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◆ シンドバッド
「太陽に抱かれて、その夢は微睡の中に」
(マギ夢 「CRYSTAL GATE-The Goddess of Light-」 より)
――――シンドリア王国・白洋塔
季節は短い冬を終え、早めの春が訪れようとしていた
シンドリア自体が南国の為、「冬」らしい冬はなく、少し寒くなったかと思うと、あっという間に暑い期間に入るのが通例だった
そして、この気温差でしか生まれない作物や果実、そして――――花などがあった
とんとんっと軽くノックの音が聞こえてくる
シンドバッドが顔を上げると、両手に沢山の紫の花を抱えたエリスティアが姿を現した
それを見たシンドバッドが「それは――――」と声を洩らした
ふと、エリスティアが顔を上げると、持っていた花を置いた
「さっき、市街地に降りた時に沢山頂いてしまったの。 もう、この花の時期なのね」
そういいながら、綺麗に花を飾る
執務室の入り口の近くと、後は自分の机の上に飾っていた
ふと、シンドバッドがそんなエリスティアをみながら
「エリス――――この花は、市街地の誰に貰ったんだ?」
「え?」
唐突に謎の言葉を掛けられて、エリスティアが首を傾げる
だが、シンドバッドは引き下がらなかった
「誰に貰ったんだ?」
笑顔の威圧感が押し寄せてきて、エリスティアが思わずたじろぐ
「え、あの・・・・・・」
「うん?」
何だか、分からないが・・・・・・シンドバッドの背後に何かいるかのような
そう――――まるで東方諸国で言う般若像の様な・・・・・・
「え、えっと・・・・・・」
言っていいのか、悪いのか 悩む
すると、ますます ずずいっとシンドバッドが顔を近づけてきて
「エリス――――? 言わないなら、言いたくなるようにしてやろうか?」
そう言うなり、ぐいっと突如腰に手を回されたかと思うと、瞬く間に引き寄せられた
「・・・・・・・・・・・・っ」
突然の事に、エリスティアの顔がかぁっと赤く染まる
が、直ぐに冷静になり
「ちょっ、シン・・・・・・、ふざけるのもいい加減に――――」
「ふざける? ふざけてなんかいないさ、これは重要な事なんだ」
重要? 花を頂いた事が?
全く持って、理解不能だった
だが、シンドバッドは引き下がらなかった
そのままエリスティアを更に抱き寄せると――――
「言いたくないなら、その身体に聞くまでだ――――」
そう言うなり、ぐいっと顎を持ち上げられたと思うと、そのまま唇を奪われた
「ちょっ・・・・・・、待っ・・・・・・」
「待って」という言葉があっという間にシンドバッドのそれによって塞がれた
部屋に戻った後ならいざ知らず、執務中の突然の口付け
それが、明らかに「普通」でない事に、気づくのに数秒遅れた
二度三度と交わされる口付けがどんどん深くなっていく
「シ、ン・・・・・・っ、待っ・・・・・・は、ぁ・・・・・・ンン」
このまま流されるわけには――――
そう思うも、身体が上手く動かない
まるで、束縛系の魔法を使われたかの様に自分の手足ではない様な感覚に捕らわれる
そうしている間にもシンドバッドの口付けは止まなかった
シンドバッドの舌がエリスティアの唇を割って口内に侵入してくる
歯列をなぞられ、舌同士を絡ませ合う
互いの唾液が混じり合い、エリスティアの口から飲み込みきれないそれが零れ落ちた
「ん・・・・・・ふ、ぁ・・・っ、シ、シン・・・・・・っ」
息苦しさと、徐々に頭の芯から痺れていくような感覚に支配されそうになる
次第に何も考えられなくなっていき、気がつけばエリスティアの手がシンドバッドの衣をぎゅっと握っていた
どれくらいの時間そうしていただろうか
暫くして漸くシンドバッドの唇が離れると、つうっと銀糸が伸びて切れた
互いに荒い呼吸を繰り返していると、ゆっくりとシンドバッドの指先がエリスティアの頬に触れた
そして、親指でアクアマリンの瞳の下の部分を優しく撫でられる
「・・・・・・あ・・・」
そこには涙の跡があった
それを拭われた時になって初めて、自分が泣いていた事に気づく
