㭭ノ題 言葉の題
◆18:あなたの声 / 胸の鼓動
(マギ 『CRYSTAL GATE』:練紅炎)
時折思う
私はどうしてここにいるのだろう・・・・・・と
元々、シンドリアを出たのは謎の気配を探る為
それは成ったというのに、今私は煌帝国にいる
それも、煌帝国の首都にある禁城に
「はぁ・・・・・・」
エリスティアは小さく息を吐いた
何処で間違って、何処で誤ったのか
アモンから飛ばされた先が煌帝国だった
世の中に“偶然”などない
あるのは、“必然”だけ――――・・・・・・
ならば、私がこの煌帝国に飛ばされたのには何か意味がる筈
そう思っている時に、彼に会った
シンドバッドと同じく、清く澄んだルフを持つ人――――
煌帝国第一皇子・練紅炎
ひと目みただけで分かった
“彼”に会う為に煌帝国に飛ばされたのだと――――・・・・・・
でも、自分は既に“契約主”をシンドバッドに選んでいる
それなのに、“新たなる契約主”になり得る人と会わせるなど――――・・・・・・
ルフの考える事が分からない・・・・・・
今、新たな導きで会ったとしても、“契約主”を変える気はない
この命果てるまでシンドバッドと共にあると約束した
私の先の時間は約束できないけれど・・・・・それ以外は全て捧げると
誓ったのだ
あの日――――・・・・・・
ぐっと、握る手に力が籠もる
なのに、どうして――――・・・・・・
「エリス?」
不意に名を呼ばれて、はっと顔を上げると
いつの間に傍に来たのか・・・・・・紅炎がいた
「あ、ううん、なんでも――――」
「ない」と答えようとした瞬間、伸びてきた手がエリスティアの顎に触れた
そして、そのまま口付けが降って来た
「・・・・・・っ」
突然の口付けに、エリスティアがぴくんっと肩を震わす
「・・・ぁ、え、ん・・・・・・」
徐々に深くなっていく口付けに、頭が朦朧としてくる
「エリス――――・・・・・・」
甘くそう囁かれ、エリスティアの鼓動が脈打つように早くなっていく
わ、たし・・・・・・
拒まなければ――――
そう思うのに、身体が言う事を聞かない
全ての力が吸い取られたかのように、上手く動かす事が出来ない
気付けば、そのまま後ろの寝台に押し倒されていた
ぎし・・・・と、寝台が軋む音を立てる
「ンン・・・っ、ま、待って・・・・・・」
身の危険を感じ、エリスティアが紅炎の腕を抑える
それでも、紅炎は口付けを止めなかった
舌が絡まってきて、言葉を発する事も叶わない
「・・・・ふぁ・・・・ン・・・・・ぁ、まっ・・・・・・」
「エリス・・・・・・」
紅炎の声が頭の中に響く
ルフが求めている
彼を“受け入れろ”と
でも・・・・・・
でも、私は――――・・・・・・
さらっと、紅炎の手がエリスティアの美しいストロベリー・ブロンドの髪に触れた
指と指が絡まる
彼の声は好きだ
名前を呼ばれただけで、鼓動が早くなる
けれど
それは、シンドバッドにも同じで
シンドバッドから名前を呼ばれただけで、心が温かくなる
知らず、笑顔が零れる
彼からのどんなわがままでも、叶えたくなってしまう――――・・・・・・
私は彼を――――シンを愛している
だから、先の時間以外の全てをささげると誓えたのだ
でも、それと同じぐらいこの人も――――
紅炎の柘榴石の瞳と目が合う
「エリス?」
きっと、好きなのだろう
「炎・・・・・・」
エリスティアはそっと彼の名を呼ぶと、そのまま両手で彼を包み込んだ
いけない事だと分かっている
2人も同時に「好き」だなんて、どうかしている
それでも――――・・・・・・
それでも、私は――――・・・・・・
お、お、終わった~~~~~!!
リク完全消化!!!! いえい~🤣🤣
長らくお待たせしました!!
終わったぜい!! 年内中に!!!
2022.12.30