全身に軋む様な痛みが走った。ふと、視界に入った姿見を見ると、自分の身体のあちらこちらに、赤い花が咲いていた。それは、シンドバッドが付けた所有の証で、それを見た瞬間、一気に脳裏に昼間の事が思い出された。
あ……わた、し……っ
「……っ」
知らず、顔が一気に朱に染まる。あれだけ、「駄目だ」と言ったのに、結局彼に何度も抱かれてしまったのだ。意志の弱い自分が情けなくなる。このままでは、その内国政の進捗にまで影響を及ぼしかねない。
そう思って、エリスティアが傍にあったシーツを羽織って、とにかくお湯を浴びようと、身体をベッドから動かそうとした時だった。
「貴方という人は……! もう少し、時と場所を考えられないのですか!?」
という、ジャーファルの叫ぶ声が、執務室の方から聞こえてきた。一瞬、エリスティアが「え?」となる。そっと、カーテンから執務室の方を覗くと――何故か、この国の王であるシンドバッドが、正座させられていた。そして、その前に仁王立ちしたジャーファルが般若の形相で、シンドバッドを叱っていたのだ。
「いいですか!? 毎夜の営みを止める気はありません! むしろお世継ぎの為に励んで欲しいぐらいです!! ですが、昼間は政務があるのですから、控えて頂きたい!! 後、ここは、神聖な“政務室”です!!」
「よ、世継ぎが出来るかもしれないだろう?」
と、シンドバッドが反論すると、ジャーファルがくわっと、顔を怒りの形相に変える。
「反省の色がなああああい!!!!」
今にも、爆破しそうなジャーファルに、エリスティアが慌てて飛び出した。
「ま、待って、ジャーファル。その……結局許してしまった、私も悪いの。だから――」
そう言って、シンドバッドの傍に駆け寄る。しかし、ジャーファルがそれで許す筈もなかった。頭を抱えて、「はぁぁあ~~~~」と、盛大な溜息を付いた後、
「えーえー、そうですね。貴女にも非があります、エリス。私が戻って来たにも関わらず、それすら無視して情事を続けるなど……貴女らしくもない!」
「す、すみま、せん……」
何故か、謝ってしまう。すると、ごほん! と、ジャーファルが咳払いをした。そして、横目で、ちらっとエリスティアとシンドバッドを見ると、
「……そ、それで、結果は“どう”なのですか?」
「え……?」
結果?? 何の?
と、エリスティアが首を傾げる。しかし、シンドバッドにはジャーファルの言わんとする事が伝わったのか、
「どうだろうな。俺的にはいけてるんじゃないかと思うが――エリス、どうだ?」
「え? “どう”って……何の話?」
いまいち、二人の話の意図が見えない。エリスティアが首を傾げていると、ジャーファルが がっくしと肩を落とした。
「この様子では、まだのようですね……」
「まぁ、気落ちするな、ジャーファル。まだ機会はいくらでもあるからな! なんなら、今からでも続きを――」
「だ・め・で・す!!」
そう言って、再びジャーファルが般若の顔になる。
「シン! 貴方は今から今日の残りの分の政務です!! あ、エリスはもう少し休んでいて下さい。その身体は貴女一人のものではありませんからね」
「えっと……」
私の身体は、私一人のものですけど……。と言い返しそうになり、思わず口籠もる。すると、ジャーファルはさも当然の様に、
「そのお身体は、大事なお世継ぎを授かる身体ですよ!? ひいては、このシンドリアの未来に関わる御身! 無理はいけません!」
「あの……」
「本日の残りの政務は私とシンで片付けます。だから、エリスは気兼ねなくお休みください。あ、侍女を呼んでおきますので、是非“私室で”お休みください」
「お、気が利くなージャーファル。エリスと俺の“私室”で休ませるとは。これなら今夜も……」
「何言ってるんですか? 貴方は、政務が終わるまで逃がしませんよ?」
「世継ぎが欲しいんじゃないのか?」
「欲しいですよ!!! 貴方とエリスの子を、この手に抱くのが私の“夢”ですから!! じゃなくて! シン~~~、政務をサボろうたって、そうはいきませんよ!!」
「サボるとは、心外だ。俺は一日も早く世継ぎを作ろうとだな……っ」
「ええい、だまらっしゃい! それはそれ! これはこれです!!」
と、何だか聞いてはいけない様な会話が延々と続いているので、エリスティアは、呼び鈴で侍女を呼ぶと、そそくさと政務室から逃げたのであった。
ちなみに、その日、シンドバッドが私室に戻って来たのは、深夜過ぎていたという……。
2024.12.06