それに気づいた途端、羞恥心が襲ってきた
慌てて、シンドバッドから離れると、目元を手で覆った
恥ずかしい・・・・・・っ
シンドバッドは気づいていたのだ
この花を渡したのが誰かという事を
そして、それを見て きっと――――
「・・・・・・シン、その・・・、花に罪はないと思うの」
考えぬいて出した答えはそれだった
そう――――花に罪はない
たとえこの花を渡す意味が「求愛」だとしても――――
エリスティアとシンドバッドの仲は、シンドリア国内のものなら誰でも知っている事だ
でも――――
私は彼からの“求婚”を断った身
だから、彼が他の誰かの所にいても止める権利はないし
逆に、エリスティアが誰かに“求愛”されたとしてもシンドバッドに報告する義務はない
ただ、“ルシ”として、王の傍にいるだけだ
けれど
シンドバッドの瞳を見る
綺麗な琥珀の瞳が、自分を見ているのが分かった
瞬間、シンドバッドが小さく息を吐いた
「・・・・・・“花には罪はない”か。 確かに、花には罪はないかもしれない――――だが、その意味を知っているのならば、お前は受け取るべきではなかった」
「・・・・・・っ、それは・・・・・・」
そう――――かもしれない
応える事が出来ないのならば、最初から期待させてはいけない
分かっている
充分過ぎる程、分かっていた
でも、あんな風に嬉しそうに渡された花を断る事など、エリスティアには出来なかった
「あの、ね、シン・・・・・・。 その、誤解させたのなら謝るわ。 だから――――」
――――そんな風に、怒らないで欲しい
そう言い掛けて、口を開きかけたが・・・・・・言葉が出なかった
なぜなら、同じだから
結局は相手がシンドバッドであっても、彼の「妃」にはなれないのだ
あの日――――
あの王国の建国を祝う日 シンドバッドは言った
『俺と同じ目線で俺と共に歩んでほしい。 俺の後ろではなく、俺の隣で、俺の妻として―――共にこの国を支えて欲しいんだ。 エリス―――結婚して欲しい』
そう言って、彼はエリスティアの手を取り願った
その“願い”を断ったのは他でもない自分だ
シンドバッドの事は好きだ
でも、どうしても――――
自分が“ルシ”である限り、望んではいけない未来がある――――
それは、“誰かと共に歩む未来”
絶対に、“叶わない未来”
だから、この花を贈ってくれた青年の気持ちを無下にする事など出来なかった
言い訳かもしれない
でも、本当は・・・・・・
知らず、エリスティアの瞳から一滴の涙が零れ落ちた
「じゃぁ・・・・・・じゃぁ、どうすればいいの? どうしたらよかったの?」
言葉が止まらない
「花をくださった方には応えられない。 シンの“願い”にも応えてあげられない! じゃぁ、私はどうすれば――――!!」
こんな事が言いたいのではない
けれど、言葉が止まってくれない
「私は“ルシ”なのよ!? 誰かと共に歩む“未来”は望めないのよ! 私がどんなにシンを想っていても――――私は・・・・・私は、貴方の妻にはなれないの・・・・・・っ」
共に歩む“未来”が見えてこない
ずっと、暗く終わりのない迷宮に迷い込んだかのように――――
きっと、ここから出る事はもう・・・・・・
涙が零れた
一度、関を切った涙は止まることなく、次から次へと溢れ出てきた
「シン・・・・・・っ」
苦しい・・・・・・
もう、“解放して”と言えたらどんなに楽か・・・・・・
でも、言えなかった
どうしても――――それだけは、言えなかった
言ってしまったら、もう二度と彼の傍にいられない気がしたから
でも、私だって本当は――――・・・・・・
その時だった
ふいに伸びてきたシンドバッドの腕がエリスティアを優しく包み込んだ
あ・・・・・・
そっと、涙で濡れた瞼に口付けが降ってくる
「泣くな、お前に泣いて欲しい訳じゃないんだ」
「・・・・・・・・・・・・っ」
優しい声音で囁かれ、また新たな涙が頬を伝う
シンドバッドはエリスティアの頬に両手を当て、視線を合わせると、小さく息を吐いた
そして――――
「エリスが、“ルシ”であろうと、なかろうと俺には関係ない。 俺は、お前を愛している。 今も、そしてこれから先、何があってもずっと――――永遠に」
それは、まるで誓いの言葉のように
シンドバッドの口からその言葉が発せられた時、エリスティアは目を見開いた
ああ・・・私は・・・・・・
「・・・・・・シ、ン・・・っ」
なんて愚かだったのか
どうして、もっと早く気づかなかったのだろう
彼はいつだって、真っ直ぐに自分を見てくれていたのに――――
気づいていたのに、気づこうとはしなかった
彼がくれたのは、ただの愛ではない
“永遠”とも呼べる――――本物の“愛情”
「シン・・・・・・」
いいのだろうか
望んでも・・・・・・
今、この瞬間だけでも――――望んでいいのだろうか
エリスティアの唇が小さく震えた
「エリス――――」
そっと、シンドバッドの手がエリスティアの頬に触れた
アクアマリンの瞳から流れる涙を指で掬われ、そのままゆっくりと顔が近づいてくる
唇に柔らかな感触が触れたのはその直後の事だった
何度も啄むように繰り返される口づけ
それが、次第に深くなっていくのに時間は掛からなかった
「エリス――――」
甘く名を囁かれ、エリスティアがぴくっと肩を震わせた
「ん・・・・・・っ、シ、ン・・・っ」
エリスティアの手が、恐る恐るシンドバッドの背に回される
それに気づいたシンドバッドは、彼女の身体を強く抱き締めると、その小さな口を貪った
互いの熱を分け合うような激しい口付け
それは、今まで交わしてきたどの口付けよりも心地良く、甘いものだった
やがて、名残惜しげに離れた二人の間を銀糸が繋ぐ
それを舌で舐め取ると、シンドバッドは微かに笑みを浮かべた
それは、いつもの彼とは違う、男の人の表情――――
それを見た瞬間、エリスティアの心臓が どきん・・・・・・と跳ねた
思わず、その事実に気付いたエリスティアの顔が朱に染まっていく
そんな彼女を見つめながら、シンドバッドは再び顔を近づけた
「あ・・・・・・」
これから起こるであろう事に気付いたエリスティアが、思わず視線を逸らす
だが、シンドバッドはそれを許さなかった
エリスティアの顎を掴むと、自分の方へ向かせる
「あ・・・待っ・・・・・・」
かぁっと顔を真っ赤に染めたエリスティアと目が合う
その姿に、シンドバッドは小さく笑った
「駄目だ――――もう、待てない」
そう言って、そのまま再び唇を重ねてきた
「ンン・・・・っ、は・・・・・・ぁ・・・シ、ン・・・・・・っ」
今度はさっきのような軽いものではなく、深い深い口付けだった
口内に侵入したシンドバッドの舌が、逃げるエリスティアのそれと絡み合う
歯列をなぞられ、上顎を擦られるとゾクッとした感覚が背中を駆け抜けていった
初めて経験するその感覚に、思考がどんどん麻痺していく
頭の中が真っ白になり、もう何も考えられなかった
その時だった
ふいに、シンドバッドの手がエリスティアの太腿に触れた
「・・・・・・っ、シンっ、だ、だめ・・・・・・」
エリスティアが慌ててその手をどかそうと自身の手を伸ばすが
それはあっという間に、シンドバッドによって遮られた
「何が“だめ”なんだ? エリス――――」
耳もとで囁かれ、エリスティアがぴくっと身体を震わせた
「だ、だって・・・・・・」
「だって?」
「こ、ここ、執務、し、つ・・・・・・っ、ぁ・・・・・」
途切れ途切れの言葉にシンドバッドは、ふっと笑うと
エリスティアの首筋に唇を寄せた
そして――――ちゅぅっと強く吸い上げる
「ぁ、ンン・・・・・・っ」
その瞬間、エリスティアの口から甘い吐息が零れた
さらに、シンドバッドの手がドレスの上から胸に触れると
「・・・・・あっ、は、ぁ・・・・・・んっ」
エリスティアの口から一際高い声が上がった
それに気をよくしたのか、シンドバッドはそのままエリスティアの身体を机の上に押し倒した
瞬間、ばさばさっと上にあった書類が床に散らばっていく
だが、もうエリスティアはそれら構っている余裕はなかった
「ま、待っ・・・・・・んん、ぁ・・・は、ぁ・・・・・・っ」
シンドバッドは、そのままエリスティアの身体に覆いかぶさると、何度も何度も彼女の首筋や頬に口づけを落としていく――――
赤い花が彼女の身体をどんどん浸食していった
「だめ、だめよ、シン・・・・・・っ、ぁ・・・・・はっぁ」
なんとか、言葉を絞りだすがシンドバッドがその手を止める事はなかった
その手が、エリスティアのドレスを縛っていた首の後ろの結び目に伸びる
「・・・・・・あっ」
慌てて、エリスティアが止めようとするが
あっという間に解かれてしまった
白い肌に散った赤い花が露わになる
それに満足げに微笑むと、シンドバッドは彼女の身体に口づけを落とした
「んっ・・・・・・ぁ、は、ぁ・・・・・・だ、め・・・・・・っ」
その度に、エリスティアから甘い喘ぎが漏れる
だが、シンドバッドは止める事はしなかった
彼女のそのふくよかなその胸に触れると、そのまま揉みしだいていく
そして、もう片方の胸に口付けを落としながら そのままその薄桜色の場所に舌を這わした
「あ・・・・・っ、はぁ、んん・・・・・・っ」
そのまま彼女のその部分を舌で転がしたり、甘噛みしたりして激しく攻める
激しくすればするほど、彼女の甘い喘ぎが大きくなっていった
それが心地よくて、シンドバッドはさらに愛撫を続けていく
左右から違う刺激が走って、エリスティアは気が狂いそうだった
駄目だと
ここでは駄目だとわかっているのに、声を抑えられない
「んん・・・・・・っ、あ、ん・・・は、ぁ・・・・・・っ」
なんとか必死に声を我慢する様にするが、どうしても出てしまう
そんなエリスティアにシンドバッドはくすっと笑みを浮かべ
「エリス――――もっと、声出していいんだぞ?」
そう促すが
エリスティアは小さく首を横に振った
もし、誰かが来たら―――――
そう思うのに、我慢できない
それと同時に、なんとか必死に理性を保とうとするが・・・・・・
駄目、このままじゃ・・・・・・っ
すると、シンドバッドが不意に顔を上げた
一瞬、止めてくれたのかと思ったが――――
「そんなに声を出したくないなら―――――」
そう言うなり、シンドバッドは再びエリスティアの唇を奪った
そして――――そのまま舌を差し入れる
突然の出来事に抵抗する事もできず、エリスティアはただそれを受け入れるしかなかった
舌を絡められ、吸われ、歯列をなぞられ 息をする暇さえ与えられない激しい口付け
「ンン・・・・・・っ、ぁ・・・シ、ン・・・・・・っ」
それはまるで獣のような激しさだった
貪るような口付けをしながら、シンドバッドの手がエリスティアの身体をまさぐっていく
その手は徐々に下に降りていき、ついに太腿に触れられた
びくっと震えるエリスティアだったが、もはや抵抗する事などできなかった
そのままゆっくりと指が這い上がってくる
足の付け根まで来ると、シンドバッドの動きが止まった
突然動きを止めたシンドバッドに、エリスティアがほっとする
ふと、顔を上げるとそこにはいつもと変わらない優しい笑顔があった
「シ、ン・・・・・・?」
何かそれに違和感を覚えた時だった
シンドバッドが、そっとエリスティアの耳元に唇を寄せると囁いた
「・・・・・・足音が聞こえる」
その言葉に、エリスティアの瞳が大きく見開かれた
今、なん、て・・・・・・
エリスティアの思考が真っ白に染まりかけた時だった
ふいに、執務室の扉をノックする音が響いた
その音に、エリスティアの顔がぎくりっと強張った
誰か来たのだ
「(シ、シン・・・・・・早くどいて―――――)」
小声でそう言って、何とか乱れたドレスを元に戻そうとするが――――
シンドバッドはエリスティアの上からどく所か、そのまま止めていた指を動かし始めた
「んっ・・・・・・ぁ・・・、や、んん・・・・・・っ」
そこはもう下着越しでもわかる程に湿っていて、シンドバッドが軽く触れただけで水音を奏でた
その事に、シンドバッドが楽しげに笑う
そして、さらに強くそこを攻めたててきた
その瞬間、びくっとエリスティアの身体が跳ね上がる
咄嵯に手で口を塞いだが、それでも抑えきれない声が漏れ出た
さらにシンドバッドは、下着の中に手を滑り込ませると直接その部分に触れてきた
「ああっ・・・・・・」
途端に、エリスティアの口から一際高い声が上がる
慌ててシンドバッドの手首を掴むが、その手が止まる事はなかった
くちゃくちゃと、淫靡な水音が室内に響く
あまりの恥ずかしさに、エリスティアが顔を赤く染め上げると、シンドバッドは満足げに微笑んだ
その時だった
扉の向こうから声が聞こえてきた
「シン? エリスもいるんですか? それならこの書類を――――」
ジャーファルだ
こんな所見られたら一巻の終わりだ
「(シ、シン・・・・・・っ、やめっ・・・・・・んん)」
エリスティアが止める様に促すが
シンドバッドはにやりとその口元に笑みを浮かべると、そのまま更に指の数を増やしてきた
「ああ、ジャーファル。 今、手が離せないんだ。 後で書類なら取りに行くよ」
そう言いながら、指を激しく動かしていく
「んん・・・・・・っ、は、ぁ・・・や、め・・・・・・っああ」
声を出したくないのに、我慢できない
すると、そっとシンドバッドが耳元で囁くように
「・・・・・・そんなに声上げたら、ジャーファルに気付かれるぞ?」
そう言うシンドバッドを、エリスティアはキッと睨みつけた
誰のせいだと言わんばかりに
だが、そんなエリスティアの抵抗も空しく
シンドバッドがその手を止める事はなかった
「――――っ、――――っ」
なんとか、手で口を押さえて必死に声を我慢する
「・・・・・・シン?」
扉の向こうのジャーファルから不審そうな声が聞こえてくる
駄目
駄目、開けないで・・・・・・っ
エリスティアは必死に願った
その時だった、シンドバッドの指がひと際 奥深くに差し込まれた
「――――ああっ」
ついに堪えきれずに、大きく喘いでしまう
慌てて口を押さえるが、もう遅かった
瞬間、扉の向こうから呆れにも似た溜息が聞こえてきた
「あ~まったく・・・・・・。 人払いしておきますので、ほどほどにして下さいよ? 書類は私の執務室に置いておきますので」
それだけ言うと、ジャーファルの気配が遠のいて行ったが・・・・・・
完全に、気づかれている・・・・・・っ
エリスティアは恥ずかしさのあまり、穴があったら入りたいくらいだった
「もうっ! もう、シンの馬鹿!! 絶対気付かれているじゃない!!」
半泣きになりながらそう訴えるエリスティアだが、シンドバッドは気にした様子もなく
「まぁ、結果オーライでいいじゃないか。 人払いもしてくれるらしいしな」
「そういう問題じゃ――――んんっ」
抗議しようとした瞬間、再び唇を奪われる
それはまるで、全てを貪るような激しい口付けだった
「ちょっ・・・・・・待っ・・・、ぁ、はぁ・・・・・・ンン」
再び始まった愛撫に、エリスティアが拒もうとするが
もう身体に力が入らなかった
「・・・・・・ぁ、ああ、・・・・・・っ、は、ぁ・・・ん」
次第にその口からは甘い吐息だけが漏れ出ていた
もっと、欲しい
何も考えられなくなる程に、溺れてしまいたい
そう思ってしまう程に、エリスティアの心は乱れていた
いつの間にか、そのアクアマリンの瞳からは快楽による涙が零れ落ちていて
その頬は上気していた
その表情を見たシンドバッドが、ごくりと喉を鳴らす
「エリス――――」
甘くその名を呼ぶと、エリスティアがまるでシンドバッドを求めるかのような瞳で見つめてきた
まるで、吸い寄せられたかのようにそのまま彼女の唇に自身のそれを重ねる
そのまま舌を差し入れ、互いの唾液を交換し合うような濃厚な口付けを交わしていく――――
「ンン・・・・・・っ、ぁ・・・・は、ぁ・・・・・・シン・・・・・・っ」
何度も角度を変え、より深く繋がるように
その度に、ぴちゃりという水音が響いた
エリスティアは無意識のうちにシンドバッドの首に腕を回し、自らその身を委ねていった
そして、うっとりとした表情でシンドバッドを見上げる
シンドバッドは、満足げに微笑むとそっと耳元で囁く
「――――いいんだな? エリス」
その言葉に、エリスティアは嬉しそうに微笑んだ
シンドバッドは不意に彼女を机から抱き起すとそのまま横抱きにした
「シン・・・・・・?」
どうしたのかと、エリスティアが首を傾げると
シンドバッドはさも当然の様に
「この続き部屋に仮眠用のベッドがあるからな。 まぁ、俺達の部屋のよりは随分小さいが」
そう言いながら、続き部屋へ連れていかれる
そこには、キングサイズのベッドがあった
そっと、シンドバッドがそのベッドに優しくエリスティアを下ろす
そして、ゆっくりと彼女のドレスを脱がせていった
露になった彼女の白く美しい四肢が、シンドバッドの琥珀の瞳に映ると
エリスティアが恥ずかしそうに、顔をかぁっと赤らめ
「あ、あんまり見ないで・・・・・ほしいのだ、けれど・・・・・・」
そう言って、シーツを手繰り寄せる
そんなエリスティアに、シンドバッドはふっ と微かに笑みを浮かべ
「隠す必要はない、すごく綺麗だ・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・っ」
改めてそう言われると、余計に恥ずかしかったのか
エリスティアがますます顔を赤らめた
「な、なに言って――――・・・・・・」
そこまで言った所で、エリスティアの言葉は遮られた
再び降ってきたシンドバッドの唇によって――――
「んん・・・・・・っ、シ、ン・・・・・・っ、は、ぁ・・・・・・っ」
そのまま、口内へと侵入してきた彼の熱い舌に自分のそれを絡め取られ、激しく吸われる
口付けの合間にも、シンドバッドの手は休むことなく動き回り
彼女の胸の膨らみや、太腿などを刺激する
そのたびに、びくんっとエリスティアの身体が小さく跳ねた
暫くして、ようやくシンドバッドがその唇を解放すると
エリスティアの瞳はすっかり蕩けきっていた
頬は紅潮していて、荒い呼吸を繰り返している
その姿は、ひどく艶やかだった
シンドバッドは彼女の首筋、鎖骨、胸元、腹部に次々と赤い花を咲かせていく
その度に、エリスティアの口から甘い吐息が漏れ出た
やがて、シンドバッドはその手をさらに下の方へ移動させる
そこは先ほどの行為で、しっとりと濡れていた
シンドバッドは小さく口角を上げた
そのまま、指先で割れ目をなぞる様に動かす
すると、エリスティアがびくんっと大きく身体を震わせた
「は、ぁ・・・・・・ん、ああっ」
同時に、一際大きな喘ぎ声が室内に響き渡る
そのまま、何度か往復するようにそこを擦り続けると
それに合わせるように、エリスティアの声も大きくなっていく
「あ、ああ・・・・・・んっ、は、ぁ・・・シ、シン・・・・・だ、だめぇ・・・っ」
それを聞いているうちに、シンドバッドは自身が高ぶっていくのを感じていた
シンドバッドは、エリスティアの耳元で熱っぽく囁く
それはまるで、懇願するかのように――――
その吐息すらも感じてしまい、エリスティアがふるりと身を捩った
そして、シンドバッドはゆっくりと中へ人差し指を沈めていく
途端、エリスティアが大きく目を見開いた
そのまま、ゆっくりと抜き挿しを繰り返す
「は、ぁ・・・・・・んんっ、・・・ぁ・・・・・・、ああ」
次第に水音が激しくなり、それと同時にエリスティアの口からは甘い矯声が漏れ出ていた
そして、次第に二本、三本とその本数を増やしていき
中でばらばらに動かしたり、ある一点を集中的に攻め立てたりしている内に
「あ、ああ・・・・・・ゃん、も、もう・・・・・・っ」
エリスティアは絶頂を迎えようとしていた
それに気付いたシンドバッドは、エリスティアの良い所を刺激し続けた
そして――――
次の瞬間、エリスティアは大きく背中をしならせた
「は・・・んぁ・・・・・・っ、ああ――――っ!」
一気に脱力感に襲われる
頭がぼんやりする
視界もおぼろげで、意識を持っていかれそうになる
だが、シンドバッドはそのまま愛撫を続けた
今度は親指で花芽を押し潰すようにぐりっと刺激を与える
「んんっ・・・・・・、ぁ・・・っ、は、ぁ・・・・・・や、あぁあっ」
エリスティアはそれに耐えることが出来ず、すぐにまた快楽の波が押し寄せてきた
それから、何度も何度も同じ行為を繰り返され
ついに限界を迎えたエリスティアが再び達してしまう
もう、そこはエリスティアの蜜でぐちゃぐちゃになっていた
シンドバッドはそっとエリスティアの両足を抱え込むと、そこに顔を埋めた
舌を差し入れ、わざとぴちゃぴちゃという音を響かせながら舐め始める
「ああ、ン・・・・・・っ、は、ぁ・・・、やぁっ、だ・・・だめええっ」
新たな快楽を感じる事と、音が聞こえるのが恥ずかしのか・・・・・・
エリスティアが、顔を真っ赤にして視線を逸らす
同時に、空いた方の手で秘部を弄られる それが、たまらなく気持ち良くて
そのまま波にのまれてしまいそうになる
「はぁ・・・・・は、ぁ・・・・・・」
息が上がり、上手く呼吸が出来ない
身体が熱く、全身に熱を感じる
アクアマリンの瞳は潤み、それが一層シンドバッドを刺激した
そうして、さらに激しく責め立てられる
「ん、ぁ・・・、ああ、シ、シン・・・・・・っ、も、もう――――」
エリスティアは、ただひたすらに与えられる快感に身をゆだねるしかなかった
シンドバッドは再び指でエリスティアの中を攻め立てた
そして、再び良いところを重点的に攻められると、エリスティアの身体が大きく跳ねた
それを合図にするかのように、シンドバッドが顔を離すと
エリスティアはくったりとベッドに沈み込んだ
そんな彼女を優しく見つめながら、そっと髪を撫でる
「シ、ン・・・・・・」
たどたどしい言葉で、彼の名を呼ぶ
「エリス――――」
そんなエリスティアを労わる様に、優しく優しく撫でた
少しずつ、エリスティアの呼吸が穏やかになってくる
「エリス、平気か?」
シンドンバッドの言葉に、エリスティアが小さく頷く
すると、ふっとシンドバッドが笑みを作り
「安心しろ、いつもみたいに優しくしてやるから――――」
瞬間――――
エリスティアの下腹部にずんっという、重みと共に激しい痛みを感じた
「――――あっ・・・ん、はぁ・・・・、シ、ン・・・・・・っ」
そこにはシンドバッドのそれが宛がわれていた
そして、それは容赦なく奥まで押し進められる
「ああ・・・・・・っ、ん、ぁ・・・ああ、・・・・・・う、うそつ、き・・・・っ、ぁああっ」
あまりの質量と大きさに苦しさを覚える
たまらず、エリスティアがシーツを掴んだ
下腹部がきゅうきゅうっと締め付けられる
それでも、シンドバッドは止まることは無く、一気に奥まで押し込めた
「・・・・・・っ、エリス・・・・・は、ぁ、お前の中は相変わらず、熱い、な」
シンドバッドのその言葉に、エリスティアが涙目でふるふると首を振る
シンドバッドは苦笑いを浮かべながら、彼女の額に口づけを落とした
エリスティアがそれに応えるように、ゆっくりとそのアクアマリンの瞳を閉じる
そして、二人の唇がどちらからともなく重なった
何度も、何度も角度を変えながら啄むような口付けを交わしていく――――
それがお互いを求め合うように深く激しいものへと変わっていくのに時間は掛からなかった
エリスティアは両手を伸ばし、シンドバッドの首に回す
そして、自ら積極的に舌を絡めていった
「ふ、ぁ・・・・ン・・・・・・っ、ぁ、はぁ・・・・んんっ」
時折、吐息を漏らしながら
もっと欲しいと言う様に、ぎゅっと抱き着く
シンドバッドもそれに応え、強く抱きしめ返えした
シンドバッドが腰を動かし始めると
「ぁ、ああ、やっ、だ、めぇ・・・・・・っ」
それに合わせるように甘い矯声が漏れ始めた
それと同時に、結合部からは厭らしい水音が大きく響き渡る
「あ、んんっ、は、ぁ・・・・・・あ、ああっ!」
やがて、絶頂が近づいて来たのか エリスティアが一際大きな声で鳴いた
シンドバッドがそれに合わせるように激しく動き出す
そして――――
次の瞬間、二人はほぼ同時に絶頂を迎えた
シンドバッドは、ぐったりと横になっているエリスティアの隣に寝転ぶと
優しく髪を撫でながら、愛おしそうに彼女を見つめた
「エリス・・・・・・」
名を呼び、彼女が落ち着くのを待つ
その表情はとても幸せそうで――――
エリスティアは、ただただ、愛しい人の腕の中で微睡みの中に落ちていくだけだった
――――翌日
ジャーファルが「時と場所を考えてください!!」と、
仁王像の様に怒っていたのは言うまでもなく
山積みになった書類整理に二人は追われる事となるのだった
ついに・・・・・・マギでR18は初かな?
いや、作中は既に何度もそういう行為はありましたが・・・・・・
あれ、本編はR15なんで~濁してますからwww フフフ
2023.02.23

